眠気覚め度 ☆☆☆☆☆

その着せ替え人形は恋をする 12巻 - 職人五条新菜

クリスマスに浮かれる海夢と衣装作りに職人魂を発揮する五条くんの対比が見れる「その着せ替え人形は恋をする」12巻です。

五条くんがカッコいい巻となります。ひたすらストイック、頭の中にあるのは衣装作りのことだけ。全く妥協することなく、ただただ自分が追い求める理想への道を突き進む五条くん。カッコ良すぎてこりゃ海夢も好きぴにもなるわ。

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「頭の中に理想のものがあっても実現するのが難しい」とは五条くんのおじいちゃんの言葉。

どうしてもイメージどおりのものが作れなくて、出会ってきた人たちの経験知識の凄さと比較してしまって、自分には何もないと思い込んでしまう五条くん。まさに探求を続ける職人です。自分が追い求めるものを探求する追求者は男女関係なくカッコいい。

また、じいちゃんも理解者であり、優しく見守る立場なのが素敵なんです。


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「「もっとこう作りたかった」「もっとこう出来たはず」納得できず三十、四十、五十歳と理想に追い付けないまま ああだこうだ言い続けて 年が七十にもなれば今度は 体が追いつかなくなって…新菜も生涯納得する事はないだろうなぁ」

自身も職人だからこそ孫を理解しているじいちゃん、なんて素敵な関係性なんでしょう。そのあとの海夢へのお願いもまた素敵で、そして海夢もまた良き理解者であるところが、「その着せ替え人形は恋をする」の良さを物語っています。


というわけで、今回は終始職人五条新菜にスポットをあてた巻でした。正直なところしゅきしゅきだいしゅきの海夢の展開も好きですが、悩みながら自身の理想を追い求める五条くんの展開も大好きなので12巻はとても良かったです。むしろそっちの方が好きかも。なんだかんだ、やっぱり熱い物語が好きなんだなあ。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


8巻の感想はこちら(五条くんの心の扉が開いた音が聞こえる)
9巻の感想はこちら(五条くんが今までで一番の恐怖を感じる巻です)
10巻の感想はこちら(恋する海夢の悩む思いにニヤニヤする)


その着せ替え人形は恋をする 12巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
福田晋一(著)
スクウェア・エニックス 2023-09-25T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.9
¥730


アニメ感想はこちら

1話の感想はこちら
2話の感想はこちら
3話の感想はこちら
4話の感想はこちら
5話の感想はこちら
6話の感想はこちら
7話の感想はこちら
8話の感想はこちら
9話の感想はこちら
10話の感想はこちら
11話の感想はこちら
12話の感想はこちら


ゆうえんち -バキ外伝- 3巻 - 昔の刃牙にあった魅力が詰まっていて最高

話が、というか時代が大きく動いた「ゆうえんち -バキ外伝-」3巻です。やっぱり今の本編よりも2000倍面白い。

3巻は、葛城無門の子供時代が終幕し、柳龍光の名前が出てきて、時代が流れます。そう、ちょうどユリーチャコフスキーと花山薫がぶつかる時代に。

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もちろんこのあたりは原作のお話なので、数ページしか取り上げられません。

このあたりでわかった事実として、無門はバキや花山の数歳年上というところです。この当時の花山は15歳か16歳だったはず。バキはその1つ下くらいです。

それに対し、バイトで生計を立てていたり梢にお兄ちゃん呼ばわりされている無門は18歳です。もしこのまま柳龍光と激突するなら、バキが戦ってた歳と同じくらいで柳龍光とやるのかな。


3巻では話が大きく動いて、太山が柳龍光とやった形跡があったり、柳龍光と同じく空道を使う神野仁が出てきたり、更に関係者のマスター国松が出てきたりします。

そして神野仁と無門が少しやり合うのですけど、これが最高にたまらんのです。

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ここの戦闘シーン、神野仁は空道を全面的に使ってきます。そしてそれを人体に対してだけでなく、移動手段としても用いているのがお見事。単なる力比べじゃなくて駆け引きになってるところが昔のバキっぽくて素晴らしいのです。


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マスター国松の登場シーンも本当に素晴らしい。正直「バキ」をあまり読み返していないのでほとんど覚えていなかったのですが、見た目から一発で記憶を引き出されるほどの強烈な個性、魅力あるキャラはやはりこうでなくては。


