人間臭い

累 9巻 - 明かされる "いざな" の生い立ち

「私だけが何も知らない莫迦だった!!」 

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8巻で累の口紅を破壊した野菊、"咲朱"としての生命を終えるためのカーテンコール、その必読の展開から始まる「累」9巻です。これまでの累と野菊のやり取りに一旦終止符が打たれることとなります。

いやあ、この展開はまあ予想出来る範疇ではあるんですが、やはりすごいのはとことんまで貫く累の傲慢さですね。生きる為に、自分の存在意義の為には人の顔を奪い続けるという業を背負う宿命にあり、かつそれを受け入れて他人を貶めることも厭わないその姿勢、主人公ながらにまさしくラスボスの雰囲気をかもし出してますなあ。

その傲慢さをひた隠し、表では大女優として羽ばたこうとしてるのはまた、晴れやかな人の裏側はこんなにもドロドロしているのだというのを的確に表しているというか、この人間臭さが本当にたまらない。こういう強烈な個性を放つキャラがいると漫画というのはグググッっと面白くなりますね。

さてさて、「累」9巻の後半は累の実の親である "いざな" と、野菊の実の親である "淵 透世" の物語となります。いわゆる過去編ですね。 


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異母姉妹である "累" と "野菊"、その母親たちである "いざな" と "淵 透世" 。透世はいざなの顔になるための生涯であったのか、そして野菊もまた累の顔になるための運命となるのか。この因縁がゾクゾクしてたまりません。

とはいえ、まあある程度はわかっていた過去ということなので、盛り上がりはちょっと控えめかな。正直透世がお人好し過ぎて虫酸が走るほどだったのですが、強いてあげるならそれくらいとも。ただ、ラストの2ページは再びゾクゾクw この対比は本当にゾクッとする。


というわけで、8巻の展開が気になるなら必読の「累」9巻でした。
早いところいざな編が終わってまた累の話に戻るのを期待します。


8巻の感想はこちら (累 8巻 - マクベスと己の罪)

眠気覚め度 ☆☆☆☆

Helck 7巻 - 信頼の上に築くもの、これは最高のシナリオ展開だ!

「俺は人間を滅ぼす。」

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「Helck」は人間の裏切りの末、魔族側に身を寄せることになり、魔族側の立場として人間へ復讐を誓う人間
の勇者ヘルクの物語ですが、この7巻でまたもや激アツの展開となってまいりました。

元々、この作品の中では人間こそが下衆の塊で、魔族はそれなりの一般的な考え方というか、何が正しくて何が不正かを直に判断する集団として描かれています。人間はとにかく魔族を目の仇にして滅ぼすことしか考えていないのに対し、魔族は人間との共存を提唱していることからそれが窺えるでしょう。

これまでの6巻でヘルクの過去の話も掘り下げられ、その悔恨、復讐の思いが如何にヘルクの中に蓄積されていったかが描写されてきました。それがあった上での、ヘルクとヴァミリオちゃんの帝国進軍となるのです。

上記の通り、ヘルクにとっては人間は殲滅の対象としてしか映っていません。心根は本当に優しい、仲魔思いのヘルクにこの感情を植えつけさせたのも、過去の出来事があってのことです。これまでの魔族と共に戦ったヘルクの行動や振る舞いを見ると、それに対するこの思いというのは並々ならぬ覚悟を感じさせます。それほどまでに、ヘルクの思いは強力で、人間を滅ぼすことでしか人間を救うことが出来ないという考えがあるのです。

ただ、それは人間、おいては過去の仲魔との完全なる決別も意味します。人間側はいくらでも蘇生可能で、さらに操ることで感情の無い兵士を大量に生産し続けています。この蘇生可能というのがポイントで、そこにはかつてのヘルクの仲魔をも兵士として立ち上がらせることが出来るということになります。つまり、ヘルク自身の手で、かつての仲魔の命を絶たねばならないという悲しい結末です。



