スプラッタ

運びの犬 6巻 - カルト宗教に殴り込み

千年に一度の美少女設定が既に活かされていない「運びの犬」6巻です。

前巻のもうひとりの無痛覚男はどこに行ったのかわからず、子供の母親がいると噂された「樫の家」に突入します。

20220519_000
「だってこの樫の家は皆が家族なのですから」

この「樫の家」がガチカルト宗教集落で、これがどうして読んでて面白い展開になっていました。何が面白いってここの住人が全員狂ってるところが見事。ここまで気持ち悪くて、妙に現実感があるのが良いですなあ。

5巻で唐突感があって、ちょっと面白さが落ちたかもなあと思っていたところに、こんな狂った表現をしてくれたことで面白さが戻ってきた気がします。6巻だけで読んでも話は成立してるし、ここから読んでもよいでしょう。

この「樫の家」の良いところは、マムと呼ばれてる教祖っぽい人物がおかしいだけでなくて、それに追随する住人、老婆、若い女、子供の全てが洗脳されていて、等しく狂っているところなんです。周り全員敵、休まることはない展開。

20220519_001
凄い格好してる。

そんな狂った住人たちに振るわれるのは、いつものイヌイの暴力なのが素敵。

20220519_002


というわけで、周囲全員敵状態の「樫の家」に乗り込む6巻でした。これはこれで面白いです。下手したらこれまでで一番面白い展開かもしれない。しかも「樫の家」の内情を間延びせず一気に描ききっているのでテンポも良いです。なので読みやすい。次巻も期待できるかも。


眠気覚め度 ☆☆☆


4巻までの感想はこちら(AV女優の運び屋だけど専門は暴力の男)
5巻の感想はこちら(新章突入もちょっと唐突感がある)


運びの犬 6 (ヤングチャンピオン・コミックス)
清水ヤスヲミ(著)
秋田書店 2022-05-19T00:00:00.000Z

¥660

 

北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝 2巻 - 同じネタの繰り返しだけではなく新しいネタの掘り下げ方が上手い

北斗の拳が実写ドラマであったという設定で原作のとんでも設定を試行錯誤し表現する「北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝」2巻です。

20220421_000
「だったら私を…ユリアを殺しましょう!!」

サザンクロス篇で本来ならシンを倒してユリアと再開する予定のはずが、大手事務所のシン役とユリア役の濡れ衣熱愛報道からユリアを退場させないとならないことの対策でユリアを殺すことに。これが現場で咄嗟の判断をした結果になっているのが面白い。

20220421_001
「じゃあ…ユリアの人形が必要ですね!シンの手がめり込んで血が噴き出るやつ!」

この爽やかな顔してユリアの殺害人形作ろうという発言にホント笑ってしまったw

そのあとはシンの最期のシーンの話になり、事務所からシン役が爆発するのはNGになって、シンもユリアもダイブして死ぬという設定にしたのがまた面白かった。

20220421_002
まずシンが十字架の形に打ち込まれてそこから爆発する力のいれように笑ってしまうw


20220421_003
「いつか…いつか必ず爆死させてやるからなぁ!」「爆死したいわけではないんだが」

この爆発人形を使えないことに対して、「いつか必ず爆死させてやる」の号泣しながら言うセリフが妙にツボにはまってしまってw ここは声出して笑ってしまった。


そしてサザンクロス篇が終わって1クール終了。盛況のため次回作も作りましょうと、GOLAN篇とジャッカル篇に話が移ります。

ここからがちょっと予想しなかった方向に行って、作品として見事だなと思いました。

というのも、1巻から続くサザンクロス篇までは、基本的に北斗の拳のとんでも設定をどうやって再現するかに終始していました。それが、2巻の途中から入るGOLAN篇ジャッカル篇では、なんと俳優役の葛藤に切り込んでおり、演者として如何に成長していかなければならないかという方向に持っていっているのです。

20220421_004
「そ…そうだ!僕も武術を身につけて本物になればいいんだ!!」

しかもその結果と北斗の拳のとんでも再現にきちんと結びつけています。特殊装置でなんとかするだけでなく、役者が演じ方をどうするかの方向に変えているのが非常に上手い展開ではないでしょうか。

もちろん、とんでも展開を現場で頭を悩ませて実現していくだとか、面白い表現をしようとしたら原作通りになったという流れは変わってません。そのアプローチが変わらないのに、役者の意識を刺激する展開したのはホントよかったです。

このおかげで単調な展開を繰り返す作品ではなくなっています。単なるネタ漫画の一発屋ではなく、この先もまだまだ期待できるものに出来上がったと言えるのではないでしょうか。