ホント面白いなあ。これがスピンオフじゃなくて本編ってことにならないかなあ。それくらい傑作だと思うのですよ。

そして、ユリーとか出てきたことから「グラップラー刃牙」を読み返してたら数時間経ってました。やっぱ刃牙の幼年期篇は魅力たっぷりやで。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


1巻の感想はこちら(最近の本編よりも断然面白い外伝小説コミカライズ)
2巻の感想はこちら(強キャラ勢揃いで今の本編より2000倍面白い)


漫画 ゆうえんち -バキ外伝- 3 (少年チャンピオン・コミックス)
藤田勇利亜(著), 夢枕獏(著), 板垣恵介(著)
秋田書店 2023-07-06T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥634


33歳独身女騎士隊長。 3巻 - ギャグとエロとあんなことが混ざってマヨネーズになっている傑作

個人的に超傑作だと思っている「33歳独身女騎士隊長。」の3巻です。3年に1回しか続刊が出ない本作、連載としては90ヶ月続いているそうです。約8年で3巻、小学生が高校生になっている期間ですね。

さて、私が何故この「33歳独身女騎士隊長。」が傑作だと思っているかというと、ギャグとエロとある種のシリアスが良い感じに高レベルで融合されているからなのです。

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作中でも混ざりようがない要素が綺麗に混ざっていると揶揄された主人公こと33歳独身女騎士隊長のメイル。まさしくこのマヨネーズのようなメイルがこの作品を見事に物語っていると言えるでしょう。

本作品は基本的にエロギャグなんです。男日照りで未経験で日々自慰にふけっているのだけれど、女騎士としては超優秀で誰よりも強くて、忠誠心もなんだかんだあって、でも怠惰なところもあるので良い感じに力を抜いているのがメイルなわけですが、だからこそ妙に納得がいくというか。

なので基本はエロを求めてるメイルの話になりますし、野盗退治となれば徹底的にぶち殺して終わりますし、王女護衛となれば隊員全員で真面目に仕事へあたります。

その内容がどれもこれも面白おかしくて本当に素晴らしいのです。


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3巻の例ですと、王女護衛行軍するにあたり、新米騎士の初仕事が道中に設置されたトイレの糞尿の始末なのです。護衛をするだけでなく、国のためのインフラ対応もするのがクロノワーク王国の女騎士の使命です。

そしてそんな汚れ仕事を嫌々こなしつつも、報酬は肉食べ放題というだけで仕事を頑張る気になる新米女騎士たちは、まさしくメイルたちの若かりし頃なのでしょう。

そういった、騎士としての忠誠心と、人間としての色欲食欲を始めとする人間臭さとが大いに入り混じっているのが「33歳独身女騎士隊長。」の面白さと言えます。


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そしてその面白さを更に加速しているのがシルビア王女。この王女がめちゃめちゃ策略家で、あれよあれよと指示をするだけで政局が大きく動く天才なのです。言ってしまえばクロノワーク王国の頭脳担当。

それでいて、国のために色々画策しているというよりは、シルビア王女本人の欲望のために国を動かしている始末。おまけにそれで国が更に繁栄する結果となっているのがまた面白い。このシルビア王女があるからこそお話の面白さが際立つことになっています。というかシルビアいなかったら話動かないしなw

なので、どちらかというとシルビアに振り回される女騎士たちという構造なのです。それがやがて国同士の対立となり、国同士の公益となり、果てはクロノワーク王国の発展に繋がると。

そして作中では一切国の発展なんか考えておらず、好き勝手にやってるだけで発展している結果なのがまた良いんです。難しく考えること無く、ただただラクに読めますし。だから本当に好き。


3巻だとソクオチ王国の話になっていまして、なかでもオサナ王子の優秀さが際立っていました。最初はエメラ王女に惚れるだけのポッとで駄目王子でしたが、すっかり3巻では覇者の風格に。それでもシルビアに敵わないのがやはり可愛いところだけれどw

あと3巻で面白かったのはメイルの家名がはっきりしたところです。キガ家なんですメイル。つまり本名はメイル・キガ。気が滅入るです。

ここまではまだ笑わなかったんです。だけど、姉の名前が「フレール」だったり、妹の名前が「シレーヌ」だったのが完全にツボりました。センスあるわあ。


というわけで、3巻も抜群に面白かったです。正直なところ、1巻2巻の方が面白かったと思いますが、それでも十分なくらいに面白い3巻でした。4巻は3年後かな?楽しみですね。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


