サスペンス

金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿 11巻 - 単なるネタにとどまらず犯人のキャラ付けが上手いからこそ面白い作品です

打倒金田一を目指す犯人側の視点を描いたことで一挙に注目を浴びた「金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」11巻です。

一旦完結したのですが、金田一少年の事件簿30周年を記念して期間限定復活したそうです。

対象とした事件は「剣持警部の殺人」「錬金術殺人事件」「ゲームの館殺人事件」の3つとなります。2009年、2010年、2011年に発表された事件です。

実は私自身はこれらの原作を読んだことがありません。初代の金田一は全巻読んでましたがそこまででした。しかし、原作を知らないのに何故かそれなりに面白く読めてしまうのがこの「犯人たちの事件簿」の凄さなのだと思います、普通に面白かった。

というか、今回の犯人たちの引率とも言うべきストーリーテラー役に、初代犯人の有森や学園七不思議殺人の名物犯人的場を据える時点で面白い。

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「やることが多い‥ってね」

特に有森なんて、初代犯人かつ金田一の友人かつ死んで終わったということもあり、金田一史上最も有名な犯人なんじゃないでしょうか。それだけ良いキャラだってことでもあるんでしょう、彼らが出てくるだけで笑ってしまうのが正直悔しいところ。


そしてまた、知らなくても面白くしている要素として、ひとりひとりの犯人にしっかりと思想や特徴を打ち立てて、かつその話で使うネタを大きく固めてしまっていることが挙げられます。そうすることにより、毎回金田一に暴かれる同じ結論だとしても、そこに至る過程がしっかりしていて面白さを引き立てていいると思うのです。

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「俺‥悪そうに見えるけど‥めっちゃ普通のヤツだから‥‥人の殺し方なんてわっかんねぇよ‥‥!!」

犯人だけど普通の一般人だと主張したり、


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「さすが俺!幅広い知識があってこその閃き‥‥!!国立歯科大学‥‥ッ!!」

歯科大学のエリートだからという自負を持ち、歯を治す要領で溶接トリックを駆使したり、例えで金田一が自前の歯なら俺はインプラントだと主張したり、


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「どんどん過激にしてこっ!!昔のテレビみたいに!!」

昔のテレビマンだったからことあるごとに昔のテレビはコンプラがなかったと主張したりと、様々なキャラ付けがされています。これらがしっかりしているからこそ、各話でもネタの展開の仕方が一貫されていて面白く読めるものに出来上がっています。

当初は犯人がこういうことをしたとすると、実現するには相当大変だぞというところが面白さとして打ち出されていたと思います。ですが、その繰り返しだけではやはり単調になって飽きられてしまうので、こういった明確なキャラ付けとネタ作りするようにしたのでしょう。それがとても上手くいった作品になっていると思います。だから、原作を知らなくても十分に面白いものに仕上がっているのではないでしょうか。


10巻で完結して、再開もこの11巻で終わりとなる「金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」でした。ホントこれは良いスピンオフだったと思います。コナンのスピンオフにも影響させるくらいですし、金田一を読んだことのある世代にドンピシャです。読んだことが無い人は必読。


眠気覚め度 ☆☆☆


金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(11) (週刊少年マガジンコミックス)
さとうふみや(著), 天樹征丸(著), 金成陽三郎(著), 船津紳平(著)
講談社 2022-06-16T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥528


ウソツキ皐月は死が視える 4巻 - 死を回避するだけでなく話が転換してきました

死が視える設定のせいで学校では毎日の様に人死にが発生する「ウソツキ皐月は死が視える」4巻です。3巻の時にも書きましたが金田一くらい人が死に直面します。

とはいえ、死を回避し続けたことによる人間関係の変化がベースの話となってきました。死を回避するのは変わりませんが、相手が協力的になったり死の原因が単なる事故ではなくなってきたりと話が転換してきたイメージがあります。

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はいw

1巻でも死にかけた椎名さんです。4巻の死に近い登場人物です。この子の死を回避するために4巻は皐月と行動することになるのですが、いやあこの子がもうホント最悪な性格をしてる子だことw

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「誰もイヤな思いしないで、ただ悪口楽しんでるだけ!いい部分も悪い部分も楽しんだほうがよくない?」