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ヘルク自身はこの運命ともいえる最悪の結末を受け入れた上での覚悟なのでしょう。それはヘルクにとってどれだけの絶望を再度植えつけることとなるのか。優しい、仲魔思いのヘルクにとって、どれだけ心に穴を作ることになるのか。これ以上に悲しいことなどあるのだろうか。しかしそれでも、ヘルクはそれこそが最良の一手と信じ、かつての仲魔のため、人間のために、自らが苦しむことも承知でそれを行うのです。




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「救おう、人間を。」

それに気づいたヴァミリオのこの言葉。もう駄目、この展開駄目。これだけで涙が出てくる。ヘルクにとって、ここまで自分のことを理解してくれた人はこれまでいただろうか。ヘルクのために、このような結論を提案してくれる人はこれまでいただろうか。魔族という立場に関わらず、いや、魔族という立場だからこそ、状況を冷静に鑑みて、ヘルクの心境も考慮して、誰もが笑顔になれる本当の意味での最良の手段を共に実行しようと言ってくれる人がいただろうか。このような相手を得られたことこそが、ヘルクが魔界へ行った最大の結果なのだろう。



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この力強い言葉。今のヘルクにとって、これ以上の言葉はあるだろうか。人間界で騙され、仲魔を奪われ孤独になり、対立する人間全てを滅ぼそうとしてヘルクに対して、これ以上の信頼の言葉あるだろうか。この言葉はヘルクの心に深々と突き刺さり、生きるための、人間を救うための最大の活力となるだろう。


ああもう駄目、この記事書くために再度読み直してたらまた泣けてきた。他の感想でもたまに書くんですが、こういった絶対なる信頼のような展開に非常に弱いんですよ。絶望の中で孤独だと思っていたヘルクにとって、本当の意味での、上辺だけでない理解者が現れて、しかもそれが魔界四天王の1人で超強力で、さらに全面的に信頼して力を貸してくれて、おまけにヘルク自身を救うために動いてくれるっていうんだから。いやー、ヴァミリオちゃんは可愛いし男気あるし強いし可愛いしでホント最高のキャラやで!

にしても、ホント化けたなあこの作品。当初の出オチ的なギャグ漫画からここまで発展するとは予想出来ないって。戦闘シーンもガンガン上手くなってるし、シナリオも上手いし、裏サンデーってホント全体的にレベル高いと思う。

さてさて、話は上記で止まってるので、勿論次巻も大期待ですなあ!


6巻の感想はこちら (Helck 6巻 - ヘルクの過去編終了、アズドラの計略始動!)


眠気覚め度 ☆☆☆☆

ぼくらのふしだら 2巻 - 性欲と引き換えに時を止める少女、その結末

自己愛の塊が行う性欲発散の疑似性交、そこに愛はあるのか。

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2016年7月16日の「わたしのふしだら」発売記念として、まだ感想を上げていなかった「ぼくらのふしだら」2巻について書きます。発売当時に読んで簡単には感想書けないなと思い早半年、このために読み返したところその面白さを再認識した次第でございます。

ひょんなきっかけで時間を止める能力を得た美菜実ちゃん、その代償は止めた時間に比例して増える性欲です。その性欲解放として、幼馴染で自分のことを好いている信一を利用し、そのテクでひたすらイカされて発散するというのが基本のストーリーです。でもヤラせない。悪い女。果たしてその行為に愛はあるのでしょうか。

あるわけねえんだよなあ、これが。究極の自己中である美菜実ちゃんの前ではそんな他人を思いやる気持ちがあるわけがない。

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この性格が非常に!非常に人間臭い!!自分では他人を思いやれる良い子だと思ってたのに窮地に追い込まれ他人を凌駕する能力を手に入れたことでその本質が究極の自己愛に帰すことを他人から諭されるまで気づくことが出来ないというのがまさに人間、これこそが人間ドラマですよ。社会生活に溶け込むことで自らを取り繕って良い子を演じたとしても、その深層心理にあるのは他者への愛ではなく、自己愛、これが現実、これが本質、これが人間。こういうドロドロした話が本当に好き。読んでてぞくぞくするし、そのあとは開き直るのか表面上だけは取り繕うように振舞うのか、どっちに転がっても面白い展開になるってものですよこれは。

