「こいつぁひでえ!」

思わずメタルマックスの名台詞がこぼれてしまう「股間無双~嫌われ勇者は魔族に愛される~」です。一応弁解しておくと、これは良い意味での「こいつぁひでえ!」です。ひどさを上手く笑いに変えています。

簡単に言うとこれは異世界転生ものなのです。しかも無双系、テンプレどおりですね。ただ、その無双内容が極めてひどい。何がひどいって、無双能力対象が「射精」なのです。

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「お前にはその身体に射精特典をつけておいた 射精に励み射精レベルを上げ人間を救うのだ」


一文で射精って3回も書いたの初めて。しかも射精が何の能力に使えるのか一切言及されない始末。出だしからひどい匂いがぷんぷんしますね、射精だけに。

おまけに、異世界転生だから現実で当然の如く死ぬわけですが、死因がなんとテクノブレイク。まさに射精に(人生が)終わり射精に(転生が)始まるという徹底振り。出オチで終わるのじゃないかと思う盛り込み具合です。


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そしてこれが肝心の主人公です。絵面がひどい。女神から与えられた防具である「紐の乳首隠し」と「木の葉のチン隠し」をつけてるから素っ裸よりもひどさマシマシ。しかも勇者の加護のおかげで普通の服は着れないという。この彼が、射精の勇者として異世界転生したのです。

え、もしかしてこの作品、主人公は最後までこの格好なの??とんでもないな(良い意味で)。


常にこの格好で、最初から性犯罪者扱いされている通り、今後この勇者は人々から次々と嫌われていきます。逆に可愛い女の子の見た目をしている魔族には何故か好かれることになっていて、魔族を滅ぼすための勇者としてどうすべきかという葛藤に苛まされるのです。いやあ、立場の違い、思想の違いで対立するのは考えることが多くて深いですね。この見た目も不快ですが。

加えて、そんな立場にも関わらず、ヤリマーン帝国は勇者を受け入れ、王のイーレ・スーギと王妃ヌーレ・スーギは勇者のお供に騎士のクイン・ドーエスと魔法使いのシスタ・ナデナーデを引き連れて魔族討伐を命じます。流される勇者、利用される勇者。それでいいのか勇者よ?



さて、そんなひどい扱いの勇者が持つ射精能力、実は1巻で少し能力が明かされています。それが、「精液に治癒能力がある」ということ。ぶっかけられた箇所が見る見るうちに回復してしまうのです。1巻でその事実に気づいたのはただ一人、片目を失ったカケテーホ・シーナでした。

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「だとしたらこの‥‥私の左目も‥!! もしかして‥‥」


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「私の顔面に ぶっかけて頂きたく候う」

左目の治療に顔射どころか眼射を乞うカケテーホ・シーナ。このあと勇者は散々罵倒をされることでエクスタシーに達し、とんでもない量をカケテーホ・シーナにぶっかけることに。なんという流れ、なんという絵面、なんという展開。ここに「股間無双」の全てがあると言っていいでしょう。



と、最低下品な設定と無茶苦茶なシナリオで展開されるのが「股間無双」となります。正直ベースな話、前半のカケテーホ・シーナまでの展開がピークで、後半はそこまで見所も多くないのかなというのが率直な感想です。

ていうかカケテーホ・シーナってもうここでしか使わないような名前でしかなくて、完全に使い捨てなんだろうなあ。このあと出てきてもぶっかけ要素無くなっちゃうし。ぶっかけでバフ掛かって戦うとかじゃないと厳しいよね今後。



あまりにも馬鹿馬鹿しくて頭の中本当に空っぽで読めるのは非常にグッド。頭悪いことを大真面目にやった良い例ではないでしょうか。なので変に固い方向とか感動には行かず、とことん馬鹿に振り切れてほしいです。まあ、そんな心配しなくてもそうなるか。

あと、絵は上手い部類ですし、おっぱい描画にこだわりが見えます。好きな人は好きだろうなあ、こういう絵。



眠気覚め度 ☆☆☆


2巻の感想はこちら(合法ロリにポーション発射を手伝ってもらいます)
3巻の感想はこちら(超凶悪スキルが勇者を勇者たらしめる)


股間無双~嫌われ勇者は魔族に愛される~(1)
ジブロー(著), 脇道それる(著)
講談社 2021-12-20T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.3
¥726




おまけ:
これ世界観どうなってるのというツッコミで正直ひたすら笑ってしまいました。カケテーホ・シーナがぶっかけてもらうためにブティックのトイレで待ち伏せするのですが、そのブティックが妙に現代的。

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まず店内の商品配置が現代風ですし、店員の服装も現代で違和感ありません。こういう店あるよね実際。しかも試着室完備だし、試着室には姿見の大きな鏡もあります。



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そしてカケテーホ・シーナが待ち伏せしたトイレです。がっちりしっかり現代の洋式水洗便所なんです。そしてわかりますか左下?

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完全に現代の洗面台です。ここは中世のファンタジー世界だと思っていたのですが、違うのでしょうか?剣で戦ったり魔法を使ったり魔族がいたりという世界観なんですが、ブティックのトイレは個室で洋式水洗便所で洗面台までガッチリ完備された現代と全く同じ作りなのです。

それとよく見たらカケテーホ・シーナの靴はローファーですね。クイン・ドーエスはしっかり中世風のブーツ履いてました。どうしてカケテーホ・シーナの時だけ全般的に現代風なのか。。。

これはもしかすると、カケテーホ・シーナも異世界転生者、もしくはこのブティックの存在自体が異世界転生ブティックなのでは!?


そんなわけないか、トイレで待ち伏せという設定に現代資料を当てはめただけだと思いますw

どこまで狙ってやってるのかはわからないですけれど、こういったところを見つけるのも面白いかもしれません。実際一番笑ったのはここにツッコんでた時だし。馬鹿馬鹿しいテーマだからこそ、こういうガバガバなところがあった方が無茶してて良い感じですw