いやあ、わからんわあこの感性w 悪口って楽しむものなのか?w 小町はいじめるし、悪いことはするし、それも含めて自分が好きってのが超個性的。悪いことだとわかってやってるから尚更たちが悪いw 人間臭くて好きだなあ、こういうキャラはw


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そして動き出したのが生徒会長。まだ真意はそこまで見えてきませんが、自分の正義の為には手段を選ばないというキャラに見えます。この生徒会長が、死が視える皐月を使ってあれやこれやし始めるので、話が転換してきたなあと。

ただどうなんでしょ、これまでだと事故死とか自殺とかが主流だったから学校内で収まってましたが(事件多すぎだけど)、生徒会長が動き始めると学校内で事故に見せかけた殺人を防ぐという流れになるわけで、シナリオのベース自体が変わることになりそうです。

もしそっちの流れに変えるのだと、学校じゃ現実感無くていまいちになりそうというのが懸念点です。いやいや、そもそも現実感無いだろと言われたらその通りなんですけども。

うーん、難しいですよね、女子高生が死が視えちゃうのでどうしても舞台は学校になるわけで。探偵ものとか推理ものだと逆に死が視えるのはたまに見る設定になってしまうのか?病院や警察ものになるとむしろ死が多すぎて困るしなあ。死が視える葬儀屋とかが意外とありかも。


何の話をしてるかわからなくなってきましたが、「ウソツキ皐月は死が視える」4巻も面白く読めました。良くも悪くも、ワンパターンから脱却して話を転換させたのはグッドだと思います。


眠気覚め度 ☆☆☆


2巻までの感想はこちら(蔑まれながらも死の回避に奮闘する女子高生には幸せになってほしい)
3巻の感想はこちら(金田一並みに死が近い学校ですね)




ガンニバル 13巻 - 現代日本の食人村サスペンス完結

日本奥地の過疎村で食人文化が行われていた「ガンニバル」は13巻で見事完結しました。

いやあ、面白かった。最初は村にやってきた駐在阿川が村に違和感を感じるところから始まり、徐々に村の異様な空気と村を治めているような立場の後藤家とが入り乱れてサスペンスになっていくのが素晴らしかったです。

そこから徐々に後藤家の秘密が明らかになり、あれよあれよと事件が膨れ上がって何人もの死者を出すことになっていくところもまた素晴らしい。狂気に満たされた村はある意味で別の狂気(という名の強い正義感)を持って制していくのも非常に良かったです。

単なる村人対後藤家や、後藤家対警察の対立ではなく、各人の思い、疑問、一族への疑念と文化を続けることの無情さが複雑に絡み合って、サスペンスの中にもそれぞれの人間ドラマが丁寧に描かれていました。だからこそ単なるスプラッタサスペンスではなく、筋の通った素晴らしい作品になったのではないでしょうか。


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「報復に次ぐ報復  それを止めれねぇなら  この呪いは終わらねぇ」

何よりも最終13巻で良かったのは、後藤家の話だけで終わらず、供花村の話として締めくくられたところです。供花村もまた後藤家の被害者であり、長年の恨みは募り続け、後藤家が離散し大勢死んだ今だからこそ立ち上がるという流れになっています。

これ、ここまでの話で、明確に後藤家に対する報復に躍り出るような流れってなかったような気がするんですよね。恨み節とかはあれども、そういうのはなかったような。というよりも、これまで後藤家の動きが凄すぎてすっかり忘れてるだけかもしれないですが。

それが、ここに来て供花村の村人が立ち上がるわけです。てっきり後藤家滅ぼしたら終わりだと思ってたので、非常に良い意味で裏切られました。そんな展開だもの、そりゃ一気に読み切ってしまいますよ。


そして最後は綺麗に事件解決して大団円。

と、見せかけての、サスペンスならではの終わり方をしてくれるのが本当に本当に良かった。呪われた村で狂っていたのは後藤家だけでなく、供花村だった。その呪いは果たして事件解決によって解かれたのか?そういった余韻で完結というのが非常に良かったです。