そしてこの美菜実ちゃん、決して開き直るわけではないのですが、取り繕うとしても取り繕うとしても自分に降りかかる災難を回避するために能力を使い続けることになります。それはもう泥沼ですわ。足首までしか入ってなかったはずなのにいつの間にか首までずっぽりですよこりゃ。そして事件も起こしてしまいますよこりゃ。


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「キミって他人を排除することしか考えないよね?傷つけず穏やかに済ます方法は考えなかったわよね?なんで?」



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「だってキミは自己愛の塊で、疑り深く酷薄なニンゲンだもの。今度こそ人を殺すことになるから」

これが美菜実ちゃんの真実なわけですよ。自分のために人間として度を過ぎた能力を使い続けるも、その歯車は当然カッチリとはまるわけもなく、少しずつ、少しずつ噛み合わなくなり、やがて能力に頼らざるを得なくなる深遠の闇への堕ち方、いわゆる弱い人間、自分のことしか考えられない人間が最も堕ちやすいパターンに完全にはまってしまうわけです。

そんな彼女に追い討ちを掛ける様に訪れるのが、能力を駆使して得た大学推薦の取り消し。しかし、その原因は「かつて彼女のことを嫌っていた同級生が、彼女のことを好いたあまり同じ大学に行こうと決意したこと」に起因しています。能力を使えば推薦などなくとも大学合格は可能でしょうし、何より自分への好意に喜ぶことはあれど、憎むことは無いはず、それがいわゆる一般的な人間の思考でしょう。



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堕ちるところまで堕ちた自己愛の塊はそれを憎悪にしか変換出来ないのである。

自分のためなら他人を犠牲にすることを厭わない美菜実ちゃんにとってこの思考回路はすごく真っ当であり当然の帰結です。どうして私ばかり不幸に、どうして私の邪魔をするの、そういったことしか考えられません。他人の気持ちというものを考えられない美菜実ちゃんにとっては、自分への弊害は全て悪意とみなします。これが堕ち続けて、人を疑うことしか出来なくなった人間の末路です。

但し、美菜実ちゃんにはひとつだけ救いがあります。信一です。

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さあ信一は美菜実ちゃんを救うことが出来るのか!?信一の美菜実ちゃんへの愛は本物なのか!?性格ブスは付き合いが長くなるほど辛くなるし取り返しがつかなくなるぞ!

というわけで、美菜実ちゃんの人間性をまとめますと、

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ごくごく普通の下衆なニンゲンでした!!


美菜実ちゃんと信一の壊れた愛の行方は2巻で完結します。そして続く続刊は、この美菜実ちゃんと信一の話を聞いた上で能力を受け取ることを決めた次の女性の話となります。それが「わたしのふしだら」です。

いやあ、このドロドロで下衆な最高の人間臭さ、たまらないですね。現実世界で関わるのはごめん被りますが、こういった物語の中では極端なほどのエゴの塊の方が読んでいて面白いです。偽善や綺麗事ばかり言ってる話なんて嘘くさくてリアリティが無くてよろしくない。蒼天航路の曹操だって花の慶次の慶次だってエンバンメイズの烏丸徨だって惑星のさみだれの夕日だって自分の信念、エゴが原動力です。だからこそキャラが立つし物語も面白く動くのだと思っています。そういう作品が本当に好き。

まとめると、7月16日発売の「わたしのふしだら」もうこのような人間臭い作品であることが予想されるので要チェックだ!!


1巻の感想はこちら (ぼくらのふしだら - 等価交換となる対象は性欲)

眠気覚め度 ☆☆☆☆☆

ゴールデンゴールド - 福の神がもたらすのは幸福か破滅か

こいつは果たして本当に福の神か?