ホント、「世紀末ドラマ撮影伝」は原作ファンにはたまらない作品だと思います。知らなくても北斗の拳のことを少しでも知ってれば十分楽しめるのでしょうか。

ただひとつだけ残念なのは、、、フォックスの跳刃地背拳の再現がなかった。。。跳刃地背拳。。。「人を殺したあとは小便がしたくなる」ってセリフがどうやって生まれたのかが見たかった。。。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


1巻の感想はこちら(実写ドラマ北斗の拳で人が爆発する)


北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝 2巻 【特典イラスト付き】 (ゼノンコミックス)
武論尊(著), 原哲夫(著), 倉尾宏(著)
コアミックス 2022-04-20T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.9
¥594


忍者と極道 9巻 - ガムテが主人公になりました

ガムテが主人公になった「忍者と極道」9巻です。

9巻でグラス・チルドレン篇が完結します。忍者の犠牲者3名、破壊の八極道の犠牲者3名、双方とも残るは5人ずつで、互いの素性も明らかになり、10巻から第2部が始まる形となります。

20220413_000
「これがッッ 殺し屋ガムテすべてを賭けた本気の本気だ!! 多仲忍者 てめーには絶対負けない!!」

これまで共に戦ってきたグラス・チルドレンの極道技巧を次々と使い、仲間と共に宿敵忍者(しのは)を倒そうとするガムテ。こんなんもう主人公だろ。。。


しかも忍者(しのは)を倒す為に、自分の命を投げ出してヘルズクーポン2枚服用しているガムテ。

20220413_001
「オレは…5分で死ぬ」

こんな命の賭け方、もう主人公だろ。。。



20220413_002
「他人に殺された心はッッ!他人を殺さなきゃ正気ではいられないッ!! 殺さなきゃ生きらんない!!」


20220413_003
「オレ達は!!そんな生き物なんだ!!! そんな生き物になっちまった!! なっちまったんだ!!!」

いずれも悲しく辛い過去を持つ、グラス・チルドレン。大人に壊されて、壊す立場にならなければ生き残れなかったグラス・チルドレン。彼らの代表として、彼らの受け手として振る舞ってきたガムテの強い思いの吐露。こんなんもう主人公だろ。。。


ガムテが終始格好良くて、正直なところ主人公の忍者(しのは)よりも応援したくなるくらい魅力的なキャラでした。9巻の作者あとがきで少し触れていたのですが、ガムテの初登場はとことん道化で、嫌われる為に存在するキャラだったんですよ。

そんなガムテの思いが解き放たれて、グラス・チルドレンを束ねるカリスマ性を持つ裏付けも明確に受け取れて、忍者(しのは)の宿敵としてここまで格好良い存在になるなど誰が予想出来たでしょうか。

おまけにグラス・チルドレン篇の終盤では、ガムテが忍者(しのは)をずっと名前呼びして明確にライバル視してるのがまた格好良くて。それだけ思いが強いことが読み取れて感動してしまいます。

本当に、本当にこのグラス・チルドレン篇のガムテは素晴らしかった。誰よりも強くて、誰よりも闇が深くて、誰よりも自身の信念を貫いて。そんな魅力的なガムテがいたからこそ、グラス・チルドレン篇はとても面白かったのだろうな。

決着がついたあとも、これまでの中では唯一生首にならず終わりを迎え、その瞬間まで忍者(しのは)と極道(きわみ)の関係をぶち殺す執念は本当にお見事。これでグランドフィナーレになってもおかしくないくらい格好良さが際立ってました。

しかも本当にガムテがほしかったのは、極道(きわみ)からの愛だったことがまた涙を誘います。ガムテらしく、その本心を明かすことなく、信念を貫き通した姿もまたカッコいい。


正直グラス・チルドレン篇はガムテがカッコよすぎたので、忍者たちのカッコよさが霞んでしまっています。これまでは笑いながらも忍者の活躍を見れて、そこまで極道側に肩入れは出来なかったように思います。

それが、このグラス・チルドレン篇では立場が完全に逆転。極道側、特にガムテに個人的には物凄く肩入れしてしまいました。

弱者が挑む強者への挑戦。弱者だからこそ様々な策を弄して忍者を殺そうとする立ち振舞い。その一挙手一投足が全て格好いい。

前回の感想でも書いたのですが、これ以上面白い展開に出来るのでしょうか?グラス・チルドレン篇が面白すぎたので、このあとの展開で盛り下がってしまうことが心配になってしまいます。もちろん相対的な話であって、これまでの面白さを維持するだけでも十分名作に値する作品になると思うのですけれども。