やっぱりサスペンスって、綺麗に終わるのもいいけれど、こうやってミステリ要素を残して終わるのも至高だと思うんです。終始異様な雰囲気で展開され、何人もの犠牲者が出た「ガンニバル」が大団円ハッピーエンドになるはずがないのです。そんな終わり方が好き。すごく自分好み。


ホント良かった、最後まで読み切って感無量です。ドラマ化も予定している「ガンニバル」はサスペンスが好きな人には是非読んでいただきたいです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


12巻の感想はこちら(食人族の本性が明かされ、物語はクライマックスへ)


ガンニバル 13完
ガンニバル 13完
posted with AmaQuick at 2022.03.01
二宮正明(著)
日本文芸社 2022-02-28T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.4
¥594

 

無能なナナ 9巻 - 327ページのぶ厚さで遂に話が大きく動き出す

やたらぶ厚いなと思ったら327ページもあった「無能なナナ」9巻です。

毎巻厚めなページ数を提供してくれる「無能なナナ」ですが、なんと今回は327ページ。下手したら他のコミックでは2冊分であるページ数を一挙に収録してくれます。

この作品の特性上、イッキ読みするのが合っているとはいえ、これはサービス精神旺盛ですね。おまけにこの9巻は非常に引きが強いところで終わるのもグッド。続きが気になって仕方がない。


話としても遂に大きく動いた感があります。これまで島の中でひとりひとり能力者を殺害していった流れに飽き始めていたところで、島を出るという流れが起きて早くも数巻。島を出てからも、状況は変われどもなんだかんだで起きてることは変わらなくて、同じような展開が続いていました。

それがこの9巻で大きく大きく動き出します。おそらくこの流れの10巻がある意味第2部スタートでしょう。


ここまで長かったなあというのが正直な感想です。というのも、「無能なナナ」で一番面白い話というのが1巻の第1話だと思うのですよ。ある意味1話がタイトル回収であり、どんでん返しであり、それが全てだったのではないかと。

そこから話は進めども、どうしても1話を越える話は出てきてなかった印象です。もちろん主題である「島に潜入して、無能力者が能力者を秘密裏に殺害していく」が続いていたわけですが、やってることは推理漫画の犯人役をずっと繰り返していただけとも言えます。

内容も相手の能力が初めて出てきて、それをどう対処するかというもの。推理漫画でありジョジョのスタンドバトルでもあるというところでしょうか。

ただ、話の本筋に終わりが見えなくて、迷走していた感があります。それが島を出てもなかなか拭えていなかったイメージです。


それがですね、9巻の最後で大きく動くわけですよ。これぞ待ち望んでいた展開なわけですよ。ここからどうなっていくのか楽しみで仕方がありません。

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「能力者は"人類の敵"であり 秘密裏に抹殺すべき対象なのです」

この台詞が9巻でまた聞けるとは。能力者たちと友好関係を深めて心が揺り動かされた柊ナナからまたこの台詞が出てくるのか、9巻の見所ですなあ。


あと、割とどうでもいいけど8巻から出てきた相馬は小者くさいなあと思ってたらやっぱり小者でした。9巻の展開に必要とはいえ、こいつでこんなに話ひっぱらなくてもよかったんじゃないかなあ。


というわけで、9巻を読んだ感想というよりも10巻が楽しみになった「無能なナナ」9巻でした。読んだことが無い方は1巻の1話は必見です。


無能なナナ 1話試し読み
1話見直すと全然絵が違うwww


眠気覚め度 ☆☆☆


無能なナナ 9巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
るーすぼーい(著), 古屋庵(著)
スクウェア・エニックス 2022-02-12T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.5
¥730


無能なナナ 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
るーすぼーい(著), 古屋庵(著)
スクウェア・エニックス 2017-02-22T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.6
¥313

 

夏目アラタの結婚 7巻 - 話が急展開して面白くなってきました

タイトルにも記載した通り、話が急展開して一気に面白くなってきた「夏目アラタの結婚」7巻です。

正直6巻までは真珠の狂気や魔力とも言える魅力を説明するところが多く、面白いけれども手放しで面白いとは言えないかなくらいの感想でした。色々と見えないところが多かったのでキャラの特性だけで描かれていた印象です。

