恋愛

その着せ替え人形は恋をする 12巻 - 職人五条新菜

クリスマスに浮かれる海夢と衣装作りに職人魂を発揮する五条くんの対比が見れる「その着せ替え人形は恋をする」12巻です。

五条くんがカッコいい巻となります。ひたすらストイック、頭の中にあるのは衣装作りのことだけ。全く妥協することなく、ただただ自分が追い求める理想への道を突き進む五条くん。カッコ良すぎてこりゃ海夢も好きぴにもなるわ。

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「頭の中に理想のものがあっても実現するのが難しい」とは五条くんのおじいちゃんの言葉。

どうしてもイメージどおりのものが作れなくて、出会ってきた人たちの経験知識の凄さと比較してしまって、自分には何もないと思い込んでしまう五条くん。まさに探求を続ける職人です。自分が追い求めるものを探求する追求者は男女関係なくカッコいい。

また、じいちゃんも理解者であり、優しく見守る立場なのが素敵なんです。


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「「もっとこう作りたかった」「もっとこう出来たはず」納得できず三十、四十、五十歳と理想に追い付けないまま ああだこうだ言い続けて 年が七十にもなれば今度は 体が追いつかなくなって…新菜も生涯納得する事はないだろうなぁ」

自身も職人だからこそ孫を理解しているじいちゃん、なんて素敵な関係性なんでしょう。そのあとの海夢へのお願いもまた素敵で、そして海夢もまた良き理解者であるところが、「その着せ替え人形は恋をする」の良さを物語っています。


というわけで、今回は終始職人五条新菜にスポットをあてた巻でした。正直なところしゅきしゅきだいしゅきの海夢の展開も好きですが、悩みながら自身の理想を追い求める五条くんの展開も大好きなので12巻はとても良かったです。むしろそっちの方が好きかも。なんだかんだ、やっぱり熱い物語が好きなんだなあ。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


8巻の感想はこちら(五条くんの心の扉が開いた音が聞こえる)
9巻の感想はこちら(五条くんが今までで一番の恐怖を感じる巻です)
10巻の感想はこちら(恋する海夢の悩む思いにニヤニヤする)


その着せ替え人形は恋をする 12巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
福田晋一(著)
スクウェア・エニックス 2023-09-25T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.9
¥730


アニメ感想はこちら

1話の感想はこちら
2話の感想はこちら
3話の感想はこちら
4話の感想はこちら
5話の感想はこちら
6話の感想はこちら
7話の感想はこちら
8話の感想はこちら
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10話の感想はこちら
11話の感想はこちら
12話の感想はこちら


となりの信國さんは俺のことが好きな気がする 5巻 - 佐々木くん成分が少ない巻

佐々木くんが全然出てこない「となりの信國さんは俺のことが好きな気がする」5巻です。

半分近くが愛莉と新島センパイと国分さんのお話なので、佐々木くんも信國さんも出てくるのは後半です。そのせいか、全体的にはちょっとトーンダウンしてしっとり読ませる5巻になっていました。決してつまらなくはないのですけれども、いつもの信國さんとはちょっと違うかなと感じます。


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とはいえ、こんな彼女面した信國さんも後半出てきます。まだ付き合ってないのにすっかり彼氏彼女気分ですなあ、ええ?

ただ、用事もないのに佐々木くんを見掛けるたびに小走りで近づく信國さんの話や、インスタに載せる写真を吟味する信國さんはいつも通りの信國さんでした。


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この顔は個人的に一番好きなハムハム顔の信國さんに匹敵するくらい好きだなあw

あとはSNSアカウントを好きな子の名前で検索しちゃうとか思春期あるあるのお話ですなあ。青春ですなあ。それはなんて青春でしょうなあ。

とにもかくにも、後半からはいつもの信國さんの5巻でした。安定して面白いです。


眠気覚め度 ☆☆☆


2巻までの感想はこちら(空回り系恋愛ギャグが本当に面白い)
3巻の感想はこちら(ポンコツ信國さんが可愛すぎる上に笑えて素晴らしい)
4巻の感想はこちら(佐々木くんとの初デートは果たして成功するのか)









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青野くんに触りたいから死にたい 10巻 - 黒野くんと直接対峙

黒野くんが顕現して大勢を巻き込み始める「青野くんに触りたいから死にたい」10巻です。

9巻でとんでもない引きで10巻へ続いたわけですが、その流れで10巻はとんでもないことになっています。

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「お前たちは3回間違えたので俺の勝ちだ」

読み返してないので何を間違えたのか抑えきれてないのですけれど、文化祭の出し物として披露していた演劇ロミオとジュリエット、そこにいる全員を巻き込んでの黒野くんとなっています。

