テーマは社畜!

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長時間労働、サービス残業、休日出勤なんでもござれのブラック企業に勤めているプログラマがテーマの「いきのこれ!社畜ちゃん」はいわゆる現代社会の一般的に捉えられているプログラマ世界を書いています。

ただこの作品の場合、主人公である社畜ちゃん自身が既に業務をこなす能力を持っているし既に現状をどうにか打破しようという考えではないので、坦々と社畜っぷりをこなしているだけとなります。なんというか、そういう現実を書いているだけというか、その状況を覆すための奮闘とかは一切ないので面白さの盛り上がりには欠けるのかなと思います。

社畜の中身も、ホントのブラックに勤めてる方から見ればこんな平然と続けられねえよというツッコミが来そうですし、ブラックを知らない人が読んだら底辺ブラックの社畜さんは大変だねぇと憐れみの眼で見られることになるかと。つまり、正直なところ誰も得しません。あくまで事実(本当にあった事案かどうかはわからないが)が展開されるだけと言えるでしょう。

とはいえ、それをテーマにしつつも登場キャラは可愛くておっぱいも大きいので、まあそういう層を狙っているのでしょう。これがあまり上手くない作画だったらおそらく手に取る人もグッと減ると思います。なので、そういうのを目的にする方から見るなら悪い作品でもないのかなと思います。


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これがブラックの実情なのかな。自分自身がこういった環境で働いたことがないので、なんとも共感が出来ないんだよな。知らない自分が見たらこんなことは「ありえない」としか思えないのですが、ブラックの立場の方から見ると「まあそうだよね」という感想になるのでしょうか?うーん、捉え方次第なんですよね。これをギャグとして書いているのだと思いますが、上述のように少なくとも2つの捉え方はパッと思えるわけですので、では一体どういう層を相手にした作品なのかと。これがわからない。



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この新人ちゃんの反応は正しい。「いい感じ」にやっておいてというのは非常に便利な投げ方ではあるのですが、それ自体は相手のポテンシャルに任せてることなります。それを前提で「いい感じ」に投げていて、その責任を指示した上司もしくはPLがしっかり取るのなら「いい感じ」という使い方もあるのですが、責任は担当者という話だとまあ頭のイカれた話になりますよね。新人ちゃんとしては理不尽な責任を取らされないためにもわからないとはっきりといい成果物を厳密に定義してもらうべきです。とまあ、こういった感じで色々思うところもあるので、何かしら共感を得るところはあるのかも。

実はこの「いい感じ」って、自分自身も結構使ってしまっています。人に指示する時も色々説明した上でいい感じにやっといてと言うし、何か指示されたときも、要点かいつまんでから「そんな感じで、適当にいい感じにやっておきます」ってよくやっちゃうんですよね。だって楽なんだもん。批判はしたけど、使いどころを間違えなければ便利な言葉だと思います。

作品の後半には社畜ちゃんの過去話ということで出向先のプロジェクトが大炎上というお話があるのですが、正直これを社畜ちゃんの成長譚として書いてしまってもいいものなのか。上手く行ったのは責任感もやり切れるポテンシャルも社畜ちゃんに備わっていたというだけで、誰しもがそこを乗り越えられるわけではないんですよね。逆にそこで潰されてしまった人間はどうなってしまうのか。そういう方向から見てしまうと、非常に怖い話とも捉えることが出来ると思います。


やっぱり同業のブラック企業勤めの人に読んでもらいたいという作品になるのかもしれません。あとは可愛い女の子とおっぱいを見るだけの作品かなあ。ただ、新人ちゃんはいいキャラしているので、この子が現状打破の為に色々動き出すというようなストーリー展開なら目が離せない展開になりそう。逆に新人ちゃんも社畜ちゃん同様に仕事を疑問なくこなすようになってしまったら、やはりただただ社畜の現状が展開されるだけの作品で伸び代はないかなと思います。


眠気覚め度 ☆☆

いきのこれ! 社畜ちゃん(1) (電撃コミックスNEXT)
結うき。(著), ビタワン(その他)
5つ星のうち4.5
¥564