なんかもう、ガムテが死んだことで消失感があります。残りの破壊の八極道が勢揃いしたり、忍者(しのは)と極道(きわみ)が互いの正体を知ってしまったりと第2部に続くための仕込みはいくらでもあるのですが、そこを語っても仕方ない気がするのでここまでにしておきます。

ガムテに合掌。10巻が待ち遠しいです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


6巻の感想はこちら(生首エンターテイメントはグラス・チルドレン篇で大きな転換期を迎える)
7巻の感想はこちら(忍者と極道の共闘は生首エンターテイメントを最高潮に盛り上げる)
8巻の感想はこちら(グラス・チルドレン篇最高潮、ガムテと忍者の決着迫る) 


忍者と極道(9) (コミックDAYSコミックス)
近藤信輔(著)
講談社 2022-04-13T00:00:00.000Z

¥693




おまけ
連載時に気づいていたのですが、以下のコマはそのままでした。

20220413_004
左手が無いはずなのに両手を使って消火器を潰すガムテ。

左手は2巻時点で忍者(しのは)にぶっ飛ばされてるので、無いはずなんです。ここだけ復活した?



ガンニバル 13巻 - 現代日本の食人村サスペンス完結

日本奥地の過疎村で食人文化が行われていた「ガンニバル」は13巻で見事完結しました。

いやあ、面白かった。最初は村にやってきた駐在阿川が村に違和感を感じるところから始まり、徐々に村の異様な空気と村を治めているような立場の後藤家とが入り乱れてサスペンスになっていくのが素晴らしかったです。

そこから徐々に後藤家の秘密が明らかになり、あれよあれよと事件が膨れ上がって何人もの死者を出すことになっていくところもまた素晴らしい。狂気に満たされた村はある意味で別の狂気(という名の強い正義感)を持って制していくのも非常に良かったです。

単なる村人対後藤家や、後藤家対警察の対立ではなく、各人の思い、疑問、一族への疑念と文化を続けることの無情さが複雑に絡み合って、サスペンスの中にもそれぞれの人間ドラマが丁寧に描かれていました。だからこそ単なるスプラッタサスペンスではなく、筋の通った素晴らしい作品になったのではないでしょうか。


20220301_000
「報復に次ぐ報復  それを止めれねぇなら  この呪いは終わらねぇ」

何よりも最終13巻で良かったのは、後藤家の話だけで終わらず、供花村の話として締めくくられたところです。供花村もまた後藤家の被害者であり、長年の恨みは募り続け、後藤家が離散し大勢死んだ今だからこそ立ち上がるという流れになっています。

これ、ここまでの話で、明確に後藤家に対する報復に躍り出るような流れってなかったような気がするんですよね。恨み節とかはあれども、そういうのはなかったような。というよりも、これまで後藤家の動きが凄すぎてすっかり忘れてるだけかもしれないですが。

それが、ここに来て供花村の村人が立ち上がるわけです。てっきり後藤家滅ぼしたら終わりだと思ってたので、非常に良い意味で裏切られました。そんな展開だもの、そりゃ一気に読み切ってしまいますよ。


そして最後は綺麗に事件解決して大団円。

と、見せかけての、サスペンスならではの終わり方をしてくれるのが本当に本当に良かった。呪われた村で狂っていたのは後藤家だけでなく、供花村だった。その呪いは果たして事件解決によって解かれたのか?そういった余韻で完結というのが非常に良かったです。

やっぱりサスペンスって、綺麗に終わるのもいいけれど、こうやってミステリ要素を残して終わるのも至高だと思うんです。終始異様な雰囲気で展開され、何人もの犠牲者が出た「ガンニバル」が大団円ハッピーエンドになるはずがないのです。そんな終わり方が好き。すごく自分好み。


ホント良かった、最後まで読み切って感無量です。ドラマ化も予定している「ガンニバル」はサスペンスが好きな人には是非読んでいただきたいです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


12巻の感想はこちら(食人族の本性が明かされ、物語はクライマックスへ)


ガンニバル 13完
ガンニバル 13完
posted with AmaQuick at 2022.03.01
二宮正明(著)
日本文芸社 2022-02-28T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.4
¥594

 

忍者と極道 8巻 - グラス・チルドレン篇最高潮、ガムテと忍者の決着迫る

グラス・チルドレン篇から急速に面白さが加速し、いよいよ忍者(しのは)とガムテの直接対決が始まった「忍者と極道」8巻です。尚、決着は9巻になります。

連載でも追っているほどこの作品が大好きなのですが、このグラス・チルドレン篇、特にガムテと忍者(しのは)の最終対決はとてつもない面白さを放っています。まさしく「忍者と極道」の前半戦最終対決として相応しい対決でしょう。


