ふしぎの国のバード 9巻 - 好奇心と探究心旺盛のイザベラバードが函館に降り立つ

イザベラバードの「日本奥地奇行」をベースに繰り広げられる偉人物語「ふしぎの国のバード」9巻です。

1巻の頃からずっとファンなのです。偉人物語をこれだけ丁寧に入念に描写しているものが、面白くないはずがありません。面白さ絶対保証。

舞台は1878年、明治政府が始まり文明開化した直後の日本です。この日本を、横浜から出発し、北海道のアイヌ文化に触れていくのがバードの目的となります。そこに至るまでの道のり、旅程の苦労や現地の村人たちとの交流や風習に触れていくのが本当に面白い作品となっています。

何よりも、風習に触れれば常に文化考察を始めるバードさんがカッコいい。まさに学者。自分の足で情報を集め、集めた情報を分析し、考察を深める。これほどまでに旅を楽しめる人間などいないのではないかと感心するほどです。

20220214_000
「何故大切な儀式には必ず 文明の主食が用いられるのかしら……?」

バードさんの学者としての好奇心、考察は大変な目にあった9巻でも相変わらず発揮されます。このどんな事態にもへこたれない、なんでも楽しみに変えてしまうバードさんが本当に素敵で読んでて健やかな気持ちになれるのです。

道中はそれはもう本当にひどい目にあっています。虫だらけで雨漏りだらけの宿に止まったり、皮膚病が蔓延している奥地の村で一泊したり。そこで薬を提供したら村中の人間が医者が来たと集まり始めたり。

そんな目にあっても、持ち前の元気と好奇心で乗り越えていく。そんなイザベラバードの人柄がもの凄く丁寧に描写されているのが特徴です。へこたれない人間の前向きな物語というのはやはり良いものですなあ。


従者の伊藤鶴吉もまた、一癖も二癖もあっていいのですよ。文明開化に乗り遅れている地方村の住人たちを蔑んだり、冷たい態度を取ったりする一方で、甘いものに目がなくて暇さえあればお菓子を漁っている姿とか。

何より仕事とはいえ、バードさんを献身的にお世話する姿が甲斐甲斐しくて。粗食が合わず肉や魚が食べたいと言い出すバードさんに自分で料理を振舞ったり、夜な夜な覚えた按摩でバードさんの身体を気遣ってあげたりと、ぶっきらぼうな態度の裏側が垣間見えて本当にいいんですよこれが。


そんな二人の珍道中、村々の風習に触れていく姿が本当に面白い。読んだことがない人には絶対オススメ出来る作品です。


9巻では青森に向かう途中で土砂崩れに巻き込まれて孤立村に閉じ込められたり、そこで怪我をした村人達を助けて、村の文化に触れたりとまたまた大変な目にあっています。

そんな状況でも考察を続けるバードさん。土砂崩れで犠牲者が出ても、「山の恵みで生活が出来ているのに、たまに発生する山の怒りを嘆くなどとんでもない」という村人の思いに日本文化のなんたるかを考えます。


20220214_003
「ずっと考えていたの この国の文明の深淵」

こうして、これまで出会ってきて実際に触れた日本地方の文化について考察を巡らせます。

「識字率が高いのは紙の生産量が多いからでしょう」
「製紙技術が高いのは水も土壌も豊かで原料が潤沢だから」
「そして自然が強いからこそ 厄災も滅びも日常の中にある」
「生活も文化も技術も世界観も 文明のあまねく万象が 気候風土の奥深くに起源をもっているんじゃないかしら」


20220214_002
「興味深いわ……」


この考察の流れ全てが、これまでの道中で出会ってきたことに端を発しているのです。ここまで読んできた読者なら、全ての場面を見てきたことがわかる表現と共に、この考察が語られます。さながら東日本縦断の集大成です。

そんな強い思いを持ったバードさんだからこそ、強い好奇心で真摯に立ち向かうバードさんだからこそ、この物語はこれほどまでに面白いのだなと実感する次第です。

現代人の我々にとっても、明治初期の日本奥地の人々の生活など知る由もなく、こうして得られる歴史知識が外国人の残した資料であるというのがまた感慨深いところがあります。外国人だからこそ得られる正確な記録とも言えるでしょう。やっぱり歴史を知ることは面白い、歴史大好き。


そして物語は紆余曲折あって遂に函館まで辿り着きます。1878年の函館です。既にほぼ旅の終着点ですね。このあと平取まで進んで、アイヌと交流する旅程です。

20220214_001

これまでは会津道を通って新潟経由で青森まで来ています。そこまでの旅程も非常に楽しめて読めましたが、この先の展開もまだまだ楽しみがありそうです。本当に続きが早く読みたい。待ちきれない。


抜群に面白いので、是非ともみなさま読んでみてください。



眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


ふしぎの国のバード 9巻 (HARTA COMIX)
佐々 大河(著)
KADOKAWA 2022-02-14T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥673

 

