人間臭い

ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 5巻 - とにかく笑える内容盛り沢山

「ハコヅメ」逆うち感想5巻編、今回入れてあと5回で完了となります。なんとか新刊が出る前に走りきりたい。

5巻の最初は「制服の作用・副作用」。夏祭り警備回です。このあたりから聖子ちゃんの過去恋愛観だったり恋人が出来ない理由が徐々に明確になってきたりします。
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「そうなの…理由はわからないけど」(いや 理由はわかる…)

聖子ちゃんは強く生きていけるよホント、独りで大丈夫。



次は「睨む大捜査線」。「ハコヅメ」お得意鉄板の性犯罪回です。ゲッラゲラ笑いました。ドラマ版でもハードボイルドのところしっかりやってましたね、もの凄く真面目な顔でパンティ連呼するやつ。
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「筋読み…?」「どこの署にもなぜか一人はいる 聞いたことない性的嗜好や 見たことない性具から 犯人像を予想するのが得意な人よ」


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「ちなみに「筋読み」が捜査に役立てられることはほぼないわ」「それじゃあただのムダなおしゃべり…」


このくだりが本当に面白くて面白くてwww そのあとの「パンティ」発言に対して源と山田が「ショーツ…?初めて聞いた」って言うところも好きw

そのあとの現行犯が出てきたところで、署員総出で逮捕に向かったと思いきや「俺たちはただ…その変態を生で見たいだけだ」発言をしたり、究極は宮原部長のこの言葉。
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「牧高が「キンタマ」っつったよな!?」

最初から最後まで本当に笑いの止まらない最高の話でした。


次いで「涙は女の手榴弾」。最近めっきり登場しなくなってしまった咲ちゃんが刑事課長に直談判する会です。この回は源のサイコっぷりが光る回でもありました。ちょっと食べてみてって食べさせながら「よく わからないモノ口にしちゃダメだよ 赤ちゃんじゃないんだから」とのたまう姿はサイコ以外の何者でもないでしょう。
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ここの直談判、咲ちゃんには相当勇気がいる行動でしょうに。というかここの刑事課長の態度が怖い怖い。こういう人は確かにいるけど、おっそろしいわねこりゃ。



続いて「世紀の小芝居」のお話。珍しく聖子ちゃんが風邪でダウンしたと思いきや、源と山田が酔っ払いの見た目は男性別は女の対処に苦慮するお話です。そして川合牧高カナトリオが絶妙に活躍する回とも言えます。
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このあたりから聖子ちゃんと源の妙な関係が見え隠れしますね。



次は「継続は微力なり」の、敷根が悪質な職質でとことん署内メンバからボコボコにされる回です。職質の話はどんな人に声を掛けるのかや、ただ人を見るだけでもこれだけ推測が可能であるということを教えてくれて非常に勉強になります。このスキル磨けば街中の人間を観察してるだけで一日過ごせるくらい楽しめるかも。

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「那須部長っぽい人が通りを歩いてたらどうします?」「別に?何も?」「なんでも声かけすりゃいいってモンじゃないんだよ」


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「副署長っぽい人が通りを歩いてたらどうします?」「あの人スルーした警察官はクビにしていい」「持ち物全部確認するまで帰さない」

この流れよw ここがホント笑ってしまったw このあたりがもの凄く「ハコヅメ」に引き込まれた原因かもしれませんwww



お次は「強き者の苦悩」、川合の警察学校時代の教官である葵さんと、川合と聖子ちゃんが飲みに行く話ですね。これで読み取れるのが警察の超上下社会という風習。普段は川合や山田や源と触れることが多いせいかあまり見ることはない、聖子ちゃんの目上への対応が見れます。

話の中身は警察官の恋愛観結婚観です。周りのゴリラがイケメンに見えてしまうことがあるという。このあたりの警察官ならではの恋愛観はよく「ハコヅメ」で描写されていて、実に面白い。ほとんど実際の恋愛には発展しないのがまたグッド。



続いて「発砲ふさがり」。警察官がほぼ使わずに済むという拳銃を使った話です。作中でも「拳銃を発砲した警察官は人生が変わる」と記載されるほどシリアスなスタートの、初期の「ハコヅメ」には珍しいお話です。だけどその次のページではコメディに戻ってひたすら笑えます。
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「当たんない2人が拳銃構えても両手ふさがっただけだし 川合に至ってはもはやただのストラップになっちまった!」

シリアスとコメディを上手く融合した、というか9割コメディなんだけれども、緊迫の笑いをもたらしてくれる回でしょう。



その次は山田たちの警察学校時代のお話である「出る杭は制圧される」。何気にここが秀山課長が初登場かな?最初に今の宮原部長を出してきて、最後に宮原部長と秀山課長の関係を明かす流れが背景をしっかり説明していてグッドですねえ。
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若かりし日の秀山教官、この台詞が一番笑った。



最後が刑事課のメンバ全員が超絶疲労でコントにしかなってない「ポリスマンズ・ハイ」。この回は本当に、本当に、本当に、腹が痛くなるくらい何度も何度も笑いました。
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咲ちゃん回であれだけ恐ろしい対応を見せた刑事課長が、疲労リミッター解除されたら弁当の注文とってくれるとかこのひとコマだけで何回笑ったことか。


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山田が立ちくらみして立てなくなったので持ってきた塩が署の玄関に放置してたやつだというのにもホントゲラゲラ笑ってしまったし。

このあと北条係長も立ちくらみで倒れて、山田が塩盛ってこようとしたら源がしっかり「バカおまえ係長にはちゃんと冷蔵庫の中の塩持って来い」って指示するところでももう一笑い。ホントこの話はめくればめくるだけ笑いが起こるのが素晴らしすぎます。



この頃の「ハコヅメ」が本当に好きなんだよなあ。シリアスは薄く、コメディが濃く、読めば読むほど笑えてしまう。絵もこの頃から8巻くらいまでのが馴染みやすいというか。最新の「ハコヅメ」も当然面白いですが、この頃が一番輝いていた頃だと思います。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


ハコヅメ3巻の感想はこちら(川合先生初登場の似顔絵特別捜査本部)
ハコヅメ4巻の感想はこちら(黒田カナ伝説はここから始まった)
ハコヅメ6巻の感想はこちら(伝説の笑ってはいけないお誕生日会が収録されたハコヅメの最高傑作巻)
ハコヅメ7巻の感想はこちら(煽り役としてパーフェクトな聖子ちゃんが見れます)
ハコヅメ8巻の感想はこちら(これ警察学校で習ったやつだ!)
ハコヅメ9巻の感想はこちら(色々な話が詰め込まれている、これぞハコヅメ)
ハコヅメ10巻の感想はこちら(迷惑防止条例と強制わいせつの違いが勉強になります)
ハコヅメ11巻の感想はこちら(1巻の伏線を見事回収、この日の出会いを何度も後悔することになる)
ハコヅメ12巻の感想はこちら(同期の桜完結、川合の成長を感じられる最高の展開)
ハコヅメ13巻の感想はこちら(アンボックス事件のカップルが登場)
ハコヅメ14巻の感想はこちら(奥岡島事件発生篇)
ハコヅメ15巻の感想はこちら(奥岡島事件解決篇)
ハコヅメ16巻の感想はこちら(1巻で出てきたキャラが再登場する感動の成長譚)
ハコヅメ17巻の感想はこちら(アンボックスを読んだ後に読むと非常に切ない)
ハコヅメアンボックスの感想はこちら(警察の負の感情を全力で主張した傑作)
ハコヅメ18巻の感想はこちら(即ハメあんあん激イキスクール)
ハコヅメ19巻の感想はこちら(20巻を読むために覚悟させられる巻なのではないか?)
ハコヅメ20巻の感想はこちら(アンボックス級のシリアス話が一貫した傑作巻)
ハコヅメ21巻の感想はこちら(虎松譲二事件完結!大事件の事後処理といつものギャグパートが再開します)
ハコヅメ22巻の感想はこちら(恋愛要素満載で話を畳みに来てます)


