オンラインで1話を読んだ瞬間にこれはとんでもない作品になると確信した「日本三國」1巻が遂に発売されました。Webで連載は追っているけれども待ちわびました。

ここで1話と最新話が読めます
なお、コミック1巻には3話まで収録されています。1話の時点で80ページ強あるので1話毎がものすごいボリュームです。


それでは完全オリジナルストーリー架空戦記のため、まずはあらすじをAmazonから引用してみます。
文明崩壊後の近未来、再び戦国時代と化した日本を再統一すべく一人の青年が立ち上がった。
名は三角青輝。後に奇才軍師と称される彼の伝説が、いま始まる!!
ものすごく簡潔。正直これで説明を終わらせるのはもったいないです。が、きちんと書こうとすると絶対に理解できないくらい設定が深いのでそれも無謀。なのでまずは1話を読んでください


簡単に書くと、今から150年ほど後の日本のお話です。とりあえず日本は滅亡、文明は大幅退化、人口は1/10になって、3つの国家が群雄割拠する時代です。

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もうこの時点で自分の琴線にビンビン触れまくりなんですよ。元々戦争ものとか戦記物とか好物で、それに伴う政治だったり宗教だったりの考え方とか好きなんです。だから歴史ものが好きだったり。例えば「蒼天航路」とか「GROUNDLESS」とか「皇国の守護者」とかですね。

で、それが架空といえど日本が舞台で、しかも極めてシビアな世界観で描かれるのだからそりゃ食いつかないわけがないってもんですよ。

おまけに読み始めると、主人公三角青輝のキャラが非常に立っていて、好みが分かれるだろうけども自分は好きな部類のキャラなんです。これだけで魅力ビンビン。1話を読んだ時、その凄さ、面白さに衝撃を受け、これは間違いなく傑作になるだろうと確信しました。

まあ、戦記物と言いつつ、まだ実際の戦争自体は始まっていないのでそこはどうなることやらというところではありますが。今連載でやってる時点までも、まだ状況や設定説明が続いており、これから盛り上がるための準備をしているところと言えます。

しかし、その準備の時点でこれだけの面白さを放っているということが、この「日本三國」の凄さがわかるのではないでしょうか?

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「そう!あんたの知識を活かせば、辺境を平定し、三国時代を終わらすことができるかもしれん!日本再統一も夢じゃないで!」


面白さの下地になっているのが、入念な歴史設定と魅力溢れるキャラ造形だと思うのです。

「日本三國」は既に日本が崩壊して3つの国家「大和」「武凰」「聖夷」になっているわけですが、当然そこに至るまでの「日本三國」ならではの歴史があります。おそらく、それらの国家成立までの背景だけで1つずつの作品が起こせる設定があるのでしょう。その時点で、この作品の設定、物語を構成する深みが凄いと言えるのではないでしょうか。

しかもこの作品の凄いところは、そういった背景を丁寧に説明せずに済ませていることだと思います。というのも、こういった架空戦記ものは、得てしてシナリオを説明する為に詳細な設定を作中で語ることが多いのではないかと。

で、「日本三國」はそれを説明口調ですることがなく、作中のキャラが今の政治や日本について語ることでそれを済ませてしまっているのです。もちろん、中央権力が持つ情報のような詳しい政治事情はまだ語られません。それは主人公三角青輝も知る由がありませんし、そもそも三角青輝の話であるのでそこに触れる必要性が無いためでしょう。

むしろ、一地方の人間である三角青輝が、この時代を今までどう生きてきて、どのような人間で、その能力をどのように活かしていくのか、その説明に注力しています。

つまり、極めて深い下地設定があるにも関わらず、読者には三角青輝の人生を追わせることに終始していると言えるのではないかと。このような架空戦記は設定を作ったがあまり全てを語りたくなる作品もあるような気がするのですが、それはあくまで話を盛り上げるためのソースであり、メインディッシュは三角青輝の話となるわけです。

ここまで書いて思い返すと、先程上げた好きな作品もキャラが非常に立っていたなあと。やっぱり話の面白さを大きく決めるのは魅力的なキャラクターということなのでしょう。

そういう意味では、1巻で出てきた三角青輝、阿左馬芳経、龍門光英といったメインキャラクターは極めてキャラが立っています。これはそれぞれしっかりと人気が出るだろうなあ。


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「本気でこの世を変えるために、ここに来たんです。」


うーん、色々書いてみたのですが、正直自分の力ではこの作品の面白さをきちんと伝える自信が全く出てきません。これはあれこれ語るよりも、1話を見た方が絶対に早いです。1話を見て合わない人には絶対合わないだろうし、合う人には抜群に合うのではないかと。

それくらい魅力的に面白く、1話で三角青輝というものを綺麗に描かれています。1巻に収録されている2話3話は三角青輝の魅力を描きつつ、阿左馬芳経と龍門光英の紹介をしてるだけとも言えます。それだけなのにこれだけの面白さを読まさせてくれるのはやはり相当凄いと思うのだけど。


何度も書きますが、現時点では間違いなく傑作になりうるポテンシャルを持っている作品だと確信しています。この作品を連載開始時点から追えているのが非常に嬉しい。続きが何よりも待ち遠しい「日本三國」、もしもまだ知名度が無いのであれば、存分に広めていきたいところです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


2巻の感想はこちら(三国志をモチーフといえどオリジナリティ溢れる設定と強烈なキャラ個性が話を大きく盛り上げる)
3巻の感想はこちら(国の大戦を掛けた策略が重なり合う読み合いに没頭してしまう)


日本三國(1) (裏少年サンデーコミックス)
松木いっか(著)
小学館 2022-03-10T00:00:00.000Z
5つ星のうち5.0
¥693