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衝撃的な時間静止サスペンス「刻刻」を描きあげた鬼才、堀尾省太の新作はある島にまつわる福の神をテーマにした「ゴールデンゴールド」です。

読み始めたらページをめくる手が止まらない止まらない。続きが気になって気になってしょうがない。次のページをめくるとどんな絵が映し出されるのかが簡単に想像出来るのに、いや、できるからこそめくりたくない気持ちもあるという矛盾。これこそ本当に面白い漫画と言えるでしょう。ページをめくるだけでここまで気持ちが盛り上がる見せ方ってのもなかなかないと思います。

雰囲気も基本は「刻刻」と似たような感じで展開するので、空気感も似たようなものです。落ち着いた雰囲気で、実に現実世界に近い空気感。そこに存在する明らかな異質、その融合の世界観がたまらない。

ストーリーは、島に上記画像のような彫り物が海岸に落ちており、それを何故か拾い洗剤で綺麗にしたのはいいが、気味が悪くなり結局神社の祠に置いてみたところ顔を上げたら目の前にコレがいたという恐ろしい展開。前述しましたがこのページをめくる時が一番躊躇しました。何が出てくるのか想像できたのにそれをあえて見たくないという気持ちが入り混じる感じ。うーん、楽しいねー!!

これだけ気持ち悪い上に現実にありえないことが目の前に起きているのでそりゃ逃げますわな。逃げる道中も色々あり、最終的にはまくことが出来ました。やったぜ!!





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なんで家にいるんだよオオオおおおおおおおおおおおお!!!!!!!

ここも予想は出来るけどめちゃめちゃびびるわ!!加えてばーちゃんが何事もなくもてなしてるのもすごいわ!!!
いやー、ここは笑った。笑うようなシーンじゃないんだろうけど、あまりにもセオリー通り過ぎて、その潔さに感服。

その後はこの福の神(作中でも便宜上こう呼ばれるようになった)が来てからの生活変化について進展していきます。それは福の神がいるところ(店)には客が多く来るようになるということ。この主人公の家は民宿を営んでいますが、客が来たのは10年振りという始末。その宿に次々と来るわ来るわの予約連絡。加えて商店も細々とやっていますが、福の神が来た日は店中の品物が完売。つまり本当の福の神なのではないかという疑念が浮かび上がります。

その調子で商売繁盛しまくるばーちゃんは金に目がくらんだのか経営の拡大化を今更ながら考えるようになっていき実際に行動を開始します。果たしてその思考は真っ当なものなのかどうか。

というのも、この作品の舞台はコンビニすら無い小さな島です。小さな島とはいえコミュニティがあり、商店街があり、お互いの共存によって成り立っています。それがこの福の神がもたらす効果により、島中の貨幣が主人公の家に集まるということに徐々になっていくのでしょう。その果てに考えられるのは主人公のばーちゃんによる独占状態、商店街やコミュニティの崩壊です。お互いが同じような境遇であったからこそ成立していた関係であるのに、そこにひとつもふたつも頭が抜けた人物が君臨することになります。必然的に全ての物事はその頂点に集まることになるでしょう。つまり王の誕生、封建社会の成立です。

まあそれは本当の最後の時点でということになりますが、現実でもしばしば問題視される「大型スーパー設立による商店街の閉鎖」ということは十分に考えられるでしょう。その先にあるのは頂点に対する反発と暴動です。

どうしてそこまで想像出来るのかというと、そもそも第1話の最初のシーンで明らかに過去に何かが原因で争いが起きたことを示唆してるんですよ。



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しかも死体全部の顔が福の神と同じ


気持ち悪いなーと思うことでしょう。実際そういう嫌悪感を沸かせるためにこのような表現となっていると思います。これだけを見ると日本人形に魂が宿ったみたいで怖いです。

さてさて、この顔にどこか違和感を感じなかったですか?実は既にこれまで貼った画像にその違和感の元があるんですよ。



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ばーちゃんと福の神の顔って似てませんか?





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似てませんか?