ハコヅメ~交番女子の逆襲~(5) (モーニングコミックス)
泰三子(著)
講談社 2019-01-23T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥660


 

ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 6巻 - 伝説の笑ってはいけないお誕生日会が収録されたハコヅメの最高傑作巻

さあやってまいりました「ハコヅメ」逆打ち感想の6巻です。だいぶ来ましたね、もう少しで走りきれます。

6巻最初の話は「セーグのミカタ」。セーグは性具です。ガサ入れでおとなのおもちゃをひたすら見つける回です。
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「ハコヅメ」は下ネタが絡むととことん面白いので、この回は何度読んでも笑ってしまいます。特にうぶでおぼこな川合がおとなのおもちゃの存在を一切知らず、美容器具と嘘付かれて一緒に買いに行きましょうと浮かれるところまでがホントに面白い。ていうかガサ入れ現場でそんな会話してんじゃないよw

ただこの話、しっかり良い話も盛り込んでるんですよねー。ドラマでは下ネタ一切NGだったのか原作で面白いところはほとんど表現されず、ただ良い話のところだけがフォーカスされてました。勿体なかったです。


お次の「腹スメント」はおそらく藤・松島・桃木セットの初登場かな?カナと牧ちゃんがひたすらやられ役になるというある意味レア回。というよりも、二人の可哀相な表現はこのあたりから始まった気がします。

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「バカ よく見ろクッションだよ 早く出るぞこんなトコ」

このあたりから源のクズっぷりも徐々に出てきたような。後輩には基本良い先輩だけど、同期相手となるととことんクズになる源が素敵。あと地味に源と山田の趣味がパチンコというのが判明した回でもあります。その後そんな設定一切出てこないけれど。

この話はドラマでしっかり再現されてましたね。カナがいないからカナのお腹の肉をずっと揉む桃木分隊長は見れませんでしたが。


それから「鑑識の常識」。いぶし銀の三郎55歳が出てくる話です。ドラマでは最終話にねじこんできましたよねこれ。この回は珍しくほとんど茶番、単なるコントを繰り広げて、そのついでに鑑識のイロハを教えてもらえるという感じです。聖子ちゃんと源がちょっとずれてるのをうまく表現した回とも言えるかもしれません。


そして「非"情事"態発生」。山田が合コン相手とデートに行くのにひたすら源が邪魔して聖子ちゃんが全然興味ないやつです。この頃の聖子ちゃんは山田の恋愛事情全然興味ないけれど、最近は山田の恋愛きちんと邪魔してますよね。たぶんそっちの方が面白いと気づいたのでしょう。

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「あんたちょっと大丈夫?ここ川合んち 私の部屋隣でしょ」「そんなのいいから聞いてよ」

こういうネタが本当に好きなんですよ。この2コマだけで腹抱えるくらい笑えます。こんなセンスある表現、そして全てがわかるような表現はなかなか無いですよ。正直山田の話と聖子ちゃんの話を全スルーする話よりも、このシーンがこの話で一番笑った記憶があります。


次は「現場のプリキュア」。ドラマでは終盤の方で、桜の事故と絡めてかなり重く描かれたところですね。原作では軽めに描きつつも交通事故に関してもの凄く鋭い解説をしています。為になる。

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「でもお兄さん 運転中3秒目をつぶってって言われたら怖くてできないでしょ」

できないっすねー。走りながらナビ見るのも怖いです。たまに対向車がハンドルの上に手を置いてスマホを両手でいじりながら運転してるの見たりするのだけど、どういう神経だったらそんな運転できるのだろうか、信じられません。

この話で川合が無事だったことに安堵して泣く聖子ちゃんは桜のことの伏線だったのか、それともそれだけ川合のことを思っているというだけの表現だったのか。両方の線がありそうですね、秦三子先生は事前に伏線になりそうなものはひたすら入れてるって話でしたし。

それと源のイケメン気遣いが見れる回でもあります。こういうことやるから人たらしなんだよな源は。


そしてこの6巻極めつけの面白さを誇る「笑ってはいけないお誕生日会」です。
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「実は本日 署長のお誕生日だ」「へぇ」

このどうでもいい情報と、川合のあまりにも興味が無い「へぇ」の一言から始まる通常点検回。ここが「ハコヅメ」史上で一番笑った回かもしれません。

ドラマでも第1回からこれを盛り込むことで視聴者のハートを掴んだ感がありますよね。原作ほどではないけれども、ドラマ版でもここは面白かったです。




まあ中身はドラマの動画を見ていただくか実際に読んでいただくかするとして、個人的にはこの回でもう1点絶対に言及しておきたいことがあるのです。それがカナなんですが、、、

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このカナ、不細工過ぎない?www

だって数話前のカナはこれですよ?w
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これもう別人レベルで違いますよね?こんな顔ポッチャリしてないでしょw

じゃあ他のキャラかというと、このページには既に川合も聖子ちゃんも牧ちゃんも描かれているわけで、そもそも町山署には女性警察官自体が少ないわけで。間違いなくカナしかいないはずなんですよ。で、これ。正面からとはいえこんな顔するだろうか。


もう一度比較しましょう。
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カラーなのにこの顔はちょっとwwwwww

このカナの顔にすごく笑ってしまったんだよなあ。そこで完全に掴まれて、そのあとも爆笑展開でホント面白い回でした。


そんな最高の回の次は「手心と親心」というこれまた面白い回。またもや活躍してくれるみんなのアイドル副署長。ドラマでもここはあったけど、ちょーっと原作通りの面白さにはならなかったかなー。最初の方で聖子ちゃんの多重人格のような不思議ちゃんキャラが視聴者にはまだ伝わっていなかっただろうし、山田役の山田さんもツッコミが原作の様に静かではなく、妙に声張ってツッコんでたし。






お次は「似顔絵ソウル」。川合先生再登場です。源の仕事に掛けるサイコっぷりも出てくる回です。ただこの回は、普段笑い話にしてしまったり気持ち悪いと一言で思ってしまうような事件を、実はもの凄く恐ろしい事件なのだということを認識させてくれる回でもありました。

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「知らない男がクローゼットの中を漁っていた。婚約者に気づいた男は逃走、婚約者がクローゼットを確認したところ、下着入れの中のパンツ全て、陰部の部分が切りとられてなくなっている状態だった」

ここだけ見ると、とんでもない変態の空き巣だという認識にしかならないじゃないですか。下着を盗るのではなく、その一部にだけ執着している到底理解の及ばない変態だってだけなんですよ。それくらいにしか思わないんです、普通の日常を送っている一般市民にとっては。

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「そのド変態と鉢合わせたのが 被害女性のほうだったら大惨事になっただろうね」

これなんですよね。ここまで理解には至らなかったですが、冷静に考えるとそういうことなんですよね。すんでのところで、人的被害が出る恐ろしい事件だったわけです。これを読んだ瞬間は本当にゾクッとしました。最悪の想定をするとこうなってしまう、ただの変態とバカにしてるわけにもいかないのだと。

鉢合わせということを表現されると、一気に現実感を帯びてしまうんです。もしも誰も居ない家に1人で帰った時に、知らない人間が部屋にいたら?ああ怖い怖い。


最後が「AV勧進帳」。川合がAVタイトルを読み上げて、山田がそれを書きとめていき、聖子ちゃんがマジックミラー号の「MM」を「SM」の誤表記ではないかと確認してしまい、源が「MM物陳列棚」ではなく「企画物陳列棚」と表記するのが適当であると発言する回ですね。ていうかAVの話しかないやこれw

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そして更に山田が愛澤艶琉のファンであることが発覚する回でもありました。2作目出てました?って質問出るあたり、相当ガチだぞこれ。


