設定が良い

ブランクスペース - 透明なものを作り出せる女子高生は青春謳歌できるのか

以前Web版を読んで、うわこれ面白いなと思っていた「ブランクスペース」が2巻まで発売していました。
ここで読めます。

あらすじは引用します。
ある雨の日、女子高生の狛江ショーコは、同級生の片桐スイが不思議な力を持っていることを知る。
ふたりの出逢いをきっかけに、やがてひとつの街を巻き込んだ『空白』をめぐる物語が動き出す―――。
ちょっとこれだけじゃわからないかも。

スイちゃんの不思議な力というのが「透明なものを作り出す」という能力なのです。仕組みや原理さえスイちゃんが理解出来れば、その場には見えないけれども作り出すことが出来ます。
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雨の日に透明な傘を作るスイちゃんの図

この特殊能力を軸に回っていくお話です。ただ、この手のとんでも能力話にしては話が割りと重め。この能力を使って色々楽しんでやろうという方向ではなく、暗い方向で能力を使う話になっていきます。

それは2年生になってから何故か発生した、クラスメイトによるスイちゃんへのいじめ。ショーコに打ち明けることも出来ず、スイちゃんの心は徐々に徐々に荒んでいきます。
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そうして、スイちゃんは次第に人を傷つけるものを作ることに意識を始めます。窮屈な世界、理不尽な暴力、孤独な気持ち。それらがスイちゃんの心を蝕んでいき、負の感情を爆発させようとしてしまうのです。

その後スイちゃんによる大きな事件が発生してしまい、遂にショーコがスイちゃんの気持ちに気づきます。一人で苦しんでいたスイちゃん。誰にも相談できなかったスイちゃん。そのスイちゃんを救う為に、ショーコが立ち上がるのです。
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ショーコはスイちゃんがいじめの復讐の為に能力を使うことに気づき、必死で止めることとします。そんな復讐なんてしても何も楽しくない、もっと楽しいことにこの能力は使うべきだと。

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「じゃあさ 楽しいモノって何?教えてよ」

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「彼氏」

それはショーコが欲しいとずっと思っているものである「彼氏」。スイちゃんの彼氏を能力で作ることが出来れば、例えいじめられていても楽しくなるはずと。その発言を間に受け、スイちゃんは「彼氏」を作り上げることを考え始めます。

これによって、透明な無機物を作り出すところから、透明な意思疎通の出来る人間を作り出す方向に話が大きく切り出されるのが「ブランクスペース」です。


まず設定が面白いですよね。透明なものを作り出せる能力と、それを笠に着てバンバン色んなことやってこうという流れではないというのが非常に上手い。

能力を持っているスイちゃんは本当にただの女子高生であり、精神的に特別強いわけでもなく、それ以外に何か秀でているものを持っているわけではありません。むしろ、人に公表出来ないこの能力を、若干疎ましく思っている節すらあるように見えます。きっと、ショーコとの出会いがなければ次々と新しいものを作ってみるということすらしていなかったでしょう。

そのスイちゃんを大きく動かしてしまったのがショーコなのです。しかも全く悪意は無く、ただ友達になりたい、友達としてこの能力を楽しみたいという気持ちしかありません。能力で自分の利益になるようなことを画策するわけでもありません。そういう意味ではホント純粋よなショーコは。

そんなショーコが、2年生でクラスが別になってしまったスイちゃんの気持ちに気づき、助けてあげようという気持ちが素敵。まあ、いじめから助けるというよりは、スイちゃんの負の感情を和らげる方向で動いているだけと言えばそうなのですが。

とはいえ、話の主軸はあくまでいじめに対する復讐に能力を使うことではなく、「能力によって生まれた透明な人間とは」というところなので、いじめに主眼をおかなくてもよいのでしょう。

考えてみてください、友達が自分には見えない恋人とやり取りしている姿を見ることになるのです。常識で考えるとわけがわかりません。そんな状況になった時、人はどんな反応をしてしまうでしょうか。だけどそれを素直に受け入れるられるのが、やはりショーコならではなのだなと思えるのが良いですよね。

2巻では舞台の「空代市」の話も大きく出てきます。「空代市」は元々「空白市」。空白は透明。空白はブランクスペース。しかも、過去の逸話で「透明な恋人」という話が出てくるという。おそらくスイちゃんの特殊能力も、「空代市」が発現させているものなのだろうと推測させてくれます。

