歴史

へうげもの 22巻 - 愚民政策

大阪冬の陣の幕が下りるの「へうげもの」22巻の中で、家康の天下泰平とは、徳川家が世の中に君臨し続けるために必要なこととはということを簡潔に表しているのが以下となります。

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つまりは、愚民政策ですね。統治する側にのみ教育をし、支配する民は政治には一切関心を持たせないようにすることで完全なる専制的警察国家を目指したということになります。

この考え方は徳川家が絶対的な権力を持ち続けるのであれば短期的には有効な政略と言えそうですが、国家の目標が民の生存と繁栄とするのであれば長期的には民主主義であるべきで、等しく全員に教育の機会を与えられるべきであると考えますので、ここが安寧の1000年にならなかったゆえんでもあるのかなと。この頃は海外に対する外交戦略はほとんど考えてなかっただろうしね。

というわけで、次巻は大阪夏の陣が始まろうかというところです。古田織部の人生もそろそろ終幕、最後まで駆け抜けてほしいですね。


21巻の感想はこちら (へうげもの 21巻 - 徳川の泰平のため家康は鬼となる、大阪冬の陣開幕)

眠気覚め度 ☆☆☆☆

辺獄のシュヴェスタ 3巻 - 拷問成分多目でお送りいたします

「虐げられてる人間のほうが、虐げる人間よりもよほどタフなのよ。」

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残酷無残修道女魔女活劇「辺獄のシュヴェスタ」3巻はこれまで以上に狂気描写たっぷりでした。いや、これ、割とガチで駄目な人には駄目なんじゃないかってレベルですよ。レベルというかレヴェルですよ。

元々1巻の時点で腕を斧で斬りおとしたりの拷問に近い描写はあったわけですが、この3巻はそれに拍車を掛ける形で思うがままに拷問描写がされています。しかも恐ろしさを感じるのが、それを執行するのも同じ修道女達だというのにも関わらず、ほとんどがその罪悪感や嫌悪感にかられずにさも当然であるかのごとくこなすというところ。

まさしくこの修道院の「異常さと狂気」を上手く描画しているということでもあるのでしょう。そういう意味では、中途半端なことはしないで真っ向からその表現をしている点がグッド。ただ、このリアルな描写が読者離れも引き起こしているんじゃないかと懸念してしまうのも事実です。


水責め
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飲めないのに無理やり口の中に水を入れられ続けるという元祖拷問ですね。飲ませては吐かせてを繰り返し、胃酸で喉や食道はずたずた。状況によっては無理やり吐かせるためにわざと長い布を飲み込ませてからそれを引き抜くことで内臓を痛めながら水も吐かせるという荒業もあるとか。


焼鏝
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下手すると二度と消えることの無い烙印を火傷とともに押し付けられる。カイジは二の腕の外側だけだったからよかったけれど、こと拷問となると身体中にそのコテを押し付けるのでしょう。頬、額、肩、乳房、脇腹、内腿、陰部。人間身体の20%も火傷してしまえば致命傷となります。まあそれ以上に、目の前に存在する良く焼けた鉄のコテというものはこれから来る痛みや恐怖を沸きたてます。


そして今回拷問とは少し違うけれども、エラが執行することになったのが腕の切断
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上の2つは上級生による拷問ですが、最後はエラが初めて他者に痛みを与えるため(明確には罰を与えるため)に行う拷問です。この違いわかりますよね。される側の恐怖はもちろんのこと、執行する側も恐怖で満ち満ちているということです。このエラの感情は、普段他者を傷つけることを日常的にはしていない私たちにとっては至極真っ当な表現です。それに対しての上級生たちの冷酷で罪悪感皆無の執行が、この修道院の狂気を示すための良い比較となっています。もとよりこの修道院がおかしいのは周知の事実ですが、それをさらに明示したのがこの3巻と言えましょう。

※ちなみにこのあと、エラは人を無為に傷つける恐怖と戦いながらも刑を執行します。それはもう、リアルな切断です。


というわけで、そもそもこの作品を読んでいる方はそんなことは百も承知で読んでいるとは思うのですが、思わず眼を背けたくなるような拷問描写がされている「辺獄のシュヴェスタ」3巻でした。

