グラス・チルドレン篇から急速に面白さが加速し、いよいよ忍者(しのは)とガムテの直接対決が始まった「忍者と極道」8巻です。尚、決着は9巻になります。
連載でも追っているほどこの作品が大好きなのですが、このグラス・チルドレン篇、特にガムテと忍者(しのは)の最終対決はとてつもない面白さを放っています。まさしく「忍者と極道」の前半戦最終対決として相応しい対決でしょう。
この8巻では、7巻のラストで「ヤマイダレ」を喰らってしまった忍者(しのは)がその傷を回復するところから始まります。
「忍者と極道」7巻より。
その回復には多少の時間が掛かるため、その間は無防備となってしまいます。そこで立ち上がったのが、忍者(しのは)の友人となり、国を守る意思に満ち溢れた内閣総理大臣 愛多間七なのです。
ヘルズ・クーポンは誰でも恐ろしい力を得ることができ、それをただの一般人が使用する機会が出てきたのがまた、このグラス・チルドレン篇の大きなポイントでしょう。
つまり、単に忍者と極道の戦いではなく、そこに巻き込まれた一般人も戦闘に参加せざるを得ない状況となっているわけです。しかもそれが誰であろう総理大臣であり、さらに動機は友である忍者(しのは)を守る為というのが非常に非常に熱いではありませんか。
忍者ではなくただの一般人が、友人である忍者の為にその命を掛けて極道に立ち向かう。こんなにカッコいい展開はなかなかありません。好きだなあ、こういう展開。
そしてまた一方、総理官邸に仕掛けられた爆弾を解除する為にプリマと対峙している極道(きわみ)。極道(きわみ)もまた、忍者(しのは)との約束を守る為、総理を助けるのを忍者(しのは)に任せたからこそ、自分が爆弾を解除すると誓っています。その約束を果たす為に、ヘルズ・クーポン無しでプリマに1人で立ち向かいます。
「約束したんだ……! "彼"と 爆弾は…私が解除すると…!!」
「私が…時間をかせぐのだ…! "彼"は死なせぬ…二度と…誰も死なせるものか!!」
「すべては 友達のため!!!」
カッコいいなあ。
これまでは仲間意識としては忍者同士でしかいなかった忍者(しのは)にとって、初めて一般人の友人と共に戦うことになるのです。しかもその2人はまた超強力で、自らの強い意志を持ち、自分の命を顧みずに忍者(しのは)の為に命を賭けるのです。
作品が始まってから出会ったこの友人2人、これまでの話を通じて築き上げた友情がこのような形で結びつくのが本当に素晴らしい。個の1人ではなく、3人でガムテと戦うという流れであり、まさしく少年漫画の王道と言えるのではないでしょうか。
また、読んでる諸兄は既にご存知の通り、極道(きわみ)はこの作品の最大の敵でもあるのですよね。今は共闘しているけれども、このあと忍者(しのは)がこの事実を知ったらどうなるのか、それがもう楽しみで仕方ありません。
極道(きわみ)の凄さ、怖さ、カッコよさはこれまで読んできたらいくらでもわかりますし、それはそれは本当に魅力的なキャラ設定がされています。しかしこの8巻は、何よりも総理大臣 愛多間七のカッコよさが際立っていました。
爆弾が極道(きわみ)によって解除され、最後の総攻撃も遅れてやってきた斗女たんに全て防がれ、もうグラス・チルドレンの勝利は無いと悟ったガムテに対して語る姿が本当に熱い。
「私が聞こう…! いや … 聞かせてくれ!! 教育制度改革…!! 児童虐待防止策の強化・改善 君達のために出来ることがあるはずだ…!!」
「…ハッ アホくさ……できることなんて 」
「私を誰だと思っている!? 内閣総理大臣 愛多間七である!!!」
ガムテの表情からわかる通り、愛多間七のこの言葉に、ガムテの傷つき全てを拒絶してきた心の塊が融け始めています。
元々グラス・チルドレンは皆、親兄妹や世間から虐待を受けて行き場を失った子供達の拠り所になっていました。大人は誰も助けてくれないから自分たちだけでやっていく、クソみたいな大人は全員殺してしまう、「割れた子供たち」は心が壊れてしまった子供の集まりです。
