田中一行

ジャンケットバンク 7巻 - 一皮剥けた御手洗くん篇

御手洗くんがオークション行きになりそこから這い上がる「ジャンケットバンク」7巻です。

ホント面白い。ジャンケットバンクはホント面白いよ。いつものごとく、日付が変わると同時にKindle版をDLして読んだのですが、眠気ほぼマックスだったのにも関わらず眠気が覚めて一気に読んでしまいました。まさしくこれぞ眠気が覚める漫画です。

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賭けに負けてキャリア100年の債務を追った御手洗くんは銀行員だけれどもオークション施設に送られます。ここは自分の価値に値段をつけられて、日に日に価値が落ちていく世界。そんな在庫管理と同等の扱いをされる債務者達の行きつく場がオークションなのです。

実はこのオークション、2巻の時点で既に言及されている施設なんです。

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「一週間でオークション行っちゃたもんね」(2巻より)

上記セリフは御手洗くんが特四に配属された時のものです。なので、最初の時点でここまで想定してシナリオは練られていたということでしょう。さすが田中一行先生といったところでしょうか。


オークション施設はさながらカイジの地下強制労働施設の如くでわくわくさせてくれます。自身の落札最低価格の半分までなら自由にお金を使える、それを使って食事をするもよし、着飾ってオークションで売れるように努力するもよし。こういう設定はやはり面白い。

しかしやはり、ジャンケットバンクの良さはそのスピード感です。これだけ大規模なオークション施設という仕掛けを作りつつも、そこの生活にはあまりフォーカスすることなく、オークション施設で行われる一発逆転のギャンブルに御手洗くんが挑戦することとなります。

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それがこの「ザ・ショートホープ」。これまでの真経津が挑戦してきたギャンブルとは難易度が大きく異なり、内容は非常に簡単、他の参加者との駆け引きもほぼ無い、単純明快なものとなっています。

それゆえに、ギャンブルの攻略よりも、オークションまで落ちてきた債務者を見ていくこととそれを通して御手洗くんの成長を描いたものとなっています。なんでも疑り深くなっている御手洗くんがカッコいい7巻です。そしてことごとく裏目に出ていく姿が素敵な7巻でもあります。

そして「ジャンケットバンク」の良いところはやはりそのスピード感。7巻でこのオークションは結末を迎えます。中途半端に8巻へ跨がないのでキリが良くてグッドです。

それにしても、オークションで出てくる債務者達は紛うことなきクズばかりで清々しかったなあw


あと、しばしば御手洗くんの様子を伺うために真経津たちギャンブラーが仲良くキャッキャウフフしてるんですが、あの異常者たちの中で真人間に一番近い獅子神が世話役の苦労人になっているのが本当に面白い。これ獅子神の人気上がりそうだなーw

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獅子神の家で獅子神が人間を使って土下座させてたんじゃないかと推測する真経津たち。全部推測だけでそこまで想像されてはさすがの獅子神も辛いところw


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やってたんだけどねw (1巻より)

読み返すと、獅子神もオークションで債務者を買っていたくだりの説明がありました。なので繰り返しですが当初からしっかりこのオークション設定を構想していたのでしょう。

だとすると、どこまで構想練ってるんだろう。8巻の予告では御手洗くんと真経津が戦うみたいなことになりそうだし、そこまでスピード展開で本当にいいんだろうか。その組み合わせはあるならてっきり最後のバトルになりそうだと思っていたので。


いずれにせよ、相変わらず抜群に面白いです「ジャンケットバンク」。当初から構想されていた設定がバンバン出てくるし、ギャンブラーたちも一回で終わりじゃなくて和気あいあいしてて可愛いし、新刊を読む度に最初から読み直したくなるほどの名作です。絶対的におすすめ。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


3巻までの感想はこちら(大金を持つ銀行は最高の賭場になり得る)
4巻の感想はこちら(まさかの決着方法に脱帽のジャックポットジニー篇完結)
5巻の感想はこちら(閑話休題でも一切手を抜かないギャンブラー達)
6巻の感想はこちら(またもや驚きの結末を迎える「アンハッピー・ホーリーグレイル」戦はこの巻で全て読めます)


ジャンケットバンク 7 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
田中一行(著)
集英社 2022-05-18T00:00:00.000Z
5つ星のうち5.0
¥659




ところで、御手洗くんをギャンブルに誘った特二の朔くんはどういう目的で御手洗くんに接触したんだろう。今後御手洗くんが驚異になるだろうから、確実に始末するために接触した?でもそれならそのまま放っておくだけでも勝手に御手洗くんが自滅してただろうし。

ということは逆で、御手洗くんを評価している人が他にいて、そこの依頼で御手洗くんの成長を促すように接触した?こっちの方がまだ納得できるかな。それがもしかして7巻の結末になっているところの影響なのか?