それが、大きく話が展開したこの7巻で一気に面白くなります。というのも、これまでの伏線、特に真珠とその母の関係性が明らかにされます。

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「環が何から逃げていたのか!」「どうして知能指数が30も上昇したのか!」「環はなぜ歯医者にやらず太らせようとしたのか!」「卓斗の手紙に何を感じたのか!」


これら全ての伏線が回収されるのです。今までずっともやもやしながら謎のままでしたので、ようやくその積もった鬱憤が解放された気分です。おまけにその結末も納得いくものですし、話に大きな無理は無いです。

しかも主人公であるアラタが児童相談所の職員である必要性まで絡めてきています。色々なパズルのピースがぴったりはまった感が大きいです。だからこそこの7巻で一気に面白くなってきたと思います。

というか冷静に考えると、これらを明らかにせずともここまで読者を引っ張ってきたキャラ魅力や作品構成が素直に凄いということなのか。


その後の展開も凄まじく、アラタが真珠を意識し始めています。

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「俺、やっぱ真珠に惚れてるように、見える?」


これまでは事件の真実を明らかにする為だけに近づいていたアラタの心境の変化もまた、真珠の魔力に惹かれたことであるというのがこれまでの展開からも想像出来るのがグッド。

桃ちゃんも宮前も真珠に早々と陥落されましたがこれまでは耐えてきたアラタすら落ちてしまうという。まさしく全ては真珠の手の平の上じゃないかと思わせてくれます。


しかし、ただ陥落させられるだけではないアラタがまた見ものなのです。既に真珠の旦那となったアラタだからこそ取れる真珠への本当の意味での真摯的な対応、それが実に素晴らしくてカッコいい。ここから本当の意味で真珠とアラタの戦いが始まったとも言えるのではないでしょうか。



というわけで、急激に面白くなってきた「夏目アラタの結婚」7巻でした。これここまで全部展開考えて連載してたということになるので、おそらく結末とかももう決まっているのでしょう。まだまだ楽しみです。



眠気覚め度 ☆☆☆☆


6巻の感想はこちら(アラタが術中にはまっていく姿がお見事)


夏目アラタの結婚(7) (ビッグコミックス)
乃木坂太郎(著)
小学館 2022-01-28T00:00:00.000Z
5つ星のうち5.0
¥605





おまけ

真珠は拘留されてるからアラタと真珠が直接話が出来るのは当然留置所の面会だけですが、この2人とんでもない独白だったりをするので、その場にいる立会人が一番色々驚いているのがいちいち面白いw

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裁判所でも取り調べでも語られなかった真実を全くの無関係者が聞かされたらそんな顔にもなるわw


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裸の思いを全力でぶつけられてる様子を見ても戸惑うよねw


 

ミギとダリ 7巻 - これにて双子が1人を演じる不思議な世界が完結

目的を持った双子が1人の養子として潜入し、2人1役を演じる「ミギとダリ」の最終7巻です。最初から最後までなんとも不思議な作品でした。ギャグなのかシリアスなのか境界線が曖昧というかなんというか。

2人1役を演じるというのはそのままの意味で、周りの人間には1人しかいないようにずっと振舞うのですよ。団欒の食事シーンですらそれをつらぬくのです。そのシーンが捉えようによっては本当にギャグにしか見えなくて、割と笑えてきます。

そのシーンが、まさかこの最終7巻では哀愁漂うような表現になるとは思いもよりませんでした。7巻までミギとダリ二人の心情描写が描かれ、この7巻で本来の目的を果たし、その先に表現される結果なのですなあ。


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「ぼくの幸せがダリの幸せであるように」


なので、同じことを描いていても捉え方が変わってきます。上手いですね、こういう表現。最初と最後で同じことを描いていても違う意味に捉えられるパターン好きなんです。

そしてそんな不思議なギャグかと思えば、真相のストーリーはシリアスだったりするのです。7巻でこれまでの謎が全て明かされて、ミギとダリの目的が果たされます。その真相も正直笑い飛ばせるようなものでなく、まるで昼ドラ。中盤までギャグ表現で、実はそれが布石で、最後はシリアスで締める技術がお見事です。