そこに、本当に他意無く、心から子供たちを救いたい、そんなことも出来ないで何が政治家だと言わんばかりの熱い思いを持つ愛多間七からの助けが来たのです。裏切られ続けた大人から初めて救いの手が差し出されたのです。それがまさかグラス・チルドレンの権化でもあるガムテにまで届くことになるとは。
正直、この総理がここまでストーリーに深く関わるキャラだとは思いもよりませんでした。また、忍者(しのは)との出会い時にも使っていた決め台詞の「私を誰だと思っている!?」が、ここまで極めて効果的に、その言葉の重さを強く認識させて表現されるとは思いもよりませんでした。本当に熱くて、「忍者と極道」で涙腺が緩むことになるとは。素晴らしいです。
元々、やけに丁寧にグラス・チルドレン達個々人の話を掘り下げるなとは思っていたのですが、まさかこういった形で回収する為に描写されていたとは。おまけにその内容はガムテのラストバトルにも引き継がれるのでホント最高ですね。
殺島篇の子供の頃の無茶をまたやりたいという思いに対して、グラス・チルドレンは自分たちの心を解放する為に戦っているので、その動機の重みが異なります。しかもそれに加えて共闘や熱いサブキャラも展開されるのだから、面白さが加速するのも当然ですね。間違いなくこれまでの「忍者と極道」で一番面白いのはこのグラス・チルドレン篇でしょう。
そしていよいよ始まる本当に最後の戦い、ガムテ対忍者(しのは)です。
この名乗り合いの裏マナーが出てくると決着がつく合図です。どちらかが死ぬまで戦いが続きます。
忍者(しのは)にとって色姐の仇であるガムテ。総理官邸を襲撃することで友人である極道(きわみ)も愛多間七も死に直面させたガムテ。
そしてガムテにとって、自分の父である極道(きわみ)と友人であることが許せない多仲忍者。忍者(しのは)と極道(きわみ)の両方を同時に殺そうと総理官邸襲撃をしたものの、野望潰えて全ての仲間を失い全ての仇として位置づけられる多仲忍者。
お互いが最大のライバルであり、最大の因縁の敵であり、最大の強敵であるこの2人が激突します。面白くないわけがないですね。8巻ではケリはつきませんが、続く9巻でも描写されるこの戦いは本当に面白くて、最高です。連載未読の方は9巻を是非ともご期待ください。
「決めようか…忍者と極道 何方が生存るか死滅るか…!!!」
ここからのガムテが本当に最高なんですよ、本当に。思わずガムテを応援したくなるほどのカッコよさが出てきます。9巻は必見。
それにしても、陽日にガムテがトドメ刺してなかったかなと確認する為に1巻を少し読み直したのですが、最初に登場したガムテは本当に単なる道化キャラですね。このキャラが、トリックスターとして忍者も極道もどちらも大きく揺るがし、ストーリーをここまで面白くさせることになるとは思いもよりませんでした。
最初は単なる嫌なキャラで色姐を殺した時なんかこんなやつにやられてしまうのかくらい思ってたぐらいなのに、話が進むに連れて魅力がガンガン増して本当に良いキャラになりました。強敵として、ライバルとしても本当に描写が上手いし、これこそ主役を喰ってしまうレベルの敵キャラと言えるでしょう。
この作品これ以上面白くできるのかなあ。グラス・チルドレン篇を越える面白さってめちゃめちゃ要求高くなるぞこれ。
眠気覚め度 ☆☆☆☆☆
6巻の感想はこちら(生首エンターテイメントはグラス・チルドレン篇で大きな転換期を迎える)
7巻の感想はこちら(忍者と極道の共闘は生首エンターテイメントを最高潮に盛り上げる)
9巻の感想はこちら(ガムテが主人公になりました)
10巻の感想はこちら(第2部スタートの狼煙が上がる極道革命)
