「もろうたぞ、そなたの純潔の涙」
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15世紀ローマ、魔女が跋扈している世界。
そんな中、浄会には「最初の魔女」と呼ばれる12人の魔女が封印されていた。
その魔女の封印を解くのは「聖約」。失われた左手の薬指を戻すことによって「最初の魔女」はその姿を現世に取り戻す。

というのが「聖骸の魔女」です。
記事を書くにあたってもう一度1巻から読み返したのですが、実に面白かった。
1巻だけでも十分面白かったのですが、2巻も読むと相まって良くなりました。

というのも、魔女狩り時代の魔女VS魔女という裏地をしっかり構成しながら、中身はコミカルギャグもありシリアス戦闘もあり可愛い女の子の嫉妬もありとごちそうにごちそうを備えたような力作なのです。


さてさて、この「聖骸の魔女」というのは、上記にも書いた封印された「最初の魔女」のことを指しています。
1000年以上も封印され続けた「最初の魔女」、そしてそれを元にしたコピーと言える現代(15世紀)の魔女が対立するわけですね。
15世紀で大暴れしている魔女達を制するために「最初の魔女」の力を借りていくということになります。

その魔女の力を借りるための契約を「聖約」と呼ぶことになるのですが、その意味はというと、
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なんですねー。
つまり、「最初の魔女」と聖約するということは結婚そのものをするということになると。



で、上記画像の通り、2人が同時に「結婚」宣言しています。
つまりこれ、12人の最初の魔女の内、既に2人と結婚、重婚していることになります。ニコラくんやっるー。
左側の魔女エゼルバルドの聖約は一番トップの画像の感じ、右側の魔女ウプスラの聖約は、
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という感じ。見目麗しい。

と、こんな感じで、ひょんなきっかけで「最初の魔女」と結婚していき、敵対する魔女と戦っていくのが「聖骸の魔女」の本筋となります。

さて、そんな戦い方法なんですが、魔女たちは聖約しただけではまだ戦う能力がありません。
戦うための能力を発揮するためには聖約した相手、夫のニコラのあるものを取り込む必要があります。

それが、
涙だったり、
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血液だったり。
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そんな夫の体液を媒介に変身していきます。
それが、
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ん?






夫の体液を取り込むと、
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これになります。
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これが、
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こう。
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カッコ悪くねーかこれ?www


なんつーか、微妙なセンスというかなんというか。
ちょっとしたやられやくっぽく見えてしまうというか。
何よりも、もともとの格好がすごいカッコよくて美しいからこそこの姿に違和感感じるというか。


だってこれが、

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こうよ?www
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とりあえずウプスラは足閉じてwww

もうダメだった、読み返した時、この真面目なシーンとこのギャップでひたすら笑ってしまった。
しかもシナリオ的には変身シーンはバトルの重要シーンだからね。
「最初の魔女」の強さ的に変身すれば勝ち確定みたいなもんだから、今後はどうやって変身するまで持っていくかという話がメインになりそうなくらいだしね。
だのに変身シーンはこれだからね、笑わないわけないね。


まあ敵が攻撃してきた手を弓矢で撃ち抜くくらいすごいんだけどね。
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思わず変身シーンでバカにしてしまいましたが、その実中身は本当に面白い作品です。
最初に書いたようにシリアスシーンも多いけれども、それと同等くらいのペースでコミカルな展開あり、重婚ゆえの嫉妬ありで見ててニヤニヤしてしまうシーンも多いです。
そのバランスが秀逸で、非常にテンポがいい。サクサク読み進められる要因ですね。

特に2巻の、ニコラの怒りを起こすためにニコラの目の前でエゼルバルドが拷問を受け続けた時なんてグッときましたね。


エゼルバルドのこの台詞からニコラは思わず涙を流し、
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女としての喜びを味わった結果、
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涙飲むんだから。
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もちろんこのあとにめちゃくちゃアドべント(女神変成)ですよ!
シリアスな流れでいきなり涙べろんべろん舐めてあの変な格好になるんだから笑わないわけないだろ!!(言いすぎ)

たぶん作者も大真面目に描いているんだろうけど、最初の設定からどうしても笑いに変化してしまうというこの流れが恐ろしい。
というか、こういう穿った見方をしないとそうそう笑ってしまうシーンではないんですけどね。
現に最初に読んだ時は全然違和感感じなくて笑いもしなかったし。


とまあ、こんな感じの作品です。2巻の最後の方では3人目の「最初の魔女」の棺も登場し、
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まさかの三重婚をほのめかされて、
しまいにゃ

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と、笑顔で棺桶破棄を提案するエゼルバルド。
こんなん笑うわ。だって見開きでこの笑顔で疫病神は捨ててしまえって言ってるんだもの。笑わないわけがない(反語)


でも最終的には

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三重婚しちゃうんだけどね!!



とまあこんな感じで終始バカにしてしまっているような感じですが、非常に面白い作品だと思います。
1巻だけじゃそこまで魅力感じないかもしれませんが、2巻まで読んで、そして読み返したら一気に面白いと感じました。
個人的にはこういう作品好き。
何より、暗い時代で描かれがちな中世の魔女の話をここまでコミカルにシリアスに表現したという点がグッドです。
当然ながら次巻も楽しみですなあ。


3巻の感想はこちら (聖骸の魔女 3巻 - ミュリッタとの3号聖約、そして早くもアダンテとのバトル勃発!!)

眠気覚め度 ☆☆☆☆☆