33歳独身女騎士隊長。(3) (KATTS)
天原(著)
KATTS 2023-07-12T00:00:00.000Z
5つ星のうち5.0
¥940


Lv1魔王とワンルーム勇者 8巻 - 最高の展開の連続が最高

魔王に再び会いに行く「Lv1魔王とワンルーム勇者」8巻です。めちゃめちゃシリアス展開。いきなり最大級のバトル。そして驚きの展開。すべてが最高でした。

何が最高って、魔王軍のものすげー強かった魔物同士がいきなりバトルを始めるのです。

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1巻より引用。このセリフで出てくるドラゴンとイカが早速出てきます。


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1巻より引用、このお見合い相手候補の左側にいるドラゴンとイカです。


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それが8巻ではこうです。

こんなの最高じゃないですか。当初はギャグメインの作品だったからこそ、お見合い相手にかつて勇者マックスが倒した魔王軍筆頭がいることに面白さを見出していたわけで、シリアス展開になってからこれらのキャラと本気バトルするとか最高に決まっています。もっと言ってしまえば超最高です。


そして大怪我を負って、聖剣をなくしたマックスですが、なんだかんだで勇者の強さそのままでめちゃめちゃ強いのがまた最高。こういうところはブレなくていいですよねえ。

更に更に、8巻の後半では、こんなタイミングで出てくるとは思わなかったキャラまで登場するのです。見方によっては突然のめちゃめちゃなテコ入れとも言えなくはないですけれども、個人的にはこういう展開大好きです。最の高です。

この展開は9巻がどんなものになるか更にワクワクさせてくれます。そして9巻も8月にすぐ発売するようです。アニメ放映に合わせてのことでしょう。期待期待。

最初はもしかしてドラゴンとイカの戦いで終わっちゃうのではとも思ったのですけど、しっかり話が展開して良かったです。ホント面白いなあこれ、アニメはどうなるんでしょうねえ。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


5巻の感想はこちら(勇者パーティの争いが終わったら今度は魔王軍だ)
6巻の感想はこちら(魔界デートするし魔王四天王は勢揃いするしで魔界編スタート)
7巻の感想はこちら(本気の勇者マックスが見れるのは初めて)


Lv1魔王とワンルーム勇者 8巻 (FUZコミックス)
toufu(著)
芳文社 2023-07-03T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.7
¥644




りもで・りんぐ 2巻 - 欲にまみれたキテレツ大百科

女子高生が家電を改造して時空を超える「りもで・りんぐ」2巻です。

いやあ、待ちました。1巻の発売が2020年6月30日、そして2巻の発売日が2023年6月30日です。月イチ更新とはいえ、3年も掛かってしまうのか。

ちなみにここで読めます。

で、2巻の内容ですが、1巻同様強烈な魔改造家電がわんさかでとてもおもしろいです。タイトルにも書きましたが欲にまみれたキテレツ大百科です。何気に小学生の もり が一番スケベで魔改造家電を積極的に悪用してて好き。

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時間を遡って見ることができるゴーグルでパンツ覗いたりね。他にもレイヤーメガネで見Hん(みえっちん)のように裸を見たりね。おおもりくんといい、もりはホントに欲望の塊だなあ。だから話が動くんだよなあ。

ということはつまり、のび太が怠け者で変なところだけずる賢いから話が面白くなるドラえもんと似たような構図なのです。令和に復活したドラえもん最新作と思えば、つまらないわけがありません。最高。

その煩悩の権化のようなおおもりくん、なんだかんだいい味出してるんですよね。もり が大人になった姿だからもりの思考そのままで当たり前なのだけれども、それがうまい具合にはまってるんですよ。

未来人だから、色々とどうなるかわかっていて、自分のためにも問題を回避しようとしたり。と思いきや、押し入れで普通にエロ動画見てたり。はたまた自分の部屋が欲しくなって横着したりと。好きだなあおおもりくん。

おおもりくんの部屋の話で出てきた究極の魔改造家電がありまして、直感的に実現できそうで出来てないそのセンスが最高でした。

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物質をアナログからデジタルに変換してHDDに保存する機能。

これ、理屈はわかるのでありそうっちゃありそうなんですが、質量保存則とかから考えるとまずありえないという。こういうとんでもアイテムが出てくるのがホント魅力ですね。しかも現代人が欲しがるようなものばかり。最高。


2巻まで3年掛かったわけですけれども、果たして3巻は期待していいのでしょうか。Web版を見る限りではコミック化していない話数も結構あるみたいなので、是非とも3巻も期待したいところです。もしかして、3年後?


