酔うて狂うか醒めて狂うか どちらがシアワセでしょうな

時は太平洋戦争終戦直後、米兵が闊歩しヤミ市が賑わう敗戦国日本。
そこでまさしく生きるために生活を営む大人の世界を描くのが「あれよ星屑」です。
最近評判になっているのでご存知の方も多いでしょう。 

主人公達はかつて中国に駐屯した時の上官と部下。
何故戦争で人を殺したのに死なずまだ生きているのか、そんなことを考えながら毎日酒をあおっている川島。
生き抜いたものの帰る家はなく、川島と出合ったことでそこに身を寄せる門松。 
そんな二人を中心に回る終戦直後のお話です。

タイトルに「大人の」とつけたのはまさしくその通りの意味です。
終戦直後の日本は、誰もが生き抜くのに必死です。
それは男女問わず、そして一部の女性はパンパンとなって生活していきます。
この「あれよ星屑」はそんなパンパンの生活に大きく触れており、生き抜くための必要なこととして描かれています。
あくまで楽観的に、否定的にではなく、そういった生活を選んだものもいるという肯定的な描き方です。 
一般論としては目を背けがちな部分にしっかり焦点を当てた形ですね。こういった人間くささを描くのは大切なことだと思います。

また、2巻では戦時中の軍隊生活の話になるのですが、そこでもやはり女郎屋の女遊び、売春に重きをおいています。
性欲、特に死と隣り合わせの世界では性欲と死は決して切り離せないものですよね。
兵士というストレスとその発散の場として深く描かれています。
それ以外は新兵の境遇や人を殺すということを深く表現しています。ただの百姓やまだ学校を出たばかりの子供が兵士に入ってどんな生活を送るのか、淡々と描かれます。


と、まあそのような雰囲気で描かれる終戦直後の日本「あれよ星屑」
しっとりと読ませる作品なので、続きも楽しみなところです。


眠気覚め度 ☆☆☆