そんなこんなで、6巻は非常に笑いが絶えない「ハコヅメ」です。感想書くために全話読み返してるんですが、やはり何度読んでも面白いですね。



眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


ハコヅメ3巻の感想はこちら(川合先生初登場の似顔絵特別捜査本部)
ハコヅメ4巻の感想はこちら(黒田カナ伝説はここから始まった)
ハコヅメ5巻の感想はこちら(とにかく笑える内容盛り沢山)
ハコヅメ7巻の感想はこちら(煽り役としてパーフェクトな聖子ちゃんが見れます)
ハコヅメ8巻の感想はこちら(これ警察学校で習ったやつだ!)
ハコヅメ9巻の感想はこちら(色々な話が詰め込まれている、これぞハコヅメ)
ハコヅメ10巻の感想はこちら(迷惑防止条例と強制わいせつの違いが勉強になります)
ハコヅメ11巻の感想はこちら(1巻の伏線を見事回収、この日の出会いを何度も後悔することになる)
ハコヅメ12巻の感想はこちら(同期の桜完結、川合の成長を感じられる最高の展開)
ハコヅメ13巻の感想はこちら(アンボックス事件のカップルが登場)
ハコヅメ14巻の感想はこちら(奥岡島事件発生篇)
ハコヅメ15巻の感想はこちら(奥岡島事件解決篇)
ハコヅメ16巻の感想はこちら(1巻で出てきたキャラが再登場する感動の成長譚)
ハコヅメ17巻の感想はこちら(アンボックスを読んだ後に読むと非常に切ない)
ハコヅメアンボックスの感想はこちら(警察の負の感情を全力で主張した傑作)
ハコヅメ18巻の感想はこちら(即ハメあんあん激イキスクール)
ハコヅメ19巻の感想はこちら(20巻を読むために覚悟させられる巻なのではないか?)
ハコヅメ20巻の感想はこちら(アンボックス級のシリアス話が一貫した傑作巻)
ハコヅメ21巻の感想はこちら(虎松譲二事件完結!大事件の事後処理といつものギャグパートが再開します)
ハコヅメ22巻の感想はこちら(恋愛要素満載で話を畳みに来てます)


ハコヅメ~交番女子の逆襲~(6) (モーニングコミックス)
泰三子(著)
講談社 2019-03-22T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥660

 

ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 7巻 - 煽り役としてパーフェクトな聖子ちゃんが見れます

逆打ち「ハコヅメ」感想7巻目の時間がやってまいりました。この頃の絵柄とか展開が一番好きかもしれません。

最初は源と山田が女性参考人に内縁の旦那の悪事を告発させようとする話。聖子ちゃんの仕事が出来る女っぷりと、源の嫌いっぷりと、山田が実は一番凄いことを思わせる良い話です。めちゃめちゃ笑えるし。
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「こういうのは一目で同性から嫌われるタイプの女じゃないと…」「藤以上の適役はいねぇ」「煽り役としてパーフェクトすぎる…」
さすがミスパーフェクト。そうなんですよね、まさしく女から嫌われる女を真っ向から行ってる気がします。これだけ美人で出来る女だと、女性からも嫉妬されまくるよね。


お次が山田と川合が他所の管轄まで出張応援してはしゃぐ話。ドラマではバーガーのくだりが源と山田に置き換わってました。
久々の特捜の話でもあり、特捜最前線の近居署では捜査官から死臭が出てるのが特捜のやばさを再認識させてくれます。
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犯人の良山さんが可哀相な生活から一気に犯人へ変貌する姿の怖いことよ。ギャグ回であるのに、さらっと犯罪者の恐ろしさも垣間見せてくれる良い話でした。


次の話が上杉初登場だったはず。
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まさかここの上杉がレギュラーメンバーにまで昇格するとは思いませんでした。敷根はずっとクソ脇役なのに。
この話自体は留置場をベースにした上杉の紹介回ですね。源って山田から見たら仕事以外とことんクソ野郎なのに後輩にはホント好かれるのよな。まあ、仕事が出来る先輩に憧れるというのはわかる。そして、いつの間にかその先輩が実は大したことないということに気づくとちょっとショックを受ける。


次がこの時点ではおそらく名前すら出てなかった伊賀崎交番所長が半分くらいメインの回です。
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「いかに自分が仕事をしないかだ」
わかるなあ、このスタンス。仕事なんててきとーでええんやてきとーで。だけど仕事出来ないのはあれなので、やらなければならないことを全力でやってやらなくていいことは全力でやらない。これが平穏を保つコツです。まあ、そのやらなくていいことの判断をする為には結構な判断力が必要なわけですが。


お次が女子旅。その名も野女子旅。
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この牧ちゃんとカナの顔だけで既に笑える。聖子ちゃんの口半開きで半分くらいやる気ないのがまた面白い。川合がいないから気が抜けてるのでしょう。この話は聖子ちゃんの同期の関係と遠慮しない間柄であるのがはっきりとわかって興味深い回でした。


そしてその旅行不在中に強姦事件が発生して川合が追い詰められる真面目回。珍しくギャグがひとつもないリアルな回でした。
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山田が真面目に説教する回です。現実でも警察官はこういった人の心に関することで悩んでるんだろうなというのがひしひしと伝わります。警察官だって1人の人間であり、やらなくてはならない聴取だって相手にとってはセカンドレイプみたいになるわけで、する方も精神に来るのでしょう。辛い仕事やな。。。


次が犬や牛や猿に翻弄される動物奇想天外回。ニュースでもよく動物を捕まえたりする映像が流れますが、本書でも言及している通り「動物を捕まえる訓練」なんてしてないわけですよね。だのにさらっと「動物程度で苦戦して大丈夫ですか?」と言われるのは確かにカチンと来るかも。
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全然関係無いところで聖子ちゃんどころか川合にもさりげなくディスられる山田が可哀相w


その次は聖子ちゃん達の代の教官退官祝いの会。これも聖子ちゃんの代のメンバ紹介がメインですね。だからだろうか、松島や桃木分隊長がここに出てこなかったのは。他のメンツが全部新キャラだし。
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この公安の同期は今後しっかり出てくるのだろうか、そしてモザイクは外れるのだろうか。。。


最後がメンタルヘルス回。ドラマでも抜群に面白かった回です。
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川合の大物っぷりが止まらない。ここのドラマ版も面白かったんですよ。必見。






というわけで、ドラマは終わってしまったけれどもドラマ紹介を少し挟んだ「ハコヅメ」7巻でした。冒頭にも書いたけどやっぱりこの頃が「ハコヅメ」の黄金期だった気がします。一番誰がどう読んでも面白い時期だったでしょう。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


ハコヅメ3巻の感想はこちら(川合先生初登場の似顔絵特別捜査本部)
ハコヅメ4巻の感想はこちら(黒田カナ伝説はここから始まった)
ハコヅメ5巻の感想はこちら(とにかく笑える内容盛り沢山)
ハコヅメ6巻の感想はこちら(伝説の笑ってはいけないお誕生日会が収録されたハコヅメの最高傑作巻)
ハコヅメ8巻の感想はこちら(これ警察学校で習ったやつだ!)
ハコヅメ9巻の感想はこちら(色々な話が詰め込まれている、これぞハコヅメ)
ハコヅメ10巻の感想はこちら(迷惑防止条例と強制わいせつの違いが勉強になります)
ハコヅメ11巻の感想はこちら(1巻の伏線を見事回収、この日の出会いを何度も後悔することになる)
ハコヅメ12巻の感想はこちら(同期の桜完結、川合の成長を感じられる最高の展開)
ハコヅメ13巻の感想はこちら(アンボックス事件のカップルが登場)
ハコヅメ14巻の感想はこちら(奥岡島事件発生篇)
ハコヅメ15巻の感想はこちら(奥岡島事件解決篇)
ハコヅメ16巻の感想はこちら(1巻で出てきたキャラが再登場する感動の成長譚)
ハコヅメ17巻の感想はこちら(アンボックスを読んだ後に読むと非常に切ない)
ハコヅメアンボックスの感想はこちら(警察の負の感情を全力で主張した傑作)
ハコヅメ18巻の感想はこちら(即ハメあんあん激イキスクール)
ハコヅメ19巻の感想はこちら(20巻を読むために覚悟させられる巻なのではないか?)
ハコヅメ20巻の感想はこちら(アンボックス級のシリアス話が一貫した傑作巻)
ハコヅメ21巻の感想はこちら(虎松譲二事件完結!大事件の事後処理といつものギャグパートが再開します)
ハコヅメ22巻の感想はこちら(恋愛要素満載で話を畳みに来てます)