ジャンケットバンク 6巻 - またもや驚きの結末を迎える「アンハッピー・ホーリーグレイル」戦はこの巻で全て読めます

この巻だけでアンハッピー・ホーリーグレイルのギャンブルが読みきれる「ジャンケットバンク」6巻です。ルール説明から決着まですっきり収まっているのが素晴らしいですね。しかもしっかり次巻への期待も残してくれています。


尚、今回どうしても語りたくなったのでネタバレ記載しています。この記事最下部に注意表示のあとで記載しますので、ネタバレ見たくない方はご注意願います。



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さてさて、満を持して開始された「アンハッピー・ホーリーグレイル」、1/2ライフの戦いであり、ジャンケットとしては御手洗くんがキャリア100年を掛けて対戦相手が死ぬかどうかの戦いでもあります。

「ジャンケットバンク」は既にギャンブラー同士だけの戦いではなく、彼らを手配する銀行員側の戦いが始まっています。チーム真経津and御手洗は、御手洗くんが新人ジャンケットのため常に銀行員の戦いとしては劣勢。そんな状態から成り上がる下克上ものでもあるのです。


そして肝心の対戦方法「アンハッピー・ホーリーグレイル」ですが、、、
正直一回説明聞いただけではよくわかんねえな。。。
というのが最初の率直な感想。


聖杯と聖水を選び合って、毒を相手に飲ませるというのが基本ルールです。

  • 聖杯は本物が1つ、偽者2つの計3つ。本物の聖杯は聖水の質を反転、つまり聖水は毒に、毒は聖水に変化する。
  • 聖水は本物が1つ、毒が2つの計3つ。
  • 互いに聖水側と聖杯側に分かれて、どれが本物か偽者か相手にわからないように配置する。
  • 先手は自分が使う聖杯を選び、相手は敵に飲ませたい聖水を選ぶ。ここでまず最初の駆け引きが発生。
  • 後手は聖杯聖水それぞれ配置そのままで、まず聖杯を選び、敵が聖水を選ぶ。配置は敵が決めてるので、本物偽物の判断はつかない。ここは純粋なギャンブルであれば運の要素が出てくる。
  • 最終的に、より多く聖水を得た方が勝ち。

ということは、基本的には最初の聖杯は本物を選ぶのが確率を考えたら正しい。なので、その裏を読む必要がある。裏の裏の探りあいがこのギャンブルの本質なわけです。


というところまではなんとなくルール説明段階で理解は出来ました。裏の裏みたいな話なので、ちょっと複雑ですね。4巻の「ジャックポット・ジニー」より難解です。


で、読み続けていくと、やはりこの聖杯と聖水の応酬になります。選び方だったり、相手がこれを選ぶだろうと見抜いたり、まあいつもの流れですね。なので、正直なところ「ジャックポット・ジニー」のような退屈さを感じてしまいました。

というのも、いつも通り真経津はずっと相手に読み負けるし、いつも通り御手洗くんは前述したようなこのギャンブルの定石を読者の代わりに語りだしたり、「来いッ!聖水!」みたいに、カイジがワンポーカーをしている時のチャンやマリオのような表現がされます。

なので、うーん、つまらなくはないけど飛びぬけた面白さではないかなーと思っていました。


それが結末に向かうに連れて、大きく変化していきました。

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「君の観測は曇ってきてる 本番はこれからだ」

ここからの流れがですね、はああああああぁぁぁぁぁぁぁ???と思わず唸ってしまうような展開なんですよ。いやいやいやそんなことわかるかあっ!確かに、確かにそういう描写が多かったからそこにはなんかあるんだろうなとは思ったけれども、そういうオチなの!?