どうなんだろうなこれ、その手の趣向の人には物足りないと思われるだろうし、あくまでこの表現は作品を色づけるためのアクセントとして捉えるとちょっとやり過ぎな気もするし。個人的にはここまで描ききっているのはとても凄いことだと思います、中途半端にこれらのシーンがカットされるよりは絶対に良い。

あと、ちょっとストーリーのことに触れると、この修道院の総長のエーデルガルトってどうも根っからの悪人には見えないんだよなあ。なんか意図があってこういった政治体制を敷いているという風に見える。そうなるとエラが本当に復讐すべき相手はまた違ってきたりするのだろうか。なんだかんだ次巻も楽しみですな。


2巻の感想はこちら (辺獄のシュヴェスタ 2巻 - 復讐の時までその牙を磨き続ける)

眠気覚め度 ☆☆☆☆

ゴールデンカムイ 6巻 - 札幌殺人ホテル

舞台は札幌!土方側のお話もあるよ!
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ゴールデンカムイ6巻は小樽を離れて札幌で過ごす殺人ホテルでの一夜がメインとなっています。また、珍しく土方側に主観を置いた話も展開されていきます。逆に言えば、いつもあった狩猟の話が無いので、ちょっと物足りない点もあるかなと。とはいえ、本筋が元々面白い上、キャラ毎の個性が抜群なので面白いことには間違いの無い6巻となりました。

さてさて、殺人ホテルに全員集合ということで、杉元一味と不敗の牛山が同じホテルに泊まり、上記女将の家永も実は刺青持ちというバラエティにあふれた一泊となっています。この家永は金が目的ではなく家永個人の目的の為にこのホテルに侵入しているという、辺見和雄に続いて2人目の金に執着が無い囚人です。その目的があれなわけで、美貌の持ち主なので牛山と白石に言い寄られるわけで、性欲の塊の牛山はアシリパからチンポ先生呼ばわりされるわけで、いつもどおりコメディありスプラッタありの面白い展開でした。


一方、後半は土方達のメインのお話。
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カッコいいなこのジジイたちは。実は土方達がメインで進む話自体が初なので、なかなか見ものです。とはいえ、やはり土方と永倉だけだと笑いが少ないので、カッコいいけど全体的な盛り上がりには欠けたかなという感じでしょうか。だけど土方も永倉も刀振り回すシーンがイカすのでたまらんわあ。


6巻を読むにあたって状況整理しました。6巻時点では刺青人皮の所在が以下のようになっていますね。

総数:24枚
杉元持ち 5枚:一話でヒグマに喰われた男、尾形に撃ち殺された男、白石由竹、二瓶鉄造、辺見和雄
鶴見持ち 1枚:津山
土方持ち 4枚:土方、牛山、家永、日泥一味が持ってたもの + 杉元一味のレプリカ
次の杉元の目的地 1枚:日高

明確にわかってるのは11枚ですね。 永倉新八とのっぺらぼうはどうなんだろう、刺青入ってるのかな。テンポ良くいけば10数巻くらいで全部出てくるのでしょうか。割とサクサク出てきてていいですね。



そして恒例のゴールデンカムイ・ザ・グルメのコーナー!
今回は猟をしていないので控えめです。

エゾシカ肉のライスオソマカレー
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このアシリパの表情wwwwww



松前漬けと刻んだ沢庵をたっぷり乗せたお茶漬け
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たくあん茶漬けは土方の大好物ということですが本当にそうなんですかね?詳しくは知らないです。


というわけで、安定して面白いゴールデンカムイ6巻でした。既に7巻の紙版は発売されてるはずです、7巻も楽しみです!


