途中まで単なるエロ漫画だったのに格闘大会篇こと戦乙女闘宴に入ってからやたら面白くなった「はぐれアイドル地獄変」も13巻でいよいよ大会完結です。

この格闘大会篇、下手な格闘漫画よりもよっぽど面白かったんですよ。誰が勝つかわからないようなトーナメントだし、それぞれキャラの特徴もしっかりしてたし。何より試合のシーンはエロ要素をほぼ排除してたのが、真摯に格闘を描いていた証拠なのではないかと。

とはいえ、13巻の決勝戦ではなぜか両者際どい水着を着て最後はポロンしてるんですが。が、ポロンしててもそんなことは誰も意に介することなく、そのまま試合が継続してるのが実によかった。
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柔道家のグゼバも準決勝まで柔道着着てたのに決勝では水着になるという謎采配。理由は色々つけてたけどそここだわる必要ある?と少し思ったり。

そして肝心の試合内容も、こういったトーナメントものには珍しく決勝がしっかりと面白かった。見せ方が上手いなと思ったのは、単に試合を描くだけでなく、それを解説する形でこれまでの対戦相手に状況を説明させるところですね。

刃牙だったら本部以蔵が全部解説役を持っていったりするところを、これまでのキャラにフォーカスを当てることで使い捨て感を排除したように思います。良いキャラ多かったからまた出してほしいところだよなあ。

そういった解説がところどころ入ると大抵テンポが悪くなるところですが、そこもまた読ませ方が上手くて、絶妙に戦いの過程と解説が入り混じっています。なのでテンポは良いままで、むしろ解説が心理戦を担っているとも言えるでしょう。なので読みやすいし、状況も考えてることもわかりやすい。グッド。

回想シーン入れてもすぐ終わるので全然邪魔になりません。サクっと挿入される上、次の行動の礎になっています。回想入れるならやはりこういった、本編の補助になるべきなんですよ。見せ方が上手い。刃牙リスペクトでこういったバトルを描いたのでしょう、うまく面白い頃の刃牙らしさを出せていると思います。

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決勝がベストバウトとはいかないですが、全体的にレベルの高い面白さだったこの戦乙女闘宴のシリーズ、決勝戦としても面白い戦いでした。息を飲んで一気に読みふけってしまった。

もうこういう戦いはあまり描かないで、また単なるエロ漫画路線に戻っちゃうのかなあ。元の路線は割りとアホでエロなだけだから頭空っぽでラクに読めますが、この路線が面白かったのでまた読みたいと思ったり。

ただ、きっとそれを全面に出して格闘物とか描くと失敗しそうなイメージも勝手ながらあります。元々キャラが立ってた「はぐれアイドル地獄変」という下地があったからこそ、ここまで面白くなったのではないかというところもありますので。そもそも「ミカるんX」から主人公も出張って来てるし、そりゃ濃くて面白くなるわなというところも。


というわけで、戦乙女闘宴篇完結の「はぐれアイドル地獄変」13巻でした。何気に6巻からこのシリーズ続いてたことにびっくり。そんな長くやってたんだ。6巻から13巻までだけ読むのも十分ありなレベルで面白いので「グラップラー刃牙」や「ケンガンアシュラ」が好きな人は是非とも。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


14巻の感想はこちら(いつものエロ漫画が戻ってきました)
15巻の感想はこちら(そういえばこういう作品でしたね)
16巻の感想はこちら(最終巻でいいんですよね?)


はぐれアイドル地獄変 13
高遠るい(著)
5つ星のうち3.0
¥644
 
はぐれアイドル地獄変 6
高遠るい(著)
5つ星のうち4.6
¥424