監獄学園の平本アキラが、ブルーズをテーマに戦前米国の黒人差別白人主義、禁酒法、その闇を描く。

最近、この作品が監獄学園の平本アキラの作品であることを知り、評判も良かったので最新5巻までいっきにまとめ買いしました。 
正直、5巻を読み終えるまで止まりませんでした。まさに眠気が覚めて一気に読み進めた次第です。

最初はブルーズがテーマの音楽モノかと思っていたのですが、実態は全然違います。
ブルーズをキーにした、徹底的な白人主義、黒人差別、それを元に起こる事件をサスペンス、もしくはホラー的に描いていきます。
ギャグは基本少ないです。ギャグすら後の伏線にしたりしています。
やはり監獄学園の絵柄からだと、こういった作品も描けるのは納得です。
しかも、面白い。

主人公のRJは農夫の黒人で、ブルーズに憧れて身重の妻の機嫌を伺いながらバーに通い詰めてギターを練習する。しかしいくら練習しても上達しないギターの腕前。そんな折、ひとつの噂話を聞く。

「真夜中、十字路に立つ。一人でだ。そんでもって、何か1曲やる。何でもいい。すると…後ろから声を掛けてくるヤツがいる。真っ黒くてバカでかいヤツだ。そいつはお前のギターを手に取り…調律すると1曲弾いてお前に返す。するとどうだ!?お前のギターテクニックはウソみたいに上達してる!
が…そいつと引き換えにお前の魂は…その黒くてデカいヤツに持ってかれちまうって話だ」


そして何かに導かれるようにその噂話の行動を取ってしまうRJ。
その結果手に入れた力、その代償は…

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もう、とにかく凄い。息をつかせぬ展開にグイグイ引き込まれます。
上記はブルーズについてしか書いていませんが、どちらかというとその代償による事件の方がメインのストーリーとなります。
それが、冒頭にも書いた徹底的な白人差別、黒人主義です。
戦前米国の、しかも禁酒法の時代を書いているので、その描写も過激なものが多く、
「白人は黒人を迫害して当然」というような書かれ方がされています。
※但し、編集側としてもこの時代の資料を集めるのが困難を窮めていて、史実とは異なる表現になっているものもあるかもしれないとのこと。あくまでフィクションでということですね。(5巻の巻末コメントより)

その辺りの描写、そして代償を考えるとおそらく非業の最期になるだろうというシナリオ。
その毒に、どっぷりはまりそうです。


眠気覚め度 ☆☆☆☆☆