私が愛して止まない漫画家の一人が水上悟志でございます。ドはまりしたきっかけは「惑星のさみだれ」。主人公含めメンバみんなが葛藤しつつ成長していく様を見れたのは本当に素敵な時間でした。

そんな水上悟志氏が、1冊でお話を締めるものを描いた時、そこには十分水上悟志節のエッセンスが多いに詰め込まれており、非常に濃縮された珠玉のものになる傾向があります。「二本松兄妹と木造渓谷の冒険」もその1つです。

水上悟志節と言えば細かなキャラ設定と熱い展開。特にキャラ設定は個性が強く出ており、これらを考えてしまえばあとは勝手にストーリーが回ってくれるのではないかと思うほどです。この「二本松兄妹と木造渓谷」もそれに漏れず、良いキャラがいっぱいでてきます。
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二本松兄妹の戦闘体形です。右の兄、二本松朱彦が火を司る半妖、左の妹、二本松雪緒が氷を司る半妖となります。ここだけ見ると、単に火と氷の妖怪兄妹なのです。兄の方は超イケイケのハイテンションで氷の刀を振り回し、妹の方は冷静にローテンションで氷の刀を作るサポートに回ります。ですがこれはあくまで戦闘体形、では普段はというと、
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兄がローテンションで大人しくなり、妹がハイテンションで元気いっぱいになるんですね。戦闘体形時とテンションが逆転するんです。このあたりが設定上手いなあというところでして、お互いのそのままだと熱すぎもしくは冷たすぎなので、平常時はお互いの熱を貸し合ってるのです。で、それをどうやって交換しているかというと、
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そらもう唇と唇瞳と瞳と手と手ですわ。神様は何も禁止なんかしていないのです。こうして霊力を交換し、前述の戦闘体形へ変身すると。このあたりもザ・水上節だなあというところ。必要なところで微妙なエロを持ってくるあたりがまさしくそう。

こんな二本松兄妹を中心に、色々な日本の妖怪や神様が出てきてばたばたというのが主なお話となります。霊力で生計を立てている一族の反映のために座敷童子を囲っていて、その脱出を手助けするだとか、その一族はめちゃんこ強くて二本松兄妹でもなかなか太刀打ち出来ないとか、貧乏神がその一族に取り憑いているせいでやることなすこと金が掛かる方に展開されちゃうとか。

あとは水上節と言えば親父共が妙にカッコよくてナンパなキャラが多いところとかも。この作品でも吉祥天を口説こうとしたなんて話もあるくらいで。戦国妖狐でも野禅が妖怪口説いたりしてたしね。上位種とも言える神や妖怪までも口説いてしまうぶっとび具合が本当に面白い。


そんな「二本松兄妹と木造渓谷の冒険」はサラッと読みきれる良作と言えるでしょう。1冊完結なので是非読んでいただきたいところ。

1冊完結といえば「サイコスタッフ」も断然おすすめ!毎話どうやってパンチラを入れるかを考えて作られた作品です!


眠気覚め度 ☆☆☆☆


サイコスタッフ 新装版
水上悟志(著)
5つ星のうち4.7
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