戦争に行ったお父さんは、
nemusame_20151210_000




竜になって帰ってきました。 
nemusame_20151210_002





そんな戦時下の英雄と、戦後のその立場を扱った「かつて神だった獣たちへ」の3巻となります。
率直に言うと、1,2巻よりも面白かったです。

というのも、今回顕著に見え隠れしたのが人間の悪意。 

この作品、戦争時に擬神兵として竜や狼のような獣、いわゆる魔獣になった人間達が、戦後にはその姿を戻すことが出来ず、理性も無くなり、本当にただの獣に成り下がってしまうというところがメインのストーリーとなっています。
理性も無いので家畜や畑、はたまた村も襲ってしまうものもいれば、理性は保っているものの、平和になった世界の人間達が自分達に向ける悪意、敵意のせいで敵対視してしまっているものもいます。

もう書いてしまいましたが、その人間の悪意が顕著に現れてきたのです。

元々、戦争を治めるために犠牲の心で獣になって戦った人間達。
しかし、戦争が終わると、戦争に行かなかった人間は手の平を返したように彼らを腫れ物のように扱います。
こういう心情の変化、人間の弱い心、こういう人間臭い表現が実にたまらない。大好物です。

nemusame_20151210_003

彼らも頭の中では理解しているのです、擬神兵になった人たちのおかげで平和が訪れたことを。
しかしまた、戦争から帰ってきた、理性を失った擬神兵が彼らの畑や家畜を襲うことで被害を受けていることも事実です。

そんな相反した事実が織り交ざると、人間は現状の回復をするように行動するのは必然です。過去に縋っても意味は無いですから。
だからこそ、未来へ向けてしなければならないことと、過去に対しての感謝と敬意とが入り混じった結果、どうしようもなくその感情をぶつけることとなるのです。

こういう話ホント好き。こういう展開があったから1,2巻よりも3巻が面白かったです。


また、大筋のシナリオもいい感じに展開してきましたね。
元々戦争を終えて平和になった国で、擬神兵の扱いについて対立が起こり国が分断される。
そしてそれぞれの国で対立するのは親子である。うーん、ドロドロしてきたなあ。


というわけで、3巻になってグッと面白くなってきた「かつて神だった獣たちへ」、続刊も期待です!

前巻までのレビューはこちら (かつて神だった獣たちへ - 力を持ちすぎた兵士の戦後の末路)


眠気覚め度 ☆☆☆☆