もしかしたら、透明なものというのは強いイメージなだけであり、人の心、妄想空想が生み出した思いの強さのことなのかもしれませんね。

こういうシナリオは非常に好みです。作品としての間の取り方や表現の仕方も抜群で、読んでてグイグイ引き込まれていきます。いじめによってスイちゃんが負の感情を募らせていく描写も丁寧だし、そんなスイちゃんを助けようとするショーコも、ちょっと間が抜けてるところはあるけど素敵。何よりショーコには悪意が無いのがいいなあ。友情に損得なし。グッド。

記事の最初にリンクも貼りましたが、Web版で序盤も読めるので気になる方は是非雰囲気を確認してみてください。これ好きな人には絶対刺さるやつなので。巻数もまだ2巻しか出ておらず、追いかけるのも簡単なので是非是非。今後も期待出来そうな内容となってます。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


 

配信勇者 - 勇者×配信×youtube = 大人気

今の世の中、素人でも一躍有名になれてかつお金も稼げるという夢のような職業のユーチューバー。そんな配信環境に異世界の勇者が挑もうものなら大人気になること受け合い。だって正義の味方でみんなのヒーローの勇者様ですよ。誰もが憧れてレプリカグッズも作られてしまうような勇者様ですよ。勇者様が配信者になるということは毎回100万回再生が確約されたようなものですなあ。

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現実は2桁再生なのですが。

このように現代のトレンドである「異世界」と「youtube」を真っ向から取り入れて美味しいとこ取りしてしまおうというのが「配信勇者」です。もうこの設定が既に面白い、異世界の中世雰囲気に堂々と恥ずかしげもなく現代の機器を取り入れてるのが見事。


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そもそも電力が流通しているのか怪しい世界にこんな最新機器があったり。ビデオカメラなんて4K対応だぞ。

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そして骸骨がノートPCで動画を観る世界観のアンマッチさが素晴らしい。

面白さとはギャップだの裏切りだのアンバランスだのと言われますが、まさにこの設定だけで面白さを生み出していると言えるでしょう。こういうシュールなのツボに入るんですよねえ。理屈で説明出来ないことをさも当然のように振舞って受け入れているのは実に面白い。神罰1.1の時に寿司屋の板前がシスターで鉄火巻きを要求されてやたら極厚のマグロを持ってるシーンとか腹抱えるぐらい笑ってしまったし。

その設定だけでも面白いのに、勇者は(1話の時点で勇者とは言及されていないけれど)視聴数に伸び悩んでいて生活に困窮しているというのがまたいい。相棒の幼女は聖剣の精霊でtwitterやっててフォロワー17人で魔王にフォローされてるとかもうぶっこみすぎ。

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○イッターしてる精霊(幼女)

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「ぜってーころす」ってこれ絶対仲良いでしょ。そのあとの精霊の煽りが某掲示板に毒されすぎてて草だし。


こんなトンデモ設定の「配信勇者」は、如何に視聴者数を伸ばす事が出来るか勇者と精霊が挑んでいくチューバー挑戦系作品です。この設定だけだと十分面白いと思うのだけど、どうにもそこまで振るわなかったみたいなのが惜しい。確かになあ、何が悪いかと言うと勇者のキャラ設定がちょっと弱いのかもなあ。結構気分屋というかめんどくさがりというか、まあその辺が本当に実際にいそうなクズっぽい設定でグッドとも言えないのではないのですが。精霊(幼女)も結構ぶっ飛んでるし。唯一の癒しが2巻から出てくるヘルヘイトちゃんなのがなあ。

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動画初出演するヘルヘイトちゃんの自己紹介 (○Vじゃないよ!)

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インタビューされるヘルヘイトちゃん(A○の冒頭インタビューじゃないよ!)

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ネット弁慶のヘルヘイトちゃん(AVのそういうプレイじゃないよ!)


そんなヘルヘイトちゃんが出てきてくれた2巻ですが、2巻で終わっちゃったのが実に勿体無い。確かに設定の面白さが強すぎて、うまく生かせてなかった感はあるかなあ。人気配信者とガンガン絡みに行くとか同じことやろうとして動画でバッティングするとか魔王側の配信者に割り込んでくとかすればよかったんじゃないかなあ。個人的にはこういうのは凄く好きなんだけどなあ、惜しい。


眠気覚め度 ☆☆☆


配信勇者 1巻 (ブレイドコミックス)
大崎崇人(著), 育朗(著), 大崎崇人(その他)
5つ星のうち3.8
¥564

配信勇者 2巻 (ブレイドコミックス)
大崎崇人(著), 育朗(著)
5つ星のうち4.4
¥594

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