鍋に弾丸を受けながら - 危険なところに美味いものありは心理だと思う

世界各地の危険なところへ行って現地の美味いものを喰いまくる「鍋に弾丸を受けながら」です。これは「ざつ旅」の20倍旅欲を刺激されます。怖くて行けないけど。


20220125_000
「治安の悪い場所の料理は美味い そう思いませんか?」


そんなフリから始まり、いつのまにかメキシコでマフィアの拷問焼きを見つめている「鍋に弾丸を受けながら」です。


20220125_001


これが本当に人間を焼いているのか、ただ単に料理をしているのかは正直判断出来ませんが、メキシコならありうるのが臨場感をもたらしています。人間を焼きながら一緒に食べる肉を焼いてるとか普通にありそう。


20220125_002
出来上がるのは「マフィアの拷問焼き(ロモアールトラボ)」。牛肉まるごとを布に包んでじっくり焼くだけのバーベキュー料理でした。本当に牛肉だよね?人間の足じゃないよね?

そもそもこの「マフィアの拷問焼き」はメキシカンマフィアの伝統的な処刑方法を踏襲したものとのこと。服を着たまま焚き火にぶちこまれる人間は、服のせいですぐに肌が焼けず長く苦しむことから発案されました。この一気に焼けずにじっくりと火を通すところからこの焼き方が発明されたのですね、なるほどなあ。

食感はローストビーフではなくステーキのレア箇所に近いようで、これは是非とも食してみたいところ。バーベキューの際に作ったら盛り上がりそうですね。


真面目な食レポみたいになってしまいましたが、これはメキシコの僻地で行っていることです。しかもマフィア自身もしくはマフィアに近い人たちに振舞ってもらっている料理です。このような危険な土地でその地だけで食べられるものを次々と食べていくのが「鍋に弾丸を受けながら」なのです。

そうです、なので実際にこういう状況なのです。
20220125_003
このようなマフィアそのもの、もしくはマフィアまがいの連中と、肉の丸焼きを見つめ合っているわけです。


しかしこの作品、このような恐ろしい光景を以下のように書き換えてしまっています。
20220125_004




???




そうなのです、何故か全て二次元の美少女に変換されてしまうのです。このとんでもない力技、この如何にもな人気取りのための美少女化、まさしく漫画表現です。しかも丁寧に作中でその理論を解説してくれます。


20220125_005
「私の脳は長年に亘る二次元の過剰摂取で壊れてしまっている  だから私の五感を通して観測するこの世界には基本的に美少女しかいない」


とんでもないこと言い出したなというのが率直な感想です。数多の作品で美少女が出てくるものは数あれど、作品内でわざわざその言い訳を説明するのは初めて見ました。そんなこと宣言しなくても読者はわかってるんやで。。。という気持ちと共に、ページをめくると実にこの1巻で3回はその説明がされるのでした。

いや正直、最初読んだ時点で何故か美少女相手の三人称が「彼」だったので、あれ?と思って読み進めてたんです。するとこの種明かし。なんじゃそりゃと。そこまでするなら、三人称も全部美少女にしてしまえばいいのにとか、いやいやそれよりもごつい男たちが作って食べる料理が良いんじゃないかとも思いました。

しかし、1巻を読み終えるとこの美少女がすごくしっくりきますね。見事にこの作戦にはまってしまった。美少女の裏で、これゴツイ男のやり取りなんだよなとか考えるとほくそ笑んでしまう。


このような設定展開に驚かされてしまいましたが、実際中身は異国の地を解説したりその地ならではの食べ物が出てきたりで非常に旅欲を刺激させられます。下手な旅行漫画やグルメ雑誌よりもよっぽど幸かあるんじゃないだろうかこれ。

特にブラジルのアマゾナスで食べられる、フルーツというのがもの凄く魅力的でこれは是非とも体験したいと思うほどです。現地に行ったら現地のもの、地産地消っていいですよね。とか言いながら中国ではマック行ったりバーガーキング行ったりしましたけれども。現地のものも沢山食べたからいいのだ。


そんな感じで、ネタかと思いきや非常に旅の追体験に適している「鍋に弾丸を受けながら」でした。これ原作者が釣り好きが高じて本当に現地行って体験したことって言ってるけどどこまで本当なんだろう。やってる人がいるならば自分でもやれそうな気がするなあ。



眠気覚め度 ☆☆☆☆


鍋に弾丸を受けながら 1 (カドカワデジタルコミックス)
森山 慎(著), 青木 潤太朗(その他)
KADOKAWA 2022-01-08T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.9
¥832


ざつ旅-That's Journey- 1 (電撃コミックスNEXT)
石坂 ケンタ(著)
KADOKAWA 2019-09-27T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.4
¥644


 
今のイチオシ!
ちょっと前のイチオシ!!
結構前のイチオシ!!
それなりに前のイチオシ!!
スピリットサークル完結!!
タイムリープサスペンス!!
ゲームとギャグが好きなら!
漫画もいいけど山賊もね!
記事検索
応援してますその2
応援してますその5
Twitter
日々読んだ漫画の感想を中心に記事を更新しています。記事更新と同期していますので、漫画の感想情報を見逃したくない方はフォローお願いします!
メッセージ

名前
メール
本文
「眠気が覚める面白さを求めて」は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。
  • ライブドアブログ