これ好き。ホンット好き「バイオレンスアクション」。女の子が凄腕のヒットマンで敵をケチョンケチョンにしていく作品は数多あれど、ここまで面白いと思った作品は中々無いです。

特筆すべき点といえば、主人公のケイには特にこれといったエピソードはなく、何故ヒットマンという仕事をしているのかも一切言及されず、ただひたすら事件を中心にドンパチが繰り広げられるところ。これが本当に素晴らしい。ケイはポヤーっとしててまるで人殺しをする風でもないし、普段はちょっと抜けてる変な感じの専門学校生(だよね?ILMビジネススクールって)でいるだけ。しかも演じてもいない。それなのにもの凄く強いという設定がたまらない。今後も絶対にケイの過去編とかやらないでほしいところ。何故強いかなんてところに経緯は必要なく、ただただ可愛い女の子がストイックに大暴れするところに面白さがあるのです。

さてそんなバイオレンスアクションですが、主人公ケイの魅力もさることながら、どうしてまた出てくる登場人物のイカれ具合が実にグッド。捕まえた相手を「マジックでおめえの体にたてよこたてよこ線引いて、四角をいっぱい作る。その四角ごとに切ったり焼いたり溶かしたりする」なんて発言してきたり、組のお金を横領して逃げ回ってるのに江ノ島に行きたがったり吉野家に行きたがったあげく、組のスマホを捨てずにいたためGPSで追いつかれたり、自ら殺し屋2人を育てて自身を恐怖と称して殺しまわる人物だったり。

その中で極めつけ、もうこいつが主人公だろといいたくなるほどの活躍をするのが「みちたかくん」です。
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とにかくキャラ付けが強烈すぎる。人生に三振制を取り入れてると称して、自分ルールで3つのルールを勝手に宣言していきます。最初にでてきたのは「見ず知らずの人間を盗撮しーーそれにより他人への敬意を損ねーーそれじゃ足りず個人情報送信未遂ーー」というこじつけ。まあこれは、現場を盗撮されたので殺すための言い訳というところ。次がものすごい。「女のくせにおれに歯向かい、女の手助けをして、女として生きている」という不条理極まりない言いがかり。この傲慢さがいやらしすぎて思わず笑ってしまう。

そしてこのみちたかくん、最初は敵として出てきてケイにやられることになるのですが、なんと再登場するのですよ。それも2回も。しかも味方枠で。当然上記のような性格はそのままですが、合理的な性格も持ち合わせていて、ケイが強いと判断して手を組むのですな。その時のみちたかくんが最高すぎてそこで一気に大ファンになります。

再登場時、改造に改造を重ねた女殺し屋に格闘で一度負けてしまうみちたかくん。
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このように復讐を誓います。そしてこのあと、状況は逆転し、遂に女殺し屋とやりあえることに。テンション爆上げしていざ再戦!
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このプレイヤーに入ってる曲名が「コピー」「コピーのコピー」「コピーのコピーのコピー」「コピーのコピーのコピーのコピー」ってなってるのがもう面白くて面白くて。これだけでみちたかくんがどんな性格なのか想像できてしまうのがホント素敵。そしてこのあと5ページに渡ってただひたすら相手をぶん殴るだけの展開がされるのが素晴らしすぎる。しかも聞いてるのが「なごり雪」で歌詞と共に殴りまくってるのがまたいい。こんなのみちたかくん好きになるに決まってるでしょうに。(みちたかくんとなごり雪は3巻参照)

おまけにそのあとの捨て台詞が「正当な理由で女を殴るのは最高にスカッとするぜッ。」だもの。キャラ付け濃すぎていいわあ。これだからバイオレンスアクションはやめられない。しかもこのあともまた別の話で出てきてくれて最高すぎた。

こんなバイオレンスアクションですので、好きな人には本当にたまらない作品でしょう。女ヒットマンというところではtrash.とかが似たような作品でしたが、あっちは結構主人公側にも色々と事情があってシナリオがそれなりに重視されていた作品でした。バイオレンスアクションは本当にヒットマンコメディとでもいうか、事情なんてどうでもいいから色んな状況でアクションするぜという方向です。それがやはりたまらない。

やわらかスピリッツでも読めるので試し読みはそちらでどうぞ。惜しいのは今休載中でして、続きがいつになることやら。早く続きを読みたい。

バイオレンスアクション(やわらかスピリッツ)


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


7巻の感想はこちら(2年ぶりの新刊で島を巡るヤクザ紛争篇完結)




イルカ なごり雪