2021年06月

魔法? そんなことより筋肉だ! - アホに振りきれて面白かったのに4巻で打ち切られて悲しい

異世界転生というわけではないのですが、異世界を舞台に筋肉ダルマがあれやこれややってしまうのが「魔法? そんなことより筋肉だ!」です。正直めちゃめちゃアホな作品で好きだったのですが、4巻で打ち切られたようで涙が流れます。

この作品、主人公はとにかく筋肉なのです。筋肉筋肉筋肉。
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そう、とにかく筋肉の塊なのです。何を隠そう子供の頃から森の中に引きこもって常に筋肉を鍛え続けてきたのですから。そしてこの世界は異世界ならではの魔法が蔓延る世界。その中で魔法に頼らずひたすら筋肉に心血を注いだという、異端中の異端。それがこの主人公ユーリ。
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そして遂にどんな魔法も無効化できる無敵の筋肉へ。魔法の世界における魔法無効化の能力。こんな筋肉で無双していくのが「魔法? そんなことより筋肉だ!」です。

おまけにただ単に筋肉で殴るだけが脳ではなく、筋肉を使った様々な物理現象、いわゆる「筋肉魔法」を習得するまでに至ったのです。
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筋肉魔法で空も飛べる!!

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筋肉魔法で遠距離攻撃も出来る!!

そんな異世界無双の筋肉バージョンなわけです。筋肉は正義。筋肉は裏切らない。問題が起きても全て筋肉で解決。この振り切れ具合が素晴らしい。ユーリの性格もとにかく脳筋で素晴らしい。こういうのって、変に理性的になったりしないでとにかく突き抜けるのがいいんですよね。

パートナーのエルフもまた良いキャラしてるのですよ。
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超絶美少女エルフのフィーリアさんです。美少女なのに残念なところがまたいい。自分で言っておいて撤回するところとか最高。この子が基本筋肉へのツッコミをするんですな。この2人の関係がつかず離れずでまた良いのです。

話自体も異世界ものよろしくで森から出てギルド登録してハンターみたいなことしてという王道的な流れ。変にカッコつけてるよりもアホに全力なので読みやすく笑いやすく、非常に良い作品だったのですが、惜しくも4巻で打ち切りに。残念だなあ、面白かったんだけどなあ。可能なら続きをまた描いていただきたいものです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆

魔法? そんなことより筋肉だ! 1 (MFC)
小野寺浩二(著), どらねこ(その他), レルシー(その他)
5つ星のうち4.5
¥644

魔法? そんなことより筋肉だ! 4 (MFC)
小野寺浩二(著), どらねこ(その他), レルシー(その他)
5つ星のうち4.6
¥673

2021年週刊ビッグコミックスピリッツ30号ざっくり感想

2021/06/28 週刊ビッグコミックスピリッツ30号のざっくり感想となります。
ハコヅメマジック怖い、今週頭の中はずっとアンボックスでした。7/7からドラマも始まるらしいし、それまでにまた全部読み直してみるかな。と思って逆打ちで16巻15巻を読んだらやっぱり止まらない。
ハコヅメの感想はこちら。

それでは今回も適当にいってみましょー。


■あさドラ!
  オリンピックの話がどんな伏線なのか全然推測できないのだけど色んな要素詰め込みすぎじゃないですかね。

■土竜の唄
  蜂乃巣会と数奇矢会の関係性を忘れてしまった。

■アオアシ
  エスペリオンの血だからこそ、相手のキーパーに読まれるってのもまた面白いねえ。それを破るのが新参者の葦人ってことになりそうでそれもまたいい。

■くーねるまるた ぬーぼ
  完全にオナニー始まってませんかこれ。相手のこと考えてなさすぎでしょ。

■プラタナスの実
  14歳でこれはキツい。。。

■チ。- 地球の運動について -
  内部の政治事情も見えてきていいですなあ。まだまだ面白くなりそう。

■九条の大罪
  相変わらず人の悪を描くリアリティがあってすごい。

■ダンス・ダンス・ダンスール
  「バレエは生命の、爆発です!!!」とかいちいちカッコいい。

■結婚するって、本当ですか
  ええええええーーーーそっちに思考行くの早くない????

■うきわ、と風鈴。-友達以上、不倫未満-
  やっぱりこの作品浮気を正当化しそうでなんかな。男からしたら隣の部屋の旦那の店にご飯食べに行こうなんて妻から言われると嫌でしかないだろうに。

■教場
  正義感貫き通すの弱いなあ。

■ジャガーン
  役者が揃ってきた。

■往生際の意味を知れ!
  アタマオカシイ。

■お別れホスピタル
  思い出は思い出だからこそ美しいものよ。

■気まぐれコンセプト
  狩猟免許取ってまでとは言わないけど、ジビエを捌いてみたいですな。




週刊ビッグコミックスピリッツ 2021年30号【デジタル版限定グラビア増量「日高里菜」】(2021年6月28日発売) [雑誌]
週刊ビッグコミックスピリッツ編集部(著), 石ノ森章太郎(著), 三条陸(著), 佐藤まさき(著), 浦沢直樹(著), 高橋のぼる(著), 小林有吾(著), 高尾じんぐ(著), 東元俊哉(著), 魚豊(著), 真鍋昌平(著), ジョージ朝倉(著), 若木民喜(著), 野村宗弘(著), ゆうきまさみ(著), 長岡弘樹(著), みどりわたる(著), カレー沢薫(著), 加納梨衣(著), 矢立肇(著), 富野由悠季(著), 金城宗幸(著), にしだけんすけ(著), 米代恭(著), 沖田×華(著), 鳥飼茜(著), ホイチョイ・プロダクションズ(著)