5巻の感想はこちら (ゴールデンカムイ 5巻 - 変態殺人鬼辺見和雄、谷垣の戦い)

眠気覚め度 ☆☆☆☆

ヴィラネス 3巻 - 宮本武蔵誕生!そして次の主役は関口柔心

最強の外道の王 宮本武蔵!! ここに誕生する!!
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宮本武蔵こと宮本弁之助が塚原卜伝と相対する「ヴィラネス - 真伝・寛永御前試合」の3巻は遂に決着、ここに外道の王誕生と相成りました。登場人物が何故か女の子になってしまった残酷無残時代劇ですが、その中身は素晴らしく非常に読み応えがあるものになっています。

今回、秋山の弟子として共に塚原卜伝の庵を訪れた弁之助は、秋山と卜伝のやり取りを見て生死を賭けた戦いというものを目の当たりにすると共に、最強になるということはどういうことかを学びます。何よりも弁之助にとってショックだったのは、秋山が弁之助を弟子としたのは育てるためではなく食事の毒見役として使っていたということ。その事実を知り、また、火にかけて沸騰した粥鍋を「一の太刀」とした卜伝の強さを見て、勝つためにはということを学びます。


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そうして最後にその場に立ち続けたのは弁之助。勝つためには手段を選ばない、外道としての一歩を踏み出すのです。

ここまでの流れは本当に素晴らしかった。卜伝の怖さとそれに抗う弁之助、そしてとんでもないものを「一の太刀」として使ってしまうという描写が非常に上手く描かれており、1ページずつめくる度にワクワクドキドキでひたすら手が止まりませんでした。何よりもなんとしてでも生き残るという姿が如実に読み取れて、だからこそ、何をしてでも勝つということに違和感無く繋がります。こういう綺麗事無しにがむしゃらな生き方が凄く好きなんです。良い作品だなあこれ。


そしててっきり宮本武蔵が主人公で続くのかと思いきや、なんと舞台は次の死狂いへ。

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関口柔心

関口新心流の開祖である柔術家、関口氏心です。この柔心、もちろん柔術の使い手になるので関節技が得意なわけです。そしてその理由の描写が秀逸。生き物の仕組みを知りたいという欲の赴くままに虫や動物、果ては朽ち果てた死体を解体することによって身体がどうなっているのかを理解するという超絶マッドな理由となります。なんかこれだけ書くとバキのローランド・イスタスみたいな奴だなこいつ。あっちはジョイントアレルギーか。

というわけで、生き物の身体に興味津々、更にその仕組みをどうすれば壊せるかということをひたすら追求していきます。村の男の子と喧嘩をしても、

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関節を極めてエクスタシー!!

という関節フェチのド変態少女がヴィラネスの関口柔心になります。武蔵、柔心と来ると、こういうオムニバスとしてまずは御前試合のキャラを準備していくという流れになるのでしょうか。これは今後が楽しみです。3巻の最後も次巻に続く良い引き際だし続きが楽しみですなあ。


前巻までの感想はこちら (ヴィラネス - 何故か女性化した戦国の残酷無残時代劇)

眠気覚め度 ☆☆☆☆☆

ホークウッド 8巻 - まさかの打ち切り完結!!

打ち切りだとおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
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最後まで読んでから、最終話と描かれていることに気づいてこれで完結と知ることになったホークウッド8巻です。

テーマはいいし、話も筋が通っていてなかなか面白かったんだけどなあ。やっぱり傭兵が主役なのにそこまで傭兵がパッとしていなかったから人気でなかったのだろうか。本来なら王国騎士団VS傭兵団という対立抗争を明確にして、信念と礼儀を重要視する騎士団と、金のためには、勝つためにはなんでもやる傭兵団という軸を立てるべきだったかと思います。しかし、その「勝つためならなんでもする」っていうのをイギリスの王様がやっちゃったからもう傭兵団の出る幕無いよねってのが7巻からの流れになってしまいましたね。 


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国王がまずこの考えに到達しちゃったもの


だからホークウッド達が何もしなくなっちゃってて、全然存在意義無いのが非常に勿体無かった。しかもその話が6巻くらいからずっと続いちゃってるんで、これで人気落としてしまったのではないでしょうか。この王様の考え方とかは凄く合理的で面白いんですけどね。うーん、ここからこの倫理観に傭兵団が一枚噛んでいく形ならもっと面白くなったんだろうけど。時間切れなのかなあ。


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こういう展開だからね。栄誉だ正面から正々堂々だという騎士団に対してのこの考え方。実に泥臭くて真理をついていて、現代では戦争に対する考え方というものはこうなるのではないでしょうか。勝った方が正義、それが歴史を振り返ると事実なわけですから、何を甘いこと言ってるのだというものですよ。こういう極めて合理的な考え方好きなんですよね、人間臭いのが好きなので、綺麗事言ってるのはあまり好きじゃないです。臭くて読む手が震えてしまう。


というわけで、なかなか面白いのに8巻で打ち切られたホークウッドでした。8巻自体は7巻を収束させる展開なだけなので、7巻まで読んでる従来の読者くらいしか楽しめないでしょう。うん、実に惜しい作品だった、トミイ大塚の新作に期待!