連載でも追っているほどこの作品が大好きなのですが、このグラス・チルドレン篇、特にガムテと忍者(しのは)の最終対決はとてつもない面白さを放っています。まさしく「忍者と極道」の前半戦最終対決として相応しい対決でしょう。
この8巻では、7巻のラストで「ヤマイダレ」を喰らってしまった忍者(しのは)がその傷を回復するところから始まります。
「忍者と極道」7巻より。
その回復には多少の時間が掛かるため、その間は無防備となってしまいます。そこで立ち上がったのが、忍者(しのは)の友人となり、国を守る意思に満ち溢れた内閣総理大臣 愛多間七なのです。
ヘルズ・クーポンは誰でも恐ろしい力を得ることができ、それをただの一般人が使用する機会が出てきたのがまた、このグラス・チルドレン篇の大きなポイントでしょう。
つまり、単に忍者と極道の戦いではなく、そこに巻き込まれた一般人も戦闘に参加せざるを得ない状況となっているわけです。しかもそれが誰であろう総理大臣であり、さらに動機は友である忍者(しのは)を守る為というのが非常に非常に熱いではありませんか。
忍者ではなくただの一般人が、友人である忍者の為にその命を掛けて極道に立ち向かう。こんなにカッコいい展開はなかなかありません。好きだなあ、こういう展開。
そしてまた一方、総理官邸に仕掛けられた爆弾を解除する為にプリマと対峙している極道(きわみ)。極道(きわみ)もまた、忍者(しのは)との約束を守る為、総理を助けるのを忍者(しのは)に任せたからこそ、自分が爆弾を解除すると誓っています。その約束を果たす為に、ヘルズ・クーポン無しでプリマに1人で立ち向かいます。
「約束したんだ……! "彼"と 爆弾は…私が解除すると…!!」
「私が…時間をかせぐのだ…! "彼"は死なせぬ…二度と…誰も死なせるものか!!」
「すべては 友達のため!!!」
カッコいいなあ。
これまでは仲間意識としては忍者同士でしかいなかった忍者(しのは)にとって、初めて一般人の友人と共に戦うことになるのです。しかもその2人はまた超強力で、自らの強い意志を持ち、自分の命を顧みずに忍者(しのは)の為に命を賭けるのです。
作品が始まってから出会ったこの友人2人、これまでの話を通じて築き上げた友情がこのような形で結びつくのが本当に素晴らしい。個の1人ではなく、3人でガムテと戦うという流れであり、まさしく少年漫画の王道と言えるのではないでしょうか。
また、読んでる諸兄は既にご存知の通り、極道(きわみ)はこの作品の最大の敵でもあるのですよね。今は共闘しているけれども、このあと忍者(しのは)がこの事実を知ったらどうなるのか、それがもう楽しみで仕方ありません。
極道(きわみ)の凄さ、怖さ、カッコよさはこれまで読んできたらいくらでもわかりますし、それはそれは本当に魅力的なキャラ設定がされています。しかしこの8巻は、何よりも総理大臣 愛多間七のカッコよさが際立っていました。
爆弾が極道(きわみ)によって解除され、最後の総攻撃も遅れてやってきた斗女たんに全て防がれ、もうグラス・チルドレンの勝利は無いと悟ったガムテに対して語る姿が本当に熱い。
「私が聞こう…! いや … 聞かせてくれ!! 教育制度改革…!! 児童虐待防止策の強化・改善 君達のために出来ることがあるはずだ…!!」
「…ハッ アホくさ……できることなんて 」
「私を誰だと思っている!? 内閣総理大臣 愛多間七である!!!」
ガムテの表情からわかる通り、愛多間七のこの言葉に、ガムテの傷つき全てを拒絶してきた心の塊が融け始めています。
元々グラス・チルドレンは皆、親兄妹や世間から虐待を受けて行き場を失った子供達の拠り所になっていました。大人は誰も助けてくれないから自分たちだけでやっていく、クソみたいな大人は全員殺してしまう、「割れた子供たち」は心が壊れてしまった子供の集まりです。