¥400


運びの犬 - AV女優の運び屋だけど専門は暴力の男

暴力と殺人が蔓延る運び屋の世界。それが「運びの犬」です。すっきりとした絵の割りにガチでグロい表現があったりするので苦手な人は避けた方が無難です。腹から漏れた腸をホチキスで止めたりする表現があるし。ハラワタが飛び出したりするのが平気な人はどうぞどうぞ。

主人公のイヌイはAV女優専門の運び屋です。いつでもどこでも呼ばれればAV女優を迎えに参上します。作品の中でも語られていますが、AV女優は不安定な子が多く、男がらみで当日とんでしまうことも少なくないため、引きずってでも連れてくるのが運び屋です。

では、何故そんな運び屋の仕事なのに、暴力と殺人が結びつくのか?それはAV業界が裏世界と繋がっているから。AV女優あるところに裏家業あり、そんな輩からAV女優を守って確実に現場へ運ぶのが運び屋なわけです。

さてさて、そんな運び屋に大きな依頼が舞い込んで来ました。「千年に一人の美少女」と話題になっている少女が、高校卒業と同時にAVデビューするため、卒業の日に合わせて付き添い現場まで確実に連れて来いとのことです。

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千年に一人の美少女、ねえ。。。

そんな千年に一人の美少女、当然すんなり送り届けることが出来るわけもなく、様々な輩が千年に一人の美少女に群がってくるわけですよ。そこを、運び屋のイヌイが守り通すと。暴力で守り通すと。

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暴力で解決。暴力こそ全て。暴力に勝るものなし。基本的にはこういうお話です。

ただ、このイヌイが強いのには理由があって、痛覚が無いのです。痛覚が無いからこそ怯むことなく闘いに臨めるし、気持ちの上で負けることがないと。しかもやりあう前の相手への気遣いとして「絶対に殺されないでくださいね」と伝えてあげたり。やだイヌイきゅん優しい。

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そう、痛覚が無いことのメリットとして、相手の痛みがわからないことなんですよね。相手の痛みがわからないからこそ、人間心理でどうしても抑えてしまう力を気にすること無く振りぬけることが出来る。まるで「今日から俺は!」の相良が伊藤の頭をビール瓶で叩き割った時のように。まるで「今日から俺は!」の相良がケンカ相手をバンバン車が走る道路に突き飛ばした時のように。まるで「今日から俺は!」の今井がグレた時に自転車を持ち上げて相手にぶつけようとした時のように。

そんな痛覚が無いイヌイくんが暴力と殺人の世界で渡り合っていくのが「運びの犬」です。1巻では主に痛覚が無い設定だったり運び屋の設定だったりの話がメインと、千年に一人の美少女の家庭事情やキャラの説明が多めです。

イヌイは良いキャラですねえ。平然としてて、何事にも動じない。運び屋として誇りを持っているようには見えないのに、仕事はキッチリ達成しようとする。あんま何考えてるかわからないけど犬が好きと、あまり嫌われるキャラではないでしょう。

対して、肝心の千年に一人の美少女がなかなか。。。正義漢というか、なんというか。人によっては鬱陶しく思ってしまうキャラかもしれないです。正直あんまり好きになれないかな。。。

あとは冒頭にグロいと表現描きましたが、グロいです。結構グロ。まあシグルイとか読めたら全然大丈夫だと思います。頭からうどん玉がこぼれ落ちるようなシーンはないので。

現在4巻まで出ており、まだまだ追いやすい巻数ですね。4巻時点ではちょっとうーんという感じではありますが、1巻はこれがなかなか面白いです。とりあえず1巻だけちょい読みしてみるのもありでは?


眠気覚め度 ☆☆☆


5巻の感想はこちら(新章突入もちょっと唐突感がある)
6巻の感想はこちら(カルト宗教に殴り込み)
7巻の感想はこちら(痛みを感じないからって読者を痛ませなくていいじゃないですか)




二本松兄妹と木造渓谷の冒険 - これぞ水上悟志節!1冊に詰め込まれた妖怪スペクタクル!

私が愛して止まない漫画家の一人が水上悟志でございます。ドはまりしたきっかけは「惑星のさみだれ」。主人公含めメンバみんなが葛藤しつつ成長していく様を見れたのは本当に素敵な時間でした。

そんな水上悟志氏が、1冊でお話を締めるものを描いた時、そこには十分水上悟志節のエッセンスが多いに詰め込まれており、非常に濃縮された珠玉のものになる傾向があります。「二本松兄妹と木造渓谷の冒険」もその1つです。

水上悟志節と言えば細かなキャラ設定と熱い展開。特にキャラ設定は個性が強く出ており、これらを考えてしまえばあとは勝手にストーリーが回ってくれるのではないかと思うほどです。この「二本松兄妹と木造渓谷」もそれに漏れず、良いキャラがいっぱいでてきます。
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二本松兄妹の戦闘体形です。右の兄、二本松朱彦が火を司る半妖、左の妹、二本松雪緒が氷を司る半妖となります。ここだけ見ると、単に火と氷の妖怪兄妹なのです。兄の方は超イケイケのハイテンションで氷の刀を振り回し、妹の方は冷静にローテンションで氷の刀を作るサポートに回ります。ですがこれはあくまで戦闘体形、では普段はというと、
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兄がローテンションで大人しくなり、妹がハイテンションで元気いっぱいになるんですね。戦闘体形時とテンションが逆転するんです。このあたりが設定上手いなあというところでして、お互いのそのままだと熱すぎもしくは冷たすぎなので、平常時はお互いの熱を貸し合ってるのです。で、それをどうやって交換しているかというと、
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そらもう唇と唇瞳と瞳と手と手ですわ。神様は何も禁止なんかしていないのです。こうして霊力を交換し、前述の戦闘体形へ変身すると。このあたりもザ・水上節だなあというところ。必要なところで微妙なエロを持ってくるあたりがまさしくそう。

