2回目の金鷲旗、団体戦が超盛り上がっている「もういっぽん!」16巻です。今回も本当に良かった。。。号泣とまではいかずとも、常に涙腺緩みっぱなしですぐに2回も読んでしまった。。。

もうね、青葉西高校の主人公たちの青春度合いが熱過ぎるんですよ。こんなにもフレッシュで、こんなにもエネルギッシュで、こんなにも慈愛に満ちた青春が、光り輝いているのです。眩しくて本当にくらくらしてしまう、彼女達と同じ青春を経験してみたくなってしまう、そんな光に溢れた作品です。間違いなく名作になるでしょう。

同じようなスタンスの作品といえば「少女ファイト」かなとも思いましたが、あれはバレーを軸に恋愛あり憎悪ありの人間愛憎ドラマの要素も強いのでちょっと違うかな。「少女ファイト」は闇(病み)要素も強烈。この「もういっぽん!」はとにかく熱い青春。共通してるのはどちらも彼女達はひたむきに立ち向かっているということになります。

「もういっぽん!」は本当に明るくて、真面目で、青春してるんです。悪役なんて一切おらず、それぞれが柔道が好きという共通項で常に前向きに切磋琢磨していくのです。そしてこの16巻でも、その流れが如実に描写されていました。

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まず15巻で初登場となり、優勝候補の東体大福岡を破ることで今回の金鷲旗の台風の目となった大阪の幸徳学園。彼女たちの掘り下げと共に、16巻は青西が戦っていくことになります。

この幸徳学園メンバの背景が、柔道を好きなゆえに今回初出場することになったというものだったり、大会で見せている強者としての振舞いも考えがあってのことだったりと、決して自分たちが強いという傲慢などではなく、彼女達なりの作戦であるというのが妙にリアルで引き込まれてしまいます。

しかも、それらの作戦というのが、作品によっては主人公たちが取るようなものだったりするようなものなのです。だからこそ、幸徳学園も思わず応援したくなってしまいます。


そうして始まる青葉西高校と幸徳学園の3回戦。この戦いが最高に熱い。

強敵相手に、2年生として、先輩としてチームを勝たせるという責任を背負った南雲の全力。南雲のような天才センスも無ければ、永遠のように特別柔道が強いわけではないのに、キャプテンであるという立場から責任感と後輩へ引き継ぐ思いを一心に抱え込む早苗。柔道をするということだけでなく彼女達の強い思いが試合を通して何度も描写されていきます。

そこに差し込まれる仲間たちの思いというのが相まって、鳥肌が立つほどのとてつもない面白さを発揮しています。しかもこの仲間たちというのが、青西メンバのみに留まらず、この1年で関わった相手、倒した相手、負けた相手、それら全ての思いが詰まっているのです。

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「回せ!!」「転がせ!!」「もうちょい!!」「GoGoGoGo!!」「いける!!」「投げきれえええええ」

これが、青西の彼女達がこの1年間の柔道で築き上げた絆なのです。敵も味方もなく、共に戦ってきたからこそ生まれた応援が、彼女達の力になっています。1年前の金鷲旗とは比べ物にならないくらい大きな信頼関係に発展した彼女達の絆には涙が止まりません。



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そして試合を終えて振り返った先に待っていた、早苗を受け入れる青西メンバ。交流を大きく拡げて柔道を通した信頼、絆を得たけれども、最も大きな信頼関係があるのは彼女たちです。

この16巻では、回りとの関係を描きながら、何よりこの青西メンバの思いを再度描写していたように思います。



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姫コの為に自身の思いを全力で乗せた柔道を見せると約束する早苗



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司に、チームのことなど考えず、自分のことだけ考えて柔道を楽しむように説く南雲



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これまで関わってきたみんなのおかげでここまで変われたと感謝する永遠



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永遠のおかげで高校でも柔道を続けられて、しかもますます強くなって柔道を全力で楽しんでることを感謝する未知。



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そして誰よりも近くで早苗のことを見てきて、共に成長し支え合い、早苗の強さを絶対に疑わない未知




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そんな彼女達の思いがあるからこそ、どんな強敵が相手だろうとも、彼女達は立ち向かえる。だからこそ、畳の上で敵と向かい合っても、後悔などせず常に全力で戦うことが出来るのだ。


ひとりひとりの掘り下げが非常に丁寧で、そんな彼女達の関係性を発展させるのも本当に見事で、まさにこの青春ドラマにどっぷりと浸らせてくれます。こんなに熱くなれるなら、思わず青春をやり直したくなるほどの思いが込み上げてきます。こういう関係性が築ける環境が近くにあるのであれば、南雲が剣道をやめてまで一緒に未知たちと柔道をしたくなる気持ちもわかる気がします。

柔道描写だけでなく、それ以上に青春が熱い「もういっぽん!」は本当に凄いですね。この熱量を週刊連載で描き続けてるのも凄い。素晴らしい作品をありがとうございます。

試合結果も気になるので次巻も当然早く読みたいところなのですが、それ以上に彼女たちの青春の続きに早く浸りたいです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


15巻の感想はこちら(2回目の金鷲旗、青春と若さをぶつけ合う)
17巻の感想はこちら(全員の思いを一つにして挑む団体戦が美しすぎる)
18巻の感想はこちら(強者同士の思いをぶつける戦いが熱すぎる)
19巻の感想はこちら(既に次の金鷲旗を見据えて成長を続ける少女たちが素敵すぎる)
20巻の感想はこちら(4人が思いをぶつけ合う姿が青春すぎる)
21巻の感想はこちら(憧れの姉を越えて新たな目標を打ち出す姿が素晴らしすぎる)
22巻の感想はこちら(勝利を目標に据えた少女たちが魅力的すぎる)


もういっぽん!【電子特別版】 16 (少年チャンピオン・コミックス)
村岡ユウ(著)
秋田書店 2021-12-08T00:00:00.000Z

¥426




おまけ:
感想書いてるそばから泣けてダメだこれ。早苗が振り返った時の出迎えシーンとか涙無しでは読めないよ。それだけでなく、作中読んでるだけで目が潤んでくるのに。嬉しいとか信頼とかの表現で泣くのは大好物なので完全に刺さるんだよな「もういっぽん!」