7巻の感想はこちら (ホークウッド 7巻 - 精神論と合理性)

眠気覚め度 ☆☆☆


ゴールデンカムイ 5巻 - 変態殺人鬼辺見和雄、谷垣の戦い

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辺見和雄、絶頂に至る!!

このマンガがすごいでも2位になり、個人的にも大推奨中のゴールデンカムイ5巻、前半は超絶変態殺人鬼辺見和雄との死闘、後半は谷垣と第七師団の謀反者達とのバトルになります。

この辺見和雄、相当な変態で、死に抗う姿を見ること、その窮地に立たされることに快楽を覚える一線を越えた超級変態性癖の持ち主です。その情熱たるや凄まじいものでもうそれはまさに恋。執拗に、執拗に杉元に殺されるために杉元を殺そうとします。その殺されそうな時の抵抗、そこに辺見和雄は最大級の快楽を得るのです。

いやあ、変態だったなあ。到底理解できない変態。真の変態。そして素晴らしい度肝を抜かれるような結末でした。


そして以外だったのが谷垣対第七師団の謀反者との戦い。当初は杉元を追うものとして、次はエゾオオカミを狙うマタギとして、そして今回は第七師団の謀反者から逃げるため谷垣の戦いが繰り広げられるわけです。
その内容もまた良かった。圧倒的不利な状況下からの大逆転。まさかまた今回も北国の自然を使って対抗することになるとは、やはりエゾを舞台にした漫画ならではですね。ってかこういう使われ方もう3回目くらいじゃないか?活躍しすぎだろうにw


そしてゴールデンカムイにはおなじみの食事シーン!!

ニシンの街小樽ならではの、
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ニシン漬け!
慣れ寿司、飯寿司みたいなもんなのかなこれ。ニシンの切り込みとかが好きな自分にとってはこれが大好物になることうけあい。これ、クセになるんですよ、発酵食品だから万人には受けないと思うけど。



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シャチの竜田揚げ!!
ひょんなきっかけで獲ることが出来た海の神レプンカムイの唐揚げです。
クジラみたいなものなので味は保証付き、絶対美味いだろこんなの。



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子持ち昆布の串揚げ!!
絶対美味い。数の子と昆布の組み合わせとか最高に違いない。
今回実は子持ち昆布そのものって見たことが無かったので画像検索したんですが、あんなにびっしり昆布にくっつくものなんですね。ニシンすごい。ニシン釣りした時もメスで数の子だった時は最高に美味いんだよなあ。オスで白子でも満足できますけど、数の子の大当たり感がホントたまらない。




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イトウの刺身!!
え、これ本当に大丈夫?川魚だよね?寄生虫とかすごいんじゃ。鮭だって一度冷凍にして虫殺してからじゃないと食えないくらい虫すごいんだからイトウだってそうなんじゃないか?ルイベなら良さそうだけどこれは怖いなあ。



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イトウの塩焼き!!
豪快な被りつきはたまらん。やっぱ鉄板とかじゃなくて網とかこうやって串焼きにして脂と水を落としながら焼くと魚は最高ですな。逆にちゃんちゃん焼きみたいな鉄板の味噌焼きはどうも臭さが気になってダメ。だからこの焼き方は絶対に美味い!!