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆

1巻の感想はこちら(家電を魔改造して時空を越えろ)


りもで・りんぐ 2【電子版限定特典付き】 (MeDu COMICS)
ふくたいさお(著)
ジーオーティー 2023-06-30T00:00:00.000Z
5つ星のうち5.0
¥740


女子高生除霊師アカネ! 1巻 - ヒナまつりの大武政夫が描く超詐欺除霊師

ヒナまつりの大武政夫の新作「女子高生除霊師アカネ!」1巻です。いつも通りギャグ全力なんですが、キャラが超絶クズばかりでひたすら笑えます。


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「私の名前は東雲茜 ある時は女子高生」


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「そして またある時は 除霊師」


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「当然 霊なんて見えない」

ダメ、もうこれだけで笑える。キメ顔で「当然」とか言ってるのがホント大武政夫節な感じがして大好き。

そうなんです、女子高生除霊師とのタイトルですが、その実お金に困った女子高生が大金を稼ぐために除霊師詐欺を働くお話なのです。この「霊なんているわけない」の主張をしながら、霊に怯える人につけ込んで金をせしめるのがクズ過ぎてホント面白い。

そして茜の親が最高のギャンブル中毒のキャバクラ通い、これまた最高にクズで最高過ぎ。おまけにしっかり除霊師。親子でクズ除霊師。そんなクズ親父が金を抱えて蒸発したもんだから、娘も詐欺除霊師になる流れが本当に最高。クズ最高。


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「ホットリーディング用の情報が集まれば客の信用を得るのはたやすくなる。ここで依頼人の霊障が勘違いと分かれば最高だ。それっぽい事をして除霊したと言えば終わりだからな」「子供に教えるならサンタクロースは居ないんだよ位の真実にしてくれない?」

そう、除霊に使うのはホットリーディングとコールドリーディング。そしてそれを実現するための依頼人の様々な情報。もう除霊師というより占い師や詐欺セールスマンですね。

そんなテクニックを駆使して、次々といるはずがない霊を除霊し、お金を増やしていく物語です。こんなクズが集まる話が面白くないわけがない。


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素敵な笑顔だ。クズの皮を被った素敵な笑顔だぁ。


そんな詐欺師もとい除霊師のお話が「女子高生除霊師アカネ!」です。当然詐欺もとい除霊だけをするだけではなく、敵対する詐欺師もとい除霊師も出てくるわけです。


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出てくるわけです。


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出てくるわけです。

この話とかホントうまくて、ひたすら笑ってしまった。作中でも「除霊の振りをしに来たはずが気づけばライアーゲームかデスノートみたいな状態になっていた」と触れるところとか完全に狙ってやってるじゃないかと。


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この顔よwwwwwww


ホント面白かったです。完全にラクに読める作品です、頭空っぽで夢詰め込めます。ただ、「ヒナまつり」と比べるとまだまだパンチが弱いかなと思うところもあったり。今後に期待ですね。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


女子高生除霊師アカネ! 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
大武政夫(著)
集英社 2023-04-18T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥711


ジャンケットバンク 10巻 - ライフ・イズ・オークショニアはジャンケットバンク史上最大の面白さ

初めてのタッグマッチ、めっっっっっちゃキモイやつ村雨と序盤にボッコボコにやられた獅子神が刑事2人を相手にする「ジャンケットバンク」10巻です。

今回、初のタッグマッチ「ライフ・イズ・オークショニア」が開始されます。そしてタッグを組むのは真経津が過去に破ってきた村雨と獅子神。何気にギャンブルで真経津以外が戦うのは初めてです。

そして、正直この「ライフ・イズ・オークショニア」はジャンケットバンク史上一番面白い戦いかもしれません。

真経津が出てくると強いのは強いのですが、どうやって勝つのだろうというところにだけ目が行きます。しかし、今回のメインは獅子神の成長なのです。

ただの噛ませですぐに退場すると思っていた獅子神。明らかに真経津、村雨、叶と比べると1枚も2枚も強さが落ちてしまう獅子神。そんな彼が主人公格を張ることになるとは誰が想像したでしょうか。

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更に獅子神を成長させるべく動くのが医者でありめっっっっっっちゃキモイやつの村雨。このデコボココンビが想像以上にカッコいい戦いを見せてくれるのです。しかも最初から村雨はこうやって獅子神に指示をするという、まるで上下関係が出来ているかのようですね。


