「ケンガンアシュラ」の続編「ケンガンオメガ」も10巻まできました。最初の方はまだ弱い成島光我の話から始まって、何がしたいのかよくわからずあまり面白くなかったのですが、煉獄とのバトルも佳境に入ってきてようやく面白くなってきたところです。

まあ、毎週Web版で読んでるので、全て既読済みではあるのですが。たぶんあと単行本2,3冊分は連載先に進んでるよねこれ?

10巻では、呂天VSアギトの決着、雷庵VSアラン・呉の決着、嵐山十郎太VS速水正樹の戦いが繰り広げられます。長くても1巻で決着をつけるくらいの長さなので、展開が早くてグッドです。なんだかのワルキューレは一回の戦いが長すぎるのちょっとねえ。

呂天VSアギトは、まあアギトがそう簡単に負けてはいけないものなので納得の決着。にしても、呂天ちょっと小物過ぎないですかね。他のキャラが相手になっても、一郎こと理人くらいしか負けないんじゃないかこれ。その理人も「ケンガンアシュラ」の頃から比べてかなり良いキャラになってるしなあ。

雷庵VSアラン・呉は、その結末が凄く好き。雷庵らしいというかなんというか。というか、雷庵もそう簡単に負けてはいけない存在ですし、やはりこれくらいはやってくれないと。他の闘技者との違いが明確に出ててやっぱ良いキャラしてます。

そして今回注目の嵐山十郎太VS速水正樹ですよ。
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この嵐山十郎太が超ぶっ壊れキャラで清々しい。黒木玄斎に「あの男は、この黒木と「同類」だ。」と言わせてしまうほどの猛者。つまり達人級の達人なわけですよ。ここまでどことなく噛ませが多く、ほとんどが拳願会側が強者だったのに対し、遂に明確な強者が煉獄から現れたわけです。

ここまでは煉獄ルールゆえに拳願会側が負けてることが多かったですが、ここで初めて(だったと思うんだけど)煉獄の強敵出現となり、拳願会側が挑戦する立場になるわけです。※理人と隼も拳願会側の挑戦みたいなところあったけど、そもそも2人とも他と比べたら実力は低いし。

そこに対するのが、「ケンガンアシュラ」では頭のイカれた柔道家の目黒正樹のクローンと思われる速水正樹というのが非常にグッド。
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「ケンガンアシュラ」ではムテバに眼は潰されるわキンタマは潰されるわしつつも追い詰めて、最終的には首を折られて潰された眼に指を突っ込まれて脳をやられて死んだ目黒正樹。その目黒正樹がムテバ以外と戦ったら?という対決になるのです。

しかもしかも、相手は同型、同じ柔道家である嵐山十郎太。強さとしても速水正樹は挑戦する側の実力であり、同じ柔道家として戦うという。これが面白くないわけがないのです。

そして中身も思っていた以上に面白く描かれています。何よりも嵐山十郎太の強さが際立っていてカッコいい。煉獄側のキャラで強くてカッコいいと思えたのは初めてかもしれない。
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「嵐山は、掴まず(組まず)に投げる。故に、弱点は存在しない。」

これがもう反則。柔道といえば襟や袖を掴んで投げるものですが、嵐山十郎太はそもそも掴まずに投げられるのです。書いてて矛盾してますね、頭おかしくなりそうです。

なんてったって、二本の指で袖を挟んだだけで投げられるんだから。挟まなくても、指をひっかけるだけで投げられるんだから。極めつけは、皮膚を重ねた摩擦だけで投げられるんだから。

ちょっと今までの柔道家強キャラの概念を覆すような能力ですね。だからこそ「黒木と同類」と言われるほどの猛者であると。

それに対して、速水正樹も幾度となく投げられ続けるのですが、そこはやはり目黒もとい速水正樹。段々とその投げに対応していき、徐々に徐々に反撃を開始していきます。強者に対する学習と対応の流れが素晴らしい。最終的にどちらが勝つのか全然予測が付かなくなっていくのが良いです。

そうなんだよなあ、圧倒的な強さを見せ付けるよりも、どっちが勝つのかわからないというのがやはり面白いんだよなあ。個人的にケンガン通して一番好きな戦いは「アギトVSガオラン」なのですが(「ケンガンアシュラ」20巻)、あれは本当に良かった。あれくらい、どちらが勝つのか白熱するような戦いをもっと見たいものです。

10巻では決着がつかないのと、連載版を読んだものの決着をまったく覚えていないので続きが楽しみです。「ケンガンオメガ」もようやく面白くなってきたぞー。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


11巻の感想はこちら(二徳対劉戦は抜群に面白いぞ)
12巻の感想はこちら(純粋な格闘家同士の戦いが一番面白いよね)
13巻の感想はこちら(ケンガンアシュラでお流れになった設定がここで復活)
14巻の感想はこちら(いつの間にかほぼ最強の座にいる王馬)
15巻の感想はこちら(対抗試合が終わってそれから数年後)
16巻の感想はこちら(光我くん強くなりすぎ問題発生中)


ケンガンオメガ(10) (裏少年サンデーコミックス)
サンドロビッチ・ヤバ子(著), だろめおん(著)
5つ星のうち4.8
¥650
 
ケンガンアシュラ(20) (裏少年サンデーコミックス)
サンドロビッチ・ヤバ子(著), だろめおん(著)
5つ星のうち4.7
¥628