この流れ、ものすごく恐ろしいのが読んでて伝わってきます。

この世のものではないものが現れて、ありえない力で次々と人を傷つけていく。軽い気持ちで除霊と考えていた内田もその恐ろしさを実感し成すすべが無くなっていく。現場の人々のパニック感、そして黒野くんの恐ろしさ、見事に表現しています。


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「やめたら何くれる?」

常に見返りを求める黒野くん。優里の「もうやめて」の「お願い」にこの答えをする黒野くん。これが素直に怖い。


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「やめたら何くれる?」

それを返す形で、藤本くんを利用し逆に黒野くんに言い返す優里。強くなったなあ。初めの頃のおどおどしてどうしようとなっていた優里から、いまではここまでの度胸が付きました。何より、これまでずっと悩まされ続けた黒野くんに真っ向から戦おうとしてるのがカッコいい。


そのあとは青野くんの死の真相を知るべく、何故か優里が青野くんの母親の過去を追うことになります。

正直この青野くんのお母さんの過去話は胸糞が多いです。大人になれないまだ母親になってしまったお母さん。頼りにしていた旦那を亡くして1人苦しんでいるお母さん。そこに付け込んで合意が無いまま不倫の関係を持つ職場のクズ。誰にも全然共感出来ないです。

なので、後半は読むのがしんどかったなあというのが素直な感想になります。この過去編どこまで続くんだろ、できれば早めに終わってほしい。


何にせよ、前半の黒野くんと対峙するところはめちゃめちゃ面白いです。これまでも面白かったですが、10巻の前半は最高潮に盛り上がったと言っても過言ではないでしょう。ここからどんな結末を迎えるのか楽しみで仕方ありません。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆




となりの信國さんは俺のことが好きな気がする 4巻 - 佐々木くんとの初デートは果たして成功するのか

いよいよ意中の佐々木くんとデートしてしまう「となりの信國さんは俺のことが好きな気がする」4巻です。

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いやあ、いいですなこの表情。私の大好きな信國さんがするあの顔に似てますな。

なんと4巻はまともなラブコメです。いやいや、これまでもまともだったじゃないかと言っているそこのあなた、これは信國さんですよ?ポンコツ信國さんがめえ子様のモテクを使って佐々木くんに様々なアプローチをするのが基本の信國さんですよ?まさかそれがこんなにも真っ当なラブコメになってしまうとは。

2人が色々思いを交錯させながら少しずつ愛を育んでいく姿はとても美しいのですけれど、こういった作品は正直なところ、そういったまともなラブコメに振り切り始めると途端に普通の作品になることが往々にあると思うので、少し不安なところもあるのです。

だけどそれを差し置いても4巻のラブコメの流れは素敵。信國さんのこれまでの努力があったからこその4巻なので、見守っている読者としての喜びもひとしおです。


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相変わらず察しの良い佐々木くん。相手が鈍感キャラではなく察して色々してくれるのに、肝心の信國さんはラブコメ主人公にありがちな鈍感系なのがまた良いんですよね。


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エッチなことしようとしてた顔もわかる佐々木くん。手を繋ぐのがエッチなことかあ。若いなあ、青春だなあ。


そんなこんなで、デートに行くまでのひと悶着と、実際のデートと、そこからの佐々木くんの心情変化とラブコメ真っ盛りになった「となりの信國さんは俺のことが好きな気がする」4巻でした。

いいなあやっぱり。笑えるし初々しいし心が穏やかになる。元気がもらえる作品です。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


2巻までの感想はこちら(空回り系恋愛ギャグが本当に面白い)
3巻の感想はこちら(ポンコツ信國さんが可愛すぎる上に笑えて素晴らしい)








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すべての人類を破壊する。それらは再生できない。 11巻 - すれ違いはラブコメの基本ですな

1999年を舞台に青春真っ盛りな「すべての人類を破壊する。それらは再生できない。」11巻です。

いやあ、青春してるなホント。憎たらしいぐらいに。

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男の部屋で二人勉強会。もうこんなの何も起きないわけがないですなあ。早い人は中学生でもうあんなことになったりしますしなあ。ああもう、青春し過ぎて憎たらしいですわ。