 

君に愛されて痛かった 5巻 - 2年ぶりの新刊は相変わらずぶっ壊れてました

およそ2年ぶりに新刊が出た「君に愛されて痛かった」の5巻です。てっきり最終巻が出ずに終わってしまったと勝手に想像していたのですが、しっかり続いてくれてよかったです。しかも全然まだまだ終わりじゃないですね。

「君に愛されて痛かった」は強烈な暴力描写や壊れた倫理観が強く押し出された作品です。合わない人には絶対に合わないですし、合う人には抜群に合う作品と言えるでしょう。

自分は割りとぶっ壊れ系が好きなので、この作品は肌に合うのです。もとより人間臭い話が好きで、「ハッピーピープル」だったりゲームなら「リンダキューブ」と言った、人間だからこそ綺麗事など抜かさず欲望のままに傲慢であるのだというような表現が好きなのです。

逆に理想や夢ばかり語る正義漢はあまり好きでなかったり。世の中、綺麗事だけで済むものなんてないものね。光あれば闇がある、そんなお話が大好きです。


さて、「君に愛されて痛かった」は倫理観がぶっ壊れている少女、かなえが主人公の物語です。第1話から、援助交際に勤しむ姿が描写されます。しかしそれは金銭が目的ではなく、自分の居場所を求めるSOSなのです。

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「君に愛されて痛かった」1巻より

家庭では居場所がなく母親からも存在を疎まれ、中学時代は壮絶ないじめにあったかなえ。彼女の拠り所になる場所は、援助交際で出会った素性を知らない男性だったのです。男性に求められている時だけ、自分の居場所を見つけられる、狂った倫理観の持ち主です。

彼女をそうしたのはおそらく家庭環境。その歪な倫理観を改善することは容易くなく、もうどうしようもないほどに壊れている、それがかなえです。

そんなかなえと出会った同じ高校生で野球部の寛くん。彼の優しさに惹かれ、徐々に彼のことを思うようになります。紆余曲折あり、警察沙汰も起こり、同級生を知り合いに輪姦させたりし、寛くんの試合観戦に来たところまでが4巻でした。(さらっとまとめたけどとんでもないことしてるなー)

そして相変わらず出てくる「かなえ節」なんです。

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「野次じゃなくて「がんばれ!」でいいじゃん!だから優しくなんかないもん!!!」

一緒に観戦に行ったデビルくんの、寛に対する何気ない野次に対して大層憤ります。距離感がわからないんですね。好きな人のことをけなされたと思い込み、普通の人なら気にしないようなことに対して狂ったように怒り狂うのです。

このあたりがホント、ぶっ壊れててまさにかなえという感じがします。人との距離感や、社会性がまったくわからないんですよね。この壊れ感を楽しむ作品と言えるでしょう。


肝心の寛くん、実は肩を怪我しているのです。幼少の頃からずっと投手として活躍してきた寛くんですが、投手としての選手人生を諦めることを医師から提案されるほどの重症です。そんな寛くんに、かなえは「思いやりの気持ち」で声を掛けるのです。

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「自分を犠牲にしてまで続ける事なの?それってしなきゃいけない事なの?」

さすがかなえですね。寛の野球に対する思いに気が回らず、怪我をするくらいならやめた方がいいという、完全に親切心から出た一言。これがかなえなんです。ぶっ壊れてる人間は怖いですねー。

この一言で寛くんは激昂。そして拠り所にキツいあたりを受けたかなえは、再び居場所を探すことになります。


一方この言葉を受けた寛くん、なんとしてでも早く怪我を治して、すぐに野球に復帰しようと焦って行動を始めます。そして同じ野球部員の越智と話を進めていくわけですが、

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「そんなに自分本位にやりたきゃ 個人競技してろよ」

1人で焦って復帰しようとする寛くんに真っ向から説教をする越智。そんな二人もケンカ別れしてしまいます。

これ、壊れてるのはかなえだけでなく、周囲のまともに見えた人間も十分危ういところにいるのですよね。寛くんにとって野球が出来なくなることはアイデンティティの崩壊と感じていて、焦っているのです。なので寛くんもある意味野球に依存していて、そんな野球を軽んじられたからこそ激昂したのですね。

また、越智も相手のことを思いやって行動になるのですが、我を押し通すために相手のことを考えず気持ちをぶつけてしまいます。それが相手のためになるのだとしても、方法が間違っているのです。不器用なんですね。しかもそれがものすごく極端な方向に。

それと、5巻では少ししか出てきませんでしたが、かなえの悪友の鳴海も当然ぶっ壊れてます。彼はどちらかというとかなえ側でぶっ壊れてますね。

あとはかなえの高校の友達もみんなぶっ壊れてるし、なんだもうこの作品ぶっ壊れてるキャラしかいないじゃないか。そんなぶっ壊れ人間関係倫理破壊が「君に愛されて痛かった」です。


ちょっと1巻を読み直したのですが、1巻の最初がこの話の結末みたいな描かれ方してますね。5巻の最後のシーンから見ると、もしかしてそろそろクライマックス?続刊を2年待ったかいがありました。次巻も楽しみです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


君に愛されて痛かった 5巻 (バンチコミックス)
知るかバカうどん(著)
新潮社 2021-12-09T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.7
¥574

 

ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 8巻 - これ警察学校で習ったやつだ!

逆打ち「ハコヅメ」感想も8巻まで来ました。半分は越えましたね。このまま1巻まで頑張りたいところ。

この頃の「ハコヅメ」は基本1話完結の話が多いです。1巻の頃から基本はこういう流れでした。むしろ同期の桜篇とか奥岡島事件篇の方が連話で珍しいくらいです。そして、この単話の頃がやはり本当に面白かった。今の「ハコヅメ」を作るに至った初期の「ハコヅメ」と言えるでしょう。

最初はカナの話からですね。くのいち捜査官へのシンデレラストーリー。この時から、西川係長の苦労っぷりが窺えます。
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「カナ くの一してる?」「カナ くの一してないです」

このオウム返しの流れホント好き。返しかたが如何にもカナっぽい。そしてこのあとの課長の焚き付け方がまたいいんですよ。「その辺にいるような「できる警察官」とこの子を一緒にしないでよ」という言い方とか。どこまで本質を見極められてるかは判断つかないですが、この生安課長、本当にやり手です。人を見抜く力が凄すぎる。

お次はジェスチャーの話。被疑者の前でやり取りしなければならない状況も多いわけで、やはり警察官の方は必然的に互いが何を言いたいのかわかるようになっていくんでしょうか。ここでもカナの「2ペアとも息するように体育会系」みたいなツッコミが好き。カナ良いキャラなんだよなあ。
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それとこのあたりのコント要素が本当に笑えます。ゲラゲラ笑ったものここ。その後の川合がピンサロのジェスチャーするあたりのやり取りとかも、もうホント笑いが止まらない。この頃のギャグはキレッキレなんですよね。

次の自転車盗難高校生3人組取り調べは、中高生の取調べって大変なのだと思わせてくれる内容です。ただでさえ取調べは被疑者もウソをつく可能性があるわけで、それに加えて社会経験の少なさから善悪の価値観が不安定な中高生。強圧的に出るわけにもいかず、難しいものですね。

そして続く「神社 of the dead」。ドラマでも再現されてた神社でチェーンソーマンと対峙するお話です。ここはもう完全にネタ回。ゾンビ映画の最大の謎から、いらねえ情報ベスト・オブ・ザ・イヤー金賞受賞するネタまで満載。チェーンソー相手でシリアスなはずなのに何故こんなにまで笑えてしまうのか。「ジェイソンはチェーンソー使ったこと実は1回もないんだぞ」をチェーンソー持ってる相手が言ってしまうのは皮肉なのか。

その次の川合の恋愛話が、もうとにかく笑ってしまった。
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このとことん話に興味が無い源山田がホントに面白く面白くて。ドラマでも再現されてましたが、原作ほどのインパクト無かったですね。やっぱりこの心の声が強調されてるとこが面白いとこなんで、台詞として言ってもあんまりなーと。