というような展開なんです。しかも、ここから更に発展するんです。

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「全部わかったところで 仕切り直して遊ぼう」

ここから決着に向かう流れが、今までのギャンブルからは想像も出来ない結末過ぎて、また度肝を抜かれたのです。こんな結末誰も予想出来んって。もう田中一行の手のひらの上ですよ。手のひらくるくるですよホント。この話の作り方は脱帽だわ、凄すぎる。

ただ、これ賛否両論ありそうな決着とも言えます。うーん、自分は好きですけどね。だけどちょっと行き過ぎてるのかなという感じは受けます。


そしてまた、この結末を知ったあとで最初から「アンハッピー・ホーリーグレイル」を読み直すと、最初から全部そういう方向に持ってってるんですよ真経津が。全てはそこに向けて計画された結末になってるんです。ぶれずにそこまで描ききるのはホントすごい。

しかしどうなんだろうな、これ連載だと途中のやり取りにだれるとかあるんじゃないかな。決着のカタルシスを重視するあまり、過程がちょっとおろそか、というか不自然に真経津がやられすぎてるもしくは喋らなさ過ぎてる気がします。相手の叶黎明が喋りすぎなところもあるけど。


何にせよ、6巻も面白かったですし、7巻以降の展開がどうなるのかもまだまだ楽しみですね。超絶期待します。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


3巻までの感想はこちら(大金を持つ銀行は最高の賭場になり得る)
4巻の感想はこちら(まさかの決着方法に脱帽のジャックポットジニー篇完結)
5巻の感想はこちら(閑話休題でも一切手を抜かないギャンブラー達)
7巻の感想はこちら(一皮剥けた御手洗くん篇)


ジャンケットバンク 6 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
田中一行(著)
集英社 2022-02-18T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.5
¥659









ここからネタバレ含む感想となります。













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ジャンケットバンク 5巻 - 閑話休題でも一切手を抜かないギャンブラー達

個人的最高峰ギャンブル漫画「ジャンケットバンク」の5巻が早くも発売されました。

前巻4巻のジャックポットジニーが決着したあとからのお話となります。しかし、ジャックポットジニーは実はまだ勝負は決まっておらず、雛形の死亡待ちの状態です。その間、真経津は新しい勝負が出来ないという説明から始まります。

そこで閑話休題、真経津は次の遊びを探して、学生がイカサマをして執拗に設けている賭場へ潜入するのが、この5巻のメインとなります。


そこで登場する悪質イカサマギャンブラーが京極学くん。なんとこの学生、あの関谷仁の一番弟子なのです!!
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あの関谷仁の!
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あの関谷仁の!!
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あの関谷仁の!!!
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あの一番最初に真経津にメタメタにやられた関谷仁の一番弟子なのです!!!
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もうこの話の流れの時点で既に真経津にとっては単なるお遊びのギャンブルだということがわかりますねえ。いいんです、たまには生死が掛かっていないようなギャンブルがあっても。こういう気楽な、如何にイカサマギャンブラーを陥れるかの話もアクセントとして非常に重要なわけです。

感覚的には、「エンバンメイズ」3巻で出てきたゴードーたちを思い出しました。
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「エンバンメイズ」3巻より。このあと烏丸を罠に掛けようとしてメタメタにやられます。この話は何よりもゴードーくんのいつまでも続くしてやったり感と、それを踏まえての烏丸のいなし方が本当に面白かった。

「エンバンメイズ」の彼らはそのあと烏丸たちと仲良くなって話に絡んできたのがまた良かったんですよね。良いキャラしてて、それまで足りなかったお調子者枠を埋める形で。

しかし、「ジャンケットバンク」5巻の京極たちはただただ真経津の踏み台にされたところがちょっと可哀相かなと思ったり。


そしてこの学生イカサマ師の勝負に、なんと過去に戦った彼らが参戦するのが最大の見所だったりします。

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サウンドオブサイレンスで死んだと思っていた村雨さんの再登場。
4リンクにいることがおかしいと揶揄されるほど頭がおかしい村雨さんですね。借金を返してくれない人の身体を解剖して、身体の中から誠実さを捜し求める純然たるキ○ガイです。