んんっ?これはまさか、冒頭であったから、いや、うーん、島の子孫だから似てるとか?と色々考えました。ええ、考えましたとも。つまりそういうことなのかなーと。






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うわああああああ!!!!つまりそういうことなんだな!!!!!


これも予想的中でゾクッとしたわー。全部軽く伏線張ってあって、わかりやすくリードして、さりげなく出してくる感じ本当に上手い。ドキドキ感、ワクワク感、そして恐怖感を一斉に味わえるなんてなかなか無いですよ。刻刻ではこういうのはあまり無かったので新しい手法を取り入れたということでしょう。極めて自然に読み手を作品の世界に引き込むその技術、素晴らしい。

というわけで、ゴールデンゴールドはちょっと奇妙で日本人形嫌いな人には読みにくいかもしれませんが、ドキドキありワクワクあり人間臭さありこの先ドロドロの展開ありそうと最高に期待できる作品です。これは次も要チェックです。
ついでに「刻刻」も最高に面白いので是非!「刻刻」は全8巻なので読みやすいぞ!


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆

ケンガンアシュラ 15巻 - 拳願絶命トーナメント2回戦開始!激突する今井コスモと阿古谷清秋!!

決戦!絞殺王 今井コスモ VS 処刑人 阿古谷清秋!!

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遂に拳願絶命トーナメント2回戦が始まった「ケンガンアシュラ」15巻です。2回戦の最初から「絞殺王 今井コスモ」対「処刑人 阿古谷清秋」という激アツの戦いから始まります。とはいえ、ケンガンアシュラ自体が誰が勝ち残ってもおかしくないくらいキャラの掘り下げをしてどのキャラも魅力たっぷりに描かれているので、どこを切り取っても最高潮の盛り上がりを見せること受け合いなんですけれども。

何回か触れていると思うのですが、このケンガンアシュラはグラップラー刃牙の地下最大トーナメント戦を最高にリスペクトし、オマージュして描かれている作品です。傍から見たらまるっきりパクリのような設定もちらほら見えますが、それを良い具合に昇華してより面白い作品を目指していることがうかがえます。特に競技者同士だけの戦いではなく、競技者とその雇用主を交えた戦いに展開しているところが素晴らしいですね。そのあたりも無理なく、だけど人間の欲望とエゴの固まりで展開されていて非常に好感が持てます。元々このトーナメントに参加するだけで50億円掛かるとか、優勝した企業は天下を取れるとか言われているものであり、競技者は強さを求めて、雇用主は金を求めてと、互いの利益が一致した上での展開ですのでエゴと欲望がまるだしになるのも当たり前の話ですね。

そんな拳願絶命トーナメント2回戦、今井コスモ 対 阿古谷清秋は圧倒的な地力さで阿古谷清秋が有利と思われますが、冒頭のコスモの笑顔ですよ。



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このキノコヘッドがあんな顔するとは、戦いって本当に、いいものですね。
 

これに押されて阿古谷清秋も段々と本来の処刑人の姿を取り戻していき、次々と今井コスモを追い詰めていきます。


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そして遂にジャックハンマーになる阿古谷清秋


ダーティーハリー症候群。正義のためという名目でなら何をしてもいいという持論から悪人と判断した相手は容赦なく殺害してしまう処刑人。その処刑人の殺しの技術、痛みの技術が今井コスモを徹底的に蹂躙、陵辱していきます。
いいなあ、こういう徹底したぶっ壊れキャラ。力のためなら死も厭わないジャックハンマーのような徹底的な信念、執念。ぶれない正義への自己投影。まさしく、誰がどこから見ても完全に頭のネジが吹っ飛んでるキャラであるからこそ、それに対する単なる強さに憧れる今井コスモとの覚悟との対比にもなるのが素晴らしい。こういうエゴの固まりのキャラってとことん読み手の心をハンマーでぶん殴って良い意味でも悪い意味でも感動を起こさせる。たまらない。