この8巻では、7巻のラストで「ヤマイダレ」を喰らってしまった忍者(しのは)がその傷を回復するところから始まります。

20220113_000
「忍者と極道」7巻より。


その回復には多少の時間が掛かるため、その間は無防備となってしまいます。そこで立ち上がったのが、忍者(しのは)の友人となり、国を守る意思に満ち溢れた内閣総理大臣 愛多間七なのです。


20220113_001
ヘルズ・クーポンは誰でも恐ろしい力を得ることができ、それをただの一般人が使用する機会が出てきたのがまた、このグラス・チルドレン篇の大きなポイントでしょう。

つまり、単に忍者と極道の戦いではなく、そこに巻き込まれた一般人も戦闘に参加せざるを得ない状況となっているわけです。しかもそれが誰であろう総理大臣であり、さらに動機は友である忍者(しのは)を守る為というのが非常に非常に熱いではありませんか。

忍者ではなくただの一般人が、友人である忍者の為にその命を掛けて極道に立ち向かう。こんなにカッコいい展開はなかなかありません。好きだなあ、こういう展開。


そしてまた一方、総理官邸に仕掛けられた爆弾を解除する為にプリマと対峙している極道(きわみ)。極道(きわみ)もまた、忍者(しのは)との約束を守る為、総理を助けるのを忍者(しのは)に任せたからこそ、自分が爆弾を解除すると誓っています。その約束を果たす為に、ヘルズ・クーポン無しでプリマに1人で立ち向かいます。


20220113_002
「約束したんだ……! "彼"と  爆弾は…私が解除すると…!!」
「私が…時間をかせぐのだ…! "彼"は死なせぬ…二度と…誰も死なせるものか!!」




20220113_003
「すべては   友達のため!!!」

カッコいいなあ。

これまでは仲間意識としては忍者同士でしかいなかった忍者(しのは)にとって、初めて一般人の友人と共に戦うことになるのです。しかもその2人はまた超強力で、自らの強い意志を持ち、自分の命を顧みずに忍者(しのは)の為に命を賭けるのです。

作品が始まってから出会ったこの友人2人、これまでの話を通じて築き上げた友情がこのような形で結びつくのが本当に素晴らしい。個の1人ではなく、3人でガムテと戦うという流れであり、まさしく少年漫画の王道と言えるのではないでしょうか。


20220113_004

また、読んでる諸兄は既にご存知の通り、極道(きわみ)はこの作品の最大の敵でもあるのですよね。今は共闘しているけれども、このあと忍者(しのは)がこの事実を知ったらどうなるのか、それがもう楽しみで仕方ありません。


極道(きわみ)の凄さ、怖さ、カッコよさはこれまで読んできたらいくらでもわかりますし、それはそれは本当に魅力的なキャラ設定がされています。しかしこの8巻は、何よりも総理大臣 愛多間七のカッコよさが際立っていました。

爆弾が極道(きわみ)によって解除され、最後の総攻撃も遅れてやってきた斗女たんに全て防がれ、もうグラス・チルドレンの勝利は無いと悟ったガムテに対して語る姿が本当に熱い。


20220113_005
「私が聞こう…! いや  … 聞かせてくれ!! 教育制度改革…!! 児童虐待防止策の強化・改善  君達のために出来ることがあるはずだ…!!」




20220113_007
「…ハッ アホくさ……できることなんて  」




20220113_006
「私を誰だと思っている!? 内閣総理大臣 愛多間七である!!!」


ガムテの表情からわかる通り、愛多間七のこの言葉に、ガムテの傷つき全てを拒絶してきた心の塊が融け始めています。

元々グラス・チルドレンは皆、親兄妹や世間から虐待を受けて行き場を失った子供達の拠り所になっていました。大人は誰も助けてくれないから自分たちだけでやっていく、クソみたいな大人は全員殺してしまう、「割れた子供たち」は心が壊れてしまった子供の集まりです。

そこに、本当に他意無く、心から子供たちを救いたい、そんなことも出来ないで何が政治家だと言わんばかりの熱い思いを持つ愛多間七からの助けが来たのです。裏切られ続けた大人から初めて救いの手が差し出されたのです。それがまさかグラス・チルドレンの権化でもあるガムテにまで届くことになるとは。

正直、この総理がここまでストーリーに深く関わるキャラだとは思いもよりませんでした。また、忍者(しのは)との出会い時にも使っていた決め台詞の「私を誰だと思っている!?」が、ここまで極めて効果的に、その言葉の重さを強く認識させて表現されるとは思いもよりませんでした。本当に熱くて、「忍者と極道」で涙腺が緩むことになるとは。素晴らしいです。


