今一番熱いダンスバトルものの「ワンダンス」7巻です。ダンスをテーマに描く高校生の情熱と青春が本当に熱いです。

7巻ではカボが初めて参加したダンスバトルに決着がつきます。6巻で壁と戦って惜しくも敗北してしまったカボくん。その壁と頂上決戦を繰り広げた伊折。その決着と、初めてのチームバトルが展開されて、ダンスバトル終了です。


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ダンスバトルで悔しさを全力表現する湾田ちゃんが可愛い。これと同時に、これまで飄々としてた伊折もまたチームバトルの敗北に悔しさを表してるのが熱い。青春やな。

全力で練習してきて、表現出来るものを全て出し切って、それでも負けてしまって。悔しくないわけがなく、次へ向けてその思いを紡いでいく姿が本当に尊い。いいね、青春。


そのあとは湾田ちゃんの入学前コンビニバイトの話が展開され、湾田が何を表現したくてダンスをしているのか語られていきます。

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「耳が聴こえなくても 音がなくても ダンスなら音を聴かせられるんじゃないかと思ってるんです」

回想の中で、父の耳が聴こえないことの告白がされます。父子家庭で、上手く話してのコミュニケーションが出来ないことの辛さを知っている湾田だからこそ、ダンスで音を聴かせられるという表現に辿りついたのでしょう。そういった信念のある人間は強い。湾田が一目置かれるほどの凄さを裏付ける話でした。

この話自体はコンビニ店長の回想でカボ自身には伝わってないのですが、カボもリンクする形で踊る時の「音の大切さ」に気づき、初めて見た湾田のダンスに何故か「音をイメージした」ことに思いを寄せるのがカッコいい。

新参者でダンスの経験皆無で飛び込んだこの世界、初めてのダンスバトルで3位に入賞した結果は、何よりも音を正しく聴くことに優れていたから。そしてこの世界に先んじていた湾田は既に音を表現するレベルにまで辿り着いている。そこに、カボの複雑な気持ちが絡み合っていくのです。


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「不思議だ 湾田さんのことは尊敬している でも同時に嫉妬も感じる 気持ち悪い」

ここが読んでて本当にゾクッとして。恐る恐る始めたダンスにいつの間にか魅了されて、しかも初めてのダンスバトルで結果を出して。おまけにやはり上には上がいることに気付かされることで悔しさも大いに経験して。そして誰よりも上手くなりたいという気持ちが沸々と湧き上がり、この世界に引き込んでくれた湾田に対してですらその感情をぶつけるほどにまで成長したのです。

カボもまた、いつの間にかダンスの世界にどっぷりですなあ。とにかく上昇志向のこの流れ、カッコいいし青春だなあ。たまらん。

しかも、ここに来て吃音症であることが不利であると再認識し、もっと上手くなるために吃音症の殻を破ろうとするところまで至っているのがカッコいい。

吃音症であるけれども、今までそれ自体をどうにかしようとはしてなかったんですよねカボって。それが、もっと上手くなりたい、湾田と同じくらい、いやそれ以上にダンスが上手くなりたい、という強い思いが溢れ出てきており、このままではいけないと気づいてしまったんです。

いやこれ、次巻どうなるんだろ。本当に楽しみ。是非とも殻を破って頑張ろうとしてるところも描写してほしい。そしてその結果湾田と同じ舞台に立つというところを見せてほしい。


「ワンダンス」ホント面白いです。熱い青春読みたい人にはオススメ。ダンス知らなくても雰囲気で楽しめます。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


1~5巻の感想はこちら(ダンスものに外れ無し?高校生ダンスの傑作)
6巻の感想はこちら (カボのダンスは対象全てをリスペクト)


ワンダンス(7) (アフタヌーンコミックス)
珈琲(著)
講談社 2022-02-22T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥715






■おまけ
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店長が持つDVD再生機がPS3なのが泣ける。家族写真あるけど一人暮らしっぽいから離婚してるのかな。コンビニ店長貧乏生活が垣間見えますなあ。

それとも、PC持ってない人がDVD再生するのってこういう方法が一番スタンダードなんだろうか。PC持ちとしてはそのあたりの感覚がわからん。もうディスクを買う時代でもないしなー。