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さらにここでこの今井コスモの執念ですよ。こうなってきたら常に劣勢だった今井コスモが勝つことも十分ありえると思わせるのが凄い。ひたすらに阿古谷清秋に攻められ、責められ、死を意識するまで追い込まれることで戦いの本質に気づくという展開、綺麗事じゃ終わらない戦いの世界。こういうエゴと意地と狂気のぶつかり合いは本当に心に響く。

男なら誰しもが目指したことがあるであろう「No.1」を目指す男たちの戦いはどうしてこんなに見ていて心躍らされるのだろうか。これだから漫画はやめられません。

というわけで、決着はケンガンアシュラ16巻で見れるはず!6月発売だ、見逃すな!!


0巻の感想はこちら (ケンガンアシュラ 0巻 - 拳願絶命トーナメント参加者の過去を描く!)
16巻の感想はこちら (ケンガンアシュラ 16巻 - 真正面からのぶつかり合い!王馬VS雷庵!!)

眠気覚め度 ☆☆☆☆☆

少女ファイト 13巻 - G戦場ヘヴンズドア16巻となった少女ファイト13巻

春高一回戦はエドガワ排球団に影響を受けてバレーを始めた山吹矢!

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練が相変わらずの狂犬っぷりを大いに発揮する「少女ファイト」13巻はいよいよ春高の1回戦が始まりました。1回戦の相手はエド球のファンが高じてバレーを始めた山吹矢。同じバレーを好きなもの同士、実に、実に良い影響を与えながらの戦いになりましたね。ひさしぶりにバレー自体の試合もしっかり描写されていてとても見ごたえのある戦いとなりました。

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そもそもが選手たちの心の部分に重きを置いた作品でありますから、この山吹矢との1回戦もそれぞれの心の葛藤と戦いながら戦い続けることとなります。そんな中、例え彼女たちが黒曜谷に勝っても、2回戦以降勝ち進むことは厳しいという判断のもと、おいては自分たちの勝利の為に必ず勝利することを心に誓うストレイドッグスの面々です。


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最初に貼った練の鼓舞もいいんですが、途中でルミコが心折られそうになった時のこの志乃の立ち直らせ方も凄くよかった。やっぱなんだかんだメンバーの支えになるのはこの言葉がきつくて素直に表現できない志乃なんだよなあ。これが信頼ってことなんだよなあ。ホント良い、こういうの。黒曜谷は志乃だけじゃなくて、それぞれがそれぞれに対してこういった信頼を持っているのがホントに素晴らしい。涙無しで読めなかった巻は無かったんじゃなかろうか。


さてさて、山吹矢戦で良かったのが実は監督だったりします。

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山吹矢の監督のユズルちゃん。笑顔が素敵だけどバレーのことは全然知らない素人です。果たしてこんな人物に監督が務まるんでしょうか?





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こんな顔するキャラだったよ!!


他にも、
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という、実は生徒たちに部活を本気で楽しむということを教えている真の教育者なのでした。変態だけど。なんていうか、ルミコの「諦める?」と同じ系統というか、本気で楽しまないとそれを絶対許さないような変態。バレーの指導者としては力は無いのかもしれないけど、精神的な指導者としては素晴らしい人材だったのかもしれません。何気に、山吹矢を春高まで押し上げることの裏打ちをした人物ということになるのでしょう。こういう変態がいるからやっぱり少女ファイトはやめられない。

それと、今回の話に出てくる「エドガワ排球団」というのは、「G戦場ヘヴンズドア」の主人公、堺田町蔵の作品という設定です。つまり、G戦場ヘヴンズドアの完結後のお話がこの少女ファイトに繋がっているのです。これはファンとしても嬉しいことだし、何よりもG戦場ヘヴンズドアは少女ファイトに負けず劣らずの名作なので完結後のその後が読めるというのはとても素晴らしいことです。作者の日本橋ヨヲコも「少女ファイト13巻はG戦場ヘヴンズドア16巻です」と言い切っていることですし、作者としても感慨深い、夢を叶えたということなのでしょう。




というわけで、試合メインはいつもに増して面白い「少女ファイト」13巻でした。続きも当然楽しみなんだけど、また来年の今頃なんだろうなあ。
ついでじゃないですが、「G戦場ヘヴンズドア」もオススメです。私も少女ファイトから入った口ですが、たった3巻の中に濃厚に詰め込まれた少年少女の命を懸けた青春群像劇は読んでて息を飲んでしまうこと受けあい。少女ファイトが好きなら絶対に読むべき作品ですので、未読の方は是非!!

眠気覚め度 ☆☆☆☆☆

Helck 6巻 - ヘルクの過去編終了、アズドラの計略始動!

怒りのアズドラが遂に本気を出す!!

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という最高潮の引きで終わる「Helck」6巻です。初期の出オチだったギャグ漫画からここまでシリアスな作品になるとは誰が想像したでしょうか。アズドラ自身も当初は抜けたボケ担当だったのに、こんなにもカッコいい姿を見せてくれることになるとは。これだからHelckは面白いんだよなあ。

設定自体も実際結構練られていて、勇者システムとか人類総勇者化計画とか勇者は死んでも生き返って強くなるとかなかなかファミコン世代にはたまらないものになっています。ただ最近思うのは、自分が読んでるのがそういうのが多いだけかもしれないけど、やたらと人間と魔族が対立していて魔族側が実は良識あって人間側がエゴの固まりの聞く耳持たないという書き方が多いような気がする。その方が人間臭くて好きだけどね。


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こんなこと言われたらもう信じるしかないやろー。これまでも人間に裏切られ、人間に蔑まされて来たヘルクなんだから、魔界に来て出会った人たちと育んだ関係や信頼を言葉でぶつけられるとか絶対やばい。自分が当事者だったら泣く、間違いなく泣く。

というわけで、過去編が終わって次の話に向けて動きだすところの6巻でした。7巻はアズドラの本気から始まるはずなので大いに盛り上がることを期待!!


5巻の感想はこちら (Helck 5巻 - 人間のヘルクが魔族側についた理由が遂に明らかに!)
7巻の感想はこちら (Helck 7巻 - 信頼の上に築くもの、これは最高のシナリオ展開だ!)

眠気覚め度 ☆☆☆☆

ハピネス 3巻 - 吸血鬼の孤独と葛藤

二人目の犠牲者、それを生み出したのは……

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ドキッ!いきなり吸血鬼になっちゃった!なんて軽い感じとは全く正反対の流れでとことん重苦しく突如として吸血鬼となってしまった普通の高校生の苦悩と孤独と葛藤を描く、押見修造版現代吸血鬼物語「ハピネス」の3巻は闇がさらに闇を呼ぶ展開となっています。

第二の犠牲となったのは、当初いじめっ子、その後友人となった勇樹くん。巻き込まれ系吸血鬼が2人になったことで今後の展開がさらに広がりそうです。そもそも岡崎1人だとあまり行動に移さないから話が動きにくかったのでしょうか。行動派で吸血鬼であることを受け入れる勇樹が出てきたことでもっと能動的に動くことになるでしょう。


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正直なところ、押見修造の作品は絵での表現が素晴らしくあっという間に読み進めてしまういます。それがゆえ、じっくり描写されているようなところがあっても全体で見るとストーリー自体はそんなに進んでいない感じがしたり。「ぼくは麻理の中」よりは展開が早いとは思いますが、それでも中々話が進まないと錯覚してしまったり。まあこれが押見修造の味なので、面白いのは間違いないですが。とはいえ、五所さんの打ち明け話やノラとの逢瀬があったりとしっかり話も進んでます。

割と続き気になるので次巻期待だなー、楽しみ。


前巻までの感想はこちら (ハピネス - 押見修造が書く現代吸血鬼物語)