こんな二本松兄妹を中心に、色々な日本の妖怪や神様が出てきてばたばたというのが主なお話となります。霊力で生計を立てている一族の反映のために座敷童子を囲っていて、その脱出を手助けするだとか、その一族はめちゃんこ強くて二本松兄妹でもなかなか太刀打ち出来ないとか、貧乏神がその一族に取り憑いているせいでやることなすこと金が掛かる方に展開されちゃうとか。

あとは水上節と言えば親父共が妙にカッコよくてナンパなキャラが多いところとかも。この作品でも吉祥天を口説こうとしたなんて話もあるくらいで。戦国妖狐でも野禅が妖怪口説いたりしてたしね。上位種とも言える神や妖怪までも口説いてしまうぶっとび具合が本当に面白い。


そんな「二本松兄妹と木造渓谷の冒険」はサラッと読みきれる良作と言えるでしょう。1冊完結なので是非読んでいただきたいところ。

1冊完結といえば「サイコスタッフ」も断然おすすめ!毎話どうやってパンチラを入れるかを考えて作られた作品です!


眠気覚め度 ☆☆☆☆


サイコスタッフ 新装版
水上悟志(著)
5つ星のうち4.7
¥396
 

きみのせかいに恋はない - 無性愛者を自覚した少女の成長

昨今LGBTだとかなんだとかと人間の性について問われることが多い世の中になってきました。男性女性という肉体でのみ分けられるようなあり方から、男性を恋愛対象にしてしまう男性、はたまたその逆の女性パターン、もしくは身体の性と心の性が逆転してしまっているというのもあるのだとか。おそらくこれらは古来から存在するものであり、それが遂に表立って主張できる場が整ってきたということなのでしょう。私自身はそのあたりを深く勉強したこともないので、詳しいことは言及できません。

「きみのせかいに恋はない」は、そのLGBTQIA+の中でも、他者に性的な欲求を持たない「無性愛者」である花井チカのお話となります。(作中ではあくまでも無性愛者かもしれないということで断定はしていません)

この作品、冒頭からクライマックスなんじゃないかっていうくらい強烈。というのも、チカちゃんの高校時代の恋愛の話から始まるのですが、それに悩める姿が可哀想で可哀想で。。。

恋愛の相手としては、元々仲の良かった同級生と流れで付き合うことになります。男の方はもう付き合えたことで性に興味津々。それどころか束縛もしようとしてきます。一方チカちゃんはそもそも付き合うってなんだろうと疑問を持っています。特に相手に対して性的な欲求どころか、恋愛としての欲求すら沸いてきません。そんな二人ですから当然すれ違い、最後には無理矢理セックスを迫ろうとしたところを拒否して破局に。

ここまではともかく、その後が悲惨。男の方は「常識通じない奴と付き合っても意味が無い」と変人扱いして来るわ、周りの友人だと思っていた女達は「セックス拒否とかそりゃ振られるわ」とチカちゃん側が悪いと裏では決め付けている始末。

その一方で、チカちゃん自身は、そういった「普通のこと」というのが理解出来なく、周りの人の考えが全くわからないでいます。なのでチカちゃんは周囲の言葉を宇宙人のようだと揶揄するのですが、どうやら少数派であり「普通ではない」のがチカ自身だと気づいてしまうのです。
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理解者の得られないまま、そんな疎外感の高校生活を送ったチカちゃん。普通ってなんだろう。常識ってなんだろう。私ってなんだろう。そんな疑問を解消すべく、大学に進学することになり、そこで疑問をぶつけられるだろうと思っていた心理学の教授に出会って己のことを少しずつ知っていくことが出来るのです。
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教授と初めて出会った時に、いきなり自分のこれまでの悩みを真正面からぶつけるチカちゃん。「恋愛的に好きになったこともなく、性欲というのもないのはわけわからないですよね?みんなが言ってる普通のことってなんですか?教えてください、人間のこと」と。それに対して教授は、真摯に、「自分に取ってしっくりきてないのであればそれでいいでしょう。普通とは何か、当たり前とは何か、逆に考えてみるべきじゃないですか。学ぶことはきっと楽しいですよ」と答えてくれるのです。

高校時代では周囲からの理解を全く得られなかったチカちゃん。大学進学で初めて自分が納得できるような真っ当な解、もしくは提案をしてくれる理解者を得たことで、自身のことに向き合うことが出来るようになっていくのです。

その過程でチカちゃんが気づいたのは「無性愛者」が自分に一番近いのではないのかということ。無性愛者とは性別を問わず、他者に対する性的な欲求を持たず、現実の性的な行為への関心や欲求を抱かないこと。だからこそ、高校時代の恋愛にはひとつもピンと来なかったわけですね。