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「ダリの幸せがぼくの幸せだ」


シリアスシーンもちょいちょい元々ギャグだった内容をそのまま表現してて、シリアスの中にギャグをそのまま同梱してるのとか好きだなあ。しかも作中は誰もふざけていないという。やはりなんとも不思議な作品です。なんとも形容し難い。いくら書いても面白さが伝えられる気がしません。

これは読んだ人にしかわからない雰囲気であるでしょう。是非とも読んでみてほしいところです。不思議な雰囲気にじわじわ引き込まれて、いつの間にか読み進めてしまっていることでしょう。


眠気覚め度 ☆☆☆


ミギとダリ 1 (HARTA COMIX)
ミギとダリ 1 (HARTA COMIX)
posted with AmaQuick at 2021.12.17
佐野 菜見(著)
KADOKAWA 2018-04-14T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.4
¥99


ミギとダリ 7 (HARTA COMIX)
ミギとダリ 7 (HARTA COMIX)
posted with AmaQuick at 2021.12.17
佐野 菜見(著)
KADOKAWA 2021-12-15T00:00:00.000Z
5つ星のうち5.0
¥673


怪異と乙女と神隠し 4巻 - テーマは付喪神だけど対象はVTuberなのが実に上手い

割とベースとなる怪異の話はシリアスなのに、絵が上手くて主人公が恵体でやたらとでかい「怪異と乙女と神隠し」の4巻です。これ絶対、話はともかく絵が好きで読んでるという人がいるでしょう。

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でかいんですよ。やたらと。


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ね、やっぱりでかいんですよ。


そんな「怪異と乙女と神隠し」の4巻です。本巻では大きく話は2つ、どちらも完結するので読み切るにはちょうどいいですね。

特に2つ目の話がまさしく現代的という感じで面白かったです。なんとテーマはVTuber。
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このVTuberの話から、側だけが動き出して事件を起こしてしまうのです。いわゆる付喪神の話ですね。中の人から手が離れて、ネット上で色々と悪さをしてしまうというお話。

これがもう、まさしく現代っぽいと思いました。付喪神といえば長年使った道具に魂が宿り、自我を持ったり勝手に動いたりというもので、例えば傘だったり、職人が長年使った道具だったりなどが定番なわけです。それが、まさに現代に即した形で、VTuberのキャラクター自身が付喪神になるというのは目の付け所が非常に面白いです。

私自身、VTuberにはさほど興味が無いため、その熱狂ぶりがあまりわからないのですが、この作品ではなかなか研究されているという印象でした。

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ここまで本当に入れ込む人がいるのかどうかはわかりませんが、VTuberの熱狂っぷりを如実に表現しているのではないかと思います。好きだからこそ、熱中できるからこそ、こういった感情が吐露されるのでしょう。

私自身も、VTuberが対象ではないけれども、例えば連日感想を上げているような漫画に様々な経験や感動を与えられているわけですから、熱中したものから得られるものが大きいというのは重々理解しています。だからこそ、VTuberに熱中する人達としても、そういった感想が上がるのでしょう。

そのあたりの表現がしっかりしていて、研究されているのだろうなというのが率直な感想となります。そういった裏づけがあって説得力がある表現というのは、読者を引き込むためには必要な内容だと思っています。なので、この話もじっくり読めて面白いものとなっていました。

VTuber界隈、正直なことを言うと私もそんなに良いイメージはないのですが、それを好きな人も勿論いるわけでして、決して否定はしません。むしろ肯定側に考えを揺らさせてくれる表現をしてくれて感謝しています。

テーマの選定もよければ、話の設定も上手いなあ。しかも絵も上手くておっぱいも、いや、恵体の女性を描いているのだから、もっと人気出てもいいと思うんだけどなあ。次巻も期待!