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気分屋ルーシーで手を貫かれながら、ただただ真経津にはめられた獅子神くん
序盤で真経津に負けた獅子神くんといえど、ランクは4リンクなわけですから、当然関谷仁の一番弟子など足元にすら及ばず。

彼ら3人がギャンブラーとしての格の違いをまざまざと見せていくのがこの5巻の見所です。

最後の決着も「エンバンメイズ」で見たことがあるような要素を見せてくれて、「エンバンメイズ」の面白いところを「ジャンケットバンク」でも表現してくれたのかなと思ってしまうくらいです。

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徹底的に追い込む村雨さんカッコいいなー。あんなキ○ガイで敵に回したら嫌なやつだったのに、味方にしたらなんと頼もしいことか。

というか、村雨さんはともかく、獅子神くんは真経津戦でほとんど見せ所がなかったのに、今回の動きで一気に評判を挽回するほどの活躍を見せました。こうやって出てくるなら正直今後も再戦してほしかったり。

あと妙にこの3人が仲良くなっていくのがまた見ものです。変人同士は変人同士でつるむとはまさにこのことではないのか。


と、ギャンブラーサイドはお遊び要素満載のお話でした。一方、銀行サイドの御手洗くんがとんでもないことになっていきます。

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「真経津さんが死ぬ時に嘲笑なんて必要ない」

ジャックポットジニーの雛形の死が見世物になっていることに憤る御手洗くん。見世物を運営しているのは特5であるので、それをどうにかするために宇佐美主任を課長へ昇進させるべく、他の主任を倒す発言をします。

しかし、主任解任権はキャリア100年。それを実現するためには、自らの命を賭してでもキャリアを稼ぐことを決意していきます。

3巻までの感想でも少し言及したのですが、「ジャンケットバンク」はギャンブラーサイドだけでなく、銀行員サイドも狂っているのが特徴です。そこには実は理性的な人物などいなく、彼らが全て行き着くのは破滅なのです。その為に、彼らはギャンブルに身を投じているのです。

元より狂っているギャンブラーサイドに対して、御手洗くんは特四に入るまではまだ正常な人間でした。しかし銀行員としての退屈さを感じ、真経津という男をその目で見てしまい、既に真経津というギャンブラーの行く末を見届けることが目的になっています。ギャンブラーに魅せられた者としてまた、狂い始めているのです。

そうして、御手洗くんもまた、真経津と共にギャンブルの闇に浸透していくのでしょう。ということは、今後は闇に落ちた御手洗くんの覚悟が見れそうでますます楽しみですね。


5巻は閑話休題の愉快なお話と、次の戦いが始まる直前までの描写となりました。6巻から、また新たな命を賭けた戦いが見れることでしょう。次巻も楽しみです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


3巻までの感想はこちら(大金を持つ銀行は最高の賭場になり得る)
4巻の感想はこちら(まさかの決着方法に脱帽のジャックポットジニー篇完結)
6巻の感想はこちら(またもや驚きの結末を迎える「アンハッピー・ホーリーグレイル」戦はこの巻で全て読めます)
7巻の感想はこちら(一皮剥けた御手洗くん篇)






 

ジャンケットバンク 4巻 - まさかの決着方法に脱帽のジャックポットジニー篇完結

続刊が楽しみで仕方なかった「ジャンケットバンク」の4巻です。

やはり面白い。発売日に日付が変わったと同時に電子版が配信され、寝る前に少し読もうと思ったらまずジャックポットジニーのルール等を思い出す為に3巻を読み直し、3巻を読み直してたらサウンドオブサイレンスの話を読み直したくなりもう一度読んで、おまけにジャックポットジニーの話を2回繰り返して読んでしまったので一気に睡眠不足となりました。

4巻はジャックポットジニーの決着までが収録されています。意外と珍しいですね、次の巻へ引きをつないだりしないケースは。なので、初めて読む人も4巻まで読めばキリよく読めます。たった4巻なのでお買い得!