そんなチカちゃんの周りにも、理解ある友人が増えていき、様々な性の形があるということを学べるのが「きみのせかいに恋はない」です。なんだかんだで、大学入学してからの話は周りが良い人ばかりでほっこり読めます。世の中がこんなに理解ある人たちだけで形成されたら争いなど起こらないのに。

それとこの作品のいいところは、いわゆる一般の恋愛観における「普通」とか「常識」とかに真っ向から立ち向かっていることですね。流されるのではなく、私はこうだと自信を持って言えるように成長していくこと。それが何より素晴らしい。自身が何であるのか、私は何を考えているのか、そんな自己に向き合うことを思い出させてくれる良い作品です。絵柄も可愛いし、読んでて優しい気持ちになります。

実際にこういった人たちに出会うと自分自身はどう対応するのかな。少なくとも、これを読んだ後では無下にすることは出来ないかな。なんて思わせていただけました。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 17巻 - アンボックスを読んだ後に読むと非常に切ない

ハコヅメ 別章アンボックスと同時にハコヅメの17巻が発売されています。しかも表紙は17巻とアンボックスで並べて見れるような状態。正に表ハコヅメと裏ハコヅメ。素晴らしい演出ですね。

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17巻の内容としてはいつものハコヅメです。笑いあり正義あり。思わずゾクッとしてしまうような演出あり。笑いと警察の現実が裏表で存在していて、即座に切り替わるのは相変わらず上手いです。そう、17巻として読む分にはいつも通りの面白さなのです。

しかし、裏ハコヅメと言えるアンボックス。警察の負の感情を全面に押し出したアンボックス。そちらを見た後に17巻を再び読むと、ありとあらゆるところがアンボックスに繋がってしまって、とてもとても切ない気持ちになってしまいます。こんなにも信頼できる仲間たちがいて、こんなにもまともに日常を送っていて。それが一瞬でひっくり返ってしまうアンボックス。アンボックスの闇は深い。

アンボックスの感想になってしまいますが、昨夜アンボックスの記事を書き終えて一晩経ってからも、度々思い出してしまい目頭が熱くなってしまいました。そして仕事終わったあとにまたアンボックスを読んでしまうという。ハマりすぎですなあ。

さて、ハコヅメの17巻に話を戻します。17巻に限った話ではないのですが、川合の成長っぷりが素晴らしいです。1巻の頃はあんなに頼りない新米警察官だったのに、こんなにも頼れる存在になっていくとはなあ。1巻から付き合ってる読者にとってはこんなに喜ばしいことはないでしょう。

対照的に、源や聖子ちゃんのポンコツ点がストーリー上では強調されがちなので、どうも警察官面ではパッとしなくなってきているような。源はその洞察力を発揮するのだけど、当初の凄い取調官を超越した能力が、周囲を脅えさせるほどになって一目置かれすぎる存在となったくせに、相変わらず私生活は気持ち悪いこと言い出すし。

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こういうやり取りがハコヅメの面白さの真骨頂だよなあ。

聖子ちゃんも、川合が成長してきたのもあるのだけど、そもそも川合が周りの同僚に恵まれていて色んな人に教育を受けられているから、最近はあまり聖子ちゃんの教育の出番が少ないんですよね。そのおかげで私生活寄りのポンコツ具合ばかりフォーカスされて、カッコいい藤部長という演出が最近少ないような。まあ、主人公は川合だし、町山署全体で話を回しているので、この2人がそこまで出張る必要もないか。


それと今回のラストが過去のものと繋げたのが本当に見事でした。最後で川合、聖子ちゃん、カナ、牧高さんの4人でカツ丼を食べるシーンを撮影するのですが、それがまさしく4巻の表紙と同じなんですな。
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17巻のラストシーン

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4巻の表紙

おそらく最初からこれを考えて4巻の表紙を描いていたわけではないと思います。だけど、アンボックスを描くにあたり、こういうところへ繋げるというのは凄く良いアイデアですね。アンボックスの流れがあると、こういうたった一つの日常すら切ない。大きく切ない。ホントこれ、アンボックス読んだ後だと、17巻は読んだ時のイメージが全く変わってしまいますよ。

ああダメだ、17巻のことを考えれば考えるほどアンボックスのことを考えてしまう。それだけアンボックスから受けた衝撃は大きいです。

というわけで最後はみんなのアイドル副署長で締めようと思います。
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ホントこの副署長は可愛いなあ。こんな熊みたいな顔して立場としても偉いのに町山署のメンバからはいじられる立場だったりするし、こんな顔で女性も上官も苦手とか言ってしまうし。仕事っぷりからめちゃめちゃ怖い人間なんだろうけど、それでも十分みんなから愛されているし頼られているのがわかるのが素敵。アンボックスの時のひとコマも本当に良い上司だというのがわかるし株価爆上げですよこりゃ。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