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イトウの目玉!!
おっきい。。。




あとアイヌ語のオソマこと見た目がうんこに見える味噌を克服したアシリパさんが食べることに段々抵抗が無くなって海の神であるシャチを食べる際にも
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「そもそも人を殺して食べたヒグマをウェンカムイと呼んで必ず討ち取りこらしめるのは、人の弱さを知って人肉の味をおぼえた危険なヒグマを野放しにしないためだったりするんだきっと。だからヒグマ以外はウェンカムイとは言わないんだ多分」

と、アイヌの教えを都合よく解釈するようになってきたのが素敵。こういう適応力が高い子は好きですよ。日本人の文化にも触れることで色々な考え方、適応していき発展させるのはホント前向きで素晴らしい。




というわけで、いつも通り美味そうだし戦闘もキビキビしてて臨場感があって面白いしギャグとシリアスのバランスも秀逸だしで最高な5巻でした。ホント面白いなこの漫画。5巻まで来ても面白さが落ちるどころかさらに面白さが増してる。次も楽しみ!


魔のおまけ:セクシー杉元
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こんなん笑うに決まってるわwww



4巻の感想はこちら (ゴールデンカムイ 4巻 - 三つ巴の勢力図が確立し始めた怒涛のエゾサバイバル)
6巻の感想はこちら (ゴールデンカムイ 6巻 - 札幌殺人ホテル)

眠気覚め度 ☆☆☆☆☆

へうげもの 21巻 - 徳川の泰平のため家康は鬼となる、大阪冬の陣開幕

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「この世にひょうげものなぞ要らぬ」

全ては江戸幕府安寧の為、そして徳川家泰平の為、家康は遂に豊臣家を滅ぼしに動き出す。

前巻20巻で既に大阪冬の陣への動きが始まっていましたが、21巻ではそこから大阪冬の陣に突入します。
家康の泰平への思い、世の中の戦国武将達の泰平への思い、そして古田織部の豊徳合体を目指した泰平への思い。それぞれの思惑が互いに絡み合い、駆け引きがされていきます。

秀吉が天下を取るために信長を斬ったという話の「へうげもの」ですが、思えば秀吉の人間の変わりようも描き方が凄まじかったものがあります。最初は単なる小物風に描き、その野心を徐々に表し始め、関白となってからは常に自分の世を、豊臣の繁栄を思い描くがゆえに様々な思惑、疑念にかられ、遂には利休をも処刑し孤独の身になるまでを描いていました。
一武将から、上り詰めた人間の変化の様をまざまざと描くのは壮絶な表現となっていました。

この家康も同様です。初期は一大名、国の行方を慮るまさに理想的な君主というような描かれ方をしていました。しかし、秀吉が倒れ関ヶ原の動きになってからその権力を得るために、野心のために様々な策略を張り巡らせ外堀を埋め、遂には豊臣方を打ち破り江戸幕府を開くに至ります。江戸幕府開幕後もその野心は衰えることなく、その結果が大阪冬の陣へと繋がります。

ここまで「へうげもの」を読んできた方ならその家康の徐々に、しかし大きな変化をしっかと感じるはずです。21巻の家康には初期の面影はありません。野心が、権力が人を変え、そして友人らの人間関係までをも変えてしまうという実に素晴らしい変化の仕方だと思います。


その家康の変化に対し古田織部も、「大御所様の仰っていた「泰平」とは、
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徳川家の泰平が事だったのですな」

と、思わず皮肉を言う始末です。
この当時の家康の動きが如何に一個人の為だったのか、諸大名からは如何に捉えられていたのかを適切に表現したワンカットでしょう。

痺れた、このシーンとここから冒頭の「ひょうげものなど要らぬ」で完全に古田織部と家康が決別したシーンまでが最高に痺れた。心にガツンと来た。その絵、その表情、その間、まさにこれが最高の漫画的表現と言えるでしょう。


やっぱりすごいなあこの作品は。心理描写、駆け引き、それらが高度に描画されていて、一気に読み手を世界に引き込ませる。それでいて、ところどころに古田織部の「ひょうげた性格」から笑いを外さないところも素晴らしい。狙撃された時に頭に日光が反射して致命傷に至らなかった時の表現とか最高に笑えました。


思わず
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こんな顔もしてしまうというものです。



ホント、歴史漫画というのは作者の描き方、歴史の捉え方ひとつで大きく面白さが変わってくるのがまた面白い。
「へうげもの」は間違いなく歴史漫画のトップクラスとなる作品と言えるでしょう。