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「単純な約束も守れんのか?」

すぐに約束破って怒られちゃうんですけども。

そんなお茶目な獅子神くん、彼はこの「ライフ・イズ・オークショニア」が命を賭けた戦いであることを真の意味で理解していなかったからこそ、今までの獅子神のままでなんとかしようと余計なことを考えてしまったのでしょう。

そう、詳細は割愛しますが、この勝負状況によっては死者が出ます。獅子神の戦いと言えば「気分屋ルーシー」と学生いじめしたところしか見たことありませんが、もしかするとこれまでまだ命を賭けた高いをしたことがなかったのかもしれません。

そんな彼が初めて死に直面し、このままでは本当に死んでしまうと思った時、まさしく死にものぐるいで生きようと足掻くのです。


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「弱くて怯えきった 今のオレの為に生きろ!!!」

この辺、本当にカッコいいんだよなあ。「気分屋ルーシー」でイカサマ使って真経津に勝とうとしてた獅子神とは思えないカッコよさ。この後の思考シーンも凄まじく、読み飛ばしていいような内容ですけど全部読んでしまいました。

その直後の獅子神が覚醒するところの展開がまた凄く良いんです。「一流とそれ以外を分けるモノは自身が持つ視点の数に他ならない」のところから、敵である時雨、山吹の凄さを見せたあとに、村雨の凄さをさらに表現してるところがホント最高。そうすることで村雨が如何に強者足るのかを抜群に伝えてくれます。

この獅子神のカッコよさと、全てを見通している村雨の凄さが「ライフ・イズ・オークショニア」を最高に盛り上げてくれるのです。今まで一番面白いと思うなあこれ。


敵であり刑事である山吹と時雨のキャラ設定もまた抜群なのです。

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「悪い奴には何をしてもいいんだってな」

この山吹が持つポリシーは「正義は行為ではなく同意で決まる」そして「自分の正義は快感である」「正当に酔いたいから気分良く殴れる悪者を探す」ということ。だから刑事になったのだと。

気持ちいいくらいに正直で、人間臭くて好きですよ、こういうキャラ。世のため人のためではなく自分の快感のために悪人を攻撃するという主張は凄く酔っていて素晴らしいです。


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「そして正義は悪が死ぬまで殴るのを止めない」

正義が快感であること、悪が死ぬまで殴るのを止めないこと。これって、現代問題のひとつでもある、ネット上で犯罪自慢したらとことん叩かれることを示唆しているのだと思います。

犯罪者に人権なし、二度と何も出来ないように徹底的に殴りまくるというのがまさしくネットリンチを指しているのではないかと。つまりネットリンチは同意を認められた正義であるのだと。

現代社会の闇に上手く繋げてきたなあ。だからこそこれまでのギャンブラーと違って妙に人間臭くて、主張に納得出来るところがあって、わかりやすいキャラに仕上がっているのだと思います。


獅子神くんも村雨もいい感じにカッコよくて、対戦相手も人間臭くて、「ライフ・イズ・オークショニア」は最高ですね。11巻で決着しますが本当に続きが楽しみです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


3巻までの感想はこちら(大金を持つ銀行は最高の賭場になり得る)
4巻の感想はこちら(まさかの決着方法に脱帽のジャックポットジニー篇完結)
5巻の感想はこちら(閑話休題でも一切手を抜かないギャンブラー達)
6巻の感想はこちら(またもや驚きの結末を迎える「アンハッピー・ホーリーグレイル」戦はこの巻で全て読めます)
7巻の感想はこちら(一皮剥けた御手洗くん篇)
8巻の感想はこちら(話の展開が全く見えなくなってきました)
9巻の感想はこちら(ヒーローズジャンケットがギャンブラーと銀行員を大きく動かす)


ジャンケットバンク 10 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
田中一行(著)
集英社 2023-02-17T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥711


もういっぽん! 22巻 - 勝利を目標に据えた少女たちが魅力的すぎる

アニメ絶好調、遂に3年生になってしまう「もういっぽん!」22巻です。

全国大会で永遠が戦ったり3年生になって新入部員ではなくマネージャーが入ってきたりして見どころ満載です。

ですが、22巻の素晴らしいところはそこじゃないんです、未知たちが3年生になり、立てた目標が何より素晴らしいのです。

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「その子たち全員倒すって決めたから そのために足立学院に来てるんだ」