ハコヅメ3巻の感想はこちら(川合先生初登場の似顔絵特別捜査本部)
ハコヅメ4巻の感想はこちら(黒田カナ伝説はここから始まった)
ハコヅメ5巻の感想はこちら(とにかく笑える内容盛り沢山)
ハコヅメ6巻の感想はこちら(伝説の笑ってはいけないお誕生日会が収録されたハコヅメの最高傑作巻)
ハコヅメ7巻の感想はこちら(煽り役としてパーフェクトな聖子ちゃんが見れます)
ハコヅメ8巻の感想はこちら(これ警察学校で習ったやつだ!)
ハコヅメ9巻の感想はこちら(色々な話が詰め込まれている、これぞハコヅメ)
ハコヅメ10巻の感想はこちら(迷惑防止条例と強制わいせつの違いが勉強になります)
ハコヅメ11巻の感想はこちら(1巻の伏線を見事回収、この日の出会いを何度も後悔することになる)
ハコヅメ12巻の感想はこちら(同期の桜完結、川合の成長を感じられる最高の展開)
ハコヅメ13巻の感想はこちら(アンボックス事件のカップルが登場)
ハコヅメ14巻の感想はこちら(奥岡島事件発生篇)
ハコヅメ15巻の感想はこちら(奥岡島事件解決篇)
ハコヅメ16巻の感想はこちら(1巻で出てきたキャラが再登場する感動の成長譚)
ハコヅメアンボックスの感想はこちら(警察の負の感情を全力で主張した傑作)
ハコヅメ18巻の感想はこちら(即ハメあんあん激イキスクール)
ハコヅメ19巻の感想はこちら(20巻を読むために覚悟させられる巻なのではないか?)
ハコヅメ20巻の感想はこちら(アンボックス級のシリアス話が一貫した傑作巻)
ハコヅメ21巻の感想はこちら(虎松譲二事件完結!大事件の事後処理といつものギャグパートが再開します)
ハコヅメ22巻の感想はこちら(恋愛要素満載で話を畳みに来てます)





ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 別章 アンボックス - 警察の負の感情を全力で主張した傑作

笑いあり涙あり正義あり、そんな警察官漫画の傑作「ハコヅメ~交番女子の逆襲~」。そのスピンオフであり、誰もが目を背けたくなるような負の感情に触れ続けたのが、この「ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 別章 アンボックス」です。あまりにも大きな感情に揺さぶられ、読み終えた時には涙が止まりませんでした。この作品は、本当にとてつもない傑作です。

話の中心となるのは本家ハコヅメでも人気のある黒田カナ。彼女は小さい身体ゆえに体力面肉体労働面では警察官としてのハンデを持っています。しかしそれを補って余りある要領の良さ、状況判断力、抜群の思考回路を持っており、生活安全課の裏課長と揶揄されるほどの活躍をしています。何事にも動じず、のらりくらりと困りごとを解決もとい避けていく様子は、ハコヅメ本編で幾度と無く見ることができました。その姿を見る度に、彼女が如何に優秀なのか理解できたものです。

そんなカナの心情の変化をある事件を通して読み解いていくのが大きな話の筋となっています。とはいえ、1話の最初から、ボディブローのようにじわじわと重いカナの心情が語られ始めるのです。
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それはハコヅメ本編でも語られたことのある、警察学校時代に手を差し伸べられた記憶。本編ではカナの視点はなく、同期同士で助け合ってやってきたという描かれ方のみでした。これを当時のカナ視点の心情が吐露されるのです。

「絆」の名のもと 大きな手が目の前に差し伸べられるたび、私は一生この人たちの仲間にはなれないんだと思い知らされた。

この一言で、このカナの表情で、実はカナがどれだけ体格差にコンプレックスを持っていたのかが読み取れてしまいます。ほぼ最初のページなのに既にかなづちで頭を殴られたような衝撃を感じます。本編ではひょうひょうとしていたカナ、本編では弱みなんて見せたことのない強いカナ、そんなカナがこれほどまでに追い込まれていたのか、と。

そう、当然ながら警察官というのも一人の人間なのです。一人ひとり考え方が違えば、得意不得意も違うし、もちろん心情も違うのです。失敗すれば落ち込むし、褒められれば嬉しい。犯罪を未然に防げれば市民の安全を確保できたと安堵し、犠牲者を出してしまえば自分が救えたはずだと罪悪感に苛まされる。なのだから、他人から見たカナはすごく健康そうに見えても、実は内心はボロボロなのかもしれない。だからこそ警察官といえども個人を尊重しなければならないのです。

アンボックスで発生する事件は町山警察署管内で発生した失踪事件。小さい町だからこそ、その恐怖が伝播する速度、噂が飛び交う速度も早い。おまけに事件は、生安が何度も110番通報を受けて事案対応をし続けていた同棲カップルによるもの。噂が早い町だからこそ、警察は一体何をしていたんだ、犯人はまだ捕まらないのか、これだから警察は、といった罵声が飛び交う。

一方、当初事案対応していた生安のカナ達も、警察官としてやれるだけのことは十分にやっていた。それ以上のことは実際に事件が発生しないと動くことは出来ない。実際、ハコヅメ本編でも痴情のもつれから殺人へ走った相手を未遂で逮捕することが出来た。警察は何もしてくれないのではなく、警察が動いているからこそ事件が発生していないのだ。だがしかし、今回はそれでは済まなかった。

市民から罵声を浴びせかけられる町山警察署の職員たち。加えて、事件発生以前に事案対応していた生安のカナたちは最大の標的に。
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「どこからだろう どこからやり直せば るみさんを守れたんだろう」「いや…悪いのは私だ。あの強くて正しい人達が担当だったら きっと事件は防げてた」

こうして、罵声と共に、自分が被害者を守れなかったのが自分のせいではないか、自分がもっと強く正義感のある警察官だったらこんな事件など発生しなかったのではないかと、負の感情に飲まれていくのです。正義のために、人の役に立つために警察官になったはずなのに、私が担当したばかりに守れなかった。私が警察官なんてならなければ、私がこの世にいなければ、こんなことにならなかったに違いない。この描写が、非常に、とてもとても、つらく、せつない。

