1兆ドル企業を目指してあの手この手のマネーゲームが繰り広げられる「トリリオンゲーム」3巻です。ステップアップのスピード感が素晴らしくテンポが良いので、ついつい時間を忘れて読む手を進めてしまうほどにのめり込んでしまいます。

2巻までのAIが商品をおすすめするサイト(ただしAIではなく人力)を流行らせる為に、商品は花に目をつけて、最も花を購入する層が夜のお店だということでガクとハルがホストとして潜入するところからとなります。

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「ムリムリムリムリ。僕が、ホストとか……!!!」

と言いつつ、柔軟にホストとしてなんとかやっていくガクはやっぱりすごいw

そしてしっかりとホストに来るキャバ嬢から情報を収集してサイトを次々とアップデートし、着実に売り上げを伸ばしていくところが本当に面白いです。全然無理筋の話はしてなくて、それこそキャバクラあるあるの話に繋げていくところがお見事。

最初は花で月商二千万という無茶振りと思われましたが、そもそもキャバクラで使うお金の桁が一般のそれとは大きく違うという客単価の違いも相まって一気に加速していきます。ここまで最初から見込んだ上での設定だったんだろうなこれ、他の商売じゃ企業相手とかじゃないと二千万なんて無理だしなあ。


何より、このスピード感が凄いのです。まさしく疾走、トリリオンへの階段を駆け巡るイメージがぴったりで、このAIサイトの話も3巻の3分の1ほどで結末まで走りきってしまいます。

そのあとはもう次のビジネスの話。AIサイトを使って一気に1億円の契約を取り付け、次はゲーム会社の話へ。

このゲーム会社の話もゲーム本体にはあまり言及することなく、投資家を利用してお金を集めることに終始しており、集めた投資で如何にゲームを宣伝するかという話へステップアップしていきます。

もう、読んでいて次から次へと話が展開するので、ホントずっとドキドキワクワクが止まらずに駆け抜けられるんですよ。このシナリオ構成が本当にお見事だと思うのです。

作品によってはここまでの展開でもっと何巻も続けるほど濃いものを、たった数話に詰め込んでいます。そりゃ面白いわけですよ、それが面白くないわけがない。

深夜枠からゴールデン枠に放映時間を移したテレビ番組とかって、深夜だったから面白かったのにという現象よくあるじゃないですか。そういう意味では「トリリオンゲーム」は極めて深夜枠のテレビ番組並みの詰め込み具合なんじゃないかと。しかも話が濃くて深いですからね。なのに読んでて全然疲れない、天才のネームなんじゃないでしょうか。本当に素晴らしい。


あとは、その濃密なシナリオを疾走するかの如く読ませてくれるのは、やはりハルのキャラ設定のおかげですね。超わがままで自分の野望を達成するためなら何でもするハルだからこそ、常に読者をワクワクさせて、一気に読み進めさせる起爆剤になっているのだと思います。

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「ああ。俺のワガママは、世界一だ!!!」


このハルに誰もが振り回されて、誰もが魅了されて、誰もがその行く末を見たくなる。作中のキャラは勿論、読者もすっかりこのキャラに魅了されています。このハルなくしてはありえない「トリリオンゲーム」の濃密さ、すっかりこの虜になってしまいました。

当初は作画が池上遼一先生であることに驚きましたが、今ではこの劇画調の池上先生以外では「トリリオンゲーム」の魅力を引き出せないとすら思えるようになっています。この作画で、このシナリオで、この疾走感だからこそ「トリリオンゲーム」は面白い。そう断言できますね。


ところで3巻まで来ていまだにガクが表紙になってないのは意図があるんだろうかw 最終巻に持ってくるとかなのかな。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


2巻までの感想はこちら(稲垣理一郎×池上遼一の異色コンビが見事にはまった傑作)
4巻の感想はこちら(ハルとガクが対立しながらも同じところを目指していく姿が素晴らしい)


トリリオンゲーム(3) (ビッグコミックス)
池上遼一(著), 稲垣理一郎(その他)
小学館 2022-01-04T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥605