青野くんに触りたいから死にたい

青野くんに触りたいから死にたい 10巻 - 黒野くんと直接対峙

黒野くんが顕現して大勢を巻き込み始める「青野くんに触りたいから死にたい」10巻です。

9巻でとんでもない引きで10巻へ続いたわけですが、その流れで10巻はとんでもないことになっています。

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「お前たちは3回間違えたので俺の勝ちだ」

読み返してないので何を間違えたのか抑えきれてないのですけれど、文化祭の出し物として披露していた演劇ロミオとジュリエット、そこにいる全員を巻き込んでの黒野くんとなっています。

この流れ、ものすごく恐ろしいのが読んでて伝わってきます。

この世のものではないものが現れて、ありえない力で次々と人を傷つけていく。軽い気持ちで除霊と考えていた内田もその恐ろしさを実感し成すすべが無くなっていく。現場の人々のパニック感、そして黒野くんの恐ろしさ、見事に表現しています。


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「やめたら何くれる?」

常に見返りを求める黒野くん。優里の「もうやめて」の「お願い」にこの答えをする黒野くん。これが素直に怖い。


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「やめたら何くれる?」

それを返す形で、藤本くんを利用し逆に黒野くんに言い返す優里。強くなったなあ。初めの頃のおどおどしてどうしようとなっていた優里から、いまではここまでの度胸が付きました。何より、これまでずっと悩まされ続けた黒野くんに真っ向から戦おうとしてるのがカッコいい。


そのあとは青野くんの死の真相を知るべく、何故か優里が青野くんの母親の過去を追うことになります。

正直この青野くんのお母さんの過去話は胸糞が多いです。大人になれないまだ母親になってしまったお母さん。頼りにしていた旦那を亡くして1人苦しんでいるお母さん。そこに付け込んで合意が無いまま不倫の関係を持つ職場のクズ。誰にも全然共感出来ないです。

なので、後半は読むのがしんどかったなあというのが素直な感想になります。この過去編どこまで続くんだろ、できれば早めに終わってほしい。


何にせよ、前半の黒野くんと対峙するところはめちゃめちゃ面白いです。これまでも面白かったですが、10巻の前半は最高潮に盛り上がったと言っても過言ではないでしょう。ここからどんな結末を迎えるのか楽しみで仕方ありません。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆




青野くんに触りたいから死にたい 1~3巻 - これほどまでに青春と恋愛とホラーが噛み合った傑作があっただろうか

死んでしまった恋人の幽霊が単なる霊なのか悪霊なのか判断がつかなくなる「青野くんに触りたいから死にたい」です。今回は1~3巻までの感想となります。

前から読んでみたいと思い続けていた椎名うみの初連載作品となります。何かのセールに乗じて8巻まで購入、ようやく最近読み終えて、一気に最新刊の9巻まで購入してしまうほどハマってしまいました。面白い。


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簡単なあらすじは、男の子に免疫が一切なく、どこかクラスで浮いている女の子 優里ちゃんが、青野くんにひょんなきっかけで惚れてしまいあっという間に付き合うことになり、そして2週間で死に別れするところから始まります。

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その後、青野くんがいないことに絶望し、死を考えてしまう優里ちゃん。カッターを手に当てるほど追い詰められてしまいます。

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すると突然現れる青野くん。そう、幽霊の姿で優里ちゃんの前に現れたのが青野くんです。しかし幽霊だから触れません。目の前に愛しい人がいるのに、死ぬほど追い詰められていたのに、話は出来ても触れることは叶いません。

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「青野くんは幽霊でわたしは生きてるから君に触れないんでしょう!?だったらわたしが死ぬしかないじゃない君は生き返れないんだから!?」

ここでタイトル回収です、「青野くんに触りたいから死にたい」優里ちゃんのお話となります。幽霊となった付き合ったばかりの恋人、そんな幽霊と仲良く生活していくハートフル青春ストーリーがここから展開されます。


しかし、単なる恋愛ものではなく、純然たるホラー展開をするのが「青野くんに触りたいから死にたい」なのです。


正直な感想を述べると、この作品のホラー要素はそんじょそこらのホラー漫画では太刀打ちできないくらい怖いと思います。椎名うみが描く漫画の間、漫画の上手さ、作品の空気感が相乗効果となって最高の恐怖感を演出しています。


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「君の中にちゃんと俺を招いて」

ふとした瞬間に出てくる青野くんの別の顔。これが出ると一気にホラー感が増します。

日常では絶対に見せないこの顔へ、ふとした瞬間に切り替わるその空気が物凄く上手く恐怖を演出しています。本当に、瞬時に日常から非日常に切り替わるのが凄くて怖くて、得も言われぬ恐怖感を感じることが出来ます。

この恐怖演出が本当に怖い。普段読む時は寝る前の暗い部屋でタブレットで読んでるのですが、思わず怖くなってしまうくらいに本当に怖いんです。

果たしてこの青野くんは青野くんなのか、それとも他の悪霊なのか、その謎に近づきながら優里ちゃんと青野くんはより関係を深めていき、謎を解くための仲間も増えていきというのが基本のお話となります。

1巻では謎のまま話が進んで、2巻から怖い青野くんに関する話が徐々に明らかになっていき、3巻で青野くんや優里ちゃんの取り巻く環境が明らかになっていくこととなります。

3巻では青野くんとは違う霊の話が出てきて、別の話も同時に展開されていきます。その霊と青野くんの違いが出てきたりして、さらに青野くんのことを深く知れることになるわけです。


本当に面白い作品だと思います。見てるこっちが恥ずかしくなるような初々しい恋愛表現があると思いきやいきなりホラー展開になるし、ホラー要素もきっちりそれなりの理由をつけてあって徐々に明らかになっていくのが先の展開を気にさせます。

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2巻のこのシーンとか、抜き出しただけではなんとも思わないのに、読んでる流れだとめちゃめちゃ怖かった。本当にゾクッとした。普通の絵なのにものすごいホラー演出なんですよここ。こういう表現が上手い。


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3巻で出てきた優里ちゃんの姉である翠と、優里ちゃんの家庭事情が垣間見えるところはホラー演出じゃないのでこれだけで怖い。

こんな頭おかしい人間いるのかよと思うくらいひどい翠ですが、これがまた現実にはこういう人もいるんだろうなと思わせてしまうところがまた。たぶん家庭崩壊の家とかはこういうところもあるんだろうなあ。

そして3巻の後半から始まる学童保育篇が別の視点になっててまた面白い。藤本や新たに幽霊が見える小学生との交流が始まり、話に深みが出てきます。読む人によっては脱線してるとも捉えられそうですが、私はこの話を楽しく読めました。


今回は作品紹介と3巻までの簡単な感想に留めましたが、既刊9巻までは読んでいますので是非ともそこまで感想を書ききりたいところです。こういう作品が出てくるから漫画読みはやめられない。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


青野くんに触りたいから死にたい(1) (アフタヌーンコミックス)
椎名うみ(著)
講談社 2017-06-23T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.5
¥660


青野くんに触りたいから死にたい(2) (アフタヌーンコミックス)
椎名うみ(著)
講談社 2017-10-23T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.7
¥660


青野くんに触りたいから死にたい(3) (アフタヌーンコミックス)
椎名うみ(著)
講談社 2018-04-23T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥660


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