「虐げられてる人間のほうが、虐げる人間よりもよほどタフなのよ。」

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残酷無残修道女魔女活劇「辺獄のシュヴェスタ」3巻はこれまで以上に狂気描写たっぷりでした。いや、これ、割とガチで駄目な人には駄目なんじゃないかってレベルですよ。レベルというかレヴェルですよ。

元々1巻の時点で腕を斧で斬りおとしたりの拷問に近い描写はあったわけですが、この3巻はそれに拍車を掛ける形で思うがままに拷問描写がされています。しかも恐ろしさを感じるのが、それを執行するのも同じ修道女達だというのにも関わらず、ほとんどがその罪悪感や嫌悪感にかられずにさも当然であるかのごとくこなすというところ。

まさしくこの修道院の「異常さと狂気」を上手く描画しているということでもあるのでしょう。そういう意味では、中途半端なことはしないで真っ向からその表現をしている点がグッド。ただ、このリアルな描写が読者離れも引き起こしているんじゃないかと懸念してしまうのも事実です。


水責め
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飲めないのに無理やり口の中に水を入れられ続けるという元祖拷問ですね。飲ませては吐かせてを繰り返し、胃酸で喉や食道はずたずた。状況によっては無理やり吐かせるためにわざと長い布を飲み込ませてからそれを引き抜くことで内臓を痛めながら水も吐かせるという荒業もあるとか。


焼鏝
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下手すると二度と消えることの無い烙印を火傷とともに押し付けられる。カイジは二の腕の外側だけだったからよかったけれど、こと拷問となると身体中にそのコテを押し付けるのでしょう。頬、額、肩、乳房、脇腹、内腿、陰部。人間身体の20%も火傷してしまえば致命傷となります。まあそれ以上に、目の前に存在する良く焼けた鉄のコテというものはこれから来る痛みや恐怖を沸きたてます。


そして今回拷問とは少し違うけれども、エラが執行することになったのが腕の切断
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上の2つは上級生による拷問ですが、最後はエラが初めて他者に痛みを与えるため(明確には罰を与えるため)に行う拷問です。この違いわかりますよね。される側の恐怖はもちろんのこと、執行する側も恐怖で満ち満ちているということです。このエラの感情は、普段他者を傷つけることを日常的にはしていない私たちにとっては至極真っ当な表現です。それに対しての上級生たちの冷酷で罪悪感皆無の執行が、この修道院の狂気を示すための良い比較となっています。もとよりこの修道院がおかしいのは周知の事実ですが、それをさらに明示したのがこの3巻と言えましょう。

※ちなみにこのあと、エラは人を無為に傷つける恐怖と戦いながらも刑を執行します。それはもう、リアルな切断です。


というわけで、そもそもこの作品を読んでいる方はそんなことは百も承知で読んでいるとは思うのですが、思わず眼を背けたくなるような拷問描写がされている「辺獄のシュヴェスタ」3巻でした。

どうなんだろうなこれ、その手の趣向の人には物足りないと思われるだろうし、あくまでこの表現は作品を色づけるためのアクセントとして捉えるとちょっとやり過ぎな気もするし。個人的にはここまで描ききっているのはとても凄いことだと思います、中途半端にこれらのシーンがカットされるよりは絶対に良い。

あと、ちょっとストーリーのことに触れると、この修道院の総長のエーデルガルトってどうも根っからの悪人には見えないんだよなあ。なんか意図があってこういった政治体制を敷いているという風に見える。そうなるとエラが本当に復讐すべき相手はまた違ってきたりするのだろうか。なんだかんだ次巻も楽しみですな。


2巻の感想はこちら (辺獄のシュヴェスタ 2巻 - 復讐の時までその牙を磨き続ける)

眠気覚め度 ☆☆☆☆