K-1創始者の石井館長がトラックに轢かれて貧乏道場の女子高生に取り憑いてしまう「どるから」の8巻です。実はこの作品、個人的にとても注目していて、もっと売れてほしいなと思っています。

というのも、「どるから」は石井館長が女子高生として無双するという話ではなく、貧乏道場を建て直す為に様々な経営手腕を振舞うというお話なのです。

しかも監修に石井館長本人が携わっている為、道場経営の内容も実に経験に即したものとなっています。ですので、半分くらいは石井館長の自伝相当と言っても過言ではないでしょう。

作中でも道場並びに格闘技人口を増やすためにあらゆる手段を取ろうと画策します。6巻から始まっているJK-1グランプリも、女性格闘家という特徴で売り込みAbemaTVと契約して配信することで、少しでも興味を持つ人間を一気に取り込もうとしています。

更に、人を動かすのはそのキャラクター性、スター性であると考えて、魅力ある人材は勝とうが負けようが、強かろうが弱かろうが関係ないというスタンスでもあります。

そうなのです、格闘技が主軸でバトルも様々描写されますが、決してそこが本当のメインではないのです。むしろ道場経営の経済部分がメインです。だからこそ、この「どるから」は興味深く読むことが出来ます。

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「ワシは場所を作るだけだ!君たちがドラマを作れ!!」

JK-1グランプリを開き、これまで無名だった選手たちの活躍の場を作り彼女たちに希望を持たせ、その魅力に惹かれた人間を多く作ることで格闘技人口を増やす。石井館長がカッコいいこと言っていますが、その裏は実のところ経営の為の言葉でもあります。

とはいえ、参加者も企画者もWin-WinのJK-1グランプリですから、何も悪いことではないでしょう。むしろ金に執着することが恥ずかしいと捉えないのが、正しい経営者の姿として清々しいです。だからこそこの作品に惹かれるんだよなあ。


この8巻ではJK-1グランプリが完結し、これで売った知名度を元に経営拡大していこうと画策していきます。集まったのは全国の経営難に陥っている格闘技道場の面々。その彼らに、道場経営と格闘技道場を続ける意義の考え方を説いていきます。

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「このままの経営方針を続けると 現在の格闘ジムや道場はほとんど淘汰されると思うんですわ!」


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一つは「コンビニ型の道場運営」を目指すこと。もう一つは「アカデミー型の指導スタイル」を取り入れることです!


このように、今後の道場経営のあるべき姿を論理的に分析し、この時代を生き残る為の経営戦略が展開されていきます。経済ものの作品は数あれど、格闘技に限ったものは無いのではないでしょうか。だからこそ非常に興味深いものとなっています。

加えて、経済の話として固いわけではなく、前述したようにしっかりバトルシーンも描かれているのです。なので読み手としても難しいことを考えることなく、経営もバトル漫画も楽しめる。おまけに出てくるの格闘家は女子高生を始めとする女の子ばかり。しかもノリが軽い。非常に気楽に読めます。


と、このように面白い作品だと思っているのですが、どうも知名度がそれほどには無いような気がします。もっと読んでほしいなー。結構読みやすいと思うんだけどなー。

ちょっと調べたら1巻が安くなるタイミングとかもあるので是非ご一読ください。



眠気覚め度 ☆☆☆☆


9巻の感想はこちら(バトルロワイヤルがメインの巻です)


どるから (8) (バンブーコミックス)
石井和義(著), ハナムラ(著)

¥792



どるから (1) (バンブーコミックス)
石井和義(著), ハナムラ(著)
5つ星のうち4.5
¥11

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