お互い甘えベタで、なかなか素直になれなくて、だけど少しずつ少しずつという、好きな人にはホントたまらない設定だと思います。爆発しろ。


一方、久遠側とはいざこざやすれ違いがあったり。
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「クオンのフランス語はまだよちよち歩きの赤ん坊…」

これも青春あるある、そしてラブコメあるあるですなあ。すれ違いや勘違いをして関係にドラマを作る、ラブコメの基本だと思います。そこがしっかりしてるので、MTGを知らなくても読める作品に仕上がっているとも言えるでしょう。

ただ、これって割りと諸刃の剣で、ベッタベタな基本を使うにはキャラの魅力が無いと設定に振り回されると思うんです。そしてこの作品はなかなか際どいところにある気がします。

というのも、主人公が厨二臭くて発言が傍から見ていやいやちょっとそれは恥ずかしい…と思ってしまうようなこともあるわけで。当時の流行りセリフとかゲームキャラの名前使うとかはどうも見る度に恥ずかしくなってしまう。

あと、恥ずかしいセリフを平気で言えるところもなかなか。これが共感性羞恥というやつなのか。。。


話としても、ラブコメとして大きな転換を迎えるようです。ありがちな設定だけどこれをどう料理していくか、楽しみですな。


眠気覚め度 ☆☆☆


8巻までの感想はこちら(90年代末が舞台の刺さる人には刺さるやつ)
9巻の感想はこちら(思いを紡ぐ大会での激闘は必見)
10巻の感想はこちら(それはなんて青春)


すべての人類を破壊する。それらは再生できない。 (11) (角川コミックス・エース)
横田 卓馬(著), 伊瀬 勝良(その他)
KADOKAWA 2022-10-25T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥697

その着せ替え人形は恋をする 10巻 - 恋する海夢の悩む思いにニヤニヤする

アニメ2期が決定してまたまた盛り上がり中の「その着せ替え人形は恋をする」10巻です。アニメ1期はものすごーく良かったので2期も期待ですな。

10巻はジュジュさまに「棺」の合わせコスを依頼するところからです。コスプレ交流の輪が広がっていき、頑なだったジュジュさまも徐々に打ち解けていく感じがたまらんですな。

全体的に半分くらいは久々の海夢サイドから見た恋愛話。残りはアキラさんとの小物作りとジュジュさまとミヤコさんたちの交流という流れです。

時系列的には話があまり進んでないように見えて、しっかりたっぷり話を詰め込んであるのがすごい。


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「俺 今夜 寝るつもりないので」

ひょんなことから海夢の家に泊まることとなった五条くん。一晩過ごすために色々考える五条くんと、やっぱり色々考える海夢のすれ違いっぷりが面白い。

やっぱり着せ恋の素晴らしいところって、五条くんの気持ちを明確にしないまま海夢がひたすらあれこれ悩むとこだと思うのです。そういう意味では10巻の海夢は本当に良かった。最初の頃から色々と気持ちが変わっていって、それがまた行動に現れているのが素晴らしい。

そしてこの2人の関係もそう簡単には進展しなさそうなのが良いんですなあ。今回のお泊りも読者は結果が容易にわかっていたわけで、そんな関係性にニヤニヤするのがたまらんのです。


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「だから今日あたし達が作るのは 目玉とケーキと肉片ね」

小道具の料理を作る対象が目玉とケーキと肉片。このふざけてるんだかふざけてないんだかよくわからない表現すきだなあ。

「着せ恋」らしく小道具作成のシーンもしっかり描写されています。ピンポン玉から作るんですねえ目玉って。

その流れでアキラさんがやっぱりルナ社長のコスプレをしていたという発言もあり。しかし10巻ではアキラさんが海夢を避ける理由にはまだ言及されていませんでした。

そんなに引っ張る必要ある伏線なのかなこれ?正直10巻読んでたらそんな設定どうでもよくなってきましたw そんなことより海夢が可愛くてミヤコさん達のオタクムーヴっぷりが面白くてジュジュさまが懐柔されていきそうで、そういうところに面白さ全振りしていて正直アキラさんとかどうでもよくw


というか、ミヤコさんと涼香さんたちキャラ濃いなあw オタクの権化みたいなオタクムーヴでジュジュさまもたじたじになっていくのがまた面白い。

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「オイオイオイ!!! バカタレ!!!! 優勝じゃね────────かよ!!!!」

まったく同じシーンで2回も同じコマ描かれてるミヤコさん絶対作者大好きでしょwww ていうかミヤコさんって作者の投影なのでは?w


というわけで、まだまだ衰えることなく、むしろ面白さが加速していっている「その着せ替え人形は恋をする」10巻でした。

ホント面白いなあ。アニメ1期も制作会社に恵まれてものすごく出来がよかったし、2期も11巻も断然期待です。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


