「僕だけがいない街」の始まりはきっとあの娘がいた時間だ。
15年の眠りから目覚めた悟、アイリとの現時間での再会、そして再び動き出す犯人。
そんな「僕だけがいない街」の7巻は次への、おそらく最後の犯人とのバトルへの動き出しになったある意味第3部の序章のような展開でした。
ちなみに第1部は小学生に戻るまで、第2部は小学生編、第3部が今の15年の眠りから覚めた後と勝手に定義しています。
いやー、7巻もよかったなあ。この作品、言葉ひとつひとつがずっしり来る。
母親の「「もっとやれたハズ」っていう言葉は「もっとやれるハズ」に換えて未来の自分に言いな」とか、
医者の「医者が苦労して分析した予測・計画を台無しにしてくれるやっかいなモノがある、「人の意思」だ」とか、
アイリの「‥「言葉」ってさ、口に出して言ってるうちに本当になる気がする」とか、
いちいちカッコいい言葉、グっと来てしまう言葉が出てくるのが胸打つ。読んでて前向きになろうという気持ちにさせてくれる。
それだけでも素晴らしいのに、加えてサスペンスとしても優秀ってんだからもうね、すごいよね。
それと演出も素晴らしい。母親と犯人、二人の15年間の悟への気持ちをミスリードさせるような感じで読ませていく流れはホントすごい。いつの間にか母親の視点から犯人への視点へシフトしていき、それに気づいた瞬間はたまりませんでした。よく見たら切り替えポイントも明確なのがグッド。漫画的な、自分の好きな表現です。
いやー、よかった。動きがないのにこの面白さだもの。ホント次が楽しみ。
ひとつ気になっているのは、修学旅行でケンヤが頭割られて薬塗るシーンがヒロミだったり悟だったりするところ。
最初はヒロミが殺されてるから悟が塗っている。
悟が殺人を防いだ次はヒロミが生きているからヒロミが塗っている。だけどこの時は悟は植物状態になっている。
ならなんでヒロミが塗っているっていう記憶があるんだろうか。
植物状態の時はその記憶が無いはずだから、記憶にあるのは悟が塗っているところだけで、ヒロミが塗るっていうことが出てくるの事態あり得ないのだけど。
もしかしてなんか見逃してる?もう一回読み直した方がいいかな。
もしもこれがこの記憶通りだとしたら、ヒロミが生きてて悟が植物状態になっていないルートも一度は通ってるということがないと説明つかないと思うんだけども。
そういう観点で考察していくのも楽しいのが「僕だけがいない街」の良さですね。
ところで、アニメ化とか映画化とかなってるけど、いったいどこまでやるんだろうか。
まだ完結してないのに決着つけられるのか?
前巻のレビューはこちら (僕だけがいない町 6巻)
眠気覚め度 ☆☆☆☆☆