次のシャブ検査でおしっこするしない議論もまた面白い。
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「これ警察学校で習ったやつだ!」

ここがホント笑ってしまってなあ。言ってることがヤク中のそれでしかなくて、初めてそれを見た川合の感想が面白くて。確かにこんな状況になってしまったら川合と全く同じ反応をしてしまうかも。そのあともおしっこするしないでギャーギャー議論するのもまた面白い。

そしてまたカナが出てきてくれる「地獄へシャトルラン」ですよ。これまた腹を抱えて読んでしまった。
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「こうして立ってると…ふふっ うちら汁男優みたいだね」

押収した大量の無修正成人DVDをチェックして壊れてるカナから出たこの発言で完全に崩壊。最近どこだかで2万点以上のDVDを押収したっていう事件があった気がするけど、それもこうやって全部チェックされてるんだろうか。だとしたら警察の仕事地獄やな。。。

あとこの頃は本当に下ネタの質が高い。だからこそ、このあたりドラマで再現出来てないのが惜しい。やはりカナ主役の劇場版でテレビでは出来ないことをバンバンやってほしい。

次の随時観察が入る話も下ネタが炸裂してて、ここでも腹筋崩壊ですよ。
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これにまつわる数ページのやり取りがまさしくコント。落書きされた「ちんちん」を消すためにハンドクリーム塗るとか、拭くためにティッシュ取るとか、こすってもムダとか、消せないなら山田を立たせて「山田巡査長 なんで今そこ立ってるかな?」って言われるとか、こんなん笑うしかないでしょ。

最後が源と川合がでかいヤマが起きるかもしれないので夜な夜なパトロールをするお話。女性警察官ならではの苦労や悩みが赤裸々に語られる半分真面目な話です。おしっこしたくても拳銃持ってると署に帰るまで出来ないとか。この辺りから、聖子ちゃんが川合を認め始めてますね。


というわけで、「ハコヅメ」8巻は最高の笑いクオリティを持った巻です。カナも沢山出てくるし、カナファンには堪らない巻ですね。この頃の「ハコヅメ」が一番好きかも。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


ハコヅメ3巻の感想はこちら(川合先生初登場の似顔絵特別捜査本部)
ハコヅメ4巻の感想はこちら(黒田カナ伝説はここから始まった)
ハコヅメ5巻の感想はこちら(とにかく笑える内容盛り沢山)
ハコヅメ6巻の感想はこちら(伝説の笑ってはいけないお誕生日会が収録されたハコヅメの最高傑作巻)
ハコヅメ7巻の感想はこちら(煽り役としてパーフェクトな聖子ちゃんが見れます)
ハコヅメ9巻の感想はこちら(色々な話が詰め込まれている、これぞハコヅメ)
ハコヅメ10巻の感想はこちら(迷惑防止条例と強制わいせつの違いが勉強になります)
ハコヅメ11巻の感想はこちら(1巻の伏線を見事回収、この日の出会いを何度も後悔することになる)
ハコヅメ12巻の感想はこちら(同期の桜完結、川合の成長を感じられる最高の展開)
ハコヅメ13巻の感想はこちら(アンボックス事件のカップルが登場)
ハコヅメ14巻の感想はこちら(奥岡島事件発生篇)
ハコヅメ15巻の感想はこちら(奥岡島事件解決篇)
ハコヅメ16巻の感想はこちら(1巻で出てきたキャラが再登場する感動の成長譚)
ハコヅメ17巻の感想はこちら(アンボックスを読んだ後に読むと非常に切ない)
ハコヅメアンボックスの感想はこちら(警察の負の感情を全力で主張した傑作)
ハコヅメ18巻の感想はこちら(即ハメあんあん激イキスクール)
ハコヅメ19巻の感想はこちら(20巻を読むために覚悟させられる巻なのではないか?)
ハコヅメ20巻の感想はこちら(アンボックス級のシリアス話が一貫した傑作巻)
ハコヅメ21巻の感想はこちら(虎松譲二事件完結!大事件の事後処理といつものギャグパートが再開します)
ハコヅメ22巻の感想はこちら(恋愛要素満載で話を畳みに来てます)


 

ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 9巻 - 色々な話が詰め込まれている、これぞハコヅメ

逆うちハコヅメ感想も9巻まで来ました。9巻は如月部長が初登場です。まさかこのあと町山署に配属になってあれよあれよとスタメンに昇格するとはこの時は思いもしませんでした。しかも9巻の描かれ方はまさにできる警察官って感じだし。18巻時点での流れは全く想像出来ません。

そして抱腹絶倒の町山的実践訓練があるのも9巻ですね。ホントこれは笑いが止まらなかった。これこそドラマでやって欲しかったところでもあります。

最初は那須部長の奥さんが出産する、変態ばかりの町の話。変態の話で笑わせつつ、出産後でほっこりする話。刑事って大変だなと思わせてくれる一節です。

お次は聖子ちゃんと源が無線とマイクでやり取りして副署長に怒られる話。
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ここはやり取りが軽快でテンポ良くて面白い。これぞハコヅメのコントと思わせてくれる流れです。ある意味ハコヅメの真骨頂と言ってもいいのでは。

あと何気に桃木分隊長が初登場?してます。初じゃなかったかなー、ここまでほとんど名前しか出てなかった気がするんだよな。

続いて如月部長の初登場に加えて源の器の小ささが大いに発揮された「太陽にほえたい!」。
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ここも大笑いした記憶があります。夕日を背景に何を言い出すかと思いきや。これまで仕事っぷりから源アゲが多かったですが、この辺りからプライベートは完全にポンコツでダメ人間であるところが大きく掘り下げられてる気がします。源の運命はここから決まってしまったのか。

そして川合の同期と葵教官のお話。どこまでが本当に警察学校あるあるなのかはわかりませんが、これまた壮絶な学校時代だったことが描写されています。確かにここで徹底的に厳しく、理不尽に耐えられるように教育しておかなければ、警察官になってからの理不尽には太刀打ち出来ないのであろうと思ってしまいます。

それにしても、1時間走で水をぶっかけられたのが優しさとか、それは本当に優しさなのかどうなのか。止まれない状態で、汗だかよだれだかわからない状態でなら、水掛けられたら嬉しいのかもしれない。嬉しいかもな。。。

あとなんだかんだ感動で締めて泣かせようとしてくるのやめてください。

お次は宿直のお話。聖子ちゃん良い匂いするけどマウンテンメスゴリラなんだよね。あとここは川合聖子ちゃんにフォーカスを当てつつ、源山田のおっさんに包まれるところがメインだったり。
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「布団から いろんなオッサンのにおいがする」

いやこれはきつい。布団まではともかく、枕が嫌ですよね。布団の敷き詰め具合、雑魚寝具合はドラマ版の方が実はひどかったりします。

そしてこのあとの緊急事案の聖子ちゃんが相変わらず有能なんだこれが。
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この難しい言葉使って煙に巻く感じがホント有能。こういう手合いの相手も慣れてるんだろうなあ。ホント理不尽よね、このマスクにいちゃもんつけてくる流れ。元々の素質もそうだけど、何よりもこれまでの勤務経験を大いに生かした対応に見えるのがまたグッド。

次がカナの話ですね。アンボックスのオープニングでも描かれた警察学校時代の1シーンから始まります。
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このシーンがなあ、この話自体は山田のダメ出しの話であり、カナが有能なところを見せてくれるものだから、この時のカナの気持ちにはなかなか思い至らないのが上手いなあと。カナの表情もちょっと暗いですが、これは山田に持たせてしまった罪悪感から来るものと見えるのではないでしょうか。

その真意はアンボックスで語られるわけです。漫画表現ならではのミスリード、というかこれはある意味どうとでも捉えられるシーンだけど、人の本心というのは明かさないとわからないと教えてくれる名シーンではないでしょうか。
アンボックスの話はこちらでしてます。

お次は水難救助訓練。この手の全員集合はまさしくコント回で毎回面白い。みんなのアイドル副署長が大活躍しますしね。

この話でもカナが良い味出してるんですよね。
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「外れ警察官代表として言わせてもらいますが」「うちの代表頼もしい…」