眠気覚め度 ☆☆☆☆


3巻までの感想はこちら(都市伝説と恵体女性と黒髪美少女)


怪異と乙女と神隠し(4) (ビッグコミックス)
ぬじま(著)
小学館 2021-12-10T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥605

 

ガンニバル 12巻 - 食人族の本性が明かされ、物語はクライマックスへ

いよいよ佳境に突入した人喰い村の謎を追う「ガンニバル」12巻です。なんと次の13巻で完結の模様。

正直11巻までの内容をそこまで覚えていなかったのですが、後藤家元当主の銀さん過去話から、白銀出生の秘密、そして後藤家と恵介と阿川とましろが邂逅してるところからの続きからです。

これまでのキャラが総集合して結末に向かっているとも言えます。そして12巻ではそれがさらに加速し、遂に恵介の結論と後藤家の秘密と食人族の話の方向性が決定します。

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「人間を殺し それを喰い尽くす それが俺達の本能やろが」

ここまでの流れが本当によかった。最大の敵であった白銀と決着したのも束の間、後藤家の本当の闇が顕現したかの如くです。

考えてみると、この物語のキーマンとなっていた銀さんが後藤家をまとめていたからこそ、この食人族もなんとかまとめあげられていたわけです。それが、銀さんの死によって全ての均衡が崩れました。

岩男たちはその最大の原因が阿川がこの村に来たことと決めつけていします。しかし、おそらく阿川が来なくても、恵介の葛藤があった時点で均衡が崩れるのは目前だったのでしょう。それを大きく早めたのが阿川の存在であるというだけです。

元々後藤家の均衡は崩れ始めていました。恵介の母親の脱走に始まり、連れ出した子供の思い、そして恵介の弟が違和感を感じてしまった座敷牢の中の供物である子供。いずれにせよ、銀さんの死が後藤家を破滅に追いやるのは時間の問題だったと思われます。

ただおそらく、阿川が絡んで来なければ食人族は逃げおおせることが出来たでしょう。阿川が関わったことにより、事件が大きくなり、国が動く事態に発展したわけです。13巻の結末では、おそらく多くの食人族が殺されることとなると思います。それで、後藤家滅亡で終劇になるのではないかと。楽しみですね。


本当に「ガンニバル」は不思議な魅力を持った作品です。最初は山奥にある排他的な村人たちの話というところから、その中でも特に後藤家は人を食っているというサスペンスが始まり、そこから壮絶な殺し合いに発展します。

また、後藤家が人を食うのはある種の宗教であって、それが排他的な村だからこそありえる、現実でももしかしたらそういった慣習があるのではないかと思わせてくれる表現が見事です。サスペンス好きなら絶対に面白いと思えるのではないでしょうか。

ラスト1巻、13巻が今から既に楽しみです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


13巻の感想はこちら(現代日本の食人村サスペンス完結)


ガンニバル 12
ガンニバル 12
posted with AmaQuick at 2021.11.25
二宮正明(著)
5つ星のうち4.2
¥594

 

ウソツキ皐月は死が視える 3巻 - 金田一並みに死が近い学校ですね

死が予知できる「ウソツキ皐月は死が視える」の3巻です。安定して面白い。

前巻から、嫌いないじめっ子が死ぬということでその死の回避へ奔走します。おまけに今回の死亡要因は「殺人」。おおっと、これまでは事故死が多かったのだけど、急に金田一っぽくなってきたぞぉ。

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でも出てきたのがサラダ油なんだよなあ。

サラダ油は皆知ってる通り簡単には燃えないんです。そんな簡単に燃えたら揚げ物してる家が全部燃えちゃう。ハコヅメでもやってたしね。なら原因それじゃないじゃん。

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だけど中身が変わっていたと。

急にガチになってきた。作中でも触れられていたけど、今回の犯人と思われる生徒は本当にサラダ油だと思ってぶっかけてて、脅える顔が見たいだけで燃えないのはわかっていたと。だけど実際には中身が替えられていたため、本当に人殺しをさせたい犯人が別にいるということですな。

おやおや、きな臭くなってきたぞお。まるで殺人が頻繁に起こる不動高校みたいじゃないか。そんな学校に通っているのでは、人の死を見たらどうしても助けずにいられない皐月ちゃんは毎日大忙しですな。

前巻からの流れで、今回の事件で明と喧嘩をしてしまいます。明はいじめられてる相手など助ける必要ないだろうというスタンス。皐月は人を見捨てることなんて絶対出来ないというスタンス。相容れないけれども、正直明派ですね自分は。

