料理漫画と思わせておいて芸術に携わる様々な人々に視点をあてたパリが舞台の「Artiste」8巻です。

8巻も多種多様。メインは後半のカトリーヌ誕生日のお話です。あとはジルベールが職場でどんな存在になっているのかとか、ホラー映画好きが集まるとなぜホラー映画をひたすら観るのかみたいなホラー談義もあったり。なんだかんだ一気に読み切ってしまうくらいには面白い。

ツンケンしていて食わせ者の婆さんのカトリーヌにもあんな過去があったりとか、何故一芸に秀でているものをこのアパートに住まわせるのかの話も紐解かれていきます。ホント群像劇として優秀だなあ。


料理もそれなりに出てくる巻と言えるでしょう。特に今回はケーキがメインとなっています。

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「オペラ」って「タルト」とか「ムース」みたいなケーキの種類の名前だったんですね、初めて知りました。店で売ってるの「オペラ」って名前だけだったりするしなあ。でも美味いよねオペラ。

名前の由来は当然豪華絢爛な歌劇場。改めてきちんと見ると、幾層にもチョコやクリームが重ね合わされていて、それらが崩れることなく食べられるのがまさに芸術。知らずに食べてたけど相当な技術なんですなあ。


あと、芸術がテーマだからか何気に名画をモチーフにしたコマとかあるのが好き。

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これとか完全にゴヤの黒い絵。本物は割とグロいのでご注意を。


割と淡々と感想書いてしまいましたが、本当に面白いです。ジルベールの性格もだいぶ変化してきており職場に慣れてきているのが見ていて優しい気持ちになるし、なんだかんだ悪人がいないから安心して読めます。キャラが多いけど、きちんと立ってるから変に主張も激しくないし。本当に上手い群像劇だと思います。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


7巻までの感想はこちら(嗅覚味覚が超優秀な気弱料理人を中心とした人間物語)
9巻の感想はこちら(寄付は節税なんですよ)


Artiste(アルティスト) 8巻 (バンチコミックス)
さもえど太郎(著)
新潮社 2022-07-07T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥614