九井諒子の短編集は竜に人魚に山の神に狼男と人外ばかり!

というわけで、ダンジョン飯経由で読んだ方も多いであろう九井諒子の短編集「竜のかわいい七つの子」です。
かくいう私もその一人であります。

さて、タイトル通り7つの短編で構成される本作ですが、どれもこれもなかなか秀逸な作品になっています。
というのも、やはりこの人は話の描き方が上手い。
無理なくすんなりと話にのめり込ませるし、展開も論理的に発展していきます。
キャラの思考も急に変な方向に走ったりしないので安心して読めます。

そして設定の細かさもまた素晴らしいです。

最初の「竜の小塔」は山の国と海の国の戦争中に両国のど真ん中に竜が巣を作ってしまって戦争は一時中断、その間交易も無いのでお互いに交易していた物資が全く手に入らなくなるというお話。

次の「人魚禁猟区」は人魚が普通に存在するが言語を解さない普通の動物のように扱われる世界観。

「狼は嘘をつかない」はいきなり子育てエッセイ漫画が始まったかと思いきや、狼男症候群という病気の子を持つ親のエッセイだったり。

最後の「犬谷家の人々」がダンジョン飯に一番近いテンションでしょうか。
ダンジョン飯から入った人に取ってはこの「犬谷家の人々」が一番しっくりくるでしょう。
世に忍ぶ超能力一家が巻き込まれる事件とは!?というようなお話。
他の6作品と違ってコメディなのでこれが一番ラクに読めるでしょう。


どれもこれも甲乙つけがたい作品ですが、あえて選ぶなら私は「狼は嘘をつかない」が好きです。
いきなり始まるエッセイ漫画に驚かされるのと、子供側の葛藤と。読んでて優しくなれます。
倉島さんがこの作品の中で一番可愛いし。
あとは地味ながらグッとくる「金なし白祿」素晴らしい。金が無いと誰も相手にしてくれないという人間臭さもグッド。

まあとどのつまり、はずれ無しです。読んで納得すること請け合い。良い作品集でした。


眠気覚め度 ☆☆☆☆