一方皐月の方も過去にどうやら見捨てたことで後悔してるようで。そのあたりはこれから先どこかで描かれることとなるのでしょう。にしても、ちょっと頑固過ぎるのと、人を省みないで猪突過ぎるのが鬱陶しくなってきた感があります。あとは死に遭遇し過ぎというのもあるかと。

まあ死に遭遇しないと話が進まないから仕方ないのだけど。にしてもなあ、学校だけにとどめてしまうとやっぱり人が死にすぎでなあ。もう少し死に近い職業とかなら話の展開もしやすかったのかも。病院とか警察とか。でもそれだと、病院は医療ものになってしまうし、警察だと犯人逮捕に奔走する話になってしまうしで、確かにこの設定があまり活かせないかも。

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でもやっぱりこんなフランクに死体見ようって言われたらさすがに距離置きたくなるでw

話の方は遂に大きく動いていく感じがします。何故か事情を知っていそうな生徒会が出てきたし、このままただ死を見つけてなんとかするの繰り返しでは食傷気味ですしね。生徒会長の言う「せっかくの目も、あの使い方じゃあね…」の先が何が出てくるのか楽しみです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆

2巻までの感想はこちら(蔑まれながらも死の回避に奮闘する女子高生には幸せになってほしい)


 

夏目アラタの結婚 6巻 - アラタが術中にはまっていく姿がお見事

連続殺人犯「殺人ピエロ」として収監されている品川真珠。その真珠から、行方不明の死体の行方を探るために近づき、獄中結婚すらしてしまう夏目アラタ。そんな二人の駆け引きが狂っていて非常に面白い「夏目アラタの結婚」6巻です。

元々「医龍」から乃木坂太郎にはまり、「幽麗塔」、「第3のギデオン」と読んできています。「医龍」は本当に面白かった。「幽麗塔」もなんだかんだ面白かった。「第3のギデオン」は結局途中でやめてしまった。なので、基本乃木坂太郎作品は目を通しています。

画力が抜群であることと、人間の表情を非常に描くの上手いので、これぞ漫画を読んでいるという気になれます。特に悪役とかいやらしい顔が得意な印象。その分綺麗な女性は単に綺麗で終わってしまう表現になりがちなところもあるかなと。

だからこそ、この「夏目アラタの結婚」で見せる品川真珠の表情の変わりようが凄い。黙っていれば美少女なのに、歯並びも相まって笑うと途端に邪悪になるところとかキャラ設定が本当に上手いです。何を考えているのかどうやっても読み取れないし、全てが真実を語っているようにも全てがウソを騙っているようにも見えます。魅力的な悪役です。
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さてこの6巻、裁判の続きから始まるわけですが、色々な事実が出てくるものの、これまた何が真実なのか結局なにもわからないくらい混沌としております。闇が深い。

その中で今回特徴的だったのが、心の中では真珠を恐れていて結婚など単に建前でしかなかったはずのアラタの心が、徐々に真珠への独占欲に変化していくことです。その大きな契機は、真珠の謎の魅力によってアラタ以外の人物の心が徐々に向き始めていることとなります。
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この心境の変化、アラタも気づいていないことがわかるように描写されていて本当にお見事。1巻から読んでいても、いきなりの心変わりではなくて、徐々に徐々に変化しているのです。こういう展開の仕方が出きるのは漫画が上手いからと言えるでしょう。話に無理が無く、いつの間にかすり替わる人間描写が本当に素晴らしいです。

作中でも記載されている通り真珠は相当高度な知能犯。この裁判どころか、関わる人間全てが真珠の手のひらで踊らされているかの感覚に陥ります。見事に真珠中心で回っているのです。悪役が中心だからこそ、こういうサスペンスはやはり面白い。安定して読めますね。次巻も期待。

あと今回アラタのかーちゃんが出てきたけど若くて魅力的過ぎでしょこれw


眠気覚め度 ☆☆☆


7巻の感想はこちら(話が急展開して面白くなってきました)


 
医龍(1) (ビッグコミックス)
乃木坂太郎(著), 永井明(著)
5つ星のうち4.3
¥605

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結構前のイチオシ!!
それなりに前のイチオシ!!
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