「Helck」の七尾ナナキが描く新作「異剣戦記ヴェルンディオ」は戦乱のファンタジー世界にて酒場を開く傭兵クレオと謎の亜人コハクの物語です。

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なのですが、メインが酒場経営ではないところがこの作品の紹介の難しいところ。

正直に言ってしまうと、1巻の時点では何がしたいのか全くわからないです。
酒場経営と言いつつ、話の主軸は「異剣」と呼ばれる、特殊効果を持ち使い手を選ぶ剣となります。
この「異剣」を使えば火を発生することが出来たり使い手の能力を飛躍的に上昇させることが可能であり、この戦乱は「異剣」が中心となって広がっているのです。

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それが「異剣戦争」。タイトルの「異剣戦記」はここから来ているのですねー。この戦争を生き抜くには異剣を手に入れる必要がある、そのためにはまず異剣から来てもらう、だから酒場をやるんだという流れで酒場を開くこととなります。正直酒場との紐付けは弱いかなあと。人を呼びこんだところでどうやって異剣を手にするかはまだ作中では考えていないということで終わっていますし。

その割には酒場経営するために野菜を作ったり井戸を掘ったり酒場の小屋を作ったり実際に営業してみたりと、その辺りの描写は細かくて読んでて面白いです。これ異世界系で酒場をやるという発想が先にあってあとから異剣とかの設定を考えたのかな。話を膨らませるためにとか。

酒場辺りの話とか酒場に来た酔っ払い女騎士の話とかは色々面白いのですが、やはり何がしたいのかよくわからないというのが率直な感想です。そもそも戦乱の世界になっている理由が不明だし(それが異剣が原因なのかな?)、何よりコハクが主人公に執拗につきまとって守ろうとするのが全く説明されていないし。

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登場から一貫してコハクはクレオを生かそうとするのですが、その理由は一切語らず。そもそもこのコハクの存在自体が全て謎。この辺りが解明していくのはいつになるのやら。

世界観もクレオ周辺の話しか出てきてないので町並みや庶民の暮らし等も推測できず。酒場経営して異剣を集めてそのあとどうしていくのかもまだ計画されておらず。謎だらけで何もわかりません。

なのにそれなりに面白いと思って読めてしまうのが不思議だなあこれ。絵はHelckの初期から見ると格段に上手くなってるし、話の間も上手い。この感じでまだまだ続き読みたいと思わせてしまうのは素直に凄いと思います。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


2巻の感想はこちら (酒場要素どこ??)
3巻の感想はこちら (酒場要素が戻ってきて話も展開して面白くなってきた)