元々、やけに丁寧にグラス・チルドレン達個々人の話を掘り下げるなとは思っていたのですが、まさかこういった形で回収する為に描写されていたとは。おまけにその内容はガムテのラストバトルにも引き継がれるのでホント最高ですね。

殺島篇の子供の頃の無茶をまたやりたいという思いに対して、グラス・チルドレンは自分たちの心を解放する為に戦っているので、その動機の重みが異なります。しかもそれに加えて共闘や熱いサブキャラも展開されるのだから、面白さが加速するのも当然ですね。間違いなくこれまでの「忍者と極道」で一番面白いのはこのグラス・チルドレン篇でしょう。


そしていよいよ始まる本当に最後の戦い、ガムテ対忍者(しのは)です。

20220113_008

この名乗り合いの裏マナーが出てくると決着がつく合図です。どちらかが死ぬまで戦いが続きます。

忍者(しのは)にとって色姐の仇であるガムテ。総理官邸を襲撃することで友人である極道(きわみ)も愛多間七も死に直面させたガムテ。

そしてガムテにとって、自分の父である極道(きわみ)と友人であることが許せない多仲忍者。忍者(しのは)と極道(きわみ)の両方を同時に殺そうと総理官邸襲撃をしたものの、野望潰えて全ての仲間を失い全ての仇として位置づけられる多仲忍者。

お互いが最大のライバルであり、最大の因縁の敵であり、最大の強敵であるこの2人が激突します。面白くないわけがないですね。8巻ではケリはつきませんが、続く9巻でも描写されるこの戦いは本当に面白くて、最高です。連載未読の方は9巻を是非ともご期待ください。



20220113_009
「決めようか…忍者と極道  何方が生存るか死滅るか…!!!」


ここからのガムテが本当に最高なんですよ、本当に。思わずガムテを応援したくなるほどのカッコよさが出てきます。9巻は必見。


それにしても、陽日にガムテがトドメ刺してなかったかなと確認する為に1巻を少し読み直したのですが、最初に登場したガムテは本当に単なる道化キャラですね。このキャラが、トリックスターとして忍者も極道もどちらも大きく揺るがし、ストーリーをここまで面白くさせることになるとは思いもよりませんでした。

最初は単なる嫌なキャラで色姐を殺した時なんかこんなやつにやられてしまうのかくらい思ってたぐらいなのに、話が進むに連れて魅力がガンガン増して本当に良いキャラになりました。強敵として、ライバルとしても本当に描写が上手いし、これこそ主役を喰ってしまうレベルの敵キャラと言えるでしょう。

この作品これ以上面白くできるのかなあ。グラス・チルドレン篇を越える面白さってめちゃめちゃ要求高くなるぞこれ。



眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


6巻の感想はこちら(生首エンターテイメントはグラス・チルドレン篇で大きな転換期を迎える)
7巻の感想はこちら(忍者と極道の共闘は生首エンターテイメントを最高潮に盛り上げる)
9巻の感想はこちら(ガムテが主人公になりました)


忍者と極道(8) (コミックDAYSコミックス)
近藤信輔(著)
講談社 2022-01-12T00:00:00.000Z
5つ星のうち5.0
¥693


 

運びの犬 5巻 - 新章突入もちょっと唐突感がある

千年に一度の美少女と呼ばれるAV女優未遂の女の子とコンビを組んで運び屋をする痛覚無しの男のお話「運びの犬」5巻です。この巻から新章突入です。

なんですが、ちょっとあまりにも唐突な導入というかなんというか。虐待を受けてる子供をたまたま街中で見かけて助けたら、そいつが裏社会で色々やってますよーの流れです。ご都合が過ぎる気がしないでもないです。

20211221_000

まあその裏社会がきな臭すぎて、しかも少女が追う母親と、その母親を追う同業者が出てくるという。同業者が出てきて敵対の展開は面白いです。それだけに、導入が雑に見えてしまうのが惜しい。

しかしそれを補うほどの同業者の存在感が実に良し。同業者で、かつ相手も痛みを感じないのです。

20211221_001

そして始まる同業者バトル!ここまで無かった展開です。お互い痛みを感じないからもうなんでもあり。しかも刀で斬ったり斬られたりで痛い痛い。自分ダメなんですよ、刀とか刃物を手で握るシーンとか苦手。見てて痛い。手首飛ばされるとかなら痛み想像出来ないからいいんですけど、イメージできる痛みはダメ。そんな戦いになります。