さてさて、そのジャックポットジニーのお話です。正直読んでる最中はそこまで面白い駆け引きでも無いなと思っていました。ただとにかく、最終結果が全く想像していなかったことであるのが凄かったです。その為にすぐ2回目を読み直してしまいました。

ジャックポットジニーのルール自体は単純明快。6枚のカードを出し合ってお互いの金貨を増やし奪い合い、最終的に金貨の総量が多いほうの勝ちです。
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6枚の内訳は以下のとおり
  • 4枚存在する金貨のカードは手持ちの金貨を4倍にする
  • 1枚存在する盗賊のカードは相手の金貨を50%奪う
  • 1枚存在する魔人のカードは相手が盗賊のカードを出した時だけ、相手の金貨を90%奪う
この6枚をEカードのように1枚ずつ出し合い、これを3セット実行した時の金貨総量で決着が付きます。もしくは、対戦相手が死亡したら当然生き残った方の勝利です。

また、敗者は手持ちの金貨を頭上から全て被ることになります。単純に金貨のやり取りがなくても、1枚スタートの4の12乗で1667万7216枚の金貨が降り注ぎます。まさしく絶対絶命。

と、このようなルールですが、90%の手札がある時点で3ラウンド目にそれを実行出来れば勝ちなわけじゃないですか。なので最終的にそれをどうやって引き出すかの駆け引きになると予想していたのです。

そして真経津は対戦相手の雛形に一方的に負け進みます。見る見るうちに溜まっていく雛形の金貨に対して、御手洗くんは「このラウンドで魔人を当てられないと差は開く一方だ」だとか一生懸命「今回の手札はこうだからこの形にしないと真経津は勝てない!」とか解説ばかりします。まるでカイジのよう。

読んでるこちらとしては、いやいや、魔人を当てるかどうかのゲームでしょこれ、という気持ちで読んでいたので、この解説が凄く滑稽に見えてしまって。だからそんなに面白くないなと思って読んでしまったんですよ。

しかし途中から、真経津が明言していくのです。「殺す」と。
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「ボクは君を殺すよ」

これがどうもずっと噛み合わなくて。敗者には持ち金貨が降り注ぐわけで、最後の最後に90%も奪ったら殺すまで至らないのかなと。怪我で済むとかなんじゃないの?と。そうなってくると、90%奪うのではなく、50%を奪ってギリギリ辛勝を狙ってるのかなとも思い始めるわけです。

そんな中、対戦相手の雛形も良い顔してくれるのです。
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気持ち悪いなこの顔w

この雛形も生粋のギャンブラー。特に相手が負ける姿に喜びを見出す、金ではなく自分の心を楽しませるために相手を破壊することが出来る異常者。そういえば田中一行が描くキャラって、金なんて二の次で自信過剰で相手を痛めつけて快感得るキャラばかりだな。だからこそ人間臭くていいのだけど。

そんな雛形と勝負を続けていきます。しかしなんと第2ラウンドも完敗。取り得る限り最大の金貨を雛形に支配されることに。読んでる身としては50%か90%の決着だろうと思っていたので、予定調和だなというところでした。

そして最後の第3ラウンドです。最後の最後で大どんでん返し。負けたら死ぬ勝負なので真経津が負けないのはわかってるのですが、その勝ち方がちょっと予想出来ないもの過ぎて。作中でも真経津以外が全員唖然となっていて全て真経津の掌で転がされていた状態でしたし、読んでるこちらもそんな状態になりました。

いやいや、あんなのホント想像つかんて。で、1回読んだ後にもう一回やり取りを全部読み直すと、真経津は終始一貫してそこに向けて勝負しているのがありありとわかるのです。ホントこの流れが面白い。「エンバンメイズ」でも似たような快感を何度も得ましたが、「ジャンケットバンク」でも同様の快感を与えてくれる田中一行先生は名手ですね。天才の領域。

さすがにネタバレしては読む人の面白さを損ねてしまいますから何も結果は書けないところですが、ヒントだけ出しておきます。
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「なんで勝利条件に「対戦相手の死亡」なんて入ってる?」

そもそもこの「対戦相手の死亡」は、サウンドオブサイレンスでも似たようなことを言っていたし、「エンバンメイズ」でも同じ表現が毎度出てたのでサラッとスルーしていました。だとしても、この台詞だけでは決着方法の推測は難しいはず。それくらい度肝を抜かれました。

いやホント面白いなあ「ジャンケットバンク」は。「エンバンメイズ」が大好きだったので似たような話をずっと描いて欲しかったのですよ。それがこんな形で叶うなんて。しかもグフタからヤンジャンに移ったことでさらに注目浴びるだろうし、もっともっと人気が出て欲しいところです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