8巻の感想はこちら(五条くんの心の扉が開いた音が聞こえる)
9巻の感想はこちら(五条くんが今までで一番の恐怖を感じる巻です)
12巻の感想はこちら(職人五条新菜)


その着せ替え人形は恋をする 10巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
福田晋一(著)
スクウェア・エニックス 2022-09-24T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.9
¥660



アニメ感想はこちら

1話の感想はこちら
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11話の感想はこちら
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僕の心のヤバイやつ 7巻 - 思春期の葛藤と成長とニヤニヤと笑いのバランスが完璧

アニメ化も決まった大絶好調中の「僕の心のヤバイやつ」7巻です。青春してるよなあ、たまらんよなあ。

好き合ってイチャイチャしまくっているのに、自身の劣等感や自信のなさ、自分などこの相手に見合わないはずだという思い込みから、この好きという気持ちを偽り続ける自分の意気地なさにももやもやし続ける、そんな思春期の葛藤が本当にたまらんのです。


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「山田は俺のだ」

好きな子には面と向かって言えないくせに、他の前では言えてしまう度胸っぷり。好きなのに素直に伝える自信がなくて、だけど相手も絶対に自分のことを好きでいてくれると確信していて、その自信もちょっとしたことで揺らいでしまって。

だけどちょっとしたことからすぐに行動を起こすようになり、遠い広島と通話をしていたのに途切れてしまったことから不安で悩んで広島まで行ってしまおうかとまで思いつめて、それで結局相手の親のところまで乗り込んでしまう行動力を発揮して。


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「ただ無事だって確認したいだけ」


そんな市川が、徐々に徐々にその殻を破って成長していくのが「僕ヤバ」の魅力だと思うんですよ。

これ、初期の市川からは考えられないような行動なんですよね。こういう行動が出来るようになったのも、山田のことを好きになって山田との関係を続けて、山田にふさわしい男になるために変わろうとして、そうしてこれまで培った成長があったからこそ取れた行動になっているんです。

単なる青春恋愛ものではなく、恋愛をテーマにした成長譚とも言えるでしょう。人の成長を描いてる作品はやはり名作揃い。しかも本人の葛藤も交えながらきっちりじっくり下地を積んだ上の成長になっているのが本当に上手いと思います。


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「2人きりで何度も遊んでるのに まだ付き合っていないのか」

自分のことを棚に上げているのに気づいているんでしょうか?こういう一コマの間だったり、絵を見るだけでわかるキャラの感情だったりの表現がとても上手くて、純粋に漫画として高レベルな作品でもあると思うんですよね。


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「ゴムある?」

それでいて、思春期特有のシモネタも含んだギャグも鋭いところがまた素晴らしい。山田との接触ミスリードで闇山田がしばしば出るところとかも本当に面白い。人間劇というか、キャラをしっかり立てた上での群像劇としても面白いんですよ。


初期の頃からキャラ同士の関係性も少しずつ変わってきて、市川と山田はもちろんなんですが、市川が女子連中とも仲良くし始めたり、それでいてしっかり男子連中とも仲良くなっていたりするところもやはり読んでて清々しいです。こんな青春を送りたかった。


各種メディアや世の中も図抜けて上がってきている「僕の心のヤバイやつ」は、これを読まずに何を読むと言っても過言ではない作品でしょう。もしまだ読んでいないのであれば必読です。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


6巻の感想はこちら(まだ読んでない人には今からでも読んでほしいくらいオススメです)


僕の心のヤバイやつ 7 (少年チャンピオン・コミックス)
桜井のりお(著)
秋田書店 2022-08-08T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.9
¥446


ニューノーマル 3巻 - マスクを外すだけなのにエロい

パンデミック発生のマスク社会を経て、マスクで常に隠され続けた口が性器扱いとなる「ニューノーマル」3巻です。相変わらずエロい。

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「穴の中なら……恥ずかしいコトしてもいいよね?」

公園の遊具の中で、思春期の男女が二人。夕日が落ちていくなか、2つの影は1つに重なるのか。そんなことを想像させてくれる展開ですよこりゃ。

中でどんな恥ずかしいコトをするのかと思えば、禁忌となっているマスクを外す行為。それは今で言う性器を見せ合うと同義なわけでして、つまり二人は公衆の門前で隠れてペッティングしているわけです。そう考えるとやたらとエロくなる。