そこに、本当に他意無く、心から子供たちを救いたい、そんなことも出来ないで何が政治家だと言わんばかりの熱い思いを持つ愛多間七からの助けが来たのです。裏切られ続けた大人から初めて救いの手が差し出されたのです。それがまさかグラス・チルドレンの権化でもあるガムテにまで届くことになるとは。
正直、この総理がここまでストーリーに深く関わるキャラだとは思いもよりませんでした。また、忍者(しのは)との出会い時にも使っていた決め台詞の「私を誰だと思っている!?」が、ここまで極めて効果的に、その言葉の重さを強く認識させて表現されるとは思いもよりませんでした。本当に熱くて、「忍者と極道」で涙腺が緩むことになるとは。素晴らしいです。
元々、やけに丁寧にグラス・チルドレン達個々人の話を掘り下げるなとは思っていたのですが、まさかこういった形で回収する為に描写されていたとは。おまけにその内容はガムテのラストバトルにも引き継がれるのでホント最高ですね。
殺島篇の子供の頃の無茶をまたやりたいという思いに対して、グラス・チルドレンは自分たちの心を解放する為に戦っているので、その動機の重みが異なります。しかもそれに加えて共闘や熱いサブキャラも展開されるのだから、面白さが加速するのも当然ですね。間違いなくこれまでの「忍者と極道」で一番面白いのはこのグラス・チルドレン篇でしょう。
そしていよいよ始まる本当に最後の戦い、ガムテ対忍者(しのは)です。
この名乗り合いの裏マナーが出てくると決着がつく合図です。どちらかが死ぬまで戦いが続きます。
忍者(しのは)にとって色姐の仇であるガムテ。総理官邸を襲撃することで友人である極道(きわみ)も愛多間七も死に直面させたガムテ。
そしてガムテにとって、自分の父である極道(きわみ)と友人であることが許せない多仲忍者。忍者(しのは)と極道(きわみ)の両方を同時に殺そうと総理官邸襲撃をしたものの、野望潰えて全ての仲間を失い全ての仇として位置づけられる多仲忍者。
お互いが最大のライバルであり、最大の因縁の敵であり、最大の強敵であるこの2人が激突します。面白くないわけがないですね。8巻ではケリはつきませんが、続く9巻でも描写されるこの戦いは本当に面白くて、最高です。連載未読の方は9巻を是非ともご期待ください。
「決めようか…忍者と極道 何方が生存るか死滅るか…!!!」
ここからのガムテが本当に最高なんですよ、本当に。思わずガムテを応援したくなるほどのカッコよさが出てきます。9巻は必見。
それにしても、陽日にガムテがトドメ刺してなかったかなと確認する為に1巻を少し読み直したのですが、最初に登場したガムテは本当に単なる道化キャラですね。このキャラが、トリックスターとして忍者も極道もどちらも大きく揺るがし、ストーリーをここまで面白くさせることになるとは思いもよりませんでした。
最初は単なる嫌なキャラで色姐を殺した時なんかこんなやつにやられてしまうのかくらい思ってたぐらいなのに、話が進むに連れて魅力がガンガン増して本当に良いキャラになりました。強敵として、ライバルとしても本当に描写が上手いし、これこそ主役を喰ってしまうレベルの敵キャラと言えるでしょう。
この作品これ以上面白くできるのかなあ。グラス・チルドレン篇を越える面白さってめちゃめちゃ要求高くなるぞこれ。
眠気覚め度 ☆☆☆☆☆
6巻の感想はこちら(生首エンターテイメントはグラス・チルドレン篇で大きな転換期を迎える)
7巻の感想はこちら(忍者と極道の共闘は生首エンターテイメントを最高潮に盛り上げる)
9巻の感想はこちら(ガムテが主人公になりました)
10巻の感想はこちら(第2部スタートの狼煙が上がる極道革命)
忍者と極道(8) (コミックDAYSコミックス)
posted with AmaQuick at 2022.01.13
近藤信輔(著)
講談社 2022-01-12T00:00:00.000Z
¥693
講談社 2022-01-12T00:00:00.000Z
¥693