「さまざまな人の思いが 交差し はじきあい 浸色りあう   しかしそれらも皆  染めあげてみせよう 朱一色に」

醜悪な容姿を持ちながらも天性の演技力を持つかさね、
見目麗しい容姿を持ちながらもその容姿からこれまで苦痛を味わい続けた野菊、
そんな2人の異母姉妹を繋ぐものは「相手との容姿を入れ替えることが出来る口紅」

そんな「累」7巻ですが、遂に正面きってかさねと野菊が接触することになります。

かさねは丹沢ニナとして味わった生活を忘れられず、次なる美しい顔を求めて、
野菊はそんなかさねに復讐をするために。

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この各々の思惑を秘めた騙し合いが非常に面白い。

何よりも、美貌に執念を持ち始めたかさね側の、野菊を騙すためにすらすらと出てくる嘘とその演技、素晴らしすぎて、美しすぎて、思わす怖さを感じてしまいます。

それに対して野菊側の闇の書き方もすごい。
父親に性的虐待を受け続けた過去と、天ヶ崎との関係と、全てを憎んでいた世界と揺れる心と。

どちらかというと、かさねは執念の悪魔を貫き通し、野菊は人間としての心を取り戻していくという流れになるのでしょうか。
どちらも持つのは深い闇、そこから先に見えるものはということで。


ああ、どう考えてもハッピーエンドで終わらないこの物語、ホントたまらない。
どろどろで様々な思惑、悪意が入り乱れるこの「累」は本当に面白い作品です。


眠気覚め度 ☆☆☆☆


累 6巻の感想はこちらから (累 6巻 - そして醜悪な己に再度遭遇する)
累 8巻の感想はこちらから (累 8巻 - マクベスと己の罪)