異世界で宗教戦争を起こす「神無き世界のカミサマ活動」4巻です。神の力を借りたアルコーン達が、それぞれの宗教を起こして信者を集め、集めた信者数によって力が変わるというお話ですね。

4巻は前巻の続きで性欲を司るダキニとの戦いから。ダキニ教の中でもとりわけ信者たちに活動を指示してきたリシュが離反して、その力をミタマに移していくというのが実際に宗教分断等で起こりそうで面白いですね。まるでキリスト教のよう。

こういった宗教ならでは、というか人間ならではの話が出てくるならもっと面白くなりそうなのですが、いかんせんそういった話はどうしても複雑になりがちなのが難しいところ。この作品でやたら難しいことを読みたいかというと、そうではないような。

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この作品を面白くする重要なポイントが、偽神であるアルコーン達と異なり、ミタマだけは正真正銘ホンモノの神であることです。ダキニ戦もなんだかんだそれが生きてきました。単に信者数が少ないだけで弱くなっていることと、結局なかなか信者が増えないというのがまた面白いところ。

無敵の神としてではなく、きちんと弱点を持っていて、頭を使って立ち回らないと勝てなくなっているのがまた上手い。単に神が最強だったらそもそも話が成り立たないしな。

話もなかなか大きくなってきて、元の世界の知識を持ったガイアが出てきたり、ラスボス相当のロキが圧倒的に信者を伸ばしていたりするのをもう出してきたのがグッド。ちまちま信者数そこそこの偽神とやっても仕方ないですし、大振りで話を展開させる方が面白くなりますし。

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「俺がプロデューサーとなり、次世代の歌姫を作り出す」

この台詞もまた、現代の宗教観を揶揄していて面白い。アイドルに入れ込む姿は確かに宗教そのものですね。熱狂させる何かがあれば、その人の中での宗教であるというのは間違いありません。そう考えると、ファンのことを信者と呼んだりするのも納得ですね。


というわけで、「神無き世界のカミサマ活動」4巻だったわけですが、最近検索ワードに不穏なものがあったりGoogle先生で不穏なサジェストがあったり。「打ち切り」とか「最終回」とかよく見かけるのです。本当に終わっちゃうの??


眠気覚め度 ☆☆☆


3巻までの感想はこちら(異世界で起こす宗教戦争)
5巻の感想はこちら(宗教の最小単位は家族)