2つの話が平行して展開するも関連性がなかなかはっきりとせず伏線ばかりが続いている「天国大魔境」7巻です。7巻は大きく話が展開するも、伏線はほとんど回収されません。しかし少しずつ匂わせが出てきます。

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「地獄の夢と書いて地獄夢(ヘルム)。」

これ、7巻で出てきた女の子の名前なのですが、ネーミングセンスは石黒正数節という感じしますなあ。


最初の文に書いた通り、7巻も伏線回収はされません。伏線の匂わせがあるくらいです。「天国大魔境」って最初からずっとこんな感じで話が続いています。一体いつになったら伏線回収されて色々な事象が線でつながるカタルシスを味わえるのでしょうか。ちょっと引っ張り過ぎだよなあ。

それでいて不思議なのが、伏線ばかりなのに読んでる間自体はそこそこ面白いんですよ。だからまだ読み続けられてます。

1話の中にキルコたちの話とトキオたちの話がいきなり切り替わったりするので普通はわけわからんって投げ出すことになると思うんだけど、何故かそのまま読んでしまいます。それぞれの話がしっかりしているのと、話の切り替えポイントがさり気なく読みやすい構成になってるのでしょう。これがいわゆる漫画の上手さというものなのかも。


で、伏線がーとかでも読めるーとか考えてて思ったのが、この作品構成手法って浦沢直樹に似てると思ったのです。

「モンスター」も「20世紀少年」もずっと伏線が張られて風呂敷が広がり続け、なかなか回収しないことで有名です。ただ、そういう文句が上げられ続けても、一定数の読者はついていけたという事実があります。かくいう私自身がそうです。

そこで思い返してみると、これらの浦沢直樹の作品って、話全体はよくわからなくても単話だったりその巻だけだったりで読み進めるときちんと面白さがあったと思うんです。だからなんだかんだ文句言いながらも最後まで読み続けられたのではないかと。(「21世紀少年」はさすがにきつかった記憶が。。。)

最近だとスピリッツで連載してるんだかよくわからない「あさドラ!」にも同じ印象を持っています。複数の話が平行して進んでいて、結局何の話をしたいのかよくわからないのだけども、それぞれで読む分にはそれなりに面白いんです。不思議。

なので、この浦沢直樹作品の構成に似ているのが「天国大魔境」ではないかと。これを浦沢直樹症候群と読んでも差し支えないでしょう。もしかすると石黒正数先生は浦沢直樹を目指しているのでしょうか?正直それはやめたほうが。。。


というわけで「天国大魔境」は話は進んでいるものの全然収束に向かいません。だけど読むと面白いので、この感じでおそらく最後まで向かうのでしょう。その最後も全く見えてないのがちょっとキツいかなあ。

平行して「木曜日のフルット」も連載されているので、「それ町」のギャグ分はそっちに割いてる感じなのかなあ。「それ町」から入った自分としては少し寂しい。


眠気覚め度 ☆☆☆


天国大魔境(7) (アフタヌーンコミックス)
石黒正数(著)
講談社 2022-03-23T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.5
¥715


木曜日のフルット(1) (少年チャンピオン・コミックス)
石黒正数(著)
秋田書店 2010-10-08T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.5
¥396


MONSTER 完全版 デジタルVer.(1) (ビッグコミックス)
浦沢直樹(著)
小学館 1995-06-30T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.6
¥770