逆うちハコヅメ感想11巻までやってきました。これで8冊分。これだけ長く1つの作品で感想書き続けられたのは何気に初めてかも。

11巻は前半と後半で大きく分かれますね。前半がいつものコントハコヅメで笑いありゾクッとする展開あり。後半は同期の桜事件の概要が初めて語られて、川合が守護天使の似顔絵を描くところまでです。

前半部分はもういつものハコヅメ。聖子ちゃんが1人で夜中の酔っ払い事案対応して怪我をするところとか、サブちゃんと聖子ちゃんたちの子供の頃の出会いの話とか、昇任試験で牧ちゃんが昇進なんてしたくありませんって言ったりとか、「イケメンの彼氏が欲しい!」から始まる川合の欲望丸出し事案とか。
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「渾身のムカつく顔をしました」
有能な美人がする腹立つ顔ってなー、ホント頭来るんだよなーw

というか、最初の頃に敷根がヤクザの若頭とやらかした時、源と山田も一緒になって両方反社の顔で応対してたけどホントにそういうことあるんだろうか。相手のレベルに合わせて対応態度を変えるということ?それで公務がまともに進むならいいのだけど、同じような煽り合いしても解決に向かうようには思えないんだけどなあ。それとも、それで逆上させるというのが手法のひとつなのか?いや違うな、おそらく警察官側もムカついて同じことしてるだけだな。

前半の中でも特に読んでて印象残ったのは「イケメンの彼氏が欲しい!」事案なんですよ。これ、最初に読んだ時に本当にゾクッとしました。これこそある意味夏の定番怖い話にバッチリ合うんじゃないかと思うほど。

事案内容としては認知症の夫が妻に家庭内暴力を振るわれたと交番に駆け込むところから始まるのですが、確かに実体として妻が夫に手を出していたということ。しかしそれは家庭内暴力などではなく、認知症の夫を介護することに疲れてしまった妻が、いっそ楽になるために身辺整理を全てした上で夫を殺して自分も死のうとしていたという事件。恐ろしいと同時に、妻の苦労も凄くよく見て取れて、たったこれだけの情報量でここまで察せられる見せ方が本当に見事でした。途中までは認知症の夫が出歩いてしまってあらやだみたいな半分笑い話で終わるのかと思いきや最後の最後でそっちの方向に急展開するのだもの。この話は、1回読んでゾクッとした後にすぐ2回くらい読み直したくらい衝撃的でした。

後半は桜事件の似顔絵描きから始まって、桜事件の概要と聖子ちゃんが町山交番に来た真意の説明、そして似顔絵の完成となります。ここに来てようやく1巻1話の箱詰め内容が回収されました。

この似顔絵描きから、源の能力をふんだんに川合に使って源の恐ろしさが出てくることとなります。普段の日常がちゃらんぽらんだからこそ、能力を使って迫る仕事バージョン源は見てるこっちも本当に恐ろしい。
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この源と宮原部長のやり取りも傍から見てる川合は怖かったろうな。こういう源の鋭い目もおそらくこの辺が初めてなんですよね。というかここ以降でこんな鋭い目で牽制することはなかったか。それだけ源の思いの深さが垣間見える。やっぱりこういう絵で語るのが漫画の良さですね。読んだだけでこっちも息が詰まる。

この後はいよいよ桜の事件です。極めて詳細に当日の流れが描かれていて、日常がふとした瞬間に壊れるのはこういうことなんだと思わさせられて本当に辛い。事故にあった直後桜の状態も丁寧に描写されていて、気持ち悪いと思ってしまうくらい。事故現場を見たことがないので実際の事故でどうなるのかはわからないのですが、動きや周りの対応が妙にリアル過ぎて臨場感に溢れています。知り合いが事故に合った時、果たして同じように動くことが出来るだろうか。。。

そして全てを知った川合。聖子ちゃんに守護天使をおびき寄せるために使われていることを知った川合。だけどこれまでの聖子ちゃんを知って、誰よりも聖子ちゃんを信頼している川合。そんな川合が取った対応が。
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「藤部長には 私がついてます」

もうさ、こんなん泣くわ。1巻では辞めたい辞めたいと言っていた川合。頼りなくて何も出来なくてやることなすこと怒られていた川合。だけど、聖子ちゃんとペアを組んで、聖子ちゃんのことを心から尊敬して、そんな聖子ちゃんに囮に使われていたとしても、今ならむしろ聖子ちゃんのために自分が囮になってもいいと思うくらい、聖子ちゃんのことを慕っている川合。そんな川合が、力強く、尊敬する藤部長のために私が立ち上がると言っているのです。1巻から見てる身としては後輩が成長した姿を見せられてるも同然なわけですよ。これ以上に感動できることなんてそうそうないです。本当に良い漫画だ。

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ここで1巻の一番最初の台詞を回収ですよ。この台詞、1巻1話ではどう見ても川合の台詞に見えたのですが、聖子ちゃん側の台詞だったんですね。
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ハコヅメ1巻1話より。

なんという叙述トリック。でもこれ絶対後付けだろうな。たぶん最初の時点では桜の事件のことすらまだ考えてなかったと思う。こういう伏線のちりばめ方と、あとからの伏線回収が本当に上手い。ちょっとしたコント回の内容ですらあとから強烈な伏線に持ってきたりするのが本当凄い。天才過ぎる。


この感想を書くために何度も読み直しました。いやあ、本当に面白いですね。書きたい感想もすらすら出てきてしまう。人の心を掴んで離さないハコヅメは本当に名作です。

眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


ハコヅメ3巻の感想はこちら(川合先生初登場の似顔絵特別捜査本部)
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ハコヅメ5巻の感想はこちら(とにかく笑える内容盛り沢山)
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