本当に、読み始めるとみるみるうちに引き込まれて、このあたりの描写でひどく落ち込んで、人間というのはこうも負の感情に苛まされるのか、弱気になってしまうとこうも叩き落されてしまうのかと、心を抉られる思いで読み進めました。これがまた、黒田カナだからこそ、何事も無いように振舞える強い女性警察官だと思っていたからこそ、その心情の落差に強い衝撃を受けました。本当に、ページをめくる手が辛かった。

その後はそんなカナの負の感情の受け皿として、同期の正義漢代表のような山田が歩み寄ってくれるのが本当に素晴らしい。冒頭で手を差し伸べてくれた同期が、負のどん底に落とされた今でもまた手を差し伸べてくれる。その手はやはり、名実ともに「絆」なのではないか。


作者の泰三子先生は元警察官で、少しでも警察官になりたいと思う人を増やしたいということからハコヅメを描いているそうです。おそらく、このアンボックスに描かれているストーリーも、実体験等をベースに作られたものなのではないかと思うのです。だからこそ、世の中に風潮している「警察は事件が起きた時しか動いてくれない」という意識を少しでも払拭できるよう努めているのでしょう。そもそも警察が動いているから事件の発生を抑えられており、それは一般市民が知る必要もないことなので知られていないだけ。それでもどうしても事件というのは発生してしまう。そんな時、何もしていないから警察のせいで事件が発生したという側面だけでなく、警察官も一個人として複雑な感情を持って対処しているのだということを。

非常に考えさせられる、しかし警察が存在する以上、税を納めている身としては一度は考えなければならないことが詰まった1冊と言えるでしょう。必読です。

惜しいのは、スピンオフだからキャラがわからないと面白さは少し落ちるかもしれないです。私はハコヅメの大ファンで何度も読み返しているので、余計に感情移入しすぎた側面はあるかも。ただ、おそらくあまり本編を知らなくても、アンボックス単体で楽しめるのではないかと。アンボックスが楽しめたらハコヅメ本編も絶対楽しめると思います。

傑作をありがとうございます。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


ハコヅメ3巻の感想はこちら(川合先生初登場の似顔絵特別捜査本部)
ハコヅメ4巻の感想はこちら(黒田カナ伝説はここから始まった)
ハコヅメ5巻の感想はこちら(とにかく笑える内容盛り沢山)
ハコヅメ6巻の感想はこちら(伝説の笑ってはいけないお誕生日会が収録されたハコヅメの最高傑作巻)
ハコヅメ7巻の感想はこちら(煽り役としてパーフェクトな聖子ちゃんが見れます)
ハコヅメ8巻の感想はこちら(これ警察学校で習ったやつだ!)
ハコヅメ9巻の感想はこちら(色々な話が詰め込まれている、これぞハコヅメ)
ハコヅメ10巻の感想はこちら(迷惑防止条例と強制わいせつの違いが勉強になります)
ハコヅメ11巻の感想はこちら(1巻の伏線を見事回収、この日の出会いを何度も後悔することになる)
ハコヅメ12巻の感想はこちら(同期の桜完結、川合の成長を感じられる最高の展開)
ハコヅメ13巻の感想はこちら(アンボックス事件のカップルが登場)
ハコヅメ14巻の感想はこちら(奥岡島事件発生篇)
ハコヅメ15巻の感想はこちら(奥岡島事件解決篇)
ハコヅメ16巻の感想はこちら(1巻で出てきたキャラが再登場する感動の成長譚)
ハコヅメ17巻の感想はこちら(アンボックスを読んだ後に読むと非常に切ない)
ハコヅメ18巻の感想はこちら(即ハメあんあん激イキスクール)
ハコヅメ19巻の感想はこちら(20巻を読むために覚悟させられる巻なのではないか?)
ハコヅメ20巻の感想はこちら(アンボックス級のシリアス話が一貫した傑作巻)
ハコヅメ21巻の感想はこちら(虎松譲二事件完結!大事件の事後処理といつものギャグパートが再開します)
ハコヅメ22巻の感想はこちら(恋愛要素満載で話を畳みに来てます)




変と乱 - 女子高生の逆襲。に見せかけた闇を抱える2人の争乱

女の友情とはかくも壊れやすいものであるとか、実は女の友情など無いなどと揶揄されることもありますが、果たして本当にそうなのでしょうか?友人を作るのは学校での居場所を作るため?それとも困った時に助けてもらうための打算的な目的?もしくは無償の愛に等しい思いやり?

そんな女子高生の友情に触れた作品が「変と乱」です。

登場人物は主に3人。
主人公:涼子、大学推薦に受かった眼鏡の真面目そうな女子高生。
友人1:絵美、大学推薦に受かった、ガリ勉と揶揄される女子高生。莉子と古い友人関係を持つ。
友人2:莉子、大学推薦に落ちてしまい、友人である絵美に「推薦受かっておめでとう死ねっ」とストレートに言ったり、友人である涼子に「推薦合格おめでとう、てゆーか涼子の薄情さがすごいねえ、アタシより先に楽して進路決めちゃってサ…」とか言ったりする女子高生。
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ちなみにこのシーンが1話の4ページ目です。もうお分かりでしょう、この莉子がそもそもぶっ飛んでいる性格なのです。私が単なる世間知らずなのかもしれないですが、本当にここまでひどい人っているんでしょうか?こういうのに出会ってないこと自体が幸せなのかもしれない。