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「なんだこの企画物AVみたいな状況」「カナ 口に出さないでくんない?」

ホントこの流れが秀逸。言いたいこと言ってしまうカナが本当に面白い。聖子ちゃんや源山田と違ってツッコミ内容が1レベル上の感があります。牧ちゃんじゃこうは行かないしなあ。やっぱカナだよなあ、こういうネタが抜群に光るのは。

そしてそして、抱腹絶倒で笑いが止まらなかった「町山的実践訓練」ですよ。本部教養課のおえらいさんに「実践的総合訓練」を完璧に見せるためにやらせを行う話。これこそ源と山田が大いに活躍する話と言えるでしょう。
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このアンジャッシュのすれ違いコントばりに噛み合わない人達。さらにこの後に山田も加わって、あれよあれよと話が展開して、もう笑いが抑えられない状況に。なんでここまで笑える話が作れるんだろう。これもドラマでやって欲しかったなあ、めちゃめちゃ人気出ただろうなあ。

最後はカリスマショップ店員になりたい女の子が盗撮されて山田に聴取されるお話。実際の性犯罪でも、こういう状況多いのでしょうね。実害がパンツ撮られただけだとしたら、怒りはすれども警察で話するまで帰れないとかめんどいと思う人もいるでしょうし。

この話でなかなか効いたのが「なぜか性的な犯罪だけ被害者に原因を求める人が少なくないが、犯罪は犯した人間が悪い」ということ。こう言われると、確かにそうだよなと。よく、空き巣に入られるのは鍵を掛けないで出かけた方が悪いということも聞きますが、防犯の観点としてはそうだとしても、悪いのは入った犯人なのですよね。

そういったところが、何故かすり替わってしまうことがあるのが難しいところではないかと。確かに未然に防げたと言えばその通りなのだけど、そうすると犯罪者が悪く無いのかと言うとそうではないですし。自衛は自衛、犯罪は犯罪。別物として考えないとならないですね。


ハコヅメも9巻まで読み戻すと、この辺りはまだオムニバスの展開だからこそ面白い頃だったように思えます。このあとは桜の話にフォーカスが当たったり奥岡島事件の話があったりと、大き目の話が中心になっていきます。

しかし、もともとハコヅメの人気が出た要因は、こういったオムニバスで展開される話のひとつひとつが非常に丁寧で面白く描かれていたことによるものでしょう。だからこそ、この頃のハコヅメが実は一番ハコヅメたらしめてる内容なのかもしれません。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


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ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 10巻 - 迷惑防止条例と強制わいせつの違いが勉強になります

逆うちハコヅメ感想10巻編です。10巻は過去の桜の話があったり、川合の似顔絵訓練話があるものの、基本的にはオムニバスの展開です。

最初は交通事故のお話。高齢者の運転事故が増えている昨今、もちろん全ての高齢者が危険な運転をしているわけではありませんが、人口ピラミッドとしても相対的に多いと言わざるを得ないです。かといって、互いの事故者が相手に責任を擦り付けようと虚偽申請したり、ましてや飲酒運転の替え玉をしようなどとは言語道断。とはいえ、実際の現場で相手が高齢者の認知症がありそうと見えたらと思うと、気持ちはわからなくもないと思ってしまうところが辛い。

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「この国で人が命を落すのは 刑事事件より交通事故の方がずっと多いんです」

これは本当にそうなのでしょう。それくらい凶悪犯罪が少なく、相対的に交通事故の方が多いと。少ないからこそ凶悪犯罪はよくニュースに取り上げられるわけですから。こんなドキッとさせられる話が読めるのもハコヅメならではなのですよね。

お次は牧ちゃんの一日のお話。牧ちゃんというキャラが弱いのか、どうもパンチが足りない感じはありました。結局源山田に話し持ってかれてるところあるしなあ。
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ちょっとうらやましい。牧ちゃんからすると地獄。

そして川合の似顔絵特訓ですね。これドラマではやらなかったんだよなあ。2話削られなければやったんだろうか。ただ、この話はカナの元彼話に全部持ってかれた感がある。
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これ実際にはどうなんですかね。こわもてじゃないと対応出来ない事案が多いから自然とそうなるのか、それとも刑事課という空気がそういう顔に進化させるのか。

そういえば中学の頃の年配先生も、眉間に皺がくっきり残ってて昔はそれはそれは怖かったのだろうなと考えていたこともありました。定年間際に担任になった時は怖さなど全くなかったのだけど。人生経験は顔に出るとはこのことか。

山田の異動話は、まあいいや。3m先なのにやたらとセンチメンタルになってるとか面白過ぎる話ではあるのだけど。この話、山田というより上杉を刑事課に異動させるための話ですしね。

そして同期の桜に関わる桜の過去話。源と桜の絡みはドラマでは描かれませんでしたが、それ以外の話は大体やってますね。ただドラマの方はやたらとキャッキャしてて見てるこっちが恥ずかしかった記憶。

続いて過去話から現在の川合を取り巻く女子会話。この時点で聖子ちゃんに不信感を持ち始めてる川合の心中を表現しながら、迷惑防止条例と強制わいせつの違いを教えてくれる回です。
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この違い、警察か検察か弁護士しかわからないのでは?法律かじらないと知りようないですよねこれ。これってつまり、痴漢されたと駆け込んだら、どういう風に触られたかを丁寧に説明しないとならないわけで。

性犯罪ってホント難しい。触り方だけでもそうだし、挿入したかしてないかとかでも変わるし。おまけにそれを証明するものって証言しかないわけで、犯人がやってないといえば証拠はないし、被害者が相手を貶めるために入れられたと言っても証拠はないし。

他の性犯罪の話でも川合が山田に説教されていましたが、こういうのを聞き取りしなければならない警察官側も勿論負担が大きいわけで。ちょっと話は変わるけども、相手が不機嫌になるのがわかってても指摘しなければならない時の気まずさにも通ずるものがあるのではないかと。それ考えると、性被害の聴取って相当な負担ですね。。。

次は上杉が刑事課長にしごかれながら焼鳥を食べる話。この話は色々と語りたいことがありますが、このコマで締めていいでしょう。
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「脱法レバー12本お願い!」
脱法レバー食べたい。。。2014年に韓国でレバ刺し食べて以来食べてないな。。。

それから幼児虐待と思われる事件の話。子供とまともに話をするって難しいよね。何話していいかホントわかんない。生意気だと思わず手を上げてしまう気持ちもわかってしまう。

そしてここでも能力を遺憾なく発揮してしまう源。人に出来ないことを簡単にやってしまう姿は尊敬と畏怖を生みます。
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この顔ホント好きだなあ。これこそドラマで見たかった。

最後は藤元帥降臨の山田同期と飲みに行く話です。これ珍しく、事件とか公務に全く関係ありません。聖子ちゃんが山田の同期の相手をしたくないからひたすら避けようとする流れと、川合が相変わらず高校の同級生に騙されようとする話です。

事件とか発生しない代わりに、源や聖子ちゃんの仕事以外のポンコツぶりを披露する回とも言えるでしょう。箸休め回ですね。
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「俺より先に聖子ちゃんを幸せにしないで!」

この台詞、最初に出てきたのは9巻です。続いて10巻も出すと。あとはこの先山田の恋路も邪魔するし(16巻)聖子ちゃんも「あんたに彼女ができてないのに私が彼氏作るわけないじゃん」とかわけのわからない話をする始末(17巻)。この二人は一体どうなりたいんだろうか。この恋愛に対するスタンスがひたすら謎。そこが面白い。

