ドラマが好調の「ハコヅメ」原作逆打ち感想はいよいよ同期の桜事件解決篇の12巻です。聖子ちゃんが町山交番に配属になった理由もこの事件の捜査の為であり、ある意味ハコヅメ第1部完了となる節目となるでしょう。だのに、この同期の桜事件篇が終わった次の回からいつも通りのコメディ回が始まるのが「ハコヅメ」の凄いところ。面白さの安定感が高すぎる。

12巻のスタートは11巻で川合が描いたいつもの似顔絵が管内に展開され、ピンときてしまった戸成警察署の板垣巡査長おばさんと、聖子ちゃん達の同期である桃木分隊長、そしてそのペアっ子であり川合の同期である有田くんの話から始まります。

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この桃木分隊長、その美貌からビューティゴリラの異名を持つほどです。対してペアっ子の有田くんはもちろん男性、配属された時に変な気を起こさないよう注意を受けます。

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「惜しい、意味あってるけど その100倍下品な言葉遣いにしたのが私の言いたいことだ」

このような命令を受け、有田くんは警察手帳へ桃木分隊長のお父様の写真を入れて公務をすることとなります。そう、胸に入った警察手帳はいつも桃木分隊長のお父様と一緒。だのに肝心の桃木分隊長はペアっ子との中をもっと良くしようと様々なコミュニケーションを取ろうとする始末。それも藤川合ペアに憧れて。いやあ、怖いですねぇ、無自覚な美女というものは。

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「有田くん ご健在の方の写真 そういう使い方するのよくない」

ホント、こういうコントのようなネタの運びが天才です。シリアスの時はとことんシリアスなのに、コメディの時はとことんコメディで、かつどちらもハイレベルなのが本当にすごい。この話もなんだかんだでしっかり事件に繋がるのがまた凄い。

このあと源、上杉、川合の3人で似顔絵の本人だと思われる参考人の聴取に行くことになります。このあたり、ドラマではどうするのかな、上杉いないけど。オリジナルキャラの刑事を連れてくのかな。あとこの時に川合の手にこぼれたコーヒーを源が直接口をつけて飲むという書いても全然意味がわからないシーンがあるのだけどそこも再現するのかな?再現してほしいな。是非再現してほしいなあ。

で、ここで源親父の初登場ですね。この時点だとどう見ても源親子は本当の親子にしか見えないのが良いミスリード。駐在所に来てるお姉さま方の扱いが源まんまだし。この流れで奥岡島事件のような回想が入るとは思えないよなあ。

さらにこのあとは何故か源と上杉がアウトになって、川合と源親父で参考人に行くという謎の展開。川合としては当日初めてあった遥か上の先輩警察官聴取に行くことになるというドキドキ展開。とはいえ、さすが源親父はベテラン、川合に的確なアドバイスを授けます。

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「時間をやるな 時間は人を落ち着かせ、言い訳を用意させる。機を逃すな」

これ源家が取り調べする時の考えかたとして一貫してるのだろうなあ。おそらくここに源が来ても同じようなことをアドバイスしていたはず(そもそも源が聴取していたというのはおいといて)。ここでもまた源一族だなと思わせてくれるんですよ。こういう、さらっとした流れの中でシリアスに持っていくのが上手いよなあ。

こうして、事件は解決に向かい、聖子ちゃん達の同期としての話にも決着が付き、みんな高級日本酒の味はわからず、成長した川合のおかげでみんな前向きに今後を考えていくことになったのが非常に綺麗に終わっていて凄くよかったです。何より解決のきっかけを作ったのは川合だし、追い詰めたのも川合だし、気持ちを前向きにしたのも川合というのが本当に素晴らしい。1巻から見てる読者にとってはこんなに成長してくれたのかという気持ちになれるわけです。人の成長を描いた作品に外れなしです。成長譚は本当に面白いのです。

で、解決後は普通に、とても普通に日常に戻るのが本当にすごい。戻った最初の話が得意の性癖の話だし、しかも中身はドラゴンカーセックスとかいうまあ普通の人はなかなか知る機会の無い単語が平然と出てくるし。どんだけ引き出しが多いのか、そりゃ読者もみんな上杉の「俺だけ知らないのかな」と思ってしまいます。そんな変態の話をまともに1話やりきってしまうのがまた凄い。

そしてそして、笑い無しに読めない、腹を抱えるくらい笑ってしまうのが最後のピョンピョン捜査ですよ。大量に警察官が張り込んでる店に非番の源、山田、川合がたまたま来てしまうというコント回。しかもコントしながらこのあとの奥岡島事件に繋がるという構成。話の作り方が上手すぎるよなあ。コントとしての笑いも流れるようにスムーズに繰り返されるし、何よりも間が上手い。ページめくった瞬間にホント笑いが止まらない。これが出来るのも、ここまでしっかりとキャラ作りが出来てるということもあると思います。山田と源がハマりすぎてるんだよなあ。


というわけで、ハコヅメのキリのいいとこまで読むならまず12巻まで読みましょう。1巻からの伏線はこの巻で回収されます。だけどハコヅメはまだまだ続くぞ!


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


ハコヅメ3巻の感想はこちら(川合先生初登場の似顔絵特別捜査本部)
ハコヅメ4巻の感想はこちら(黒田カナ伝説はここから始まった)
ハコヅメ5巻の感想はこちら(とにかく笑える内容盛り沢山)
ハコヅメ6巻の感想はこちら(伝説の笑ってはいけないお誕生日会が収録されたハコヅメの最高傑作巻)
ハコヅメ7巻の感想はこちら(煽り役としてパーフェクトな聖子ちゃんが見れます)
ハコヅメ8巻の感想はこちら(これ警察学校で習ったやつだ!)
ハコヅメ9巻の感想はこちら(色々な話が詰め込まれている、これぞハコヅメ)
ハコヅメ10巻の感想はこちら(迷惑防止条例と強制わいせつの違いが勉強になります)
ハコヅメ11巻の感想はこちら(1巻の伏線を見事回収、この日の出会いを何度も後悔することになる)
ハコヅメ13巻の感想はこちら(アンボックス事件のカップルが登場)
ハコヅメ14巻の感想はこちら(奥岡島事件発生篇)
ハコヅメ15巻の感想はこちら(奥岡島事件解決篇)
ハコヅメ16巻の感想はこちら(1巻で出てきたキャラが再登場する感動の成長譚)
ハコヅメ17巻の感想はこちら(アンボックスを読んだ後に読むと非常に切ない)
ハコヅメアンボックスの感想はこちら(警察の負の感情を全力で主張した傑作)
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ハコヅメ21巻の感想はこちら(虎松譲二事件完結!大事件の事後処理といつものギャグパートが再開します)