大学推薦からわかるとおり、彼女たちは受験中の高校3年生。涼子と莉子の関係も高校1年から始まって、3年間続いています。前述の印象の通り、莉子はこういう人間なのでこれまでも涼子にこういった態度を取ってきました。それに対して涼子は遂に我慢の限界が訪れます。
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絶縁宣言して、これまでの気持ちをぶちまけます。これにより、莉子との友人関係は終わりを迎えます。また、こういった性格の莉子ですから、それはそれは他のクラスメートに取り入るのも上手く、莉子自身が被害者として立ち回ることができ、涼子をクラスメートから孤立させようとします。しかしそこに絵美からの追い打ちが加わります。
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涼子を悪いものにしようとしてきたところに、絵美のこの一言で莉子は逆上し、涼子と共に絵美もクラスから孤立することに。こうして、卒業まで残り3ヶ月のところで涼子と絵美の2人がクラスから孤立し、いじめが始まります。高校3年の12月とかになにやってんだか。。。

そんな孤立した2人、状況が同じということで、涼子から絵美を誘ってクラスをぶっ壊そうという話に展開します。クラスを壊すことが目的ではなく、それによって莉子を壊すことが目的です。そう、元々莉子の友人同士だったはずの2人が、莉子に復讐をしようと計画するのです。
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その為の手段として、実は絵美がとんでもないネタを持っているのです。さすが古くからの友人、莉子のことが大好きだったゆえに何でも知ってるんですね。なかなかドぎついネタでこれをぶつけられた莉子はタジタジ、遂には土下座をさせられてしまいます。
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莉子に土下座させたことが嬉しくてたまらない涼子。加えて、これまでの莉子の行動や陰口を他のクラスメイトに告げることで莉子の立場がなくなります。涼子と絵美が孤立してたところから一転、莉子がクラスから孤立することに。こうして、3年間友情と言われつつも虐げられていた涼子の復讐が完遂したのです。おめでとう涼子、大学も受かったしこれで君の人生はバラ色だ。

と、ここまでが起承転結の起でしありません。

単なる復讐劇ならここで終わりでいいはずなんですよ。これまで虐げられた相手に復讐して、立場逆転させてハッピーエンド。復讐される側が悪いのでこれは罰、クラスで孤立しようがその先はどうなろうが知ったこっちゃ無い。普通の作品ならこれで終わるんです。「変と乱」の凄いところはここからなのです。

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その引き金となるのは、協力して莉子を陥れた絵美。莉子がクラスから孤立したことで学校に来なくなり、そのことに大いに不満を持ちます。

ここからは怒涛の展開で何を書いてもネタバレになってしまうのでストーリーには触れられないところなのが惜しい。この後の展開に触れずに書くと、やはりそもそもの絵美が莉子に抱いている感情がなんだったのかということになります。

記事中では触れていませんが、絵美の莉子に対する友情というのは異常だということがここまで本編を読めばわかるのです。それこそ莉子の一言一句、一挙手一投足を全て観察したがっているほどで。それは友情を越えたもの、愛情とも言えるでしょう。愛情と憎悪は裏表、これが相手に伝わらないとなると、一気に憎悪に変化するとも言われています。それはつまり、絵美の心の中で既に莉子に対しては。。。

このように、絵美の莉子に対する思いは大きな大きな闇を抱えていると言えます。対して莉子がどうして絵美や涼子に友情という上っ面だけの、自己中心的な性格になったのかという裏づけも出てきて、莉子も実は大きな闇を抱えているというのがわかってくるのです。このあたりが、非常に面白怖い。
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涼子がきっかけとなって、闇を抱える2人の関係に変化をもたらしてしまった。それは容易に踏み込んでいい関係ではなかった。

このあと、絵美と莉子の関係がめまぐるしく変わっていき、二人の友情、二人の思いがぶつかっていくことになります。その様は、ある意味で実に人間らしく恐ろしい。


こういうキャラ設定ってどうやったら思いつくんでしょう。復讐する側だった涼子が実は一番真人間で、される側の莉子とその友人関係の絵美がどっちも異常という作り方が実に凄い。2人とも闇の抱えっぷりがとてつもないし、それでいてこれまで友人関係を平然と保っていたのが、どれほど常軌を逸しているかを語っているというか。ここまで濃いキャラ作れたらあとは勝手にストーリー回してくれるんだろなあ。

というわけで、「変と乱」でした。人によっては読むのが辛い描写等が含まれているかもしれません。面白さは保証しますので是非一読を。


眠気覚め度 ☆☆☆☆

 

2021年週刊ビッグコミックスピリッツ29号ざっくり感想

2021/06/21 週刊ビッグコミックスピリッツ29号のざっくり感想となります。
再開後1ヶ月連続更新達成できました、やったー。久々にこうやって記事を書いていくと、書きたいものがある時は次から次へと筆が止まりませんのよ。そうやって意気込んで書いた記事ほど、何も反応なかったりするのがまたたまらん。みんなもっとクミカのミカクを読みましょう。

それでは今回も適当にいってみましょー。


■教場
  また新キャラ。。。事件多すぎでそもそもホントに警官になりに来てるのかこいつら。ってか箸で箸を掴むんじゃない。

■九条の大罪
  こんな感じで自殺されたら立ち直れんわ。。。

■アオアシ
  いいねえいいねえ!富樫の成長に葦人が一役買ってたってのは実にいいねえ!!