3巻までの感想はこちら(大金を持つ銀行は最高の賭場になり得る)
5巻の感想はこちら(閑話休題でも一切手を抜かないギャンブラー達)
6巻の感想はこちら(またもや驚きの結末を迎える「アンハッピー・ホーリーグレイル」戦はこの巻で全て読めます)
7巻の感想はこちら(一皮剥けた御手洗くん篇)


 

ジャンケットバンク - 大金を持つ銀行は最高の賭場になり得る

2021/05/19に第3巻が発売されました「ジャンケットバンク」。
私が全力で推している「エンバンメイズ」の作者、田中一行の新作となります。
掲載誌は講談社から集英社のヤングジャンプに移ったものの、内容はエンバンメイズを大いに継承しているかのような他に類を見ないギャンブル勝負となっています。


カラス銀行中央支店勤続2年目「御手洗 」は異動命令が下されて「特別業務部審査課」通称”特四”に配属されます。当日に案内された先はどこかというと、、、
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厳重にロックされた銀行の地下深くへ潜り込んでいくことになるのです。
下りていくその先には、
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開かれたギャンブル場が存在していました。

そう、大金を抱える銀行ならではの銀行賭博が繰り広げられています。
"特四"とは彼らのギャンブルを公正中立に審査し、確実な取立てをする特殊な課なのです。
この設定だけでいうと、「エンバンメイズ」のヤクザが取り仕切るダーツ賭場とあまり代わり映えはしていない感じですね。エンバンメイズもヤクザならではの確実に取り立てるというスタイルだったし。


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公平中立、それが一番大事。

そんな設定なのでまあギャンブル漫画よろしくで負けたものは自分の金歯を買い取ってもらおうとしたり、目を指差して札束をちらつかせたり血生臭い表現もあるわけです。
ただこの作品はカイジのようにどこにでもいそうな素人がギリギリの戦いをしていくものではなく、ある超人的な主人公の活躍を追いかけるものとなっています。

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その主人公が「真経津 」。この銀行賭博に来て日が浅い彼と御手洗が出会うところから物語は始まるわけです。

この真経津がもう超人的。全然隙を見せなくて、ひたすらにギャンブルセンスがよくて、毎回最後にはギャンブルに勝利していきます。
なので、基本的には新しいギャンブルに対して真経津がどうやって勝つのかを読み進めるものなんです。この形は「エンバンメイズ」も同様で、あちらも主人公の烏丸が超人で全然隙を見せなくて勝負センスが良くてどんな勝ち方をするんだろうというのがメインでした。
ということは、「エンバンメイズ」が好きなら「ジャンケットバンク」も好きにならないはずがなく。

クセとかも真経津と烏丸で似たようなイメージ持てるように作ってるんですよね。
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ジャンケットバンク:真経津がルールを聞いて理解する時のクセ


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エンバンメイズ:烏丸がルールを聞いて理解する時のクセ

前からずっとこの「びびびびびびびび」が好きだというのは言っていたのですが、それと同じような「トントントントントン」があるだけでもう垂涎です。



おまけにトドメのキメ台詞もお互い持っていたり。
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ジャンケットバンク:「鏡の中に君を助ける答えはない」


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エンバンメイズ:「そこが行き止まり(デッドエンド)だ」


正直烏丸の方がまだまだカッコいいなという感想は置いておいて、やはりジャンケットバンク自身がエンバンメイズを意識した作りをしているのだと思います。エンバンメイズ面白かったもんなあ。あれがたった6巻で終わったのはいまだに信じられない。

そんなジャンケットバンクの真経津なのですが、先に書いてしまったように個人的にはまだキャラが弱いかなと思ったりします。というのも、エンバンメイズの烏丸と比較してしまうとどうしても個性が弱いというか。真経津がまだ無名のギャンブラーであることに対して、烏丸は迷路の悪魔という異名を持つ強者として最初から描かれていたのがまず大きいのかなと。
加えて、真経津は基本大人しいのがなあ。烏丸が割りとお調子者で熱に上がりやすくだけど最後は冷静に勝利するというスタイルだったのでちょっとキャラが弱いのかも?比較してしまっては駄目かもしれないですが。