1年生の時は金鷲旗で少しでも勝利することを目標に、2年生の時は金鷲旗で去年を越えて4回戦突破することを目標にした青葉西高校。

金鷲旗、柔道選手権、東京での合同練習、様々な強敵たちと出会い、未知たちではまだまだ敵わないと思い知らされたこの2年間。

しかし、その彼女たちが、遂に彼女たち全員を倒して勝つことを目標に立てるのがこの22巻です。1巻から読んでる読者にとって、このマインドの変化には驚かされるのではないでしょうか。

元々中学でもあまり勝てず、柔道を続ける気はなかった未知。彼女が永遠に声をかけられ、早苗と共にもう一度頑張ろうというのが「もういっぽん!」のスタートでした。

永遠はともかく、やはり実力的には全国で容易に立ち振る舞えるものではない未知と早苗は、金鷲旗、柔道選手権等を通して様々な強敵に出会ってきました。何よりも楽しむことを第一に柔道をする彼女たちにとって、強敵たちとの出会いは思いがけぬものとなっています。

それは、強敵たちもまた畳を降りれば同じ女子高生だということ。さらに単に実力だけでなく、これまでの練習と経験を駆使すれば強敵にも十分勝ち得るということ。

そんな大きな経験をこの2年間で積んだ彼女たちが、1年生のときには夢にも思わなかった「勝つ」ということに強い決意と執念を向けることになるのです。


このマインドの変化が自分としては非常に面白くてドキドキして感動します。もちろん彼女たちはこれまで負けた時に悔しい思いをしてきました。しかし、心のどこかで「負けても仕方ない相手は格上だ」という思いが少なからずあったはずです。

それを、必ず勝てる、勝たなければならないというマインドに切り替えるには、相当大きな決意がなければなし得ないはずなのです。勝つことに執着し始め、全力でその目標に向かっていく姿への変化は素晴らしいじゃないですか。これで「もういっぽん!」は一気に超弩級スポ根ものに変貌を遂げますね。


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「少しでも「超努力」を共にすることで 心だけでも超強者の領域に踏み込む  すなわち勝つ資格と自覚を手に入れる 心のブレーキをアクセルに変えるんだ」

作中の夏目先生の言う通りなのです。「超強豪校のような猛特訓をしていない私達が勝てるのか?そもそも買っていいのか?勝つ資格があるのか?」。その引け目を取り外さない限り強敵には敵わないでしょう。

しかし、それを突破するために強豪校と特訓を繰り返す青西メンバ、彼女たちはきっとその成果を3年生で全力で発揮するのです。その青春を後悔しないように。


本当に、3年目の金鷲旗に向けて全力で動き始めた感じがします。状況によっては金鷲旗終わりが作品の終わりなんじゃないかなと思ったり。そこが何よりも一番盛り上がるところですし。「もういっぽん!」の醍醐味は団体戦の団結力ですしね。

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「キミが今 捉えている彼女たちの映像も きっと未来の青葉西柔道部員の力になるよ」

団結力といえば、マネージャーが入ることによって映像研究もより出来るようになり、戦わないメンバも含めてみんなで勝利する姿が見えてきそうです。ホント泣ける。夏目先生名言作りすぎ。こんな20代半ばなかなかいないよ。


本当に面白い「もういっぽん!」、アニメも絶好調で何回も泣いてしまいます。当然次巻もずっと楽しみです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


15巻の感想はこちら(2回目の金鷲旗、青春と若さをぶつけ合う)
16巻の感想はこちら(最高に熱い青春ドラマが眩しすぎる)
17巻の感想はこちら(全員の思いを一つにして挑む団体戦が美しすぎる)
18巻の感想はこちら(強者同士の思いをぶつける戦いが熱すぎる)
19巻の感想はこちら(既に次の金鷲旗を見据えて成長を続ける少女たちが素敵すぎる)
20巻の感想はこちら(4人が思いをぶつけ合う姿が青春すぎる)
21巻の感想はこちら(憧れの姉を越えて新たな目標を打ち出す姿が素晴らしすぎる)


もういっぽん!【電子特別版】 22 (少年チャンピオン・コミックス)
村岡ユウ(著)
秋田書店 2023-02-08T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥475