と、面白いのはこのあたりまでで、どうも話の展開がやっぱり雑というかなんというか。もう少しなんとかならないのかと思ったり。そもそもなんでこの少女を助けることになったのかの導入が雑なので、そのあとの展開もどうしても無理があるというか。

もうAV女優の運び屋とか関係なくなってしまってるしなあ。コンビのココアが逆に足枷になってる感まであります。無理にココアを出さなくても、オムニバス的に色んなAV女優の話にすればいいのではないのでしょうか。惜しいなあ、実に惜しい。設定は面白いのだけど。



眠気覚め度 ☆☆☆


4巻までの感想はこちら(AV女優の運び屋だけど専門は暴力の男)
6巻の感想はこちら(カルト宗教に殴り込み)


運びの犬 5 (ヤングチャンピオン・コミックス)
清水ヤスヲミ(著)
秋田書店 2021-12-20T00:00:00.000Z

¥660


ヘルドッグス 地獄の犬たち 2巻 - 導入部分の要素が大きい2巻、話が動くのは3巻からかな

ヤクザの世界に潜入捜査官として入り、成り上がって会長を始末するという使命を与えられた警察官がヤクザとして大盤振る舞いする「ヘルドッグス 地獄の犬たち」の2巻です。「土竜の唄」がライトな潜入捜査官ものとしたら、「ヘルドッグス」は超硬派な潜入捜査官ものです。

1巻はそのインパクトをまず全面に押し出すための始まりのお話という要素が多かったですが、2巻では一転して状況が進展し、事件が大きく発生する為の導入部という意味合いが強いです。


さて、この「ヘルドッグス」の最大の特徴は、主人公兼高も警察官であれば、対象としている会長の十朱もまた元警察官であるということです。

警視庁がヤクザである東鞘会を駆逐するために用いた非合法な手段、それが現会長の十朱こと警察官である是安総を東鞘会へ潜入させることでした。しかし潜入を続けるにつれ、何故か是安総はヤクザとして生きる道を選択し、警察に牙を剥きます。

その結果、元警察官であるということを逆手に取り、極秘潜入捜査における非合法手段に関しての告発資料をまとめて、警察が手を出せない状況を作り出しました。それを奪回し、是安総こと十朱会長を抹殺することが、主人公兼高の使命なのです。

この流れにおいて、少しでも警察としての身分がバレたら間違いなく酷い目に合わされて殺されるという恐怖を、何度も何度も繰り返し描写し、如何に兼高が精神的に追い込まれているのかが表現されています。これが妙に現実感があって怖いところでもあります。だからこそ、よりこの潜入捜査劇に緊迫感をもたらしてくれます。


そんなお話ですが、2巻ではいよいよ十朱会長の護衛という任務につくことで本人に近づくことが出来ます。そこから始まるボディーガードストーリー、そして十朱が語る今後の東鞘会というのが、2巻の大筋の話となります。

20211203_006

ですので、大きくお話が動くわけでなく、これから始まる大物語の導入部という感触が強いです。なので大きなアクションは少なく、むしろ次巻から一気に発展しそうな流れとなっています。

話の内容も、当然十朱会長と兼高の話だけでは終わらないようなものです。おそらくこの話は十朱がなぜ警察官を捨てて極道を選んだのかという話に繋がっていくのでしょう。

まさかとは思いますが、安易に警察官の正義を執行するために極道を続けたなんてことはないと思うので、その動静や考えは今後も楽しみです。

ちょっと話の展開が遅いかなとも思ってしまいますが、文字数も多いのでそんなこともないのでしょう。むしろここまでが話のしっかりとした導入で3巻から大きく話が動くのではないかと。次巻も期待です。


眠気覚め度 ☆☆☆

1巻の感想はこちら(超画力で描かれるヤクザの世界)


ヘルドッグス 地獄の犬たち 2 (ヒューコミックス)
イイヅカケイタ(著), 深町 秋生(その他)
KADOKAWA 2021-12-03T00:00:00.000Z

¥673

 

ガンニバル 12巻 - 食人族の本性が明かされ、物語はクライマックスへ

いよいよ佳境に突入した人喰い村の謎を追う「ガンニバル」12巻です。なんと次の13巻で完結の模様。

正直11巻までの内容をそこまで覚えていなかったのですが、後藤家元当主の銀さん過去話から、白銀出生の秘密、そして後藤家と恵介と阿川とましろが邂逅してるところからの続きからです。

これまでのキャラが総集合して結末に向かっているとも言えます。そして12巻ではそれがさらに加速し、遂に恵介の結論と後藤家の秘密と食人族の話の方向性が決定します。

20211125_001
「人間を殺し それを喰い尽くす それが俺達の本能やろが」

ここまでの流れが本当によかった。最大の敵であった白銀と決着したのも束の間、後藤家の本当の闇が顕現したかの如くです。

考えてみると、この物語のキーマンとなっていた銀さんが後藤家をまとめていたからこそ、この食人族もなんとかまとめあげられていたわけです。それが、銀さんの死によって全ての均衡が崩れました。