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「……ですよね だってここは 真っ暗だから」

真っ暗の中で、マスクを外して性器を晒し、男の足を抑え広げて彼女は何を迫るのか。こう書くととてもエロティックになるわけですよ。このあとなんて男の股間をアレしてコレしてしまう想像しかできないわけじゃないですか。

それにしても、絵が綺麗なのもそうなのだけど、絵の展開、間の上手さが雰囲気とエロさを際立たせてると思います。エロ漫画のような直接のエロさは一切ないのにどことなくエロチシズムを感じるのはそういうことなんでしょうなあ。


これらのエロスな展開がこの作品の本体だと思うのですが、それはそれとして少しずつお話も進んでいきます。

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新しく出てきたサロン、追憶のBPの世界。BPとはBefore Pandemicであり、マスク社会前の時代を味わおうというサロンです。ここに夏木ちゃんが惹かれてしまうのですな。ついでに新キャラも出てきてすぐに口をボロンしました。見せたがりか。

元々昔の映画、マスクが無い世界が当たり前の時代の映画に惹かれていた夏木ちゃん、だからこそマスクが無い社会に心の底では憧れてるのでしょう。

秦くんのことが好きというのも、口を互いに見ている秘密を共有しているからであり、決して愛ではなく恋に恋する恋心が好きと思わせているだけです。思春期あるある。

なので反マスク団体が危険と理解しつつも、禁止されている口を晒す環境に憧れを抱いていて、たまたまその憧れを解放共有出来るのが秦くんだったんですよね。夏木ちゃん、色々な感情が渦巻いて洪水起こしそうな感じですね。


そんなこんなで、しっかりとエロシーンを描きつつ話も徐々に展開していく「ニューノーマル」3巻でした。思春期のイチャイチャを表現しつつ、マスク社会への様々な思いを巡らせていくような展開になるのでしょうか。いずれにせよ続きが楽しみです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


1巻の感想はこちら (新時代のエロス)
2巻の感想はこちら (どうしてこんなにエロいのだろう)


ニューノーマル【単行本版】3 (コミックアウル)
相原瑛人(著)
ファンギルド 2022-07-19T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.8
¥748


青春は変態 - 山本中学の新作は陰キャ同士の悶々とした恋愛をニヤニヤ見れる

これ、本当におすすめです。

内面の心理描写が抜群の山本中学先生の新刊「青春は変態」がめでたく発売されました。もう、とにかくニヤニヤが止まらなくて一気に眠気が覚めてしまいました。これは恋愛もののひとつとして絶対に人気が獲得出来るレベルです。知名度が上がれば売れるはず。

実は、山本中学先生が描く作品ってドロドロしてたものが多かった気がするんですよ。「繋がる個体」は好きなのに理由があって別れたアラサーがくっつく話だし、「戯けてルネサンス」は高校ものだけど出てくるクラスメイトの過去が壮絶だったし、「サブスク彼女」はそもそもメンヘラがテーマだったし、「左様ならこんばんは」に至ってはヒロイン最初から死んでるし。

だけどこの「青春は変態」はとにかくピュアな陰キャの恋愛が見れるんです。相手のこと好きなんだけど、実は好き避けしちゃってたり、勝手に卑下して相手に不快な思いをさせていると思いこんで落ち込んでいたり。

そんな男女それぞれの心理描写が代わる代わる表現されることで、陰キャ思考が実は全然大したことない杞憂で、そんなごちゃごちゃしなくていいからとっととくっつけよコンチクショーとなるんです。そう、ちょうど作中の樒(しきみ)さんと同じ立場になれます。

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序盤から友人にからかわれることを契機に、隣同士の席だった二人が、これまで実はお互い密かに意識しあっていた二人が急に接近を始めるんです。しかも女の子の檜さん側からの大胆のアプローチで一緒に帰ることに。そんなきっかけで、少しずつ二人の歯車が動き出すんですね。

だけど前述した通り、自分のことなんか好きになるわけがないという勝手な思い込みが二人共あって、一緒に帰って楽しいはずなのに緊張して考えすぎて、そしてその心理描写が次々と繰り返されます。ある意味双方が主人公として様々な思いを交差させるわけです。

もちろんこの二人の思考なので、それぞれの思いには気づいていません。読んでいる第3者の読者だけがわかるという、まさに神視点で二人を見守る事ができるんです。これがやっぱり、元々心理描写が上手いからこそ出来た手法なんじゃないかと思うわけです。これは上手いと思うなあ。


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えっこの時間はもはやデートでは!?