ゆうえんち -バキ外伝- 2巻 - 強キャラ勢揃いで今の本編より2000倍面白い

読むと次々に引き込まれてしまう「ゆうえんち -バキ外伝-」2巻です。正直今の本編よりも2000倍面白いと言って過言ではありません。

この「ゆうえんち」、主人公の無門は強いのですが、子供でまだまだ未熟。そんな無門の師匠となるべく強キャラが次々と現れ、おまけにめちゃめちゃキャラが濃くてたまらないです。

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師匠となる松本太山。ラーメンこずえの店主で娘の名前が梢江と来てるのでバキの松本梢江の父親であることを仄めかしています。梢江本人が出るわけではないので確定ではないのですけど。

この松本太山、タイプはビスケット・オリバ系の筋肉バカに見えますが、その本質は筋肉をベースに類まれなる格闘技術を持ったキャラとして描かれています。なので独歩ちゃんとオリバの性質を持つ感じです。

一升瓶の口をキュキュッとひねりきっておちょこ代わりに使うのはそれだけで強キャラをイメージさせてくれます。おまけに桜の木にサバ折りを決めて桜を咲かせてしまうところは笑いなしに見れません。思わず声出して笑ってしまった。


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そして太山とは別タイプの指導をするために登場した磯村露風。餓狼伝にも登場していたキャラですね。

この磯村露風が、全く新しいタイプの強キャラでゾクゾクします。上のシーンとか本当にたまらなく惹かれました。こんなゾクゾクワクワクする格闘マンガは本当に久々な気がします。

やっぱり強キャラはきちんと強キャラでいてくれないとね。二人とも無門を赤子扱いするのが本当にたまらなく面白い。


正直、「ゆうえんち」は「グラップラー刃牙」よりも面白くなるポテンシャルがありそうと見ています。それこそ「餓狼伝」もそうだったように、夢枕獏の原作は本当に面白いです。すごく期待の作品が始まってしまったなあ、この先もものすごく楽しみだなあ。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


1巻の感想はこちら(最近の本編よりも断然面白い外伝小説コミカライズ)


漫画 ゆうえんち -バキ外伝- 2 (少年チャンピオン・コミックス)
藤田勇利亜(著), 夢枕獏(著), 板垣恵介(著)
秋田書店 2023-02-08T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.7
¥634


青野くんに触りたいから死にたい 10巻 - 黒野くんと直接対峙

黒野くんが顕現して大勢を巻き込み始める「青野くんに触りたいから死にたい」10巻です。

9巻でとんでもない引きで10巻へ続いたわけですが、その流れで10巻はとんでもないことになっています。

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「お前たちは3回間違えたので俺の勝ちだ」

読み返してないので何を間違えたのか抑えきれてないのですけれど、文化祭の出し物として披露していた演劇ロミオとジュリエット、そこにいる全員を巻き込んでの黒野くんとなっています。

この流れ、ものすごく恐ろしいのが読んでて伝わってきます。

この世のものではないものが現れて、ありえない力で次々と人を傷つけていく。軽い気持ちで除霊と考えていた内田もその恐ろしさを実感し成すすべが無くなっていく。現場の人々のパニック感、そして黒野くんの恐ろしさ、見事に表現しています。


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「やめたら何くれる?」

常に見返りを求める黒野くん。優里の「もうやめて」の「お願い」にこの答えをする黒野くん。これが素直に怖い。


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「やめたら何くれる?」

それを返す形で、藤本くんを利用し逆に黒野くんに言い返す優里。強くなったなあ。初めの頃のおどおどしてどうしようとなっていた優里から、いまではここまでの度胸が付きました。何より、これまでずっと悩まされ続けた黒野くんに真っ向から戦おうとしてるのがカッコいい。


そのあとは青野くんの死の真相を知るべく、何故か優里が青野くんの母親の過去を追うことになります。

正直この青野くんのお母さんの過去話は胸糞が多いです。大人になれないまだ母親になってしまったお母さん。頼りにしていた旦那を亡くして1人苦しんでいるお母さん。そこに付け込んで合意が無いまま不倫の関係を持つ職場のクズ。誰にも全然共感出来ないです。

なので、後半は読むのがしんどかったなあというのが素直な感想になります。この過去編どこまで続くんだろ、できれば早めに終わってほしい。


何にせよ、前半の黒野くんと対峙するところはめちゃめちゃ面白いです。これまでも面白かったですが、10巻の前半は最高潮に盛り上がったと言っても過言ではないでしょう。ここからどんな結末を迎えるのか楽しみで仕方ありません。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆




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