出てくる剣豪は女の子だけど中身は真摯な残酷無残時代劇!血飛び死体舞う剣の世界!!

残酷無残時代劇と言えば、 駿河城御前試合を基にした「シグルイ」が有名です。
かくいう私もシグルイ連載当時はその素晴らしさに圧倒され、魅了され、ファンの一人となってしまいました。

今回紹介する「ヴィラネス - 真伝・寛永御前試合」もその系統のひとつと言っても過言ではないでしょう。
もっとも、シグルイのように圧倒的な画力、圧倒的な勢いで攻める作品ではないのでその点では見劣りしてしまいますが、
それを補って余りあるほどの表現力という魅力を持った作品です。

ただ、冒頭にも書いた通り、何故か出てくるメインキャラが全員女なんですよ。

主人公は宮本武蔵なのですが、まだ子供なので宮本弁之助と名乗っています。だが女だ。
そしてその師匠として共に廻国修行しているのが、これまでに48人を斬ったという剣豪、秋山虎之介。だが女だ。
更に、2巻で一気に話が展開して出てくる化物が塚原卜伝。だが女だ。
 
なぜ女なのか。それがどうしてもわからない。 
ですが、この絵柄と話のテンポの良さ、そして華々しさという点では、女にしているのが凄くしっくりきます。
そういう風に見せることが出来るのも上手さのひとつと言えるでしょう。

ストーリーとしては少し前述してしまったんですが、今のところのテーマは「廻国修行」です。
読みは「かいこく修行」。各地を廻って名のある相手と仕合っていくという形になります。

主人公は宮本武蔵とはいえ、まだ子供でろくに人に教わったこともないような状態。
それに対して、道中出合った秋山虎之介は既に48人を斬ったことのある名のある剣豪。
ひょんなきっかけで秋山の弟子となり、秋山の49人目の相手との仕合に立会い、その凄さ、仕合に勝つということとはというものをむざむざと見せ付けられることになります。

と、1巻はそんな感じで血が出たり人が簡単に死んだりするものの、全体的にほのぼのペース。


しかし、真の面白さは2巻の山に住む化物と対峙するところからとなります。
この化物の正体は人里から離れて生活をしている 塚原卜伝。
その恐ろしさに怯えながらも、弁之助たちは塚原卜伝の元へ向かいます。
要件はもちろん 「秋山虎之介が塚原卜伝と仕合う」ということ。
仕掛ける側の秋山はもちろん、迎え入れる塚原卜伝もそんなことは重々承知しています。

にも関わらず、粥を茹でている囲炉裏を囲う形で、ゆっくりとじっくりと、静かな舌戦が始まります。

ここの緊張感がたまらなく素晴らしい。読んでいるこちらもどきどきしてしまうほどの描画力。
淡々と話を続ける底の見えない怪物の塚原卜伝と、恐怖と緊張から常に仕掛ける機を窺う秋山。
そしてその状況に翻弄される弁之助。
この場面は本当に素晴らしい。繰り返すけど、本当に素晴らしい。


そして、、、


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と、始まるわけです!!秋山と塚原卜伝の仕合が!!
それまで張り詰めた緊張感が一気に解放されて怒涛の如く展開する殺し合い!!

ホント、読んでて楽しいですよ。このシーンだけでも読む価値があると思います。


というわけで、ヴィラネスでした。すごく続きが楽しみな作品がまた増えてしまった。


3巻の感想はこちら (ヴィラネス 3巻 - 宮本武蔵誕生!そして次の主役は関口柔心)

眠気覚め度 ☆☆☆☆