色々あって、何かおごるということで喫茶店に入った二人、実際にケーキを食べるまでこれがデートであると気づきませんでした、初々しくて可愛い。

そしてこのシーン、水を注ぎに来る店員がこの二人を見てニヤニヤしていて、それがまた良いんです。この店員もまさしく、読者である我々と同様に二人の初々しい姿を見守ってるんですねえ。作中キャラと読者もシンクロさせて、何よりもこの主人公二人の恋愛がメインですと主張してるのがまた上手い。


こんな展開をしながら、徐々に近づいたと思いきや、陰キャ思考が故にやっぱりなかなかすぐにはくっつかなくて、ニヤニヤもモヤモヤもさせてくれる展開になっていきます。

そんな展開が続いてくのかなーと思いきや、中盤に息を呑むような大きな動きがあります。

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このシーン。ポイントになるのはこの前のページなのですが、さすがにそれはネタバレなので貼れません。ただ、このシーンがめちゃめちゃ良すぎて、「青春は変態」が絶対に売れるべき作品だと思わせてくれました

これがきっかけでお互いの意識がさらに深まっていって、いよいよタイトルにある「変態」的な妄想やらなにやらが始まっていくのです。


いいなあ、若い頃は確かにこういう思考しちゃった時もあったなあと色々思い出させてくれます。なので、二人が考える陰キャ思考もわかるし、そんなのは杞憂だというアドバイスもしたくなるし、それでも徐々にお互いのことを理解して思いが深まっていくのをじっくりニヤニヤ見届けたいしという気持ちになるんです。

これ好きな人は好きどころか、知名度上がれば絶対に注目されると思うんだよなあ。それくらい一般向けな内容になっている気がするし、山本中学作品に触れるならすごく入り込み易いと思うんです。

何より他の作品よりもドロドロしたところがないし。せいぜい陰キャ思考が過ぎてイライラするかもくらい。出てくるキャラも悪い人物はいないし、作中キャラはみんな杉村くんと檜さんのそれぞれの思いに気づいていて、二人を応援してる人たちしかいないし。

じっくりとニヤニヤしながら二人の行く末を見守りたくなる「青春と変態」でした。抜群にオススメです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆


青春は変態 1
青春は変態 1
posted with AmaQuick at 2022.06.10
山本中学(著)
日本文芸社 2022-06-09T00:00:00.000Z

¥734


おぼこい魔女はまじわりたい! 3巻 - 普通のラブコメになってきました

魔女見習いから昇格するために男の子とシたいのだけど、1から関係を築きましょうとなって妙にピュアな中学生生活を送っている「おぼこい魔女はまじわりた!」3巻です。

普通のラブコメになってきましたね。2巻で学校生活に馴染み始めてクラスメイトとも友達になってきた流れから、本当に普通の子になってきています。3巻の最初を読んだ時は、あれ、古森さんってこんな普通に喋れる子だっけ?と違和感を覚えたほど。

しかしクラスメイトと日々楽しそうに生活する古森さんは見ていて楽しいし、ヒイラギくんの家にお風呂に入りに来る古森さんは可愛いし、中学生になってもお父さんとお風呂に入ってる佐枝木さんも可愛いのです。

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普通はこういうの女の子の方から嫌がると思うんだがw


そんな感じで、至って普通のラブコメになっているのですが、キャラが良いのと絵が可愛いこともあって何の問題もなく楽しめて読めます。時折古森さんの魔法の話とか魔女の話とかもきちんと出てくるし、しっかり設定を生かしたお話になっています。

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普通のラブコメですよ。


クラスメイトとも魔女の話を明確に明かしたわけではないですが、徐々にそういった話にも巻き込まれているのがまた楽しいです。このままもっと打ち解けて古森さんが言わなさそうなセリフまで言うようになってほしい。


というわけで、引き続き安定して楽しく読めます。「おぼこい魔女はまじわりたい!」の世界はみんな優しくて意地悪なのもいないのでとにかく安心して読めるのが良いですね。次巻も期待です。


眠気覚め度 ☆☆☆


1巻の感想はこちら (思春期真っ只中で迫る美少女)
2巻の感想はこちら (クラスメイトとも仲良くなっていく世間知らず魔女の成長譚で優しい気持ちになろう)


おぼこい魔女はまじわりたい!(3) (ヤングキングコミックス)
仲邑エンジツ(著)
少年画報社 2022-06-16T00:00:00.000Z
5つ星のうち4.9
¥759


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