バーベキューの匂いにつられて罠に掛かって死んだ伝説の勇者に成りすましたのは欲望の塊の一般人!

裏少年サンデー連載中の「勇者が死んだ!」は出オチのギャグ漫画と思いきや意外とシナリオが考えられててシリアスシーン有りの読み応えがある作品になっています。

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主人公のトウカは本当に普通の村人で、農業を営む足フェチ。
畑や自分の身を守るために畑の周りには落とし穴が仕掛けられている。
そして空腹のあまりバーベキューの匂いにつられてその罠に落ちて伝説の勇者は死んでしまうという出オチ感。
だが案ずる無かれ、勇者の死体はネクロマンシーによってゾンビとして復活、トウカは次の勇者として、その勇者の死体と肉体を交換されるのであった。

というわけで、何故か強引に勇者の死体にトウカの魂だけ入れられ、勇者としての冒険が始まることになります。

なんですが、このトウカ、欲望の塊でとにかく金と女に弱い。
そして勇者の身体という立場を利用して、店から無料で商品をもらおうとしたり、宿代を無料にしてもらおうとしたり、女の子の店の代金も無料にしようとしたり。
まあなんだ、弱いランスみたいなもんか。
そんなトウカが、勇者としての立場は利用するが勇者としての人助けは頑張らないところがこの作品の面白いところ。
それに対して、仲魔の幼馴染が割とまともなことを言うことでバランスを取っています。イケメンに弱いけど。

そういうわけで基本的にはギャグなのですが、意外と設定が練られているし半分くらいはシリアスなストーリー展開もあるので、なかなか面白い作品に仕上がっています。
例えば、魔物じゃなくて悪魔という設定を使って、悪魔の心臓は魔晶石。この魔晶石を使えば魔法を使うことが出来るが、その効力は術者の魔力に依存するとか、得意な魔法の分野がそれぞれにあって魔法を使うにしても役割が分けられているとか。
勇者の聖剣はその形をどんなものにも変えられるので、鞭にして攻撃したり、隠れ蓑にしたりとか。
単なるギャグ漫画にとどまらず、そのあたりのひねり方も読み応えがあります。

近いのは「魔方陣グルグル」かな。あれも主人公は金と女に弱かったな。
ニケをもうちょっと外道寄りにして、主人公の肉体は死体で腐ってて、魔法が切れると腐敗が進行したり死臭が増したりして、ギャグ漫画的なツッコミの顔面パンチで文字通り目玉が飛び出したりするのがこの作品です。


眠気覚め度 ☆☆☆

勇者が死んだ!3巻の感想はこちらから!!