■土竜の唄
  金庫には7800万入ってました。

■二月の勝者 -絶対合格の教室- 
  受験でクリスマスも正月も無いとかよく表現されるけど、その日一日ぐらいご褒美がもらえるくらい余裕は無いとそもそも無理ゲーだと思うのだが。

■ひらやすみ
  シマアジ捌きてー。

■ジャガーン
  いいなあ、主人公がラスボスになる展開。

■君は放課後インソムニア
  それはなんて青春、、、

■あさドラ!
  あれ、夜の戦い終わったんだっけ?これもいつもの浦沢の通り全然話わからんよな。そろそろYawaraとかHappyみたいなスポ根描いてほしいんだけども。

■プラタナスの実
  髪の抜けかたがリアルで怖い。。。最近昔お世話になった人に3年振りにあったら頭頂部の砂漠化に磨きが掛かっておった。

■うきわ、と風鈴。-友達以上、不倫未満-
  この作品浮気を正当化しそうでなんかな。

■結婚するって、本当ですか
  展開が遅いなああああああああああ。

■忘却のサチコ
  お腹が空いてすぐに食べたいから丼ものね。。。

■往生際の意味を知れ!
  これもとからあまり好きではないんだけど、男も女も行動理念が一切理解出来なくて全く感情移入できんのよな。電波しかいないぞこれ。

■バトルグラウンドワーカーズ
  バトルシーンとか、正直もう少し頑張りましょうと言いたくなってしまうかな。話が面白いだけに勿体無い。

■あの月に向かって打て!(最終回)
  終わりましたー。最後までパッとしなかったね!

■チ。- 地球の運動について -
  おおお、これこのあとどうなるんだ?異端審問官の娘が研究引き継ぐのか?だとしたら胸熱なんだぜ。

■気まぐれコンセプト
  実際酒提供禁止期間に酒提供してたところってどれくらいあるんですかね。



週刊ビッグコミックスピリッツ 2021年29号【デジタル版限定グラビア増量「松本優」】(2021年6月21日発売) [雑誌]
週刊ビッグコミックスピリッツ編集部(著), 長岡弘樹(著), みどりわたる(著), 浦沢直樹(著), 真鍋昌平(著), 小林有吾(著), 高橋のぼる(著), 高瀬志帆(著), 真造圭伍(著), 金城宗幸(著), にしだけんすけ(著), オジロマコト(著), 東元俊哉(著), 野村宗弘(著), 若木民喜(著), 阿部潤(著), 米代恭(著), 竹良実(著), カレー沢薫(著), 寒川一之(著), 魚豊(著), ホイチョイ・プロダクションズ(著)

¥400


不朽のフェーネチカ - 竹良実の傑作読切

「辺獄のシュヴェスタ」で恐ろしいほど上手い構成作品で連載デビューした竹良実が描く傑作読切が「不朽のフェーネチカ」です。作者買いするので辺獄のシュヴェスタで一気に惚れてしまった自分は当然の如くこの作品を読みました。もうホント、面白い。85Pで終わってしまうのが勿体無いくらい話がしっかりしていて読ませてくれます。

テーマは現代の聖母と呼ばれており「列聖」間違いなしと言われているマザー・ドロテアと、その過去を探るジャーナリストの話となります。「列聖」とはローマ教皇庁の審査によって「聖人」と認められることです。「聖人」は病気の治癒等の奇跡を起こし、その聖なる遺体は死後も朽ちることがないと言われています。この「朽ちることがない」というのが「不朽のフェーネチカ」というタイトルに掛かっているわけですね。

そんなマザー・ドロテア、当然相当なやり手であり、内心にとある野望を抱いているのです。聖母なのに。いや、その為に聖母になったとも言えましょう。そんな闇を暴こうとしているのが、ジャーナリストのアレハンドロです。このアレハンドロが、マザー・ドロテアの過去を探るためにマザー・ドロテアの孤児院に侵入したり過去を知るものに接触して情報を収集していくのです、それがやはり面白い。

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こんな良い顔する婆さんがやり手じゃないわけがないんですよ。カッコいいジジババが出る作品は間違いなく面白いのです。

そんな過去を探ると、直近では麻薬王の説得していたり、30年前の独裁政権下の影響で紙が買えない新聞記者に紙を提供したり、大胆にそして確実に聖母としての実績を重ねていったことが見えてきます。そうして次々と過去を辿っていくと、マザー・ドロテアの出身がソ連だということに行き着くのが非常にグッド。そこから、どうして聖母を目指すに至ったのかが語られていくのですな。

その過去がまたなかなか読ませてくれる内容で、、、人間の思いというのはこうも強いものなのかと思わせてくれる、心に響く展開なわけですよ。そのあたりの心理描写が実に上手い。

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人間の成長がはっきりと感じられるこういった表現は大好きです。絵だけで確実に伝える技術というのは本当にいいものですな。このシーンだけで色々と読み取れることが出来てよきよき。こういう作品ホント素敵。こちらとしては黙って固唾を呑んでその心理を読み取ることしか出来ません。

いいですなあ、過去を持つ女。心に野望を秘めた強い女性。聖母というのはあくまでも手段、ただただ己のためだけに、周りを「列聖」になるための道具として扱ってきた女性。エゴそのものが彼女を突き動かしているというのが実に素晴らしい。こういう人間臭い作品が本当に面白いと思うのです。


「不朽のフェーネチカ」は珍しく読切そのままで電子コミックになっています。普通はこういうの短編集に入ったりすると思うのだけど、やはりそれだけ評判が良いということなのではないでしょうか。そのおかげか300円ほどで読めるので、手に取ってみるのは気楽に出来てオススメです。内容は90ページほどですが十分満足いただけるかと。


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