10巻は小休止的な巻でした。大きな話は無いけど常に安定した面白さのハコヅメです。

眠気覚め度 ☆☆☆☆ 


ハコヅメ3巻の感想はこちら(川合先生初登場の似顔絵特別捜査本部)
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ハコヅメ9巻の感想はこちら(色々な話が詰め込まれている、これぞハコヅメ)
ハコヅメ11巻の感想はこちら(1巻の伏線を見事回収、この日の出会いを何度も後悔することになる)
ハコヅメ12巻の感想はこちら(同期の桜完結、川合の成長を感じられる最高の展開)
ハコヅメ13巻の感想はこちら(アンボックス事件のカップルが登場)
ハコヅメ14巻の感想はこちら(奥岡島事件発生篇)
ハコヅメ15巻の感想はこちら(奥岡島事件解決篇)
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ハコヅメ17巻の感想はこちら(アンボックスを読んだ後に読むと非常に切ない)
ハコヅメアンボックスの感想はこちら(警察の負の感情を全力で主張した傑作)
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ハコヅメ20巻の感想はこちら(アンボックス級のシリアス話が一貫した傑作巻)
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地獄の教頭 6巻 - 4年振りに新刊発売のいつもの暴力教頭

なんと4年の沈黙を経て遂に「地獄の教頭」6巻が発売されました。あまりにも覚えてなくて5巻から読み返すなどしています。

「地獄の教頭」といえば学校生活の安寧の為に、生徒も教師も暴力と非合法な手段を使って全力行使するお話です。その破天荒ぶりが好きなんですよ。正直言って頭おかしい。

6巻は5巻の性癖がイッちゃってる化学教師が、夜な夜な風俗で働いているカウンセラー教師を拉致監禁してひどい目に合わせてやろうとしてる話の続きからです。たったこれだけで色んな属性付いててどういう説明なんだか。。。

まあその話はいつも通り地獄の教頭の名に違わぬ暴力で解決します。世の中の道理は暴力。全ては暴力で解決されるのです。

そして次の話はまたまた新藤先生のお話。しかも今度は新藤先生の父親である代議士の話。正直最初はもう学校関係ねえじゃんと思ったのですが、よくよく考えたら「新藤先生が問題なく学校生活を過ごす」為なんですね。要因が父親ならそれを解決してしまおうと。話が広がりすぎだけどなるほどと納得。

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相変わらず新藤先生には何も説明せずに意味深なことしか言わない教頭。そういうディスコミュニケーションが職場環境を悪化させるのですよ。

この新藤先生の父親の話が大半の6巻です。だけどこれホントもう学校あんま関係ないな。学校関係者新藤先生しかいないしな。でも意外と政治献金とかその辺の話はそれなりに練ってあって読めるんですよ。今までと違うけどそれはそれで楽しめた6巻でした。

あとがきには4年掛かった経緯が若干書かれていたりします。「ブラック・ラグーン」も似たような状況でしたが、やはり色々と苦しいものがあるのでしょう。個人業務だから編集者やアシスタントがいるにしても基本は孤独だものなあ。

何はともあれ、元々好きなシリーズだったので続刊が発売されたことは嬉しいです。続きも期待します。


眠気覚め度 ☆☆☆

1巻の感想はこちら (地獄の教頭 1巻 - 仕事の遂行の為には手段を選ばない中間管理職)

2巻の感想はこちら (地獄の教頭 2巻 - 死なせないことが極上の教育)

 

GROUNDLESS : 第三穀倉地域接収作戦 - 初侵攻、新兵、暗闇の戦い、問題山積みの接収作戦

大絶賛ミリタリー戦記「GROUNDLESS」の2つ目の話である第三穀倉地域接収作戦の感想となります。巻数としては1巻の終盤から3巻までです。

第三穀倉地域接収作戦は読めませんが、序盤の話はここで読めます(GROUNDLESS -アリストリア改国戦記-)

ダシア自警団の活躍により、開放市民による蜂起を収束。この戦闘でめざましい活躍を遂げた狙撃兵ソフィアは、復讐と自分の子供を取り返す目的を果たしたため、自警団を自ら抜けます。

しかし蜂起による戦闘のため、外部との連絡が取れなくなるわ食料が入ってこなくなるわでダシア市民は飢える寸前に陥っています。その為、次に必要と判断したのが、開放市民が制圧している穀倉地域を接収し、町へ食料を供給することです。

もう本当に生き延びる為の戦争です。これをしないと市民は飢えに苦しみ、新たな暴動を生み出します。しかし、あくまで彼らは自警団。外敵から守るためだけでなく、市民を守るために開放市民へ攻め込む必要が出てきました。

町を離れるためには当然町の守りにする団員も必要で、このままでは攻守を成立させることが出来ません。そこで新兵を募兵することになります。そしてなんと、集まった新兵13名から4名を選び計10名で作戦を開始することになります。

自警団とはいえ、戦闘から何までの訓練が必要なところ、たった3日で作戦に参入することに。既にこの時点で破綻が見え隠れしています。そんな難関をどう対応していくのかが見せ所です。

この辺り、やはり妙に現実感があって面白いです。国が編成している軍隊ではなく単なる自警団だからやれることしか出来ないということ。そして物も人も足りなくて、一番重要なのは時間だということ。そのためには新兵といえど、ほぼ訓練無しで投入しなければならないこと。

なんでも可能な最強集団でなく、やれることが限られているという制限が団長も作戦隊長のアーネストも本当に苦労しており、それでもやらなければならないことを必死で対応していくという姿がやはり面白い。ギリギリの戦い好き。

とはいえ、相手も元はただの市民である開放市民。敵は特別な訓練を受けたわけでもなく、それこそ自警団よりも練度が低い相手です。が、彼らにあるのは自分たちが生き残ろうという強い信念。戦って勝ち取らなければ、国に殺されてしまうと考えているからこそ、立ち上がったのです。士気は開放市民の方が上でしょう。

そうして始まった第三穀倉地域接収作戦。ダシア自警団は新兵4名を含むたった10名編成であり、開放市民軍は幹部が謀略を張り巡らせて待ち伏せしていたり。駆け引きが非常に面白いのです。

特に新兵の中でことあるごとに差別発言を繰り返し、アーネストに突っかかる元島軍のニコライ。彼とアーネストの確執により自警団側は内部からも問題が多発していきます。
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「賤民同士で教えっこしてる場合じゃねーだろ!?」

戦場で上官に立て付く新兵。この時点で大問題ですね。しかしこのニコライの言い分、差別発言は置いておくと、実は度々理に適った発言をしているだけなのです。さすが元軍人、自警団とは質が違います。

実は最初読んだ時、ニコライの見せ方がどうみても嫌われ役で描かれていたので、アーネスト同様単に命令に従わない差別主義者だという捉え方しか出来ませんでした。それが何度か読み返す内、その場その場のニコライの発言は概ね正しいということに気づきまして。こういう読者の感情を操作しながらキャラ付けをしっかりしていくのは本当に素晴らしいですね。読んでて感情を揺さぶられる。

おまけにこの作戦後半のニコライがカッコよくてなあ。戦闘が始まってからのニコライは軍人であることを最大限に活かし、次々と活躍していくわけです。その為に敢えて前半は嫌なキャラに見せたのかも。ホントカッコいい。

また、他の新兵3名も体力が全然無いびびりだったり、命令の前に発砲してしまったり、狙撃手に憧れている子供だったり。いやあ、こんな部隊を任される隊長はホント胃が痛いわこりゃ。

そして夜間作戦の実戦闘に入って、開放市民軍の作戦に見事はまってしまい、絶体絶命となるダシア自警団。もうどうしようもない、あとはじわじわ殺されるだけ、という時に遂にあれが来てくれます。

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カッコいいなあこの絵。暗闇の中、長距離からアーネスト達を援護する狙撃兵。夜のため、戦地からはまず狙撃手を観測することが出来ず、射撃の瞬間を見つけても移動してしまえば反撃もそこまでになってしまう。戦場を一方的に支配してしまう狙撃兵、ここがこの戦闘最大の見せ場となります。

この後見事制圧完了するのですが、この一方的な状態になってからも、狙撃兵側の苦労や心情を描いているのがすごく良い。やりたくないけど、仲間の為に戦う。誰よりも人を殺す。何人も何人も。元々ただの人妻であったソフィアが殺人に手を染めていく。その苦悩もまた、戦争の産物であることを教えてくれます。

