好きなんですよ「モンキーピーク」。志名坂高次が描くシナリオが好きなんですよ。壊れていく人間関係、疑心暗鬼、追い詰められた人間の狂気。色々と展開に無茶はあったものの、読んでて面白かったです。

そしてその続編である「モンキーピーク the Rock」ももう7巻まで来ました。なんだけど、「モンキーピーク」ほど面白くはないというのが、ここまで読んだ率直な感想です。

7巻は、というあらすじを簡単に書こうとしましたが、そういや洞窟に閉じ込められて猿に襲われて状況変わってないやと気づきました。ずっと極限状態で襲われて怪我して人が死んでの繰り返しです。

が、この7巻でいよいよ人間関係の対立が明確になっていきます。
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「人間の命より猿の命を重んじる!」

この赤崎の存在が、前作との大きな違いでしょう。大量の猿がいる洞窟に閉じ込められた状態で、猿に襲われながらも出口を探しているのに、猿を絶対に殺してはいけないという愛護派。この状況下における最大の敵となり得ます。

そもそも、前作「モンキーピーク」と今作「モンキーピーク the Rock」の大きな違いというのが、人間同士のサバイバルサスペンスから、人間対猿のサバイバルバトルになってるところなんですよ。

「モンキーピーク」では、猿どころか会社の登山というイベントの時点から全て仕組まれている、人間対人間の争いでした。しかもその過程で人間同士の派閥が出来上がり、登山に対する装備や食料、水の争いが発生していました。そこが実に面白かった。

それに対して、「the Rock」は本当に敵が猿なんです。いやもちろん、この大量の猿が存在する巣に閉じ込めた人間はいるわけで、裏では人間対人間なのはそうなのですが、洞窟内の現状としては人間対猿の構図であるわけです。意思疎通の出来ない相手であり、猿側の思考が何かあるわけではないのが少しつまらないところ。単なる人間対動物です。

そしてこの7巻で、遂に人間同士の対立が明確になったというわけですね。そういう意味では面白くなるはずなのですが、相手が赤崎と他1名というのがなんとも。これならレンジャー部隊と争い続けた方が面白かったかも。

あとは傍から見てると、争ったところで脱出出来ないなら意味が無いのではと思ってしまうのがね。「モンキーピーク」は猿に殺されるという恐怖で山を登り続けることしか出来ず、だからこそ派閥が出来ても双方が山を登るしかないというところは一貫していたのが、わかりやすいとともにそれしか方法が無いというどちらの意見も納得が出来る内容でした。

それに対して、「the Rock」では単に「猿を殺さないで」だけなのが。高橋は生きて帰って猿の生態で大儲けする意思があるけれど、赤崎は最終的に洞窟の中で死んでもいいと思ってるように見えるのが残念。その信念が全く共感出来なく、早乙女達を邪魔してるだけなのが勿体無い。「猿を殺さないで」じゃなくて「金の為に猿を生かせ」の方がまだ人間臭くてわかりやすかったのに。

というか、赤崎は洞窟に閉じ込められてからホント気に入らなかったな。どうにか生き延びようとする早乙女達の邪魔しかしないわけだし。ヘイト生むためのキャラだとしたら良いキャラしてます。

そんな人間同士の対立が始まった「モンキーピーク the Rock」7巻でした。正直、とっとと洞窟からは抜け出して人間同士の話をメインに見たいところです。猿と戦い続けてもあんま面白くない。


眠気覚め度 ☆☆☆

8巻の感想はこちら(遂に黒幕登場、話はクライマックスへ)
9巻の感想はこちら(洞窟サバイバルこれにて完結)

モンキーピーク the Rock 7
志名坂高次(著), 粂田晃宏(著)
5つ星のうち4.2
¥594