ゲームコントローラーを持ったまま異世界にいくとなんとポーズ機能が効いてしまった「時間停止勇者」の6巻です。なんやかんやあって解決には時間経過しか無いという状態で、目の前にタイムリミットが迫っているという状況から始まります。

さてこの「時間停止勇者」を簡単に説明すると、時間停止できるがゆえに停止した世界でもの凄く努力をするという見た目とは裏腹な熱血ものとなっています。いやね、この主人公のせいなのか、作者の画風なのか定かではないのですが、どうも全体的に緊迫感に欠けるというか盛り上がりに欠けるというかメリハリに欠けるというか。坦々と進んでいく印象が強いのですよ。

だけど実際に主人公がやっていることはもの凄い努力なのです。硬い敵に遭遇したら通用する武器を探しに行くし、剣で斬られたら回復するまで何日も寝込むし、空中の敵に攻撃を与えるために魔法を1から勉強して習得し、その際に言語も学んで異世界文字が読めるようになるし。時間停止した世界で出来ることならなんでもやってしまう、それがなかなか凄い。

というのも、この異世界が何故かゲーム世界のようになっていて、クエストクリアまでの制限時間があるのです。時間停止してる間はその時間を止めることはできますが、NPCと会話したり、夜になって発生するイベントだったりと必要な時間経過イベントがそこかしこにあるわけです。なので、何をするにも基本的に時間停止が必要となります。その間はもちろん孤独の世界。たった一人で打開策を研究し、女性の胸やあそこをたっぷり堪能し、クエストクリアを目指していきます。

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6巻ではその努力の方向性がまたすごく、時間経過必須イベントをどうやって攻略するか検討するためになんと国の図書館の本を全て読み始めるということを始めてしまいます。いやいや何年掛かるんだよこれ、ホントにこの主人公は単なるクズのように書かれてるけどとんでもない努力家だぞ。普通の人間には到達出来ないレベルで精神力が凄まじい。いくら時間が無限にあるといえども、何年も孤独に独りで研究など続けられないものです普通は。それだけでもう、抑揚のない見せ方とはいえ十分に主人公足りえると言えるでしょう。

ただ、前述したように作者の画風なのかわかりませんが、盛り上がるところだとしても何故か盛り上がりに欠けて見えるというか。やってることは面白いことなのになんか読んでて心を揺さぶられるところが少ないというか。読み手としても坦々と読んでしまうのです。

だけど続けて読んでしまっているということは、やはりそれなりに面白さを認めているということなんだろうなと思ったり。ネタは凄く好きなんですよ。時間停止した世界でなんでもやっちゃえ的な発想だし。ゲーム好きに取っては結構面白いと思うなあ。

ゲームといえば前作の「アヴァルト」はオンラインゲーム世界を元にしたお話でした。NPCとプレイヤーキャラとがどうのこうのしてしまうやつ。「アヴァルト」と比べると「時間停止勇者」の方が個人的には好きです。「アヴァルト」はよくわからないうちに終わってしまったような記憶があるのだけど、「時間停止勇者」はこのままの調子で最後まで続いてほしいです。


眠気覚め度 ☆☆☆


7巻の感想はこちら (南国で時間停止して脱がしまくるぞ)
8巻の感想はこちら(ゲーム世界で時間停止して面白くなってきたぞ)
9巻の感想はこちら (バ・レー大会でも時間停止して不正するぞ)
10巻の感想はこちら(大ボスの前で時間停止して楽勝だと思ったらコントローラーを無くしたぞ)
11巻の感想はこちら(ゲームプレーヤー呼びしてくるキャラが遂に出てきたぞ)
12巻の感想はこちら(いきなりチュートリアルが始まったぞ)