誰もやりたくて戦争などしていない。ダシア自警団は町を守るためだし、開放市民軍は自分たちが殺されないために戦っているだけである。理由を外に求めなければ、戦争といえど容易に殺人が可能な者などまずいないのだ。そんなことを思わせてくれます。やはり戦争物は悲惨であるべきです。


本当に面白いので、少しでも興味を持っていただけたら是非読んでいただきたいものです。

眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


1巻の感想はこちら(隻眼の狙撃兵 - ミリタリーアクションの傑作)
10巻の感想はこちら(政治家と軍人)




ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 11巻 - 1巻の伏線を見事回収、この日の出会いを何度も後悔することになる

逆うちハコヅメ感想11巻までやってきました。これで8冊分。これだけ長く1つの作品で感想書き続けられたのは何気に初めてかも。

11巻は前半と後半で大きく分かれますね。前半がいつものコントハコヅメで笑いありゾクッとする展開あり。後半は同期の桜事件の概要が初めて語られて、川合が守護天使の似顔絵を描くところまでです。

前半部分はもういつものハコヅメ。聖子ちゃんが1人で夜中の酔っ払い事案対応して怪我をするところとか、サブちゃんと聖子ちゃんたちの子供の頃の出会いの話とか、昇任試験で牧ちゃんが昇進なんてしたくありませんって言ったりとか、「イケメンの彼氏が欲しい!」から始まる川合の欲望丸出し事案とか。
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「渾身のムカつく顔をしました」
有能な美人がする腹立つ顔ってなー、ホント頭来るんだよなーw

というか、最初の頃に敷根がヤクザの若頭とやらかした時、源と山田も一緒になって両方反社の顔で応対してたけどホントにそういうことあるんだろうか。相手のレベルに合わせて対応態度を変えるということ?それで公務がまともに進むならいいのだけど、同じような煽り合いしても解決に向かうようには思えないんだけどなあ。それとも、それで逆上させるというのが手法のひとつなのか?いや違うな、おそらく警察官側もムカついて同じことしてるだけだな。

前半の中でも特に読んでて印象残ったのは「イケメンの彼氏が欲しい!」事案なんですよ。これ、最初に読んだ時に本当にゾクッとしました。これこそある意味夏の定番怖い話にバッチリ合うんじゃないかと思うほど。

事案内容としては認知症の夫が妻に家庭内暴力を振るわれたと交番に駆け込むところから始まるのですが、確かに実体として妻が夫に手を出していたということ。しかしそれは家庭内暴力などではなく、認知症の夫を介護することに疲れてしまった妻が、いっそ楽になるために身辺整理を全てした上で夫を殺して自分も死のうとしていたという事件。恐ろしいと同時に、妻の苦労も凄くよく見て取れて、たったこれだけの情報量でここまで察せられる見せ方が本当に見事でした。途中までは認知症の夫が出歩いてしまってあらやだみたいな半分笑い話で終わるのかと思いきや最後の最後でそっちの方向に急展開するのだもの。この話は、1回読んでゾクッとした後にすぐ2回くらい読み直したくらい衝撃的でした。

後半は桜事件の似顔絵描きから始まって、桜事件の概要と聖子ちゃんが町山交番に来た真意の説明、そして似顔絵の完成となります。ここに来てようやく1巻1話の箱詰め内容が回収されました。

この似顔絵描きから、源の能力をふんだんに川合に使って源の恐ろしさが出てくることとなります。普段の日常がちゃらんぽらんだからこそ、能力を使って迫る仕事バージョン源は見てるこっちも本当に恐ろしい。
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この源と宮原部長のやり取りも傍から見てる川合は怖かったろうな。こういう源の鋭い目もおそらくこの辺が初めてなんですよね。というかここ以降でこんな鋭い目で牽制することはなかったか。それだけ源の思いの深さが垣間見える。やっぱりこういう絵で語るのが漫画の良さですね。読んだだけでこっちも息が詰まる。

この後はいよいよ桜の事件です。極めて詳細に当日の流れが描かれていて、日常がふとした瞬間に壊れるのはこういうことなんだと思わさせられて本当に辛い。事故にあった直後桜の状態も丁寧に描写されていて、気持ち悪いと思ってしまうくらい。事故現場を見たことがないので実際の事故でどうなるのかはわからないのですが、動きや周りの対応が妙にリアル過ぎて臨場感に溢れています。知り合いが事故に合った時、果たして同じように動くことが出来るだろうか。。。

そして全てを知った川合。聖子ちゃんに守護天使をおびき寄せるために使われていることを知った川合。だけどこれまでの聖子ちゃんを知って、誰よりも聖子ちゃんを信頼している川合。そんな川合が取った対応が。
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「藤部長には 私がついてます」

もうさ、こんなん泣くわ。1巻では辞めたい辞めたいと言っていた川合。頼りなくて何も出来なくてやることなすこと怒られていた川合。だけど、聖子ちゃんとペアを組んで、聖子ちゃんのことを心から尊敬して、そんな聖子ちゃんに囮に使われていたとしても、今ならむしろ聖子ちゃんのために自分が囮になってもいいと思うくらい、聖子ちゃんのことを慕っている川合。そんな川合が、力強く、尊敬する藤部長のために私が立ち上がると言っているのです。1巻から見てる身としては後輩が成長した姿を見せられてるも同然なわけですよ。これ以上に感動できることなんてそうそうないです。本当に良い漫画だ。

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ここで1巻の一番最初の台詞を回収ですよ。この台詞、1巻1話ではどう見ても川合の台詞に見えたのですが、聖子ちゃん側の台詞だったんですね。
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ハコヅメ1巻1話より。

なんという叙述トリック。でもこれ絶対後付けだろうな。たぶん最初の時点では桜の事件のことすらまだ考えてなかったと思う。こういう伏線のちりばめ方と、あとからの伏線回収が本当に上手い。ちょっとしたコント回の内容ですらあとから強烈な伏線に持ってきたりするのが本当凄い。天才過ぎる。


この感想を書くために何度も読み直しました。いやあ、本当に面白いですね。書きたい感想もすらすら出てきてしまう。人の心を掴んで離さないハコヅメは本当に名作です。

眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


ハコヅメ3巻の感想はこちら(川合先生初登場の似顔絵特別捜査本部)
ハコヅメ4巻の感想はこちら(黒田カナ伝説はここから始まった)
ハコヅメ5巻の感想はこちら(とにかく笑える内容盛り沢山)
ハコヅメ6巻の感想はこちら(伝説の笑ってはいけないお誕生日会が収録されたハコヅメの最高傑作巻)
ハコヅメ7巻の感想はこちら(煽り役としてパーフェクトな聖子ちゃんが見れます)
ハコヅメ8巻の感想はこちら(これ警察学校で習ったやつだ!)
ハコヅメ9巻の感想はこちら(色々な話が詰め込まれている、これぞハコヅメ)
ハコヅメ10巻の感想はこちら(迷惑防止条例と強制わいせつの違いが勉強になります)
ハコヅメ12巻の感想はこちら(同期の桜完結、川合の成長を感じられる最高の展開)
ハコヅメ13巻の感想はこちら(アンボックス事件のカップルが登場)
ハコヅメ14巻の感想はこちら(奥岡島事件発生篇)
ハコヅメ15巻の感想はこちら(奥岡島事件解決篇)
ハコヅメ16巻の感想はこちら(1巻で出てきたキャラが再登場する感動の成長譚)
ハコヅメ17巻の感想はこちら(アンボックスを読んだ後に読むと非常に切ない)
ハコヅメアンボックスの感想はこちら(警察の負の感情を全力で主張した傑作)
ハコヅメ18巻の感想はこちら(即ハメあんあん激イキスクール)
ハコヅメ19巻の感想はこちら(20巻を読むために覚悟させられる巻なのではないか?)
ハコヅメ20巻の感想はこちら(アンボックス級のシリアス話が一貫した傑作巻)
ハコヅメ21巻の感想はこちら(虎松譲二事件完結!大事件の事後処理といつものギャグパートが再開します)
ハコヅメ22巻の感想はこちら(恋愛要素満載で話を畳みに来てます)



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