久々に大当たりしました。夜寝ようとして眠い目をこすりながらふらっと無料だった1巻を読んで、その面白さから一気に眠気が覚め、次々と続刊を買っては読みをしてしまった「ワンダンス」。これは間違いなく傑作です。

そういえば記憶がある限りでは、前に同じような現象になったのは「ボールルームへようこそ」だったんだよな。ダンスものは傑作というジンクスがあるのかもしません。

田舎の高校に進学した小谷花木は周りに流されないよう、周りに合わせて目立たず逆らわずをしてきた、自分を抑えて周囲に溶け込むことを第一にしている男の子。そんな花木が出会った湾田光莉は周囲の目を気にせず我を通し、自分が好きなダンスにひたすら夢中になる女の子。湾田光莉に出会ったカボくんが高校ダンスを始めて、あれよあれよと成長していくというのが基本のお話となります。

良い作品というのは多分に漏れずキャラが際立っているのが特徴です。この「ワンダンス」ももちろん当てはまります。

主人公のカボくんこと小谷花木はバスケをやっていたことから体格にも恵まれていて、ダンスをする身体を持っているのですが、これまで周囲に合わせてきたということからもあり、人前で踊るのはちょっと、、、という気持ちを持っています。まあこれは当然どんな人間でもありますよね、馬鹿にされていないかとか、恥ずかしい気持ちがあるのです。おそらくほとんどの人がそうでしょう。

それに加えて、吃音症で人と話す時にどもるクセがあります。そのせいで人との会話も聞くだけだったり、言いたいことがあっても遠慮して言えなかったりという人生を送ってきました。

そこに出会ったのがダンスなのです。喋らなくても、自分の思いを身体全体を使ってダンスで表現してしまう。これまで溜め込んでしまった喋れない鬱憤をダンスで思い切りぶちまけてしまう。その姿が本当にカッコいい。

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このカッコいいダンス表現が凄くてですね、ダンスなんて全くわからない自分ですが、その勢いで凄さが伝わって来るのです。さすがに「ボールルームへようこそ」には匹敵しませんが、それでも十分読み応えがあるカッコよさです。カッコよくて息が止まる、ページをめくるドキドキが止まらなくなる。それは漫画として本当に素晴らしいことです。

実際のダンスの描写もとても細かくて丁寧です。ダンス部の部長が部員に説明するところとかまさに部活動という雰囲気で、まるで新入部員の気持ちで読めます。

スポーツものでこういった丁寧な描写があるものは作者自身も相当勉強した上で描いているはずなので、内容に深みや信憑性が増して本当に面白いのです。取材や情報がしっかりしてるもの、特にスポーツ物は知らない世界を知れます。なのではっきりとした情報に裏打ちされた「ワンダンス」も、ダンスという世界を経験出来るくらい素晴らしいものとなっています。

それに追随する形で「ダンスには音楽が極めて重要」という話が出てくるのがまた面白い。振り付けよりも、如何に音楽に乗れるかがダンスにとって一番重要なことであることを作中で何度も何度も説明されています。なのでダンスのイロハはわからなくても、音をしっかりと聞くことが出来る、しっかりとリズムに合わせることが出来るということが、カボくんの隠れた才能を引き出すわけです。

高校から始めたばかりのカボくんがダンスを長年やってきた部長たちに太刀打ちできる長所なのです。持ってる人間が、スポーツを好きになって、それにのめり込んで、表現を大爆発させていく話って本当に良いですよね。

あと何気に悪人が出てこないのが凄く好感が高いです。登場キャラ全員がダンスに夢中で、一心不乱にダンスへのめり込んで、挫折して悩んでいく姿は見てて本当に面白い。足を引っ張るようなキャラも出てこないし、外野キャラもダンスを茶化すことないのがまた素晴らしい。真摯にダンスに向かう作品なので読み手もダンスに夢中になれます。

それと少しですがラブがコメディしてるのも思わずニヤニヤしてしまったり。2巻のとあるシーンが読んでて微笑ましくてホント良かった。
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お互いまだはっきりとその気持ちに気づいてないのにこんなことしてしまうわけですよ。もうこのシーン何回も見返してしまった。ホント良いここ。ホント良い。

こんなガッツリダンススポーツ漫画「ワンダンス」は絶対に今後人気が出てくるはず。まだ5巻までしか出ていないので追うなら今の内。とても良い作品なので未読の方は是非。


この作者の名前どこかで見たことあるなあと思ってたらグフタでやってた「のぼる小寺さん」の人だったんですね。グフタでやってた時も面白いと思ってましたが、まさかここまでの傑作を世に出すとはお見事です。本当に素晴らしい。



眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


6巻の感想はこちら (カボのダンスは対象全てをリスペクト)