さてさて、古田織部の寿命も後少し、この「へうげもの」もあと数巻で終わってしまうのかなと考えると寂しいものがありますなあ。


20巻の感想はこちらから (へうげもの 20巻 全てを疑い始めた家康、そして大阪冬の陣へ)
22巻の感想はこちらから (へうげもの 22巻 - 愚民政策)

眠気覚め度 ☆☆☆☆

辺獄のシュヴェスタ 2巻 - 復讐の時までその牙を磨き続ける

祈る者は目を閉じる。しかしその時、考える者は目を開いているのだ。
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修道女復讐劇「辺獄のシュヴェスタ」の2巻は復讐を果たすためにひたすら修道女であることを徹しながらその時へ向けて準備する話でした。

特に重要として扱われていたのが食事。前巻の時点で食事にクスリが盛られていることに気づいたエラ達ですが、その食事を吐き、別の手段で食事をしようとします。
そんなこんなで、修道院の外の森に脱出する方法を確立し夜の森で食べる食事はというと、


虫だったり
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ネズミやカエルです。
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うーん、この修道院で立派な食事が出るのにサバイバル。
復讐するためとはいえ、ここまでしなければならないのがどれだけ大変なことか。
ってか虫とかネズミ食って大丈夫なのかよ。たんぱく質うんぬんの前に寄生虫とか病気がやばいと思うんだが。

とはいえ、途中でひょんなことがあって、
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魚も食べられるようになりましたね。よかったよかった。


この魚の流れは修道院が石灰を作っているということから得た技術となります。 
実はこの石灰の流れが、修道院の役目と、時代背景を大きく表しています。

それが、こういった技術や医療技術は修道院内のみに封じられて、一般知識としては普及していないこと。

上流階級による知識の独占ということですね。
今なら考えられませんが、当時としては明確に階級を分けるためにも必要なことだったはずです。
こういう修道院の政略的なところも見えてくるのはいいね、どうして修道院がこんなにも大きな意味を示しているのかを上手く表現しています。

また、後半ではそんな修道院に対して個別に恨みを持っている暗殺者なんかも出てきたりして、いよいよ舞台の回りも動き出したという感じです。

その中で徹底的に強くたくましく育っていくエラは、本当に実直で合理的で手段を選ばなくてすごい。
周りに流されること無く、その復讐を果たすためだけに生活、行動していく。
続きも実に楽しみであります。


以前のレビューはこちら (辺獄のシュヴェスタ 1巻 - 魔女、修道、復讐)

3巻の感想はこちら (辺獄のシュヴェスタ 3巻 - 拷問成分多目でお送りいたします)

眠気覚め度 ☆☆☆☆


乙嫁語り 8巻 - 遂にパリヤの花嫁修業開始、相変わらず凄い書き込みに酔いしれろ!

初期からのアミルの友人パリヤが遂に花嫁修業編に突入!
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というわけで、私の大好物の「乙嫁語り」8巻が発売されましたね!
いやー、今回もえがったえがった。全編通してパリヤの花嫁修業編で、あの人付き合いが苦手で素直になれないパリヤのあんな姿やこんな姿がたっぷり見れるわけです。
パリヤはこの作品の中では絶対に人気のあるキャラなので、これにはファンも大満足でしょう。

というのも、あの人付き合いの苦手な性格というのが、すごく人間臭くて親近感が沸きやすいんですよね。
本音では仲良くしたいのに恥ずかしさから思わず突き放しちゃったり、好きな子に良く見られたいから一生懸命淑やかな女の子を演じようとするんだけど、思わず根のアグレッシブな性格を見られて落ち込んだり、もうたまんない。よだれ出るわこんなの。


そして相変わらずのもの凄い書き込み。
特に今回はパリヤの花嫁修業編ということもあって上図の様な刺繍のシーンがわんさかあるのですが、それがもう凄いこと凄いこと。あんなん刺繍じゃなくて描いても無理だわ。 

いやー、それにしてもいいな、パリヤ。いままでで一番好きな花嫁になるかもしれん。次点は双子。
特に、以前の町の襲撃のせいでパリヤの家が被害にあったためにアミル達の家に居候することになり、そこでひいばあさんから花嫁修業の何たるから刺繍から教えてもらえるという環境が最高。

つまりですね、花嫁修業という要素がそのままパリヤの修行物語となるわけですよ。
まさにドラゴンボールの亀仙人の下の修行のようなものですよ。ロトの紋章の賢者カダルの修行なわけですよ。
花嫁修業とはいえ、そういった成長要素を入れてくるのは素晴らしい!