眠気覚め度 ☆☆☆

累 8巻 - マクベスと己の罪

「唯一残されるのは罪。マクベス夫人が、そして私が見たくなかったもの」

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 舞台「マクベス」の公演と野菊の復讐が平行で進んでいる「累」8巻は本当に素晴らしかったです。特にマクベス夫人を累の境遇と重ねることによって、その役に没頭すると同時に罪から目をそらせなくなる展開が非常に良く表現できています。

夫であるマクベスと共謀して王を殺害し、マクベスを次の王へ、そして自身を王妃へとするマクベス夫人。共謀時は怖いものなど無く、人を殺すことすらいとわない信念と野心の強さを見せます。しかし、いざ王権を奪取したものの、その後は悪政等々より周囲から追い立てられ、最後にはその信念、野心を失い犯してきた罪に脅え心を壊していくその姿、それを演じる累自身がまるでマクベス夫人そのものになってしまったかのような演技。このマクベス夫人と累のこれまでの罪を重ねることによって、改めて現実を直視させるという見せ方は本当に上手い。ただただ魅入ってしまい、ページをめくる手が止まることはありませんでした。

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それにあわせて、復讐を誓った野菊の動きと心の葛藤も素晴らしいですね。復讐するために、決して許すまいとしていた過去の自分をも利用するその信念。こちらも累同様に、内に秘めた熱い怒りが煮えたぎっています。その駆け引きがたまらなく面白い。

とはいえ、既に体勢は決しているかのようで、全ては野菊の計画通りに進んでいきます。そして終盤のあの展開ですよ。非常に、非常に続きが気になるところで終わってるので早く続きが読みたい!


ところで、その引きの為にあまりページにデビルズラインの1話が載っていたんだけど、これどういう関係なんだろう?


7巻の感想はこちら (累 7巻 - 姉妹の騙し合いが始まる)
9巻の感想はこちら (累 9巻 - 明かされる "いざな" の生い立ち)

眠気覚め度 ☆☆☆☆☆

地獄の教頭 2巻 - 死なせないことが極上の教育

2巻も教頭絶好調!教育対象には鉄拳制裁!!
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学校の教頭という、企業ではいわゆる中間管理職の立場の主人公が悪い生徒や先生を暴力で教育的指導していく「地獄の教頭」2巻です。今回も教頭の拳が唸るぜ!

なんですが、今回の話、校長の件や3巻に続く話はともかく、2巻のメインである話は生徒自身にも新藤先生にも特段悪い点が見当たらないのがなんだかなあと。新藤先生に教頭の真実を伝えるためには仕方の無い展開だったのかな。それなら新藤先生を生徒が襲うとか他の学校の生徒とトラブルになって巻き込まれてっていう方がまだ教頭としての共通点が多くてよかったかも。

今回の新藤先生の行動と、その後の動きについては賛否両論あるところでしょう。おそらくこの作品の読者は教頭寄りな考え方が多いはず。綺麗事だけでは生きていけない現実主義であるところ、気に食わない世の中の犯罪者等をせめて作品の中ではぐちゃぐちゃにしてやりたいという人が多いと思いますので。

なので、新藤先生が教頭の暴力に対して否定的なことは「なにをあめぇこと言ってんだてめぇは」ってなもんです。暴力を使っちゃいけないというのは相手が言葉を理解できる存在でなければならなくて、そうでないなら別の手段を取るべきです。それが出来ないなら、諦めてしまうなら、初めから関わるべきではありません。最も、この作品の暴力を現実世界でやっていいかどうかを肯定するわけではありません。根底は、作品の中でくらいぐちゃぐちゃにするという選択肢があってもいいのではないかということです。そういう意味では、この作品は「怨み屋」とか「善悪の屑」に似てるのかも。

さてさて、3巻では15年前の話、教頭の過去から始まりそうですね、楽しみです。


1巻の感想はこちら (地獄の教頭 1巻 - 仕事の遂行の為には手段を選ばない中間管理職)

眠気覚め度 ☆☆☆

スピリットサークル完結!!
今のイチオシ!!
少し前のイチオシ!!
結構前のイチオシ!!
タイムリープサスペンス!!
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