岩男たちはその最大の原因が阿川がこの村に来たことと決めつけていします。しかし、おそらく阿川が来なくても、恵介の葛藤があった時点で均衡が崩れるのは目前だったのでしょう。それを大きく早めたのが阿川の存在であるというだけです。

元々後藤家の均衡は崩れ始めていました。恵介の母親の脱走に始まり、連れ出した子供の思い、そして恵介の弟が違和感を感じてしまった座敷牢の中の供物である子供。いずれにせよ、銀さんの死が後藤家を破滅に追いやるのは時間の問題だったと思われます。

ただおそらく、阿川が絡んで来なければ食人族は逃げおおせることが出来たでしょう。阿川が関わったことにより、事件が大きくなり、国が動く事態に発展したわけです。13巻の結末では、おそらく多くの食人族が殺されることとなると思います。それで、後藤家滅亡で終劇になるのではないかと。楽しみですね。


本当に「ガンニバル」は不思議な魅力を持った作品です。最初は山奥にある排他的な村人たちの話というところから、その中でも特に後藤家は人を食っているというサスペンスが始まり、そこから壮絶な殺し合いに発展します。

また、後藤家が人を食うのはある種の宗教であって、それが排他的な村だからこそありえる、現実でももしかしたらそういった慣習があるのではないかと思わせてくれる表現が見事です。サスペンス好きなら絶対に面白いと思えるのではないでしょうか。

ラスト1巻、13巻が今から既に楽しみです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


13巻の感想はこちら(現代日本の食人村サスペンス完結)


ガンニバル 12
ガンニバル 12
posted with AmaQuick at 2021.11.25
二宮正明(著)
5つ星のうち4.2
¥594

 

大ダーク 4巻 - この独特の世界観が堪らない

知る人ぞ知る名作「ドロヘドロ」の林田球が描く「大ダーク」の4巻です。世界観は違えど雰囲気がまんま「ドロヘドロ」のままなのが堪らないですね、ファン垂涎だと思います。

なんですが、その独特の世界観がゆえに人にオススメしにくいというか。これ雰囲気が合わない人には全く合わないだろうなというのが、ファンでも意見が一致しそうなくらいです。

話としては普通に考えたら残酷な世界観なんですよね「大ダーク」は。簡単に人は死ぬし、そもそも死体の骨を集めるのがザハ=サンコの目的?仕事?だし。それを平然と笑顔で、コミカルに描かれるのがすごくアンマッチでほのぼのと読める。そこが魅力。

4巻でザハ=サンコの斧が壊される描写があるものの、その後新たに手に入れた武器を使った時の流れが本当に笑ってしまった。その武器でもそうなるんかい!ってw

気持ち悪い描写も数あれど、決して不快感を生まない描写というのが本当に不思議なんですよ。むしろ清々しいまであります。この世界観を生み出せる才能は天才の域です。ただ、それがゆえに、決して一般には人気が出ないであろうというのが惜しいところ。こんなに面白いのになあ。

20211116_001
「自分で殺した宇宙人の死の肉は自炊してるようなもんだな。だから飽きちゃうんだよな~~」

こんな発言を平然とするような漫画他にあります?しかもこれ、人肉を食べるサイコ野郎とかじゃなくて、ものすごくまっとうな宇宙人なわけですよ(4匹の害悪と呼ばれる宇宙の嫌われ者だけど)。自分の手料理じゃなくて外食したいって言ってるだけなんですよこれ。こういう、異常な世界観なのにすんなり受け入れられる描写が実に素晴らしい。


ただ、やっぱりこれ合わない人にはとことん合わないだろうなと思います。4巻を読んだ感想としても、単巻で読む分にはいいのですが、ストーリーが何してるのか正直よくわかりません。だけど面白いという不思議な感想になるのです。我ながら謎過ぎる、これこそ言葉に出来ないということでしょう。

普通に考えて、ストーリーがよくわからないのに面白いってあり得ないんですよ。そもそもお話というのはストーリーありきなところがあるわけでして、話が続くならストーリーが面白くあるべきなのです。

だけれど、「大ダーク」はそんなの関係無しに面白いのです。これはおそらく、そもそも設定が面白いということではないでしょうか。魅力的な設定、魅力的なキャラがいて彼らがすることが面白い。日常系でもそういった要素があると思います。しかし、その設定が予想を遥かに越えた誰にも想像し得ない設定だからこそ、惹かれるのかもしれません。それが「大ダーク」と他の漫画を大きく分ける要因ではないでしょうか。