とはいえ、エンバンメイズをなぞるだけの作品では当然ありません。その差として大きいのが冒頭の御手洗の存在です。真経津が感情の起伏に乏しく大人しいのに対して、御手洗が感情を出して驚いたり焦ったりとドキドキハラハラ感を演出していきます。しかもグッドなのが、この御手洗もギャンブルに関わるべくして狂っているのがたまらんのですよ。
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田中一行が描く作品は通常時と違う、ここぞという時の絵が抜群に破壊力あっていいですなあ。その表情からどんな心境なのか読み取れるのがすごく素敵。エンバンメイズのびびびびびも大好きだけどこの御手洗くんの顔もホント素敵。人目で狂ってるのがわかってホント素敵。


というわけで、エンバンメイズと大きく異なるのは、ジャンケットバンクは御手洗と真経津のバディ物だったということだったのです。これは3巻で明確になりました。
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真経津が次のギャンブルをするためには、担当となった御手洗くんが他のギャンブラー担当を持つ担当員と直接交渉してまず勝負を成立しなければなりません。すなわち画像の通り、ギャンブラーではなく担当行員がギャンブルの場を設けなければならないのです。

そして実は、この銀行内でのやり取りというのがジャンケットバンクの真髄なのです。
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銀行内の"特四"では無能を排除するためのシステムとして「勤続年数(キャリア)」を通貨としてやり取り出切ることとしています。これを交渉に用いて勤続年数を稼げば、それが正当な評価となるのです。
この建前として「年功序列を重んじて、その勤続年数自体を評価に繋げる」という発想が実に面白くて上手い。ギャンブラーは金で自分の立場を、銀行員は勤続年数で自分の立場を確立するのですな。

そして前述の通り、担当行員は他の行員とギャンブルの場を設けなければ、ギャンブラー自身はギャンブルすら出来ません。そしてギャンブルの場を設けるためにはこの勤続年数を支払う必要があるということです。
つまり、御手洗くんが真経津にギャンブルをしてもらって最終的に盛大に負けてもらうためには、御手洗くん自身が銀行内で成り上がらなければならない、これが面白い。
正直、ギャンブルそのものよりもこっちのやり取りや紆余曲折の方がずっと面白いと思ってしまっています。その辺り、正式に配属されてチームメンバとのやり取りが2巻で始まるのですが、もう熾烈苛烈でたまらんのですわ。


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先輩からの先制攻撃。配属初日の仕事に必要な情報を勤続年数3ヶ月分で売ってくれるゾ!

この御手洗サイドの話もあるのがエンバンメイズと大きく異なる点なのです。正直御手洗側のテーマだけで別の作品描けるんじゃないかというくらいこの設定がしっかりしてます。
しかも御手洗くんは配属新人の立場で疑問点ばかりの読者と同じ目線で進むので実に読みやすい。そこから御手洗くんの手腕であれやこれやと成り上がっていくのもまた爽快。ジャンケットバンクはギャンブル描写中心ですが、それを裏打ちした面白さというのはこの銀行員である御手洗サイドにあるのではないかと思うわけです。


というわけで、ただのギャンブル漫画と思いきや金だけではなく勤続年数もギャンブルになり得るジャンケットバンクはまだまだこの先も楽しみです。3巻でいよいよ銀行内の派閥争いみたいなものも開始されたし、ギャンブラーのレベルも上がっていってこの先どんなギャンブルが行われていくのかも大いに楽しみです。次巻も待ち遠しい!

エンバンメイズは6巻で終わっちゃったし、概念ドロボウも3巻で終わってしまったのでジャンケットバンクは長く続いてほしいところ。ヤンジャンでやってるからもっと日の目浴びて人気出ていいと思うんだけど、どうなんでしょ。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


4巻の感想はこちら(まさかの決着方法に脱帽のジャックポットジニー篇完結)
5巻の感想はこちら(閑話休題でも一切手を抜かないギャンブラー達)
6巻の感想はこちら(またもや驚きの結末を迎える「アンハッピー・ホーリーグレイル」戦はこの巻で全て読めます)
7巻の感想はこちら(一皮剥けた御手洗くん篇)












おまけ:この御手洗くん最高の顔してる。
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