自分の好きな傾向として人間臭いは散々言っていますが、そのほかにも最初はへたれなのに徐々に成長していく、その努力が垣間見えて最終的に周囲から絶大な信頼感を得るというサクセスストーリーが大好きなんです。
今まではこの作品はどちらかというとそういった要素が少なめだったのですが、まさか人気キャラのパリヤがそれを担うことになるとは!
ホント最高。夢みたい。早く続き読みたい。


そしてそして「乙嫁語り」といえばやっぱり食事シーン。
実は私、乙嫁語りを読み始めたのはひょんなきっかけで3巻か4巻あたりの食事シーンを見たためです。
乙嫁語りの食事シーンは丁寧に描かれるからホント美味しそうだし、何より食事中のキャラが本当に楽しく幸福な顔で食べてるのが心を穏やかにしてくれます。

そんな食事シーン、今回も少量ながらあるので、一気に貼っちゃいます!活目せよ乙女達!!

鳥モモ肉部門をパクり!!
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この大量の大皿。これこれ、こういう豪勢な食事が好きなんですよ。
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完食!美味しそうにいっぱい食べる女の人ってホント魅力的。
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こっちはアミルとカルルクのキャンプから。その場で取った鳥肉というだけでなく、アミルの笑顔が本当に心から食事を楽しんでいることが伝わってきて見てるこっちも嬉しくなりますね!
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一家団欒。いいなー、毎日こうだったらホント楽しいだろうな。
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というわけで、次巻も楽しみ!

眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


剣術抄 - 剣の名人があらゆる世界にタイムスリップしてその剣を振るう!

事細かに描かれる剣術の体捌き指南漫画かと思いきや古代ローマやフランスや三国志の時代にタイムスリップ!

はい、前回の「剣術抄 新宿もみじ池」で触れた通り、その前作の「剣術抄」の紹介となります。

もうね、内容は上記の通り。剣の名人が古代ローマのコロシアムでグラディエーターと戦ったり、フランスに行ってフェンシングや銃と戦ったり、三国志の時代で剣を振るったりやりたい放題。
これだけで十分面白そうじゃないですか?実際これがまた面白いんですよ。 


最初は農民が復讐のために剣を習いたいというところから始まりますが、この剣の名人の辻月深はそれを無視して不思議な天女とセックスを始めてしまうという頭からいきなりとんでも展開。
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その後、紆余曲折あって(というか目の前で自殺されると糞尿の片づけが大変だからという理由で)弟子入りを認めて始まる剣術指南。これがまた色々と細やかで読み応えがあるのです。 
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内容も「剣術には無駄な筋肉など必要ない。切断せずとも動脈等の急所を切ればよい」というような理に適ったもので感心させられます。
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その後は道場破り的な相手の宍戸梅軒の子孫と戦ったりと、ここまではまともな時代漫画となっています。
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そして次に相対するのは古代ローマの剣闘士。
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ね?突然すぎてわけのわからないとんでも展開だけど引きつけられるでしょ?



しかも古代ローマから戻るとまた普通に剣術指南の話をしばらくして、気が付いたら、

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今度はフランス行ってるんだもん。



なかなかこんな飛びぬけた展開の作品は無いと思います。それだけで十分面白い。
だのにだのに、内容もしっかりしていて読み応え抜群です!


この後は
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呂布と仕合ったり



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呂布と酒を飲んだりもするからね!


呂布と立ち会って死なずに済むとかその結果呂布と酒を飲むことになることになるとか誰が想像しただろうか。
※江戸時代の剣の名人のお話です





しかもその後はタコの話だしね!剣術どこいったよ!!
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とまあ、後半はネタっぽく扱ってしまいましたが、先ほども書いたように中身は抜群に面白いです。
剣術にも詳しくなれるし、歴史上に名人がいたらどうなっていたかという if の話としてもグッドです。
こんな設定、滅多に見れるものではありません。まさに掘り出し物、もっともっと認知度が上がってもいい作品だと思います。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


 
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