「ドロヘドロ」ファンには必ず受け入れられると思われる「大ダーク」は今後も必見の作品です。まだまだ林田球は追っていくぞー。


眠気覚め度 ☆☆☆☆








北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝 - 実写ドラマ北斗の拳で人が爆発する

こんな切り口があったのかと思い知らされる「北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝」です。

ここで読めます。

名作「北斗の拳」といえば、原作もさることながらパチンコパチスロで再大ブレイクを起こし、一気にそのスピンオフを雨後のタケノコの如く増やしまくっている程の大人気作品。

その新しいスピンオフが、誰もが想像しなかった特撮ドラマ世界で表現されました。何言ってるのかわかりませんね全然。私も何を言ってるのか理解できません。

20211021_000
まさしくドラマ風景から始まるんですよ。

いやいやいや、「北斗の拳」って人が死んでなんぼの世界でしょうよ。アニメならともかく、実写でやるなら一体どれだけ死ぬだけの役が必要になるのか。そして人体の爆発をどうやって表現するのか。動物で再現するだけでも苦情が飛び交うこの時代、人間なんて実現しようものならひどいことになりますよ。

20211021_001
特撮班頑張りすぎ。



20211021_002
血を噴きだす為のパイプが絡んで事故が起きたからこそできたこの表現!

そうなんです、あくまで最初は爆発なんて想定していなかったという設定なんです。しかし撮影中に発生した事故による人体爆発。この偶然の産物を「北斗の拳」のメインテーマにするというドラマ現場ならではの機転。ここから全てが始まったかのように、後付設定をつけまくるのがこの作品の基本となります。

この後付に至る流れがいちいち笑えるのがすごいところ。
20211021_003
「百裂拳だけじゃなくていろんな技がある方が面白いじゃねぇか!」という理由から生まれた「岩山両斬波」だったり。


20211021_004
「実るさ…下に あの老人が眠っている」という名言の誕生秘話が俳優のアドリブだったり。

このように、あらゆる「北斗の拳」の設定がドラマを盛り上げるための演出を考えたら思い至ったということにして話が展開していくのです。

その流れが全てだからというのもあるのですが、そこが上手い。ドラマ撮影の彼らは勿論、現実の「北斗の拳」の実情は知らないわけです。だからこそ、1から「北斗の拳」を作り上げていく男たちの戦いという姿を見せてくれます。しかも特撮ドラマとして。

最初はこんなの出オチで終わるんじゃないかとも思ってましたが、これがどうしてしかしネタが途切れない途切れない。おまけに原作の細かいところに忠実なものだから、原作を知れば知るほど面白い。こんなパロディはなかなか無いです。

そして絵柄がホントに原作1巻2巻と同じような絵柄なのが凄い。再現シーン以外はあえてなのかわかりませんが少し似せてはいないところが、逆に演じているシーンなのかどうかを切り分けているようにすら見えます。

これ連載が長期化していって、原作の絵柄の変遷に合わせて変わっていったら面白いだろうなあ。というかそうせざるを得ない作りになっているような。


今のところ1巻ではシンとの戦いまでですし、Web連載もまだGOLANやジャッカルの話のところです。今から既にジャッカルのデビルリバースの巨体をどうやって表現するかや、フォックスが使う跳刃地背拳をどう演出するかが楽しみで仕方ありません。あとはレイがマミヤの服を切り裂くシーンをどうやって表現するかとか。

とにかく原作ファンであればあるほど楽しめる作りになってます。下手なパロディよりも数段レベルが高いものではないでしょうか。次巻も楽しみです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆

2巻の感想はこちら(同じネタの繰り返しだけではなく新しいネタの掘り下げ方が上手い)


北斗の拳 世紀末ドラマ撮影伝 1巻 (ゼノンコミックス)
武論尊(著), 原哲夫(著), 倉尾宏(著)
5つ星のうち5.0
¥594

 
今のイチオシ!
ちょっと前のイチオシ!!
結構前のイチオシ!!
それなりに前のイチオシ!!
スピリットサークル完結!!
タイムリープサスペンス!!
ゲームとギャグが好きなら!
漫画もいいけど山賊もね!
記事検索
応援してますその2
応援してますその5
Twitter
日々読んだ漫画の感想を中心に記事を更新しています。記事更新と同期していますので、漫画の感想情報を見逃したくない方はフォローお願いします!
メッセージ

名前
メール
本文
「眠気が覚める面白さを求めて」は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。
  • ライブドアブログ